第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
その頃、白州はキアゲハから知らせを受け、急いで村に戻っていた。すると、織田軍の残党狩り兵が、村の老人たちに収穫した作物を寄こせと脅していた。
「困ります・・・。我々が生きていく為にやっと収穫した作物を・・・あなた達に全て持っていかれるなんて・・・」
「うるせぇ!!!どうせてめーらみたいな廃村寸前の村に住んでいるジジババなんぞ、すぐに野垂れ死ぬのがせいぜい。早く食い物を寄こせ!!」
織田兵の一人は、村の奥まった小屋に目掛けて銃弾を発砲した。すると、小屋から出てきたキクの足に弾がかすれ、キクは衝撃で倒れてしまった。
「・・・・う・・・お前さん達・・・わたしたちの村で何をしておるんじゃ・・・」
キクは倒れながらも、織田兵を睨みつけていた。織田兵は笑いながら、動けないキクに銃口を向けた。
「さぁ、このババァがどうなってもいいのか?さっさと俺たちに作物を寄こせ・・・・」
兵士は言葉を続けようとしたその時、突如、凄まじい突風が兵士を吹き飛ばした。
「織田の兵どもか!!村の皆に危害を加えてんじゃねー!!!!お前らは武田の兵士だけでなく、老人たちも虐げるのか!!!!」
白州は鬼のような形相で兵士たちに怒りをぶつけた。
「く・・・梅雪殿に雇われている精霊戦士か・・・。何でこんな老人共を助けるんだ?こいつらの寿命なんてあと5年も持たねーだろ?」
兵士たちは怯えている老人たちを侮辱しながら笑って言った。
「お前ら・・・老人を馬鹿にするんじゃねーよ!!!ばっちゃんたちはお前らと違って、日々、畑を耕して、川や湖から魚を獲ったりと、苦労しながらも毎日一生懸命生きているんだぞ!!お前らなんか、農民が耕した作物を食い潰しているだけだろうが!!」
「何だと!!!このド田舎の山猿がー!!!いい気になるなよ!!!」
兵士たちは再び白州に襲い掛かってきたが、彼の放った、かまいたちによりあっけなく一掃された。
「お前らのような、弱い者から作物を奪う体たらくどもに、ばっちゃん達を馬鹿にする資格なんてないんだよ!!お前らも自分で畑を耕してみろっての!!!」
白州の凄まじい攻撃により、織田兵は泣きながら主の元へ帰って行った。
白州は、キクを介抱しながら織田兵の行為に疑念を持ち始めていた。
「・・・なぜ?織田兵が村を襲うんだ?梅雪は村の安全を保障したんじゃねーのかよ!!」
「・・・白州かい?戻ってきてくれたんだね。どうして?何もない村に尾張の織田兵が現れたのじゃ・・・・?」
キクは疑問に思いながら言葉を続けようとしたが、気を失った。
少し後に、球磨と千里たちは、麓の村の入口に着いた。先ほど村で銃声が聞こえたのが気がかりでならなかった。
「さっき銃声が聞こえたが・・・それ1回だけだったな・・・その後は、静けさが戻ったな・・・」
球磨と千里は辺りを見回していた。周囲を森や岩肌に覆われた小さな村は、閉ざされた空間のようであった。村の中を進んでいくと、奥まったかやぶき屋根の小屋から人の気配を感じた。そこへ向かうと、村人たちは小屋の縁側に集まっていた。球磨と千里は中を覗くと、白州がキクの足のけがを治しているところだった。球磨は村の老人に白州の事を聞いた。
「・・・白州と・・横になっている老女との関係は?」
「ああ・・お前さんは白州の友人かね?わしらは昔から白州に世話になっておるんじゃよ。この村には若い者がおらん。白州はわしらに代わり、出稼ぎに行ってくれたり、戻ってきては畑を手伝ったりとわしらを気に掛けてくれるのじゃよ」
「ついさっき、織田兵がわしらに、畑で収穫したものを全部寄こせと脅してきたのを、白州が助けてくれたのじゃよ。・・・たまたま敵の銃弾がキクさんにかすり、倒れてしまったのじゃよ・・・」
老人たちが親切に教えてくれると、球磨は持ち前の行動力で白州を助けようと思った。
「そうだったのか・・・よし!!!」
球磨は西洋風の長靴を脱ぎ、お邪魔しますと縁側から寝室に入った。千里も、体力疲れに効く漢方を用意し、入ってきた。
「よう白州!!俺たちに何かできることがあれば言ってくれ!!」
「怪我や疲れに効く漢方や、精のつく食事を用意しますよ」
白州は突然2人が入ってきて、頭が真っ白になった。
「え!?お・・・お前ら何でここに居るんだ!!!!!」
すると、球磨と千里の後ろからひょっこりと3人の小精霊が姿を現した。
「オラたちが連れてきたじゅら~♪白州兄ちゃんの力になって欲しくて」
白州は小精霊の純粋な気遣いに怒る気にはなれなかった。
「・・・これは俺の問題だ・・・部外者は関係ねぇ・・・それにお前ら俺に構ってて良いのかよ!!さっさと梅雪の所に・・・痛って!!!!」
白州は不機嫌な顔をし、話を続けようとしたが、千里に腰を強くつままれ、あまりの痛さに言葉が出なかった。そしてしばらく眠っていたキクは目を覚まし、球磨と千里の姿を見て、笑顔で挨拶をした。
「おやまぁ、白州の友達かねぇー。わたしはキク。今さっき、織田兵が村を襲撃しようとしたところを白州が助けてくれて、倒れたわたしを介抱してくれたのじゃよ」
「・・・ばっちゃん・・・」
白州は起き上がろうとしたキクをがっしりと支えながら照れていた。すると、球磨は笑顔で白州とキクに言った。
「何か精の付く物を用意するぜ!!俺は畑の作物を取ってきて、美味しい料理を作るよ!!」
「僕は川や湖で魚を捕ったり、山菜やキノコを採りに行きます」
「オラたちも手伝うじゅらー♪」
千里も続けて言うと、小精霊も息を合わせて言った。白州はキクや村人が居る手前、2人とは敵対しているとは言いだせなかった。
「・・・勝手にしろ!!」
球磨達は直ぐに行動に移した。
その時、村の近くの山の上で、学者の厳美が村の景色を見ながら笑っていた。
「ははは。白州さんと球磨に千里と、敵対する者同士馴れ合っていますねー。これは面白くなりそうでーす♪」
厳美は対岸の三つ峠の山頂を見ながら不気味な笑みを浮かべていた。何かを企んでいた。
夕方になり、球磨は畑仕事を手伝った後、キクの家で米を炊き、白州と一緒に野菜を切っていた。白州はしかめっ面をしながら球磨に言った。
「・・・言っておくが、俺らは敵同士っての忘れんなよ!!今はばっちゃん達に心配をかけたくないから、休戦しているだけだ!!」
球磨は話を気にせず、大らかに笑いながら切ったニンジンやジャガイモ、長ネギなどを鍋に入れた。そして、西洋のスパイスという赤や茶色の香辛料を入た。それを見た白州は驚いた顔をして、球磨に問い詰めた。
「お・・おい!?何入れやがった!!まさか・・・毒なんかじゃ・・・」
今までに嗅いだことの無い独特な香りに白州は戸惑った。すると、球磨が楽し気に木のヘラで鍋の中をかき混ぜると、からし色のとろみのある汁へと変化した。
「まぁ、味見してみろよ、白州♬これは、カリーって言うんだぜ」
球磨は木のれんげに汁とニンジンを入れ、白州に渡した。白州はごくり・・と緊張しながら口にした。
「・・・これは・・辛みのある・・汁だが・・・後に甘みが残ってうめぇ!!これなら老人も気軽に食べられるぜ!!」
白州は初めて口にしたカリーに感動していた。
「これは、スパイスと言ってな、西洋から来た貿易船で手に入れたんだぜ。西の亜細亜(あじあ)大陸では多く食べられているらしいぜ。今回は食べやすく、ハチミツやリンゴ汁を入れたんだ」
球磨が小瓶に入っているスパイスを白州に見せると、白州はまじまじと見て言った。
「はぁ・・・海の向こうではこんな代物が出回ってんだな・・・森や山で育った俺には理解できねーわ」
「確かにそうだな。あ!!もし、南蛮文化に興味があったら、そのハネで九州の肥後に来てみな♪海も綺麗だし」
球磨が笑顔で誘うと、白州は照れながらツンと否定した。
「それは結構だぜ!!・・・・俺は流行とか苦手だし、海は嫌いだ!!」
「へぇ~、見かけによらず保守的なんだなー」
白州はニヤニヤとおちょくっている球磨に呆れ、ため息をついていた。すると、丁度、多くの魚やキノコを獲ってきた千里が小屋の台所に入ってきた。
「戻りました。沢山獲れましたよ。」
「よっしゃあ!!長いことお疲れ様だぜ、千里。キノコ汁と焼き魚も作るか!!」
球磨は再び腕によりをかけて料理を始めた。
夜になり、球磨達は外に老人たちを集めて、夕食を食べた。皆は初めて口にするカリーの旨さに感動し、焼き魚やキノコ汁なども栄養豊富で、キクの体調も回復していった。
「こんなうんめーもん食うの初めてで幸せじゃのう」
「長生きした甲斐があったわい!!」
「白州、球磨さんと千里さん。本当にありがとう。おかげでこの通り元気が出たよ。だけど、心配をかけてしまったねぇ」
キクが茶碗に入れたカリーを美味しそうに食べながら、白州達に礼を言った。白州は照れながら言った。
「いいや・・・ばっちゃんが元気になって良かったよ。正直・・球磨と千里、あと小精霊たちにも助けられたし・・・・」
白州は肩に乗っている小精霊の頭を指で撫でていると、球磨は顔をニヤニヤさせながら白州の背中を押した。
「お前は、キクさんの前では随分と素直だな~♪だんだんとお前の本質が分かってきたぜ!!」
「これが、白州兄ちゃんの本質じゅら♪」
「な!?・・・てめぇ・・調子に乗るな!!俺はあくまでお前らの・・・・」
敵だと続けようとしたら、キクの笑顔を見ていると、何も言えなかった。すると、突然千里は三つ峠の山頂の方から何か変な視線を察知した。球磨は千里の異変に気付き、尋ねた。
「どうした?千里・・・敵がいるのか?」
「・・・・いいえ・・気のせいです」
千里は同じ人造戦士である、宿敵の厳美が三つ峠の山頂に居るのを感じ取っていたが、気配は直ぐに消えた。白州もおそらく厳美の気配に気づいており、心の中で腹をくくっていた。
(やはり、球磨達と馴れ合ってはいけないな・・・・)
「困ります・・・。我々が生きていく為にやっと収穫した作物を・・・あなた達に全て持っていかれるなんて・・・」
「うるせぇ!!!どうせてめーらみたいな廃村寸前の村に住んでいるジジババなんぞ、すぐに野垂れ死ぬのがせいぜい。早く食い物を寄こせ!!」
織田兵の一人は、村の奥まった小屋に目掛けて銃弾を発砲した。すると、小屋から出てきたキクの足に弾がかすれ、キクは衝撃で倒れてしまった。
「・・・・う・・・お前さん達・・・わたしたちの村で何をしておるんじゃ・・・」
キクは倒れながらも、織田兵を睨みつけていた。織田兵は笑いながら、動けないキクに銃口を向けた。
「さぁ、このババァがどうなってもいいのか?さっさと俺たちに作物を寄こせ・・・・」
兵士は言葉を続けようとしたその時、突如、凄まじい突風が兵士を吹き飛ばした。
「織田の兵どもか!!村の皆に危害を加えてんじゃねー!!!!お前らは武田の兵士だけでなく、老人たちも虐げるのか!!!!」
白州は鬼のような形相で兵士たちに怒りをぶつけた。
「く・・・梅雪殿に雇われている精霊戦士か・・・。何でこんな老人共を助けるんだ?こいつらの寿命なんてあと5年も持たねーだろ?」
兵士たちは怯えている老人たちを侮辱しながら笑って言った。
「お前ら・・・老人を馬鹿にするんじゃねーよ!!!ばっちゃんたちはお前らと違って、日々、畑を耕して、川や湖から魚を獲ったりと、苦労しながらも毎日一生懸命生きているんだぞ!!お前らなんか、農民が耕した作物を食い潰しているだけだろうが!!」
「何だと!!!このド田舎の山猿がー!!!いい気になるなよ!!!」
兵士たちは再び白州に襲い掛かってきたが、彼の放った、かまいたちによりあっけなく一掃された。
「お前らのような、弱い者から作物を奪う体たらくどもに、ばっちゃん達を馬鹿にする資格なんてないんだよ!!お前らも自分で畑を耕してみろっての!!!」
白州の凄まじい攻撃により、織田兵は泣きながら主の元へ帰って行った。
白州は、キクを介抱しながら織田兵の行為に疑念を持ち始めていた。
「・・・なぜ?織田兵が村を襲うんだ?梅雪は村の安全を保障したんじゃねーのかよ!!」
「・・・白州かい?戻ってきてくれたんだね。どうして?何もない村に尾張の織田兵が現れたのじゃ・・・・?」
キクは疑問に思いながら言葉を続けようとしたが、気を失った。
少し後に、球磨と千里たちは、麓の村の入口に着いた。先ほど村で銃声が聞こえたのが気がかりでならなかった。
「さっき銃声が聞こえたが・・・それ1回だけだったな・・・その後は、静けさが戻ったな・・・」
球磨と千里は辺りを見回していた。周囲を森や岩肌に覆われた小さな村は、閉ざされた空間のようであった。村の中を進んでいくと、奥まったかやぶき屋根の小屋から人の気配を感じた。そこへ向かうと、村人たちは小屋の縁側に集まっていた。球磨と千里は中を覗くと、白州がキクの足のけがを治しているところだった。球磨は村の老人に白州の事を聞いた。
「・・・白州と・・横になっている老女との関係は?」
「ああ・・お前さんは白州の友人かね?わしらは昔から白州に世話になっておるんじゃよ。この村には若い者がおらん。白州はわしらに代わり、出稼ぎに行ってくれたり、戻ってきては畑を手伝ったりとわしらを気に掛けてくれるのじゃよ」
「ついさっき、織田兵がわしらに、畑で収穫したものを全部寄こせと脅してきたのを、白州が助けてくれたのじゃよ。・・・たまたま敵の銃弾がキクさんにかすり、倒れてしまったのじゃよ・・・」
老人たちが親切に教えてくれると、球磨は持ち前の行動力で白州を助けようと思った。
「そうだったのか・・・よし!!!」
球磨は西洋風の長靴を脱ぎ、お邪魔しますと縁側から寝室に入った。千里も、体力疲れに効く漢方を用意し、入ってきた。
「よう白州!!俺たちに何かできることがあれば言ってくれ!!」
「怪我や疲れに効く漢方や、精のつく食事を用意しますよ」
白州は突然2人が入ってきて、頭が真っ白になった。
「え!?お・・・お前ら何でここに居るんだ!!!!!」
すると、球磨と千里の後ろからひょっこりと3人の小精霊が姿を現した。
「オラたちが連れてきたじゅら~♪白州兄ちゃんの力になって欲しくて」
白州は小精霊の純粋な気遣いに怒る気にはなれなかった。
「・・・これは俺の問題だ・・・部外者は関係ねぇ・・・それにお前ら俺に構ってて良いのかよ!!さっさと梅雪の所に・・・痛って!!!!」
白州は不機嫌な顔をし、話を続けようとしたが、千里に腰を強くつままれ、あまりの痛さに言葉が出なかった。そしてしばらく眠っていたキクは目を覚まし、球磨と千里の姿を見て、笑顔で挨拶をした。
「おやまぁ、白州の友達かねぇー。わたしはキク。今さっき、織田兵が村を襲撃しようとしたところを白州が助けてくれて、倒れたわたしを介抱してくれたのじゃよ」
「・・・ばっちゃん・・・」
白州は起き上がろうとしたキクをがっしりと支えながら照れていた。すると、球磨は笑顔で白州とキクに言った。
「何か精の付く物を用意するぜ!!俺は畑の作物を取ってきて、美味しい料理を作るよ!!」
「僕は川や湖で魚を捕ったり、山菜やキノコを採りに行きます」
「オラたちも手伝うじゅらー♪」
千里も続けて言うと、小精霊も息を合わせて言った。白州はキクや村人が居る手前、2人とは敵対しているとは言いだせなかった。
「・・・勝手にしろ!!」
球磨達は直ぐに行動に移した。
その時、村の近くの山の上で、学者の厳美が村の景色を見ながら笑っていた。
「ははは。白州さんと球磨に千里と、敵対する者同士馴れ合っていますねー。これは面白くなりそうでーす♪」
厳美は対岸の三つ峠の山頂を見ながら不気味な笑みを浮かべていた。何かを企んでいた。
夕方になり、球磨は畑仕事を手伝った後、キクの家で米を炊き、白州と一緒に野菜を切っていた。白州はしかめっ面をしながら球磨に言った。
「・・・言っておくが、俺らは敵同士っての忘れんなよ!!今はばっちゃん達に心配をかけたくないから、休戦しているだけだ!!」
球磨は話を気にせず、大らかに笑いながら切ったニンジンやジャガイモ、長ネギなどを鍋に入れた。そして、西洋のスパイスという赤や茶色の香辛料を入た。それを見た白州は驚いた顔をして、球磨に問い詰めた。
「お・・おい!?何入れやがった!!まさか・・・毒なんかじゃ・・・」
今までに嗅いだことの無い独特な香りに白州は戸惑った。すると、球磨が楽し気に木のヘラで鍋の中をかき混ぜると、からし色のとろみのある汁へと変化した。
「まぁ、味見してみろよ、白州♬これは、カリーって言うんだぜ」
球磨は木のれんげに汁とニンジンを入れ、白州に渡した。白州はごくり・・と緊張しながら口にした。
「・・・これは・・辛みのある・・汁だが・・・後に甘みが残ってうめぇ!!これなら老人も気軽に食べられるぜ!!」
白州は初めて口にしたカリーに感動していた。
「これは、スパイスと言ってな、西洋から来た貿易船で手に入れたんだぜ。西の亜細亜(あじあ)大陸では多く食べられているらしいぜ。今回は食べやすく、ハチミツやリンゴ汁を入れたんだ」
球磨が小瓶に入っているスパイスを白州に見せると、白州はまじまじと見て言った。
「はぁ・・・海の向こうではこんな代物が出回ってんだな・・・森や山で育った俺には理解できねーわ」
「確かにそうだな。あ!!もし、南蛮文化に興味があったら、そのハネで九州の肥後に来てみな♪海も綺麗だし」
球磨が笑顔で誘うと、白州は照れながらツンと否定した。
「それは結構だぜ!!・・・・俺は流行とか苦手だし、海は嫌いだ!!」
「へぇ~、見かけによらず保守的なんだなー」
白州はニヤニヤとおちょくっている球磨に呆れ、ため息をついていた。すると、丁度、多くの魚やキノコを獲ってきた千里が小屋の台所に入ってきた。
「戻りました。沢山獲れましたよ。」
「よっしゃあ!!長いことお疲れ様だぜ、千里。キノコ汁と焼き魚も作るか!!」
球磨は再び腕によりをかけて料理を始めた。
夜になり、球磨達は外に老人たちを集めて、夕食を食べた。皆は初めて口にするカリーの旨さに感動し、焼き魚やキノコ汁なども栄養豊富で、キクの体調も回復していった。
「こんなうんめーもん食うの初めてで幸せじゃのう」
「長生きした甲斐があったわい!!」
「白州、球磨さんと千里さん。本当にありがとう。おかげでこの通り元気が出たよ。だけど、心配をかけてしまったねぇ」
キクが茶碗に入れたカリーを美味しそうに食べながら、白州達に礼を言った。白州は照れながら言った。
「いいや・・・ばっちゃんが元気になって良かったよ。正直・・球磨と千里、あと小精霊たちにも助けられたし・・・・」
白州は肩に乗っている小精霊の頭を指で撫でていると、球磨は顔をニヤニヤさせながら白州の背中を押した。
「お前は、キクさんの前では随分と素直だな~♪だんだんとお前の本質が分かってきたぜ!!」
「これが、白州兄ちゃんの本質じゅら♪」
「な!?・・・てめぇ・・調子に乗るな!!俺はあくまでお前らの・・・・」
敵だと続けようとしたら、キクの笑顔を見ていると、何も言えなかった。すると、突然千里は三つ峠の山頂の方から何か変な視線を察知した。球磨は千里の異変に気付き、尋ねた。
「どうした?千里・・・敵がいるのか?」
「・・・・いいえ・・気のせいです」
千里は同じ人造戦士である、宿敵の厳美が三つ峠の山頂に居るのを感じ取っていたが、気配は直ぐに消えた。白州もおそらく厳美の気配に気づいており、心の中で腹をくくっていた。
(やはり、球磨達と馴れ合ってはいけないな・・・・)