第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
2人はしばらく険しい峠道を下りていくと、河口湖方面に小さな村が見えてきた。
「ここに住む村人達は無事だろうか・・・」
球磨は早く村人を救出せねば!!と急ごうとしたが、千里が殺気を感じ、懐から小刀を取り出した。
「何か来ます!!」
球磨も即座に背中の槍を構えると、空中から白州が舞い降りてきた。
「おっと!!ここは通さねーぜ、暴れ牛と眼鏡坊や。・・・ん?今日はお前ら2人か?俺も随分と舐められたもんだなー」
白州が鼻で笑っていると、球磨は静かに槍を構え、彼に問いただした。
「てめぇ・・・まさか、近くの村で悪さはしていないだろうな。俺達は村人の危機を救いながら梅雪の元へ向かおうとしている。速攻てめぇを倒してやるぜ!!」
球磨が言うと、白州は少し黙り込んだ。しかし直ぐに、大太刀を構え、2人に向かって先制攻撃を仕掛けた。千里は大太刀の一振りを鎖で受け止め、鎌で攻撃しようとしたが、避けられてしまった。
「球磨さん・・峠道での戦いは僕たちの方が不利です。それに・・・雲一つ無い陽の光は森精霊の力を強くさせます。共に戦いましょう!!」
「・・・そうだな。本当は野郎とは1対1で戦いたかったが、そうは言ってらんねーな!!」
球磨は空に浮いている白州目掛け、十字に纏った火炎を槍から勢い良く放った。
「く・・・強力な炎だ、暴れ牛め!!前よりも強くなっているぜ・・・」
白州は炎を必死に避けた。すると、今度は燃える岩石が、彼のハネに目掛けて複数、隕石のように飛んできた。千里の岩石を操る力と、球磨の火の力の連携技である。白州は避け続けていたが、空中での回避は体勢が不安定になりやすく、全て避けきれずに、ハネに岩石が当たり、火が付いた。白州は眉間にしわを寄せ、ハネを切り捨てた。そして、峠道に着地した。
「・・・く・・てめぇらを甘く見ていたな。こいつは全力で掛からねーとな」
白州は真剣な表情で大太刀を構えたが、突然空から彼の相棒のキアゲハが手に乗ってきた。森精霊の能力である、蝶と意思を疎通させる力である。
「・・・何!?村が襲撃にあっているだと!!」
白州は青ざめた。球磨と千里は彼の顔を見て、異変に気付き声をかけた。
「お・・おい!?一体何があったんだよ!!!」
球磨は心配しながら彼の元に近づいた。しかし、我に返った白州は、術で橙色の小玉すいか位の大きさの球を出現させ、2人に目掛けて投げた。弾はぐちゃりと変形し、とりもちのように2人の体を拘束した。
「何・・だよ・・・これは!!ネバネバして動けねぇ・・・」
球磨の怪力ですら身動きが取れないでいた。
「・・・これは・・カエデから採れる樹液のようですね・・・甘い」
千里も樹液まみれになりながらも、冷静に味見していた。後にメイプルシロップと呼ばれる樹液である。
「そうか。何か菓子を作るのに使えそうだな・・・って!!呑気に味見している場合か!!」
球磨は樹液の海でじたばたしていた。そして、白州が笑いながら太陽光の力で再びハネを生やし、言った。
「ははははは!!何とも滑稽な姿だぜ♪一生この樹液の中で戯れていろ!!そんじゃあ、あばよ!!」
白州は空に向かって羽ばたいて行った。
「ま・・待ちやがれー!!!こらー!!!!!!!」
「・・・・球磨さん・・。叫んで暴れては体力を減らしてしまいますよ・・・」
千里は怒りの頂点に立っている球磨に注意をした。
「くっそ・・・・でも、このまま奴が村を襲撃でもしたら・・・」
「それはないと思います。白州はしようと思えば峠道を壊し、僕たちを転落死させる事が出来たはず・・・ですが、こんな回りくどい事をして逃げていきました。・・・・それに、蝶に触っていた時に何かを心配している風に見えました」
2人が思い悩んでいると、峠の崖から3人の小精霊が現れた。
「これは大変じゅらー!!!みんな、兄ちゃん達を助けるじゅら!!」
小精霊たちは2人に目掛け、小さなハネをパタパタと動かし、輝きの鱗粉で樹液を素早く消した。球磨と千里は小精霊の頭を優しく撫でながら礼を言った。
「白州兄ちゃんと戦ったじゅら?」
女の子の小精霊が2人に尋ねた。すると、球磨も尋ねた。
「ああ・・今戦っていたが、逃げられたぜ・・・。君たち、白州を知っているのか?」
「知っているも何も、白州兄ちゃんは強くて優しくて憧れの精霊戦士じゅら!!」
千里は男の子の小精霊の澄んだ瞳を覗き込んだ。その瞳は嘘をついたり操られている様子は無かった。
「白州兄ちゃんは精霊にも人にも自然にも優しいじゅら!!信じられないなら、峠を下りた麓の村に行ってみるじゅら!!」
小精霊達は必死に2人に訴えた。
「麓の村か・・・丁度俺達も行こうとしていた所だな。教えてくれてありがとうな、小精霊達。白州が何隠しているか気になるしな」
球磨が千里に行こうぜ!!と笑顔で言うと、千里も頷いた。そして、小精霊を連れ麓の村に進んだ。
「ここに住む村人達は無事だろうか・・・」
球磨は早く村人を救出せねば!!と急ごうとしたが、千里が殺気を感じ、懐から小刀を取り出した。
「何か来ます!!」
球磨も即座に背中の槍を構えると、空中から白州が舞い降りてきた。
「おっと!!ここは通さねーぜ、暴れ牛と眼鏡坊や。・・・ん?今日はお前ら2人か?俺も随分と舐められたもんだなー」
白州が鼻で笑っていると、球磨は静かに槍を構え、彼に問いただした。
「てめぇ・・・まさか、近くの村で悪さはしていないだろうな。俺達は村人の危機を救いながら梅雪の元へ向かおうとしている。速攻てめぇを倒してやるぜ!!」
球磨が言うと、白州は少し黙り込んだ。しかし直ぐに、大太刀を構え、2人に向かって先制攻撃を仕掛けた。千里は大太刀の一振りを鎖で受け止め、鎌で攻撃しようとしたが、避けられてしまった。
「球磨さん・・峠道での戦いは僕たちの方が不利です。それに・・・雲一つ無い陽の光は森精霊の力を強くさせます。共に戦いましょう!!」
「・・・そうだな。本当は野郎とは1対1で戦いたかったが、そうは言ってらんねーな!!」
球磨は空に浮いている白州目掛け、十字に纏った火炎を槍から勢い良く放った。
「く・・・強力な炎だ、暴れ牛め!!前よりも強くなっているぜ・・・」
白州は炎を必死に避けた。すると、今度は燃える岩石が、彼のハネに目掛けて複数、隕石のように飛んできた。千里の岩石を操る力と、球磨の火の力の連携技である。白州は避け続けていたが、空中での回避は体勢が不安定になりやすく、全て避けきれずに、ハネに岩石が当たり、火が付いた。白州は眉間にしわを寄せ、ハネを切り捨てた。そして、峠道に着地した。
「・・・く・・てめぇらを甘く見ていたな。こいつは全力で掛からねーとな」
白州は真剣な表情で大太刀を構えたが、突然空から彼の相棒のキアゲハが手に乗ってきた。森精霊の能力である、蝶と意思を疎通させる力である。
「・・・何!?村が襲撃にあっているだと!!」
白州は青ざめた。球磨と千里は彼の顔を見て、異変に気付き声をかけた。
「お・・おい!?一体何があったんだよ!!!」
球磨は心配しながら彼の元に近づいた。しかし、我に返った白州は、術で橙色の小玉すいか位の大きさの球を出現させ、2人に目掛けて投げた。弾はぐちゃりと変形し、とりもちのように2人の体を拘束した。
「何・・だよ・・・これは!!ネバネバして動けねぇ・・・」
球磨の怪力ですら身動きが取れないでいた。
「・・・これは・・カエデから採れる樹液のようですね・・・甘い」
千里も樹液まみれになりながらも、冷静に味見していた。後にメイプルシロップと呼ばれる樹液である。
「そうか。何か菓子を作るのに使えそうだな・・・って!!呑気に味見している場合か!!」
球磨は樹液の海でじたばたしていた。そして、白州が笑いながら太陽光の力で再びハネを生やし、言った。
「ははははは!!何とも滑稽な姿だぜ♪一生この樹液の中で戯れていろ!!そんじゃあ、あばよ!!」
白州は空に向かって羽ばたいて行った。
「ま・・待ちやがれー!!!こらー!!!!!!!」
「・・・・球磨さん・・。叫んで暴れては体力を減らしてしまいますよ・・・」
千里は怒りの頂点に立っている球磨に注意をした。
「くっそ・・・・でも、このまま奴が村を襲撃でもしたら・・・」
「それはないと思います。白州はしようと思えば峠道を壊し、僕たちを転落死させる事が出来たはず・・・ですが、こんな回りくどい事をして逃げていきました。・・・・それに、蝶に触っていた時に何かを心配している風に見えました」
2人が思い悩んでいると、峠の崖から3人の小精霊が現れた。
「これは大変じゅらー!!!みんな、兄ちゃん達を助けるじゅら!!」
小精霊たちは2人に目掛け、小さなハネをパタパタと動かし、輝きの鱗粉で樹液を素早く消した。球磨と千里は小精霊の頭を優しく撫でながら礼を言った。
「白州兄ちゃんと戦ったじゅら?」
女の子の小精霊が2人に尋ねた。すると、球磨も尋ねた。
「ああ・・今戦っていたが、逃げられたぜ・・・。君たち、白州を知っているのか?」
「知っているも何も、白州兄ちゃんは強くて優しくて憧れの精霊戦士じゅら!!」
千里は男の子の小精霊の澄んだ瞳を覗き込んだ。その瞳は嘘をついたり操られている様子は無かった。
「白州兄ちゃんは精霊にも人にも自然にも優しいじゅら!!信じられないなら、峠を下りた麓の村に行ってみるじゅら!!」
小精霊達は必死に2人に訴えた。
「麓の村か・・・丁度俺達も行こうとしていた所だな。教えてくれてありがとうな、小精霊達。白州が何隠しているか気になるしな」
球磨が千里に行こうぜ!!と笑顔で言うと、千里も頷いた。そして、小精霊を連れ麓の村に進んだ。