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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

恐山での死闘は終わった。厄神マガツイノカミの遺伝子を組み込まれ造られた厳美と、彼の暴走を止める為、自ら彼を受け止めた若桜は、黄泉に還って行った。桜龍達は聖龍に乗り、津軽半島最北端の竜飛岬で、対岸の蝦夷地と下北半島の恐山を眺めていた。
「おお!!ここは綺麗な青空だな。陸奥国の闇雲が晴れて良かったぜ」
「快晴の空に美しい海だが、ここは風が強いねぇ。土竜族が協力してくれたものの、義経公が馬に乗って、烈風の中蝦夷地へ渡ったのが凄いと思うよ」
「確かに凄まじい風だな。ここは流石に小精霊を連れていくことは出来ぬな。皆飛ばされてしまう」
「陸奥国を救えたのも、皆さんが力を貸してくれたからです。それと、義経様や弁慶殿、安曇様も勝利に導いてくれました」
「何はともあれ、今までに無い強敵だったな。だが、悲しい運命の中で造られた魔改造戦士達も救われて良かったよ」
5人は笑い合いながら岬から聞こえる波しぶきを聞いていた。すると、仁摩と彼女にくっついている小精霊が皆の前に駆けつけて来た。
「桜龍、皆!!下の漁港でいすみ様達が待っているわよ!!」
「早くしないとじゅら吉に海産物食べ尽くされちゃうじゅらー!!」
「ああ、今行くよ仁摩殿、じゅら子ちゃん!!」
「じゅら吉に食べ過ぎると飛べなくなるぞと注意しておこう」
モトス達はほっこりと笑い合いながら漁港へ向かった。


数日後に北信濃、戸隠の森の奥で勇士達と土竜族の梓は墓参りをしていた。人造戦士の生みの親、安曇とそして、厳美と若桜の墓にまぶたを閉じ、2人が幸せに生まれ変わる事を願っていた。
「若桜、厳美。どうかこれからの戦いを見守っていて下さい」
「千里・・・私は、母様のような力を持ってない。2人を救えなくてすまねぇだ」
「いいえ、これで安曇様も救われたでしょう。若桜が心を取り戻したのですから。厳美も彼女に救われて良かったです」
「厳美も闇の者に造られた犠牲者だったな・・・厄神を元に造るなど、非道な行為だぞ」
「彼には愛する者も大切な思い出も無く、滅ぼす為に造られたのだから、我々では救えなかったな」
「改めて黒羽や闇の奴らが憎たらしいと思うぜ。自分らの都合で造って、殺りく兵器にさせるなんてよ」
「そうだな。厳美と若桜だけじゃない。氷雨と豹剛と大芹の悲しみと憎しみにつけ込んで、魔改造した奴らが悔しいほど憎いぜ」
「次がおそらく最終決戦となりますね。厳美と若桜の弔いを果たしますよ」
「私達、土竜族も力になるべさ!!」
梓は大きな杖を天に掲げながら誓った。
「それはとても心強いですよ、梓殿。海洋族も飛天族もあらゆる種族が日ノ本を護るために一丸となっています。土竜族とも協力できて嬉しい限りです」
「よろしく頼むべ、桜龍、皆。アンタらと出会えて、断交していた種族とも再び手を取り合って戦うことが出来た。本当にアンタらには感謝しているべさ」
梓は無邪気な笑顔で桜龍達に礼を言った。
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