第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
「とおせんぼじゅらー!!」
「え!?じゅらちゃん?」
「仁摩お姉ちゃん、助太刀するじゅら!!」
じゅら吉を始めとする沢山の小精霊は、勇敢な姿で一斉に羽をパタパタと動かし、輝きの鱗粉を若桜の身体に撒いた。
「良い子になるじゅら、良い子になるじゅら」
「目を覚ませじゅらー!!」
「・・・はぁ・・」
しかし若桜は無表情でため息を吐き、扇で軽くあおいだ。すると小精霊達は涙を流しながら吹き飛ばされてしまった。
『じゅらあああー!!』
「じゅらちゃん!!」
「安心なさい、退場してもらっただけよ」
小精霊は仁摩達から少し離れた桜の木に引っかかり目を回していた。
「輝きの鱗粉が効いていないなんて・・・」
「う・・うぅ・・一筋縄じゃいかないじゅら・・・」
「危ないからお前らは鳴沢の森に帰れ!!」
森精霊のエンザン棟梁の命で、十和田湖に来ていた『白州(はくしゅう)』が小精霊達に叱っていたので、飛天族の蕨(わらび)は苦笑いしながらなだめた。
「まぁ、効いたかは別として、仁摩ちゃんの助けにはなったと思うよ」
海王神いすみは、木に引っかかっている小精霊を取りながら言った。
「確かに、仁摩の窮地を救ったが、危ないのは事実だ。小精霊達は地底に戻り、風の祠から鳴沢へ帰すべきだな」
白州率いる精霊戦士、蕨率いる飛天族、そしていすみ率いる海洋族が十和田湖に集結していた。
「ここは仁摩と梓の実力を信じよう。ワレ達は結界を破り、陸奥の民を救うぞ!!」
すると、いすみの隣に人間の男性が立っていた。球磨の弟、太陽神の化身といわれる『紅史郎(こうしろう)』である。彼は太陽のような眩しい表情で、仁摩と梓の力を信じていた。
「仁摩さんと梓殿は強いです。彼女達なら若桜に負けませんよ」
紅史郎の言葉に、白州を始め皆は勇気づけられた。
「紅史郎の言うとおりだな、俺達も負けてらんねぇーぜ」
いすみと蕨と白州と紅史郎は水と風と太陽の力を結界に放った。自然界の力を操る強者同士の技が重なり合い、結界はもう一押しで破れつつあるが、まだ力は足りなかった。
「く・・まだ力が足りないのか?」
皆は歯を食いしばりながら術を放っていたが、限界を感じていた。すると大地を揺るがす強大な力が彼らに力を貸してくれた。皆は真下を向き力の主を見ていた。
「ふん、まだまだ若ぇもんには力不足だべさ」
「八郎じいか?」
「今こそ、他種族で力を合わす時だと分かったべさ。いすみ、蕨、紅史郎、白州、おんめーらとオラの力を一つにするべさ」
5つの種族と魔力が合わさり、神々しい光へと変わり、陸奥全体を覆っていた禍々しい結界は敗れた。それと同時に若桜の闇の力が薄れ、動きが止まった。その隙に仁摩は若桜に、聖なる光を帯びた棍棒で腹部を突いた。
「う・・・あぁ!!」
「これで闇の結界は破れたわ。いすみ様や他種族の皆が協力してくれたのよ!!」
「く・・それなら何故、お仲間全員で私にかかってこないの?私を甘く見ているのかしら?」
「多勢で戦うのは無意味だべ。私達は若桜を闇から救うために戦っているべさ!!」
若桜は苦しみながらも、仁摩と梓の言葉を否定し続けた。
「う・・私は・・マガツイノカミ様の力となる為に生まれた戦士よ・・私に過去なんて無い」
「それは違うべさ。若桜は母様、安曇が造った大切な娘だべさ」
「そして、千里さんと共に戦った勇士でもあるわよ」
「だ・・黙れ!!私は・・私は・・・」
「思い出して、あなたの過去を。千里さんと共に過ごした時間を」
仁摩は胸飾りの鏡を若桜に向け、梓も杖についた水晶の光を鏡に注いだ。若桜は眩しい光に包まれ、鏡に自分と造り親の安曇が映った。
「え!?じゅらちゃん?」
「仁摩お姉ちゃん、助太刀するじゅら!!」
じゅら吉を始めとする沢山の小精霊は、勇敢な姿で一斉に羽をパタパタと動かし、輝きの鱗粉を若桜の身体に撒いた。
「良い子になるじゅら、良い子になるじゅら」
「目を覚ませじゅらー!!」
「・・・はぁ・・」
しかし若桜は無表情でため息を吐き、扇で軽くあおいだ。すると小精霊達は涙を流しながら吹き飛ばされてしまった。
『じゅらあああー!!』
「じゅらちゃん!!」
「安心なさい、退場してもらっただけよ」
小精霊は仁摩達から少し離れた桜の木に引っかかり目を回していた。
「輝きの鱗粉が効いていないなんて・・・」
「う・・うぅ・・一筋縄じゃいかないじゅら・・・」
「危ないからお前らは鳴沢の森に帰れ!!」
森精霊のエンザン棟梁の命で、十和田湖に来ていた『白州(はくしゅう)』が小精霊達に叱っていたので、飛天族の蕨(わらび)は苦笑いしながらなだめた。
「まぁ、効いたかは別として、仁摩ちゃんの助けにはなったと思うよ」
海王神いすみは、木に引っかかっている小精霊を取りながら言った。
「確かに、仁摩の窮地を救ったが、危ないのは事実だ。小精霊達は地底に戻り、風の祠から鳴沢へ帰すべきだな」
白州率いる精霊戦士、蕨率いる飛天族、そしていすみ率いる海洋族が十和田湖に集結していた。
「ここは仁摩と梓の実力を信じよう。ワレ達は結界を破り、陸奥の民を救うぞ!!」
すると、いすみの隣に人間の男性が立っていた。球磨の弟、太陽神の化身といわれる『紅史郎(こうしろう)』である。彼は太陽のような眩しい表情で、仁摩と梓の力を信じていた。
「仁摩さんと梓殿は強いです。彼女達なら若桜に負けませんよ」
紅史郎の言葉に、白州を始め皆は勇気づけられた。
「紅史郎の言うとおりだな、俺達も負けてらんねぇーぜ」
いすみと蕨と白州と紅史郎は水と風と太陽の力を結界に放った。自然界の力を操る強者同士の技が重なり合い、結界はもう一押しで破れつつあるが、まだ力は足りなかった。
「く・・まだ力が足りないのか?」
皆は歯を食いしばりながら術を放っていたが、限界を感じていた。すると大地を揺るがす強大な力が彼らに力を貸してくれた。皆は真下を向き力の主を見ていた。
「ふん、まだまだ若ぇもんには力不足だべさ」
「八郎じいか?」
「今こそ、他種族で力を合わす時だと分かったべさ。いすみ、蕨、紅史郎、白州、おんめーらとオラの力を一つにするべさ」
5つの種族と魔力が合わさり、神々しい光へと変わり、陸奥全体を覆っていた禍々しい結界は敗れた。それと同時に若桜の闇の力が薄れ、動きが止まった。その隙に仁摩は若桜に、聖なる光を帯びた棍棒で腹部を突いた。
「う・・・あぁ!!」
「これで闇の結界は破れたわ。いすみ様や他種族の皆が協力してくれたのよ!!」
「く・・それなら何故、お仲間全員で私にかかってこないの?私を甘く見ているのかしら?」
「多勢で戦うのは無意味だべ。私達は若桜を闇から救うために戦っているべさ!!」
若桜は苦しみながらも、仁摩と梓の言葉を否定し続けた。
「う・・私は・・マガツイノカミ様の力となる為に生まれた戦士よ・・私に過去なんて無い」
「それは違うべさ。若桜は母様、安曇が造った大切な娘だべさ」
「そして、千里さんと共に戦った勇士でもあるわよ」
「だ・・黙れ!!私は・・私は・・・」
「思い出して、あなたの過去を。千里さんと共に過ごした時間を」
仁摩は胸飾りの鏡を若桜に向け、梓も杖についた水晶の光を鏡に注いだ。若桜は眩しい光に包まれ、鏡に自分と造り親の安曇が映った。