第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
桜龍達は八幡平から北へ進み、雪の積もる陸奥国に入った。皆は凍えるような寒さにも臆すること無く、ひたすら目的地へ進み続けた。桜龍達の味方となった大芹(おおぜり)は闇の結界が張られていない十和田湖周辺を案内した。
「この辺りは闇の力をかき消す神聖な領域だ。ここから八甲田山を越えれば下北半島へ行かれる」
モトスは伝令から聞いたことを皆に伝えた。
「伝令の話だと、闇の結界により民達は陸奥に入ることも出る事も出来ぬそうだな・・・」
湘と球磨も胸を騒めつかせながら、遥か遠く北の恐山から邪気を感じ取っていた。
「ここからでもわずかに邪気を感じる。陸奥の民達が邪気に飲み込まれてしまうと危ういな・・」
「厳美はまさか、陸奥の民と恐山の霊を魔改造戦士にしようと企んでやがるのか?」
大芹は厳美のやろうとしている事に薄々勘づいていたが、まだハッキリとは言えなかった。
「それは違うな。・・考えたくはないが、民と霊を生贄にし、自らの糧にしようとしているかもしれない・・・」
大芹が苦い顔をしながら頭を抱えていると氷雨(ひさめ)は顔をしかめながら皆に早く行こうと促した。
「それなら、早く止めに行きましょうよ!!厳美は冷酷非道な魔改造戦士だから危険だわ」
(厳美・・・最初から恐山を狙っていたのか・・・)
千里が厳美の企みに怒りを込めていると、豹剛(ひょうごう)がクンクンと奥入瀬の空気を嗅ぎ、何かを感じ取っていた。
「ん?桜の匂いがするよ?それと若桜(わかさ)の香りも」
「若桜がこの近くに・・・僕達がここから来るのを分かっていたのですね」
「どのみち、十和田湖に行かねば陸奥に入れぬ。大芹、若桜を元に戻せるか?」
モトスは千里に気を遣い、大芹に彼女を救えないか尋ねた。しかし、大芹は苦渋の顔で首を横に振って答えた。
「・・・すまない、私の力では無理だ。若桜は黒羽(くろう)が高度な技術で魔改造した純粋な闇の僕(しもべ)だ」
「そんな!!そうしたら若桜と戦わなきゃ駄目なのかよ!!」
球磨が大芹の胸ぐらを掴もうとしたが、千里に腕を掴まれ止められた。
「良いのです、球磨さん。若桜が魔の手に囚われた時点で戦う運命だと分かっていましたから。もう覚悟は出来ています」
皆は酷く落胆した顔をしていたが、桜龍は深刻な雰囲気を一転させるように、皆を元気づけさせた。
「希望を失うなよ。黒羽に魔改造された大芹だって改心出来たんだから、若桜も救えるさ!!」
「桜龍の言う通りだな。今はグダグダ言っても仕方ない。先を目指すしかないよ」
湘は球磨をなだめ、彼も『そうだな』と納得し大芹に謝った。皆は気を取り直し、季節外れの桜の花びらが舞う十和田湖へ向かった。
「この辺りは闇の力をかき消す神聖な領域だ。ここから八甲田山を越えれば下北半島へ行かれる」
モトスは伝令から聞いたことを皆に伝えた。
「伝令の話だと、闇の結界により民達は陸奥に入ることも出る事も出来ぬそうだな・・・」
湘と球磨も胸を騒めつかせながら、遥か遠く北の恐山から邪気を感じ取っていた。
「ここからでもわずかに邪気を感じる。陸奥の民達が邪気に飲み込まれてしまうと危ういな・・」
「厳美はまさか、陸奥の民と恐山の霊を魔改造戦士にしようと企んでやがるのか?」
大芹は厳美のやろうとしている事に薄々勘づいていたが、まだハッキリとは言えなかった。
「それは違うな。・・考えたくはないが、民と霊を生贄にし、自らの糧にしようとしているかもしれない・・・」
大芹が苦い顔をしながら頭を抱えていると氷雨(ひさめ)は顔をしかめながら皆に早く行こうと促した。
「それなら、早く止めに行きましょうよ!!厳美は冷酷非道な魔改造戦士だから危険だわ」
(厳美・・・最初から恐山を狙っていたのか・・・)
千里が厳美の企みに怒りを込めていると、豹剛(ひょうごう)がクンクンと奥入瀬の空気を嗅ぎ、何かを感じ取っていた。
「ん?桜の匂いがするよ?それと若桜(わかさ)の香りも」
「若桜がこの近くに・・・僕達がここから来るのを分かっていたのですね」
「どのみち、十和田湖に行かねば陸奥に入れぬ。大芹、若桜を元に戻せるか?」
モトスは千里に気を遣い、大芹に彼女を救えないか尋ねた。しかし、大芹は苦渋の顔で首を横に振って答えた。
「・・・すまない、私の力では無理だ。若桜は黒羽(くろう)が高度な技術で魔改造した純粋な闇の僕(しもべ)だ」
「そんな!!そうしたら若桜と戦わなきゃ駄目なのかよ!!」
球磨が大芹の胸ぐらを掴もうとしたが、千里に腕を掴まれ止められた。
「良いのです、球磨さん。若桜が魔の手に囚われた時点で戦う運命だと分かっていましたから。もう覚悟は出来ています」
皆は酷く落胆した顔をしていたが、桜龍は深刻な雰囲気を一転させるように、皆を元気づけさせた。
「希望を失うなよ。黒羽に魔改造された大芹だって改心出来たんだから、若桜も救えるさ!!」
「桜龍の言う通りだな。今はグダグダ言っても仕方ない。先を目指すしかないよ」
湘は球磨をなだめ、彼も『そうだな』と納得し大芹に謝った。皆は気を取り直し、季節外れの桜の花びらが舞う十和田湖へ向かった。