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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

大寿は最後の力を振り絞り、片手で芹身を抱き桂川へ入水した。
「熱かっただろう、芹美。ごめんな、墓を作る力が無くて・・・」
大寿は自分の無力さに涙を流し、もう生気を失っていた。家族と村人に謝り、そして最期に天に向かって願った。役人共が憎い。奴らを闇に葬り去れれば・・・魂を闇に売ってやると。すると、川から小人の女が現れ、手を差し伸べた。
「私は、傀儡師黒羽。貴方を最強の魔改造戦士に生まれ変わらせてあげますわ」
黒羽は大寿に手を差し伸べた。傍観していた桜龍は護符を取り出し、黒羽に放とうとした。
「やはり、禁断の地で見た小人の女は貴様だったのか、黒羽!!大寿さんの弱みに付け込んで、魔改造戦士にするのは止めろ!!」
しかし、大寿には桜龍の声は届いていなかった。黒羽は気づいているのか、桜龍を嘲笑いながら大寿と共に闇に消え去った。同時に現実の八幡平に戻った。
「こんなに悲惨な過去だったとは・・・」
「貴様・・よくも私達の惨めな過去を見たな・・・もう貴様は生かしはせん!!」
大芹は狂気に満ちた顔で、桜龍に襲いかかった。桜龍は涙を堪えながら避けたり、刀で攻撃を受け止めた。
「俺はお前を極悪非道と思っていた。だが、本当のお前は優しい医者だったんだな!!」
「黙れ!!俺は卑弩羅様に仕える闇の科学者だ!!そんな優しい人間ではない!!」
桜龍は涙で目が霞み、大芹の蹴りを避けれず当たってしまった。大芹はニヤリと笑いながら、闇龍の腕から刃を出現させた。
「これで終わりだ!!」
大芹の刃が振り下ろされた瞬間、桜龍の前にモトスが入り、双曲刀で刃を受け止めた。そして桜龍を励ました。
「奴の悲しい事実を知ったのだろう。だがそれをお前だけが背追い込む必要はないぞ」
千里は桜龍に肩を貸し、優しく言葉を掛けた。
「僕は、弁慶殿や仲間達を殺した大芹を憎んでいますが、今は奴を闇から救いたいと思っています」
「そうか・・・涙もろくてすまない」
「虫ケラ共が!!俺に同情するな!!」
大芹は物凄い力でモトスを払い除けた。しかしモトスは体勢を整え、毒粉を放ち目くらましさせた。千里もモトスに続き、鎖鎌で大芹を攻撃し始めた。
「いい気になるなよ!!虫ケラ共!!」
「その虫ケラは私達も含まれるのかい?」
大芹が後ろを振り向いた時、湘が聖水の波を彼に放った。大芹は神聖な水を浴び苦しみ出し、さらに追い討ちをかけるかのように聖なる火炎弾が大芹に衝撃を与えた。
「聖なる炎で、邪悪な心を焼き尽くしてやるぜ!!」
「う・・ぐあああ!!お・・おのれ・・・」
大芹が炎の攻撃に苦しむと、脳裏に芹美とお園の声が響き渡った。
『父ちゃん!!熱いよ・・・苦しいよ・・・』
『お願い、あなた。芹美と村の皆んなを助けて』
「せ・・りみ・・・お園・・・そうだ、俺は楽園を造る。また家族と村の皆と暮らせるように!!」
大芹は雄叫びを挙げたと同時に、球磨の炎をかき消した。そして闇の波動を桜龍達に放ち吹き飛ばした。
「く・・やっぱ一筋縄じゃあ行かねーか・・・」
「私は貴様らになんぞやられるか!!」
大芹は近くで倒れている魔改造奴隷に目が移った。桜龍は『やめろ!!』と稲妻を放ったが、大芹の闇の稲妻に打ち消された。そして大芹は奴隷の胸を貫き、魔石を丸飲みし、さらに泥と化している奴隷の体をむさぼり喰った。そして傷が癒え力が増した。
「うふふ・・・アーハハハハ!!最初から奴隷共の魔石と身体を喰っておけば良かった!!」
大芹は高笑いしながら異形な姿に変形させた。白い漢服は破れ、背中から6本の闇龍の手が出現した。
「これが、真の力を得た私だ。これで貴様らを跡形もなく始末してやる」
桜龍達は臆することなく、静かな闘志を胸に武器を構えた。


後編に続く
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