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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

月の光で照らされる陰のニホン、闇の天守閣にある地下実験室で、科学者の大芹は黒い液体に染まったガラス瓶から出てきた。すると、見ていた黒羽と厳美が拍手し、彼に着物を羽織らせた。
「大芹さん、闇の液体はどうでしたかー?」
「ああ。力がみなぎってくる。これなら桜龍どころか、星1つ破壊出来る自信はある」
「それは頼もしいですわ、大芹。それなら忌々しい土竜族を皆殺しにしてくださいな。そして、八幡平の地底にある『地熱の源』を破壊して来てちょうだい」
大芹は自信満々に黒羽の小さな手に口付けし、命を受けた。
「仰せのままに、我が母君。残念だが厳美と若桜の出番はないな。我らの破壊活動を見物していれば良い」
厳美はゆったりとした口調で返答した。
「それなら私は若桜ちゃんと部屋で見ていますよー。大芹さんの活躍をね」
「そう。表世界、陽のニホンを滅ぼし、陰のニホンが新しい世界を作る。そして、私の楽園が完成するのも間近だ」
「楽しみにしていますわ、大芹」
(ふふ、清らかな聖者が闇に染まるほど美しいものなんてありませんわ)
黒羽は大芹に残酷な笑みを向けていた。


大芹は魔改造奴隷の薄暗い詰め所に入った。
「喜べ、お前達には地底八幡平を爆破させる名誉な任務を与えてやる。それか、桜龍を始めとする邪魔な勇士共をこっぱ微塵にすれば、奴隷戦士から闇の武将に昇格させてやる。お前達の大好きな昇格だぞ」
まだ感情が残っている魔改造奴隷達は恐怖に怯えながら大芹に反論した。
「・・・嘘だ・・お前は俺達を恨んでいる・・・上手いこと言って俺達を抹殺させる気だ・・・・」
「もう嫌だよ・・・昇格なんて望まないから、成仏させてくれ・・・・」
大芹は命乞いする奴隷達を嘲笑いながら言った。
「ほう?この期に及んでまだ人間らしさを見せるのか。貴様らの魂は安らかに眠れると思っているのか?」
奴隷戦士の1人がもう限界だと怒りに達し、刀で大芹を斬ろうとした。
「闇に魂を売った病魔め!!あの時くたばっていれば良かったものを!!」
しかし大芹は刀を片手で受け止め軽い力で折った。そして奴隷の胸に手を当てると、黒い炎が奴隷を焼き焦がした。
「うぅ・・・ああああああ!!!!!!」
魔改造奴隷は魔石だけを残し、泥の炭となった。
「これは悪い魂だな。後で改良しないとな。貴様らも生き続けたいのであれば私の為に働くのだな」
大芹の不気味な笑みは、奴隷達に対する憎しみも強く込められていた。
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