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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

数分後、豹剛は目を覚ました。球磨と紅史郎に介抱されていた。白州やつるぎ達も見守っていた。
「ん・・オラは生きているのか?」
「お前の憎悪の闇は浄化したよ。もう一つの命、白ヒョウは憎しみから解放されて浄化されたぜ」
「そうか。だけど、オラが生き残ったところで、何ができるのか。いっそ焼かれて死ねば良かったんだよ」
「何言ってやがる。大芹に感謝してんだろ?なら奴がやろうとしている悪行を止めに行くに決まってんだろ」
「兄さんの言う通りだよ。それに、今まで辛い過去を送って来たんだ。幸せになろうよ」
「球磨・・紅史郎・・・」
「そうだぜ、お前に富士五湖を案内したり、果物狩りとか体験させたいしな」
「九州も素敵な名所やお料理がたくさんあるわよ。今度案内しますわ」
「孤児院の子供達も紹介するぞ」
「あたしも商人やっているから珍しい物を見せるよ🎵ちなみに、動物性の物は取り扱っていないから安心して」
白州や珠姫達も気さくに豹剛に話しかけた。豹剛は涙を流し、ありがとうと礼を言った。すると、湘と氷雨が走って彼らの元に近づいて来た。
「豹剛君!!無事だったのねー!!良かったわ」
氷雨は豹剛に勢いよく抱きついた。
「氷雨!!どうしてここに?」
「一緒に大芹さんを止めに行くのよ!!大芹さんは自分の身を滅ぼしてでも野望を叶えようとしているわ」
「そうだね。オラは大芹も氷雨も大好きだ。大芹が悲しむのなんて見たくない」
氷雨と豹剛が再会を喜んでいる姿を、湘と球磨は微笑ましく見ていた。
「球磨の事だから豹剛は殺めないと思っていたよ。彼の憎悪の力を浄化出来て良かったよ」
「ああ。湘おじだって、氷雨の心を救えたようだな」
球磨と湘が顔を合わせて笑っていると、豪商人が恐る恐る近づいてきて、球磨達に尋ねた。
「うう・・・ワシは私利私欲で民から強奪し、飢え死にした村人に恨まれた・・・この罪はどう償えば良い?」
すると、亡き父の商人魂を継ぐ美羅が豪商人に説教をかました。
「アンタは商人失格ね。強奪なんかして、自分の力で作物なり取引物を手に入れないからこうなるのよ。まぁ、生きていただけでも有り難く思いなさいよね!!」
「美羅、言い過ぎよ。でも、これで人々の苦しみが分かったでしょう。豹剛や魔改造戦士がした事は悪い事だけど、報復を受ける行為をした貴方も悪いのよ」
「これからは反省して、町人の為に働くのだぞ。この事は政宗殿に告げるからな」
「はい・・・どんな罰でも受けます」
豪商人と従者は三姉妹の圧力に縮こまり深く反省した。白州は苦笑いしながら、3人の毅然な顔を見ていた。
「三姉妹最強だな・・・ところで、球磨達は桜龍達の元へ向かうのか?俺達も向かおうか?」
「いいや、白州と紅史郎は政宗殿に酒田での出来事を報告して来てくれ。珠姫達は可能なら酒田の警護を頼まれてくれないか?」
つるぎ達は球磨の頼みを引き受けた。
「分かった。また魔改造戦士が現れるか分からないしな。大芹だけでない。まだ厳美と若桜という娘が居る。気を引き締めて行けよ」
「考えたく無いけど、厳美は大芹以上の力を持つわ。その強さは不気味な程よ・・・」
「まぁ、何かあったら手鏡で連絡してよ。それで胡桃ちゃんと話せたんでしょ♪」
「み・・美羅!!何故それを!!」
「あら?本当だったのね?クマちゃんたら顔を紅くしてー🎵」
美羅が球磨の顔を見て笑っていると白州もからかい始めた。
「本当だ🎵怒った暴れ牛みたいだ」
「白州!!美羅!!良い加減にしろー!!」
先程の死闘が嘘だったかのように、豹剛と氷雨は唖然としていた。紅史郎と湘は笑顔で球磨達のやりとりを見ていた。
「兄さんは仲間思いで誰とでも仲良くなれるんだよ。だから敵だった君達ももう仲間だと思っているよ」
「暑苦しい暴れ牛だが、球磨は強くて頼もしいよ。君達もこんな仲間に出会えていたら人生も違っていたと思うよ」
氷雨と豹剛はそうかもしれないなと、小さく笑いながら頷いた。少し心を開いた風に見えた。


その後、豪商人は政宗により刑罰が下さた。商人の位を剥奪され、従者と共に農作業に明け暮れる人生となったそうだ。そして、球磨と湘は桜龍達が向かっている八幡平を目指した。

                      第8話 完
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