第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
その頃、球磨と豹剛は酒田の町民街で戦っていた。球磨は人間の身でありながらも、豹剛の素早い動きについていき、瓦屋根を飛び越え、槍と長い爪がぶつかり合った。
「この間とは見違える程の動きだな、暴れ牛」
「俺は修行して、以前よりも強くなったぜ。もうテメェにも闇の奴らにも負けねーぜ!!」
豹剛は鋭く長い爪を繰り出した。球磨は紙一重に避け間合いを一気に詰め、豹剛の腕を掴み真下に投げ落とした。豹剛は落下の衝撃で直ぐ起き上がれなかった。球磨も西洋槍を真下に向け、強力な聖火をまとわせ、勢いよく落下した。
「これで決めてやる!!」
しかし、槍が刺さる寸前、豹剛は起き上がり無防備な球磨に蹴りを食らわせた。球磨は蔵の壁に激突し、起き上がる前に豹剛に首を掴まれた。
「惜しかったなぁ。俺の方が速かったな!!」
「うぅ・・・だが、簡単にやられてたまるかよ!!」
球磨は豹剛の腹部に火の玉を当てた。一瞬、豹剛は獣の人格から人間に戻りそうだったが直ぐ我に帰った。球磨はその隙に敵の胴から顎を蹴り上げ、素早く獣から逃れた。
「舐めた真似を!!」
豹剛は鋭い爪で、球磨に襲い掛かった。球磨は完全に避けきれず、浅く頬と腕に3本の傷をつけられた。
(っち・・まともにやり合っては勝ち目がねぇ。奴の弱点を見つけないとな・・・)
球磨は腕から血を垂らしながら長屋の倉庫に身を潜めた。
「はぁ!!鬼ごっこかかくれんぼかい?てめぇの血の匂いで直ぐに見つけてやるぜ!!」
豹剛は狩りを楽しむかのように球磨を探し始めた。
球磨は腕の止血をしながら、豹剛から離れた場所にある蔵に身を潜めていた。すると、紅史郎から貰った手鏡が光り、覗いてみると恋人の胡桃(くるみ)が映った。
「球磨さん、苦しそうだけど怪我をしたの?」
「ちょいとドジを踏んでな・・・だが、お前の顔を見たら元気になったぜ」
「今、戦っている相手は獣と融合した魔改造戦士?」
「ああ。やはり力勝負じゃあ奴のが上だ」
胡桃は彼を勝利に導こうと策を考えた。
「今、何処にいるの?もし臭いが強烈な物があったら探してみて。焼き魚の匂いや、焚き火の煙でも良いわ」
「もしかして、奴の弱点は」
球磨も弱点を予測出来た。
「強い匂いよ。特に獣は臭い匂いに弱いわ」
「よし、何か探してみるよ。胡桃、助言ありがとうな。何心配してんだよ。俺は絶対に勝つから泣くなよ」
球磨は胡桃の眼鏡越しから見える潤んだ瞳を見て、自信満々な笑みを浮かべ励ました。
「球磨さん、戦いが終わったら貴方と東北を見て回りたいわ。東北の歴史や文化も研究してみたいし。だから、無事に帰って来て」
「ああ。俺は絶対に死なない。こいつら懲らしめて、お前の元に帰って来るからな」
球磨と胡桃は手鏡越しに口付けした。球磨が鏡をしまった後、中年女性が蔵に入って来た。
「おやまぁ?、豹剛さんの使いかねぇ?また『にんにく』やら『うぉっか』とかいう酒を持って来てくれたのかい?」
「勝手に入ってすまない。そのニンニクとウォッカって、南蛮貿易の物かい?」
球磨が尋ねると、女性は困った顔をしながら説明した。
「豪商人が手に入れた大陸の名産品と豹剛さんが言っていたねぇ。豹剛さんが要らないとくれたんだよ。ただ、にんにくは匂いと味が強すぎて漬物にしても食えんかったし、うぉっかは酒飲みの亭主でさえ、強すぎて飲めんと言っていたよぉ」
「ははは、ニンニクは南蛮で魔除けに使われているし、大陸の酒は焼酎より強いと言われているからな。そうだ!!こいつを俺に譲ってくれないか?」
「持ってっちゃって。私達では口にしない物だから、豹剛さんに返しても良いし、蔵の整理が出来ればそれで良いよ」
女性に喜んで譲って貰えたので、球磨は笑顔で礼を言った。
「ありがとう。あ、家の扉と窓をしっかり閉めておいてくれ。外が少し臭くなるかもしれない」
球磨はニンニクが入った壺とウォッカの樽を軽々と持ち上げた。
豹剛は球磨の匂いを嗅ぎつけ、蔵の前で叫んだ。
「暴れ牛!!居るのは分かってんだ。さっさと出て来やがれ!!」
「悪いな。少し休んでいた。今度こそ決着をつけてやるぜ!!」
豹剛は球磨が出てきたと同時に突進して来た。しかし球磨はそれを狙い、ニンニクを投げ、火弾を放った。豹剛はニンニクの焼ける臭いと煙により嗅覚に異変が起き、苦しみ始めた。
「こいつも返すぜ!!」
球磨は怪力で酒樽を豹剛めがけ投げ飛ばした。酒樽は破壊され、豹剛はウォッカまみれになった。
「くっそ・・・俺は酒とか臭いが強いの嫌いなんだよ!!」
「これでお前の負けだ!!俺はお前の命は取らねーが、邪悪な力を消し去ってやるぜ!!」
球磨は神話の神のような黄金鎧の姿になり、火炎の槍で十字を描き、豹剛に放った。
「ぐあああ!!!!ま・・まだだ・・俺様はこんなところでくたばらねぇ・・・」
豹剛は必死に炎を受け止めていた。その時、赤い瞳は蒼く変わり、弱々しい声が聞こえた。
「もう・・終わりにしよう、豹のオラ。球磨・・オラは大芹さんの言いなりになってない。オラはあの人に感謝している」
「おいテメェ・・これは俺様と暴れ牛の戦いだ。口出しするんじゃねーよ・・・」
その時、燃え盛る炎から幻影が映し出された。それは、豹剛の過去だった。
「この間とは見違える程の動きだな、暴れ牛」
「俺は修行して、以前よりも強くなったぜ。もうテメェにも闇の奴らにも負けねーぜ!!」
豹剛は鋭く長い爪を繰り出した。球磨は紙一重に避け間合いを一気に詰め、豹剛の腕を掴み真下に投げ落とした。豹剛は落下の衝撃で直ぐ起き上がれなかった。球磨も西洋槍を真下に向け、強力な聖火をまとわせ、勢いよく落下した。
「これで決めてやる!!」
しかし、槍が刺さる寸前、豹剛は起き上がり無防備な球磨に蹴りを食らわせた。球磨は蔵の壁に激突し、起き上がる前に豹剛に首を掴まれた。
「惜しかったなぁ。俺の方が速かったな!!」
「うぅ・・・だが、簡単にやられてたまるかよ!!」
球磨は豹剛の腹部に火の玉を当てた。一瞬、豹剛は獣の人格から人間に戻りそうだったが直ぐ我に帰った。球磨はその隙に敵の胴から顎を蹴り上げ、素早く獣から逃れた。
「舐めた真似を!!」
豹剛は鋭い爪で、球磨に襲い掛かった。球磨は完全に避けきれず、浅く頬と腕に3本の傷をつけられた。
(っち・・まともにやり合っては勝ち目がねぇ。奴の弱点を見つけないとな・・・)
球磨は腕から血を垂らしながら長屋の倉庫に身を潜めた。
「はぁ!!鬼ごっこかかくれんぼかい?てめぇの血の匂いで直ぐに見つけてやるぜ!!」
豹剛は狩りを楽しむかのように球磨を探し始めた。
球磨は腕の止血をしながら、豹剛から離れた場所にある蔵に身を潜めていた。すると、紅史郎から貰った手鏡が光り、覗いてみると恋人の胡桃(くるみ)が映った。
「球磨さん、苦しそうだけど怪我をしたの?」
「ちょいとドジを踏んでな・・・だが、お前の顔を見たら元気になったぜ」
「今、戦っている相手は獣と融合した魔改造戦士?」
「ああ。やはり力勝負じゃあ奴のが上だ」
胡桃は彼を勝利に導こうと策を考えた。
「今、何処にいるの?もし臭いが強烈な物があったら探してみて。焼き魚の匂いや、焚き火の煙でも良いわ」
「もしかして、奴の弱点は」
球磨も弱点を予測出来た。
「強い匂いよ。特に獣は臭い匂いに弱いわ」
「よし、何か探してみるよ。胡桃、助言ありがとうな。何心配してんだよ。俺は絶対に勝つから泣くなよ」
球磨は胡桃の眼鏡越しから見える潤んだ瞳を見て、自信満々な笑みを浮かべ励ました。
「球磨さん、戦いが終わったら貴方と東北を見て回りたいわ。東北の歴史や文化も研究してみたいし。だから、無事に帰って来て」
「ああ。俺は絶対に死なない。こいつら懲らしめて、お前の元に帰って来るからな」
球磨と胡桃は手鏡越しに口付けした。球磨が鏡をしまった後、中年女性が蔵に入って来た。
「おやまぁ?、豹剛さんの使いかねぇ?また『にんにく』やら『うぉっか』とかいう酒を持って来てくれたのかい?」
「勝手に入ってすまない。そのニンニクとウォッカって、南蛮貿易の物かい?」
球磨が尋ねると、女性は困った顔をしながら説明した。
「豪商人が手に入れた大陸の名産品と豹剛さんが言っていたねぇ。豹剛さんが要らないとくれたんだよ。ただ、にんにくは匂いと味が強すぎて漬物にしても食えんかったし、うぉっかは酒飲みの亭主でさえ、強すぎて飲めんと言っていたよぉ」
「ははは、ニンニクは南蛮で魔除けに使われているし、大陸の酒は焼酎より強いと言われているからな。そうだ!!こいつを俺に譲ってくれないか?」
「持ってっちゃって。私達では口にしない物だから、豹剛さんに返しても良いし、蔵の整理が出来ればそれで良いよ」
女性に喜んで譲って貰えたので、球磨は笑顔で礼を言った。
「ありがとう。あ、家の扉と窓をしっかり閉めておいてくれ。外が少し臭くなるかもしれない」
球磨はニンニクが入った壺とウォッカの樽を軽々と持ち上げた。
豹剛は球磨の匂いを嗅ぎつけ、蔵の前で叫んだ。
「暴れ牛!!居るのは分かってんだ。さっさと出て来やがれ!!」
「悪いな。少し休んでいた。今度こそ決着をつけてやるぜ!!」
豹剛は球磨が出てきたと同時に突進して来た。しかし球磨はそれを狙い、ニンニクを投げ、火弾を放った。豹剛はニンニクの焼ける臭いと煙により嗅覚に異変が起き、苦しみ始めた。
「こいつも返すぜ!!」
球磨は怪力で酒樽を豹剛めがけ投げ飛ばした。酒樽は破壊され、豹剛はウォッカまみれになった。
「くっそ・・・俺は酒とか臭いが強いの嫌いなんだよ!!」
「これでお前の負けだ!!俺はお前の命は取らねーが、邪悪な力を消し去ってやるぜ!!」
球磨は神話の神のような黄金鎧の姿になり、火炎の槍で十字を描き、豹剛に放った。
「ぐあああ!!!!ま・・まだだ・・俺様はこんなところでくたばらねぇ・・・」
豹剛は必死に炎を受け止めていた。その時、赤い瞳は蒼く変わり、弱々しい声が聞こえた。
「もう・・終わりにしよう、豹のオラ。球磨・・オラは大芹さんの言いなりになってない。オラはあの人に感謝している」
「おいテメェ・・これは俺様と暴れ牛の戦いだ。口出しするんじゃねーよ・・・」
その時、燃え盛る炎から幻影が映し出された。それは、豹剛の過去だった。