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第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士

夕方になり、今後の作戦会議が終わると、勇士5人は山中湖近くの森の中に湧き出る広い温泉に浸かっていた。
「うっひょー!!クマちゃん相変わらずムキムキ!!千里の腹筋もボコボコ!!!」
桜龍は球磨と千里の筋肉をお触りしていた。
「てめぇも中々の体だが、俺にはまだまだ及ばんな。千里は可愛い顔して脱いだらスゲー!で、敵も驚くぜ!!」
勇士達3人(主に桜龍と球磨)で肉体美対決?をしていた。
「・・・温泉は静かに入ってください・・・でなければ」
ギューっと千里は両手で2人の尻を強くつねった。
「せ・・・千里くん・・そこはやめてー!!!痛い!!痛い!!」
「お・・おい・・・お前・・そんなに強くつねるな・・参ったぜ・・・」
2人は大人しくなった。
「これで静かに湯に浸かれます」
千里は涼しい顔で湯に浸かった。

少し離れた位置で、湘とモトスは湯に浸かり、3人のやり取りに唖然としていた。
「・・・何を戯れているのやら・・・いい歳をして・・・・」
湘は疲れた表情で頭を抱え、呆れていた。
「でも、明日から戦いに明け暮れる日々が続くのに、元気で何よりだ」
モトスは穏やかな笑みを浮かべて言った。
「・・・でも、こうして5人で笑って湯に浸かるのも最初で最後かな。この戦が終われば、私は双葉殿を連れ戻し、北条へ帰るからな」
「・・・・そうだな。こうして皆に巡り会えたのも何か運命的なものかと思っていたが、皆それぞれ旅立ってしまうな・・・」
モトスは少し寂しそうに夜空を見上げていた。すると、湘は静かに笑いながら5つの星を指さした。
「しかし今は、紫の星を中心に・・・赤と青と黄と緑の星が集まっている。もしかしたら、私たちは導かれているのかもしれないな。聖なる龍に」
湘が少し遠くで楽し気に湯に浸かっている桜龍を真剣に見つめていた。モトスも桜龍の左目の眼帯に隠された聖なる龍の瞳を見て、これからの事を考えていた。
「桜龍は陽気な顔をしているが、戦う決意をしているのだな・・・強大な闇と・・・」
強大な闇とは何なのだろうか・・・千里が目覚めた事と、御伽勇士達が集結した事・・・そして、梅雪の狂いも関係しているのだろうか・・・・
モトスが深く思考を凝らしていると、湘は笑いながら彼の肩に手を置いて言った。
「湯の中で深く考え過ぎると、のぼせてしまうよ。この戦国乱世、たとえ私たちが敵となっても、邪悪な闇を打ち払うのに、共闘すると思うよ。・・・これは切っても切れぬ縁かな」
湘がモトスに諭していると、桜龍が平泳ぎで2人の元に近づいてきた。
「旦那ー!!湘おじー!!何を楽しそうに話してるんすかー?」
「君は河童か!!!」
湘は呆れながら言った。
「・・・正直、俺はまだまだ神官として未熟だが、皆を護れるように努めるよ!!そして、聖なる龍の力も使いこなせるようにするよ!!」
桜龍が揺るがぬ強い言葉で宣言すると、後ろから球磨が彼の肩に腕を組み、同じく宣言した。
「1人だけ格好つけてんじゃねーよ!!俺だって、ダンナを支え、白州と挑んだり、双葉殿やお都留さんを助ける為に存分に力を使いたいと思ってるんだぜ!!」
そして、桜龍の隣りに居る千里も続いて
「梅雪の仲間に、厳美と言う危険な男が居ます。そいつは僕が決着をつけます」
「お前たち・・・何も礼は出来ないが・・・それでも共に戦ってくれるのか?」
モトスが4人に尋ねると、任せろ!!と強く頷かれた。
『己と仲間を信じ続けよ』
モトスは師に教えられた言葉を思い出し、皆に優しく笑った。 
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