第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
桜龍が目を覚ますと、そこは隠岐島の実家だった。布団に寝かされた桜龍は驚き辺りを見回した。すると、両親や島民がホッとした顔をしていた。
「桜龍!!目を覚まして良かったわ。ロウソク岩に小舟が置いてあって、そこで倒れていたのよ」
「え!?おふくろ!!マガツイノカミは?皆んなは?」
「何言ってんだおめぇ。恐ろしいモノノ怪なんて居ないぜ。もしかして、聖龍王様に導かれて、夢の中で試練を受けていたんでねーの?」
「夢・・だったのか?」
「さぁ、桜龍も無事に試練を終えたのだし、久しぶりに隠岐の名物料理を食べさせたいわ」
母が笑顔で提案すると、漁師達は待っていましたとサザエやアワビなど隠岐の海産物を掲げた。
(いいや、これは夢じゃないな。聖龍の闘志がまだ残っている。それに、聖龍王様と仁摩に勇気づけられた言葉がまだ残っている)
桜龍は胸に手を当て、自分自身と戦っていた現実を実感していた。
その後、桜龍は実家で家族や島民と飲んで食べて語り合い、帰省を楽しんでいた。
翌日、桜龍は両親と島民と別れを告げ、草原に立つ鳥居の目の前に居た。
「桜龍、どうかこれからの戦いにご武運を。だけど、あなたの帰る場所はここにあると思ってね」
「落ち着いたら、お前の友達を隠岐島に招待してくれ。島民一同、楽しみに待ってるぞ」
「ありがとう、親父、おふくろ。皆が安心して暮らせるよう、闇の奴らと戦うよ。応援してくれて感謝しているよ」
桜龍は笑顔で皆に別れを告げた。そして天の鳥居をくぐると、地底の五行の間に出た。すると八郎と江津が迎えてくれた。
「桜龍、己の闇と戦ったべさ?聖なる龍が己の想いに答えてくれたのが分かる」
「はい。ですが試練は、俺だけでなく皆に支えられたから達成出来たのです」
「そうか。過程はどうであれ、新たな力を得られて良かったべ」
「そうだ!!八郎王、隠岐で採れたサザエやアワビ、ノドグロを貰ってください!!」
桜龍は籠いっぱいの海産物を八郎に渡した。
「・・・試練を受けると土産が多いべ。オラを名産品で釣っても何も出ないべさ」
「まぁ、良いではありませんか、八郎王。山陰の料理もなかなかの美味ですぞ」
「江津・・・そういえば、おんめぇも山陰出身だったな・・・」
江津と八郎のお茶目なやりとりに桜龍は微笑みながら言った。
「是非、八郎王と土竜族の皆さんで召し上がって下さい。江津も山陰の名物、懐かしいだろ?」
「ああ。私は石見出身だから隠岐とは少し違うが、海の幸は好きだ。喜んで頂くとしよう」
「土産は受け取るが、桜龍はこれからどうするべさ?皆は試練を終え、米沢に向かってるべ」
「米沢へ向かう前に、海洋族の宮殿で仁摩殿に無事に試練を終えたと伝えたいです」
「そうか。では、私の術で送ってあげよう」
江津は棍棒で魔法陣を出現させ、桜龍を宮殿へ転送させた。
「いすみ様!!御覚悟!!」
「技は上達したようだが、まだまだワレからは一本取れまい!!」
仁摩といすみの棍棒と槍がぶつかり合っている時、仁摩に何かが抱きつくように覆いかぶさった。
「お・・桜龍!?いきなり出てきてのしかからないでー!!」
「あちゃー・・・仁摩殿の体に着地するとは。江津も雑だなぁ」
「はぁ・・貴様という男は。いつまで仁摩といちゃいちゃしておる!!」
いすみは桜龍の羽織の襟を掴み仁摩と離した。
「ご無沙汰です、いすみ様。仁摩殿との鍛錬お疲れ様です」
「吹っ切れて強くなったようだが、陽気な性格は相変わらずだな。だが、無事に試練を終えて良かった」
桜龍は真面目な顔をして試練の経緯を話した。
「厄神と戦いましたが、それは俺の心の弱さや憎しみがその姿となっていた物でした」
「そうか、よくぞ己に打ち勝った。皆は試練を終え米沢へ向かっておる。桜龍も行くのか?」
「はい!!皆に会って、自身の未熟さを謝るのと、今回の試練で幻だったけど皆に助けられた礼をしたいと」
「では、米沢まで転送してやろう」
「桜龍、私はもう少し、いすみ様と鍛錬をするけど、私もあなたの元へ駆けつけるから」
「ああ。試練で挫けそうになった時、仁摩殿の言葉に勇気づけられた。ありがとう」
「え!?私は何もしてないけど・・・お守り大切に持っていてくれたのね」
桜龍と仁摩は抱きしめ合い、照れた顔で見つめていた。いすみは空気を読み、静かに笑いながら言った。
「桜龍、準備が出来たら王座に来い」
桜龍は仁摩に口付けし、王座へ向かった。
桜龍はいすみの転送術で羽前国米沢城の庭園に着いた。すると、球磨、湘、モトス、千里が迎えてくれた。真っ先にモトスが桜龍の元に近づいた。
「桜龍!!目を覚まして良かった・・・」
「皆も無事で良かったよ。心配をかけて怪我までさせてしまい、すみませんでした」
「君らしくないな。せっかくの再会なのだからもっと喜ばしくしたまえ」
「はは、湘おじは気丈だなぁ」
「まぁ、俺たちも色々あったけど試練先で懐かしい人達に会えたし、まんざら苦でもなかったぜ」
「そうだよな。俺も故郷の隠岐島が試練先だとは思わなかったぜ」
「積もる話もたくさんあるみたいですし、これから芋煮を食べに行きましょうか。お酒と料理を食べながらお話しましょう」
「そういえば、昼時だな。千里の言う通り、この間行った食事処に行こうぜ🎵」
「飲みすぎて店屋で寝るんじゃねーぞ」
球磨は桜龍をからかうような口調で言い、モトスも今日は羽目を外そうと喜んでいた。
「明日から本格的に政宗殿も魔改造戦士討伐の策を練るそうだから、今日はゆっくり過ごそう」
勇士達5人は城下町の食事処に向かった。その途中、桜龍は皆に礼を言った。
「俺の試練で、皆に助けられたよ。ありがとう。これからも共に戦いたい」
皆は笑顔で『何を今更、桜龍と共に戦うと決めている』と返答した。
その頃、陰のニホン、闇の天守閣の地下深くにある魔改造戦士研究室で、厄神四天王の小人『黒羽』は沢山並べられた、漆黒の液体が入った巨大なガラス瓶を穏やかな笑みを浮かべ眺めていた。
「うふふ、勇士達が新たな力を得ようが、魔改造戦士の敵ではありませんわ。憎悪と闇の力がこの子達の力を増幅させますわ」
黒羽は厳美が入った黒い瓶を小さな手で撫でるように触った。
「最終兵器はいつでも覚醒できるようにしておかないとですわ。でも、改良している大芹達に勇士達が始末されるのが先かしらね?」
黒羽は黒い液体から微かに見える、大芹を見ながら笑っていた。
「特に、憎悪の力が一番強い大芹が聖龍もろとも陽のニホン、いいえ地球そのものを破壊したら面白いですわ」
大芹は、火傷の痕が残る体と、右腕の闇龍の義手を何本の赤い管で巻かれていた。そして、黒羽の語りに応えるかのように、口が動いた。
『お園と芹美・・・皆の楽園を創る・・・邪魔する奴は皆殺しだ・・・聖なる龍・・・桜龍・・を殺す』
大芹の左顔面に付けられた鉄鉱石の仮面に付いた紅玉の瞳から鋭い光が現れた。
第7話 新たなる力。勇士の修行 ⑤真の聖龍へ覚醒 完
「桜龍!!目を覚まして良かったわ。ロウソク岩に小舟が置いてあって、そこで倒れていたのよ」
「え!?おふくろ!!マガツイノカミは?皆んなは?」
「何言ってんだおめぇ。恐ろしいモノノ怪なんて居ないぜ。もしかして、聖龍王様に導かれて、夢の中で試練を受けていたんでねーの?」
「夢・・だったのか?」
「さぁ、桜龍も無事に試練を終えたのだし、久しぶりに隠岐の名物料理を食べさせたいわ」
母が笑顔で提案すると、漁師達は待っていましたとサザエやアワビなど隠岐の海産物を掲げた。
(いいや、これは夢じゃないな。聖龍の闘志がまだ残っている。それに、聖龍王様と仁摩に勇気づけられた言葉がまだ残っている)
桜龍は胸に手を当て、自分自身と戦っていた現実を実感していた。
その後、桜龍は実家で家族や島民と飲んで食べて語り合い、帰省を楽しんでいた。
翌日、桜龍は両親と島民と別れを告げ、草原に立つ鳥居の目の前に居た。
「桜龍、どうかこれからの戦いにご武運を。だけど、あなたの帰る場所はここにあると思ってね」
「落ち着いたら、お前の友達を隠岐島に招待してくれ。島民一同、楽しみに待ってるぞ」
「ありがとう、親父、おふくろ。皆が安心して暮らせるよう、闇の奴らと戦うよ。応援してくれて感謝しているよ」
桜龍は笑顔で皆に別れを告げた。そして天の鳥居をくぐると、地底の五行の間に出た。すると八郎と江津が迎えてくれた。
「桜龍、己の闇と戦ったべさ?聖なる龍が己の想いに答えてくれたのが分かる」
「はい。ですが試練は、俺だけでなく皆に支えられたから達成出来たのです」
「そうか。過程はどうであれ、新たな力を得られて良かったべ」
「そうだ!!八郎王、隠岐で採れたサザエやアワビ、ノドグロを貰ってください!!」
桜龍は籠いっぱいの海産物を八郎に渡した。
「・・・試練を受けると土産が多いべ。オラを名産品で釣っても何も出ないべさ」
「まぁ、良いではありませんか、八郎王。山陰の料理もなかなかの美味ですぞ」
「江津・・・そういえば、おんめぇも山陰出身だったな・・・」
江津と八郎のお茶目なやりとりに桜龍は微笑みながら言った。
「是非、八郎王と土竜族の皆さんで召し上がって下さい。江津も山陰の名物、懐かしいだろ?」
「ああ。私は石見出身だから隠岐とは少し違うが、海の幸は好きだ。喜んで頂くとしよう」
「土産は受け取るが、桜龍はこれからどうするべさ?皆は試練を終え、米沢に向かってるべ」
「米沢へ向かう前に、海洋族の宮殿で仁摩殿に無事に試練を終えたと伝えたいです」
「そうか。では、私の術で送ってあげよう」
江津は棍棒で魔法陣を出現させ、桜龍を宮殿へ転送させた。
「いすみ様!!御覚悟!!」
「技は上達したようだが、まだまだワレからは一本取れまい!!」
仁摩といすみの棍棒と槍がぶつかり合っている時、仁摩に何かが抱きつくように覆いかぶさった。
「お・・桜龍!?いきなり出てきてのしかからないでー!!」
「あちゃー・・・仁摩殿の体に着地するとは。江津も雑だなぁ」
「はぁ・・貴様という男は。いつまで仁摩といちゃいちゃしておる!!」
いすみは桜龍の羽織の襟を掴み仁摩と離した。
「ご無沙汰です、いすみ様。仁摩殿との鍛錬お疲れ様です」
「吹っ切れて強くなったようだが、陽気な性格は相変わらずだな。だが、無事に試練を終えて良かった」
桜龍は真面目な顔をして試練の経緯を話した。
「厄神と戦いましたが、それは俺の心の弱さや憎しみがその姿となっていた物でした」
「そうか、よくぞ己に打ち勝った。皆は試練を終え米沢へ向かっておる。桜龍も行くのか?」
「はい!!皆に会って、自身の未熟さを謝るのと、今回の試練で幻だったけど皆に助けられた礼をしたいと」
「では、米沢まで転送してやろう」
「桜龍、私はもう少し、いすみ様と鍛錬をするけど、私もあなたの元へ駆けつけるから」
「ああ。試練で挫けそうになった時、仁摩殿の言葉に勇気づけられた。ありがとう」
「え!?私は何もしてないけど・・・お守り大切に持っていてくれたのね」
桜龍と仁摩は抱きしめ合い、照れた顔で見つめていた。いすみは空気を読み、静かに笑いながら言った。
「桜龍、準備が出来たら王座に来い」
桜龍は仁摩に口付けし、王座へ向かった。
桜龍はいすみの転送術で羽前国米沢城の庭園に着いた。すると、球磨、湘、モトス、千里が迎えてくれた。真っ先にモトスが桜龍の元に近づいた。
「桜龍!!目を覚まして良かった・・・」
「皆も無事で良かったよ。心配をかけて怪我までさせてしまい、すみませんでした」
「君らしくないな。せっかくの再会なのだからもっと喜ばしくしたまえ」
「はは、湘おじは気丈だなぁ」
「まぁ、俺たちも色々あったけど試練先で懐かしい人達に会えたし、まんざら苦でもなかったぜ」
「そうだよな。俺も故郷の隠岐島が試練先だとは思わなかったぜ」
「積もる話もたくさんあるみたいですし、これから芋煮を食べに行きましょうか。お酒と料理を食べながらお話しましょう」
「そういえば、昼時だな。千里の言う通り、この間行った食事処に行こうぜ🎵」
「飲みすぎて店屋で寝るんじゃねーぞ」
球磨は桜龍をからかうような口調で言い、モトスも今日は羽目を外そうと喜んでいた。
「明日から本格的に政宗殿も魔改造戦士討伐の策を練るそうだから、今日はゆっくり過ごそう」
勇士達5人は城下町の食事処に向かった。その途中、桜龍は皆に礼を言った。
「俺の試練で、皆に助けられたよ。ありがとう。これからも共に戦いたい」
皆は笑顔で『何を今更、桜龍と共に戦うと決めている』と返答した。
その頃、陰のニホン、闇の天守閣の地下深くにある魔改造戦士研究室で、厄神四天王の小人『黒羽』は沢山並べられた、漆黒の液体が入った巨大なガラス瓶を穏やかな笑みを浮かべ眺めていた。
「うふふ、勇士達が新たな力を得ようが、魔改造戦士の敵ではありませんわ。憎悪と闇の力がこの子達の力を増幅させますわ」
黒羽は厳美が入った黒い瓶を小さな手で撫でるように触った。
「最終兵器はいつでも覚醒できるようにしておかないとですわ。でも、改良している大芹達に勇士達が始末されるのが先かしらね?」
黒羽は黒い液体から微かに見える、大芹を見ながら笑っていた。
「特に、憎悪の力が一番強い大芹が聖龍もろとも陽のニホン、いいえ地球そのものを破壊したら面白いですわ」
大芹は、火傷の痕が残る体と、右腕の闇龍の義手を何本の赤い管で巻かれていた。そして、黒羽の語りに応えるかのように、口が動いた。
『お園と芹美・・・皆の楽園を創る・・・邪魔する奴は皆殺しだ・・・聖なる龍・・・桜龍・・を殺す』
大芹の左顔面に付けられた鉄鉱石の仮面に付いた紅玉の瞳から鋭い光が現れた。
第7話 新たなる力。勇士の修行 ⑤真の聖龍へ覚醒 完