第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
桜龍は東北地方『地底八幡平』にある五行の祠に転送された。すると、過去に甲斐国で戦い、仲間になった神官の江津と、薄紅色の髪の小人が待っていた。
「江津!!久しぶりだな。東北に行くと言っていたが、まさか地底世界で修行していたとはな」
「桜龍か。元気そうで何よりだ。皆はもう祠に入って、達成した者は米沢へ向かっておる」
「そうか。遅れた分を早く取り返さないとな。あ!貴方様は八郎王様でございますか?」
桜龍は神官帽を取り、八郎に深くお辞儀をした。八郎は意外な顔をしていた。
「ほう、オラを小人の童と間違えず、よく王だと見抜いたべ」
「強い大地の源と、可愛い顔して父性本能を感じたからですよ」
桜龍がお茶目な口調で答えると、八郎は少し不機嫌そうな顔で言い返した。
「・・・ふん・・可愛い顔は余計だべ」
「これが、天の祠か・・・この先に俺と聖龍が強くなる場所に行かれるんだな」
「守護者として縁深き聖地へ行くが、何が待ち受けているか分からんべさ。心してかかれ」
「はい。俺は仲間を護る強さと、邪念を浄化させる力を高めたいです。それと、怒りで聖龍を暴走させないようにですね」
「覚悟はあるようだべ。江津が高く評価するのも納得だ」
「桜龍は軽そうに見えて、責任感と使命感は強いですぞ」
「軽そうは酷いぜ・・・」
桜龍は天の祠の扉を開けると、白金色の光に包まれた。光が消えると、懐かしい風景が目に映った。
「ここは・・・隠岐島か!!」
高い崖に広がる草原と周りに海と離島が目に映った。何と扉の先は桜龍の故郷、隠岐島の草原だった。
「俺のふるさとでもあり、聖龍王様から瞳を授かった地だ。ここが試練の場というのも頷けるぜ」
桜龍が故郷の香りと風景を体全体で感じていると、彼の両親が走って近づいてきた。
「桜龍、やはり帰ってきたんだな!!」
「随分大きくなったわね、桜龍。おかえりなさい!!」
「親父!!おふくろ!!」
桜龍は子供に戻ったかのように、嬉し涙を流しながら両親に抱きついた。父は歳は取ったが体は変らず筋肉質で逞しかった。母も美容と健康に力を入れているのか歳を取っても肌が綺麗で若々しかった。
「俺には及ばんが、随分と逞しくなったな!!」
「まあな、出雲で修行して、強敵とも戦ってムキムキになったんだぜ。ところで、親父とおふくろは俺が来る事を知っていたのか?」
「最近、長老が寿命で亡くなった。その時に、直に桜龍が来るだろうと遺言を残した。だから毎日お前が来るのを待っていたんだ」
「そうか長老が・・・来て早速だけど、長老の墓へ案内して欲しい」
桜龍は両親に連れられ、島の岬にある墓所へ向かった。すると、島民や漁師に会うと、皆は嬉しそうに歓迎した。
「桜龍!!こんなにイイ男になって!!」
「無事に出雲にたどり着いて、修行頑張ってるみたいだな。どうやって戻って来たかは聞かねーが、久しぶりに会えて嬉しいぜ」
「俺も、皆んなに会えて嬉しいよ。皆んな無事で良かった」
桜龍はほっとした顔で、島の幼馴染との再会を喜んだ。その後、長老の墓に花や酒を添え、祝詞を唱えた。すると、長老が語りかける声が聞こえた。
「桜龍よ、真の強さを得る試練を受ける時が来たようじゃ。ワシはお主が来ると思っていた。お主と聖龍王様が出会った無人島へ行きなされ」
「長老・・・ご冥福をお祈りいたします。これから試練を受けて来ます」
「行くのか、桜龍?」
「ああ。闇の奴らと戦う仲間が待っている。それと、闇に囚われ苦しんでいる民を護りたい。島の皆も平穏に暮らせるように」
「本当に立派に成長したわね、桜龍。ただ、これだけは忘れないで。あなたの帰る場所はここにあるわ」
「桜龍の恋人や友人も隠岐島に呼んでよー。島の名所を案内するし隠岐料理も振る舞うよ」
「ははは、恋人って・・・まぁ俺の友人は一癖二癖あるけど、頼もしい仲間だよ。落ち着いたら皆に紹介したい」
「その為にも、無事に試練を全うするのよ」
「分かってるよ、おふくろ!!」
桜龍は家族や島民に自信に満ちた笑顔を向け手を振った。
桜龍は小舟に乗り、聖龍王の石碑が置いてある無人島へ向かった。
「子供の頃、ここで聖龍王と出会ったんだな」
桜龍は好奇心旺盛な少年時代を思い出していた。当時は興味本位だけでなく何かに導かれるような気がしたから、聖龍王の墓へ行った。そして、失明していた左目に聖龍の瞳が入った。
「聖龍は俺を選んだ。だから、聖龍王様の期待を裏切る訳にはいかない」
桜龍は気張りながら石碑へと続く雑木林の坂を登ると、日本海を一望出来る岬に着いた。
「聖龍王様からお授かり致しました聖なる龍を暴走させてしまい、申し訳ございません。私は、己の未熟さを克服する為、試練を受けにご参上いたしました」
桜龍は聖龍王の石碑にお参りをすると、突然七色の光が現れ、軌道を描き何処かを指した。桜龍は虹の光の先に何かがあると分かり軌道へ進もうと決めた。
桜龍が虹の軌道に沿って小舟を漕いでいると、終着点は海にそびえ建つゴツゴツした岩が重なる支柱だった。
「虹はロウソク岩に続いていたのか」
桜龍はロウソク岩の頂上が虹と日光で照らされていて、神秘的な光景を見ているようだった。桜龍は岩を登り頂上を目指した。
「ふう・・岩を登るのは一苦労だぜ」
頂上に着いた桜龍は額の汗を拭きながら、ロウソク岩から辺りを見回した。虹の光は消え、次は何が出て来るのか身構えていた。
「ここじゃあ、戦うに狭いな。もしかしたら異界に繋がる入り口なのか?」
桜龍が水平線の先を見ている時、急に空は闇雲に覆われ暗くなった。桜龍は驚いたのは束の間。この光景を前にも見た事があると思い出した。
「こいつは・・・小さい時、聖龍王様の石碑で見た光景だ。・・・闇の龍が現れる」
桜龍が闇雲の先に目を向けると、暗黒に染まった巨大な首長竜が姿を現した。
「・・・厄神マガツイノカミ。日ノ本を、いいや、世界を闇に染めようとする暗黒の龍」
桜龍は厄神を睨みながら、気を集中させ抜刀した。すると、刀と左目の聖龍の瞳が光だし、またも光景が変わった。
「江津!!久しぶりだな。東北に行くと言っていたが、まさか地底世界で修行していたとはな」
「桜龍か。元気そうで何よりだ。皆はもう祠に入って、達成した者は米沢へ向かっておる」
「そうか。遅れた分を早く取り返さないとな。あ!貴方様は八郎王様でございますか?」
桜龍は神官帽を取り、八郎に深くお辞儀をした。八郎は意外な顔をしていた。
「ほう、オラを小人の童と間違えず、よく王だと見抜いたべ」
「強い大地の源と、可愛い顔して父性本能を感じたからですよ」
桜龍がお茶目な口調で答えると、八郎は少し不機嫌そうな顔で言い返した。
「・・・ふん・・可愛い顔は余計だべ」
「これが、天の祠か・・・この先に俺と聖龍が強くなる場所に行かれるんだな」
「守護者として縁深き聖地へ行くが、何が待ち受けているか分からんべさ。心してかかれ」
「はい。俺は仲間を護る強さと、邪念を浄化させる力を高めたいです。それと、怒りで聖龍を暴走させないようにですね」
「覚悟はあるようだべ。江津が高く評価するのも納得だ」
「桜龍は軽そうに見えて、責任感と使命感は強いですぞ」
「軽そうは酷いぜ・・・」
桜龍は天の祠の扉を開けると、白金色の光に包まれた。光が消えると、懐かしい風景が目に映った。
「ここは・・・隠岐島か!!」
高い崖に広がる草原と周りに海と離島が目に映った。何と扉の先は桜龍の故郷、隠岐島の草原だった。
「俺のふるさとでもあり、聖龍王様から瞳を授かった地だ。ここが試練の場というのも頷けるぜ」
桜龍が故郷の香りと風景を体全体で感じていると、彼の両親が走って近づいてきた。
「桜龍、やはり帰ってきたんだな!!」
「随分大きくなったわね、桜龍。おかえりなさい!!」
「親父!!おふくろ!!」
桜龍は子供に戻ったかのように、嬉し涙を流しながら両親に抱きついた。父は歳は取ったが体は変らず筋肉質で逞しかった。母も美容と健康に力を入れているのか歳を取っても肌が綺麗で若々しかった。
「俺には及ばんが、随分と逞しくなったな!!」
「まあな、出雲で修行して、強敵とも戦ってムキムキになったんだぜ。ところで、親父とおふくろは俺が来る事を知っていたのか?」
「最近、長老が寿命で亡くなった。その時に、直に桜龍が来るだろうと遺言を残した。だから毎日お前が来るのを待っていたんだ」
「そうか長老が・・・来て早速だけど、長老の墓へ案内して欲しい」
桜龍は両親に連れられ、島の岬にある墓所へ向かった。すると、島民や漁師に会うと、皆は嬉しそうに歓迎した。
「桜龍!!こんなにイイ男になって!!」
「無事に出雲にたどり着いて、修行頑張ってるみたいだな。どうやって戻って来たかは聞かねーが、久しぶりに会えて嬉しいぜ」
「俺も、皆んなに会えて嬉しいよ。皆んな無事で良かった」
桜龍はほっとした顔で、島の幼馴染との再会を喜んだ。その後、長老の墓に花や酒を添え、祝詞を唱えた。すると、長老が語りかける声が聞こえた。
「桜龍よ、真の強さを得る試練を受ける時が来たようじゃ。ワシはお主が来ると思っていた。お主と聖龍王様が出会った無人島へ行きなされ」
「長老・・・ご冥福をお祈りいたします。これから試練を受けて来ます」
「行くのか、桜龍?」
「ああ。闇の奴らと戦う仲間が待っている。それと、闇に囚われ苦しんでいる民を護りたい。島の皆も平穏に暮らせるように」
「本当に立派に成長したわね、桜龍。ただ、これだけは忘れないで。あなたの帰る場所はここにあるわ」
「桜龍の恋人や友人も隠岐島に呼んでよー。島の名所を案内するし隠岐料理も振る舞うよ」
「ははは、恋人って・・・まぁ俺の友人は一癖二癖あるけど、頼もしい仲間だよ。落ち着いたら皆に紹介したい」
「その為にも、無事に試練を全うするのよ」
「分かってるよ、おふくろ!!」
桜龍は家族や島民に自信に満ちた笑顔を向け手を振った。
桜龍は小舟に乗り、聖龍王の石碑が置いてある無人島へ向かった。
「子供の頃、ここで聖龍王と出会ったんだな」
桜龍は好奇心旺盛な少年時代を思い出していた。当時は興味本位だけでなく何かに導かれるような気がしたから、聖龍王の墓へ行った。そして、失明していた左目に聖龍の瞳が入った。
「聖龍は俺を選んだ。だから、聖龍王様の期待を裏切る訳にはいかない」
桜龍は気張りながら石碑へと続く雑木林の坂を登ると、日本海を一望出来る岬に着いた。
「聖龍王様からお授かり致しました聖なる龍を暴走させてしまい、申し訳ございません。私は、己の未熟さを克服する為、試練を受けにご参上いたしました」
桜龍は聖龍王の石碑にお参りをすると、突然七色の光が現れ、軌道を描き何処かを指した。桜龍は虹の光の先に何かがあると分かり軌道へ進もうと決めた。
桜龍が虹の軌道に沿って小舟を漕いでいると、終着点は海にそびえ建つゴツゴツした岩が重なる支柱だった。
「虹はロウソク岩に続いていたのか」
桜龍はロウソク岩の頂上が虹と日光で照らされていて、神秘的な光景を見ているようだった。桜龍は岩を登り頂上を目指した。
「ふう・・岩を登るのは一苦労だぜ」
頂上に着いた桜龍は額の汗を拭きながら、ロウソク岩から辺りを見回した。虹の光は消え、次は何が出て来るのか身構えていた。
「ここじゃあ、戦うに狭いな。もしかしたら異界に繋がる入り口なのか?」
桜龍が水平線の先を見ている時、急に空は闇雲に覆われ暗くなった。桜龍は驚いたのは束の間。この光景を前にも見た事があると思い出した。
「こいつは・・・小さい時、聖龍王様の石碑で見た光景だ。・・・闇の龍が現れる」
桜龍が闇雲の先に目を向けると、暗黒に染まった巨大な首長竜が姿を現した。
「・・・厄神マガツイノカミ。日ノ本を、いいや、世界を闇に染めようとする暗黒の龍」
桜龍は厄神を睨みながら、気を集中させ抜刀した。すると、刀と左目の聖龍の瞳が光だし、またも光景が変わった。