第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
そして、別れの時が来た。
「千里、我々は黄泉からお前達の武運を願っている。その力があれば魔改造戦士にもマガツイノカミにも勝てる」
「お前と共に戦えた事を誇りに思っている。しっかりと仲間を護るんだぞ」
「はい。僕はもう誰も失いたくないです。弁慶殿の義経様への忠義に負けぬ位、仲間を支えます」
千里は弁慶の大きく温かい手のひらに握手した。
「では、私達の役目はここまでだな。梓殿、どうか千里を支えて欲しい。君も母の意志を次ぐ立派な娘だよ」
「ありがとう義経殿。私も母に負けぬよう、立派な術師になるべさ!!」
義経は梓の小さな手も優しく握った。
「では、行こうか弁慶。ここからは戦国の世の勇士達に任せよう。千里、梓殿。ご武運を」
「お前と共に戦う勇士達に会えないのは残念だが、俺達だって応援しているぞ」
「義経様、弁慶殿。ありがとうございます。2人の仇、絶対に取ります」
義経と弁慶は黄金色の光に包まれ、段々と姿が薄くなっていた。それと同時に、紅い鳥居が現れた。
「これで、千里の試練は終わったんべさ?」
「僕達も帰りましょう。八郎王の元へ」
千里は梓の手を握り、鳥居をくぐった。大雪山の雪景色から地底世界の祠の間に戻ってきた。すると、薄紅色の髪の少年のような小人が目の前に立っていた。
「役目ご苦労だべ、千里。梓も初めての北の大地はどうだったべさ?」
「あなたは八郎王ですか!?」
八郎は薄笑いを2人に向けた。梓や土竜族は八郎王の素顔をほとんど見た事がないようだ。一見可愛らしい少年のような姿だが、気高く威厳に満ちていた。
「この姿を知るもんは限られてるからな。それより千里、大地の光玉と共に真の力を発揮出来たようだべさ」
「はい。義経様と弁慶殿が導いてくださり、心の中で安曇様も応援してくれました。八郎王様に感謝しております」
「この日の為に義経と弁慶を蘇らせた甲斐があったもんだべさ。皆は新しい力を得て、米沢で休んでおる。それと、桜龍が目を覚まし、祠に入ったべさ」
「桜龍が目を覚ましたのですね・・・良かったです」
千里と梓はホッとした顔をした。
「オラは桜龍の帰りを待つべさ。おめぇらは水晶とろっこで米沢へ向かえ」
「八郎王、私も千里と行って良いですか?」
「ああ。とろっこはおめぇしか動かせねーし、しっかりと千里を支えてやれ」
千里は梓を連れ、八郎と別れた。梓はとろっこ置き場まで歩きながら千里に尋ねた。
「千里・・若桜を闇の手から救えたら、人造戦士に戻して共に戦いたいべさ?」
「・・いいえ、若桜を正気に戻し、魂は安らかに眠って欲しいのが僕の望みです。生みの親の安曇様と共に黄泉で暮らして欲しい」
「・・・そうか。千里と若桜は一緒になるかと・・・」
「梓殿、どうかしましたか?」
(私が母様のような術師の力があったら、若桜を人造戦士に蘇らせて、千里と幸せに暮らせたかった。だが、それは千里と若桜の意志を尊重しないとな)
「梓殿、付いてきてくれてありがとうございます。あなたが居てくれて、心強かったです」
「え!?いいや・・・私は祠の先に何があるのか見てみたかったのもあるべさ・・・」
「そうだとしても、貴方に勇気づけられました」
「千里・・ありがとう」
(母様、私は決めたべさ。千里が私に振り向いてくれるよう、土竜族の女として、術師として一人前になるだず。若桜に負けない程、千里の力になれるよう努めるべさ)
梓は千里の後ろ姿を見て、強く心に決めていた。
第7話 新たなる力。勇士の修行 ④ 雪原の再会と決戦 完
「千里、我々は黄泉からお前達の武運を願っている。その力があれば魔改造戦士にもマガツイノカミにも勝てる」
「お前と共に戦えた事を誇りに思っている。しっかりと仲間を護るんだぞ」
「はい。僕はもう誰も失いたくないです。弁慶殿の義経様への忠義に負けぬ位、仲間を支えます」
千里は弁慶の大きく温かい手のひらに握手した。
「では、私達の役目はここまでだな。梓殿、どうか千里を支えて欲しい。君も母の意志を次ぐ立派な娘だよ」
「ありがとう義経殿。私も母に負けぬよう、立派な術師になるべさ!!」
義経は梓の小さな手も優しく握った。
「では、行こうか弁慶。ここからは戦国の世の勇士達に任せよう。千里、梓殿。ご武運を」
「お前と共に戦う勇士達に会えないのは残念だが、俺達だって応援しているぞ」
「義経様、弁慶殿。ありがとうございます。2人の仇、絶対に取ります」
義経と弁慶は黄金色の光に包まれ、段々と姿が薄くなっていた。それと同時に、紅い鳥居が現れた。
「これで、千里の試練は終わったんべさ?」
「僕達も帰りましょう。八郎王の元へ」
千里は梓の手を握り、鳥居をくぐった。大雪山の雪景色から地底世界の祠の間に戻ってきた。すると、薄紅色の髪の少年のような小人が目の前に立っていた。
「役目ご苦労だべ、千里。梓も初めての北の大地はどうだったべさ?」
「あなたは八郎王ですか!?」
八郎は薄笑いを2人に向けた。梓や土竜族は八郎王の素顔をほとんど見た事がないようだ。一見可愛らしい少年のような姿だが、気高く威厳に満ちていた。
「この姿を知るもんは限られてるからな。それより千里、大地の光玉と共に真の力を発揮出来たようだべさ」
「はい。義経様と弁慶殿が導いてくださり、心の中で安曇様も応援してくれました。八郎王様に感謝しております」
「この日の為に義経と弁慶を蘇らせた甲斐があったもんだべさ。皆は新しい力を得て、米沢で休んでおる。それと、桜龍が目を覚まし、祠に入ったべさ」
「桜龍が目を覚ましたのですね・・・良かったです」
千里と梓はホッとした顔をした。
「オラは桜龍の帰りを待つべさ。おめぇらは水晶とろっこで米沢へ向かえ」
「八郎王、私も千里と行って良いですか?」
「ああ。とろっこはおめぇしか動かせねーし、しっかりと千里を支えてやれ」
千里は梓を連れ、八郎と別れた。梓はとろっこ置き場まで歩きながら千里に尋ねた。
「千里・・若桜を闇の手から救えたら、人造戦士に戻して共に戦いたいべさ?」
「・・いいえ、若桜を正気に戻し、魂は安らかに眠って欲しいのが僕の望みです。生みの親の安曇様と共に黄泉で暮らして欲しい」
「・・・そうか。千里と若桜は一緒になるかと・・・」
「梓殿、どうかしましたか?」
(私が母様のような術師の力があったら、若桜を人造戦士に蘇らせて、千里と幸せに暮らせたかった。だが、それは千里と若桜の意志を尊重しないとな)
「梓殿、付いてきてくれてありがとうございます。あなたが居てくれて、心強かったです」
「え!?いいや・・・私は祠の先に何があるのか見てみたかったのもあるべさ・・・」
「そうだとしても、貴方に勇気づけられました」
「千里・・ありがとう」
(母様、私は決めたべさ。千里が私に振り向いてくれるよう、土竜族の女として、術師として一人前になるだず。若桜に負けない程、千里の力になれるよう努めるべさ)
梓は千里の後ろ姿を見て、強く心に決めていた。
第7話 新たなる力。勇士の修行 ④ 雪原の再会と決戦 完