第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
大雪山の山頂を目指すと、旭岳の広い池にたどり着いた。あたり一面真っ白な景色の中、青緑色の美しい池が見えた。
「ここは、『姿見の池』だず。八郎様から聞いたことがある。だが、こんな吹雪なら凍っていても可笑しくはねーがな」
「神秘的な場所ですね。何だか、ここだけが時間が止まっているような感じです」
千里と梓は池に近づいた。すると、急に池にもやがかかった。千里は何か強い気配を感じ、梓を護るように抱きしめながら、懐刀を握りしめた。
「梓殿、僕から離れないで下さい。この地の守り神か、モノノ怪かもしれません」
梓はこくりと頷いた。
千里は警戒しながら少しずつ、もやが薄くなるのをうかがいながら、前に進んでいった。すると、2人の影が見えた。千里は懐かしい人物の気を感じ、足取りを止めた。
「貴方たちはまさか・・・」
もやが消えたと同時に、池の前には凜々しくも柔和な男性と、大柄な僧兵姿の男性が現れた。
「千里、君がここに来るのを待っていたよ」
「相変わらず姿が変ってないな、千里。だが、生き延びて良かったぞ」
「義経様・・弁慶殿・・・何故、大雪山に?」
千里の瞳は少し潤んでいた。義経と弁慶の姿を見て、これは幻か、物の怪が化けているのか、信じられない光景だった。義経は笑顔を向けながらも率直に理由を話した。
「千里と再び会い、戦うためだよ。千里は大地の祠からここへ来たのだろう。真の力を得るには、私と戦って貰うよ」
千里は義経の真っ直ぐな瞳を見て、状況を理解した。彼と戦うことが新たな力を得る試練だということを。
「そうでしたか、義経様が試練の相手なのですね。弁慶殿、梓殿を頼みます」
千里は弁慶に梓を託した。そして、鎖鎌を懐から出し、義経を見据えながら構えた。梓は義経と弁慶の正体に心当たりがあったのか、千里に伝えようとしたが、弁慶に口を抑えられ止められた。
「今は何も言わず、義経と千里の戦いを見届けて欲しい。それが、貴殿の王が望んでいる事だ」
「やっぱりあんたらは、八郎様が・・・」
梓は問いかけるのを止め、弁慶と共に2人の戦いを見守ることにした。
千里と義経は吹雪の中、互いに視線を向け合っていた。義経は太刀と脇差を構え、千里も鎖鎌の分銅を振り回しながら、相手の出方を伺った。
「全力でかかって来い、千里!!」
義経の掛け声と同時に、互いの刃が重なり合った。
「義経様の太刀筋は隙がなく、次の一手を読むのが難しいです」
「そう言う千里こそ、私の一撃に即反応し、受け止めているではないか」
2人は刃を弾き返し、後ろに引いた。そして同時に白い地面を蹴り、千里の鎖鎌と義経の太刀と脇差がぶつかり合い、金属音が鳴り響きが続いた。次第に吹雪が強まっていき、霧も濃くなり視界が遮られた。義経の姿は霧に隠れ見えなくなった。千里は彼の気配を探ろうと目を閉じると、後ろから太刀筋を感じた。千里は素早く後ろを振り向き鎖で受け止めたが、義経に腹部を蹴られ、一瞬体勢を崩しそうになった。義経は蹴った反動で後ろに跳び跳ね、勢いをつけて千里に攻撃しようとしたが、千里は直ぐに防御態勢に入り、今度は義経の太刀に鎖を絡ませ、攻撃を止めさせた。
「やはり、霧の中に隠れ、身軽な動きで戦法を変えていく。やはり貴方は戦いの天才ですね」
「鬼神のそなたに言われると、嬉しい言葉だな。だが、これは本来の私の力では無い。私と弁慶はこの日の為に蘇ったのだ」
「義経様・・・貴方はもしかして・・・」
「今は私との戦いに集中しろ!!」
義経はもの凄い力で鎖に絡みついた太刀を千里ごと引っ張り、接近戦に持ち込み、脇差しで彼を斬ろうとした。千里は太刀から鎖を外し、再び攻撃態勢に入った。
「ここは、『姿見の池』だず。八郎様から聞いたことがある。だが、こんな吹雪なら凍っていても可笑しくはねーがな」
「神秘的な場所ですね。何だか、ここだけが時間が止まっているような感じです」
千里と梓は池に近づいた。すると、急に池にもやがかかった。千里は何か強い気配を感じ、梓を護るように抱きしめながら、懐刀を握りしめた。
「梓殿、僕から離れないで下さい。この地の守り神か、モノノ怪かもしれません」
梓はこくりと頷いた。
千里は警戒しながら少しずつ、もやが薄くなるのをうかがいながら、前に進んでいった。すると、2人の影が見えた。千里は懐かしい人物の気を感じ、足取りを止めた。
「貴方たちはまさか・・・」
もやが消えたと同時に、池の前には凜々しくも柔和な男性と、大柄な僧兵姿の男性が現れた。
「千里、君がここに来るのを待っていたよ」
「相変わらず姿が変ってないな、千里。だが、生き延びて良かったぞ」
「義経様・・弁慶殿・・・何故、大雪山に?」
千里の瞳は少し潤んでいた。義経と弁慶の姿を見て、これは幻か、物の怪が化けているのか、信じられない光景だった。義経は笑顔を向けながらも率直に理由を話した。
「千里と再び会い、戦うためだよ。千里は大地の祠からここへ来たのだろう。真の力を得るには、私と戦って貰うよ」
千里は義経の真っ直ぐな瞳を見て、状況を理解した。彼と戦うことが新たな力を得る試練だということを。
「そうでしたか、義経様が試練の相手なのですね。弁慶殿、梓殿を頼みます」
千里は弁慶に梓を託した。そして、鎖鎌を懐から出し、義経を見据えながら構えた。梓は義経と弁慶の正体に心当たりがあったのか、千里に伝えようとしたが、弁慶に口を抑えられ止められた。
「今は何も言わず、義経と千里の戦いを見届けて欲しい。それが、貴殿の王が望んでいる事だ」
「やっぱりあんたらは、八郎様が・・・」
梓は問いかけるのを止め、弁慶と共に2人の戦いを見守ることにした。
千里と義経は吹雪の中、互いに視線を向け合っていた。義経は太刀と脇差を構え、千里も鎖鎌の分銅を振り回しながら、相手の出方を伺った。
「全力でかかって来い、千里!!」
義経の掛け声と同時に、互いの刃が重なり合った。
「義経様の太刀筋は隙がなく、次の一手を読むのが難しいです」
「そう言う千里こそ、私の一撃に即反応し、受け止めているではないか」
2人は刃を弾き返し、後ろに引いた。そして同時に白い地面を蹴り、千里の鎖鎌と義経の太刀と脇差がぶつかり合い、金属音が鳴り響きが続いた。次第に吹雪が強まっていき、霧も濃くなり視界が遮られた。義経の姿は霧に隠れ見えなくなった。千里は彼の気配を探ろうと目を閉じると、後ろから太刀筋を感じた。千里は素早く後ろを振り向き鎖で受け止めたが、義経に腹部を蹴られ、一瞬体勢を崩しそうになった。義経は蹴った反動で後ろに跳び跳ね、勢いをつけて千里に攻撃しようとしたが、千里は直ぐに防御態勢に入り、今度は義経の太刀に鎖を絡ませ、攻撃を止めさせた。
「やはり、霧の中に隠れ、身軽な動きで戦法を変えていく。やはり貴方は戦いの天才ですね」
「鬼神のそなたに言われると、嬉しい言葉だな。だが、これは本来の私の力では無い。私と弁慶はこの日の為に蘇ったのだ」
「義経様・・・貴方はもしかして・・・」
「今は私との戦いに集中しろ!!」
義経はもの凄い力で鎖に絡みついた太刀を千里ごと引っ張り、接近戦に持ち込み、脇差しで彼を斬ろうとした。千里は太刀から鎖を外し、再び攻撃態勢に入った。