第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
土竜族(どりゅうぞく)が暮らす地底世界にある五行の祠で、千里は大地の祠の扉を開けようとした。すると、土竜族の女性『梓(あずさ)』に呼び止められた。
「待つべさ、千里。私も連れてって欲しいだず」
梓は千里の袴を引っ張ったが、彼は首を横に振り、彼女の小さな手を外した。
「梓殿・・・気持ちは嬉しいのですが、扉の向こうには何があるか分かりません。貴方を護れる保証は・・・」
しかし梓は諦めずに、強い眼差しを千里に向けて頼み続けた。
「私は、千里の覚醒を見届けたいべさ!!私だって自分の身は自分で守れるだーよ!!」
すると、黒茶色の頭巾で姿を隠した土竜族の王『八郎(はちろう)』が呆れながら千里に命じた。
「やれやれ・・・おめぇーも、一度決めたら曲げない頑固もんだべ。千里、梓は心配ねーだ。連れてやってけろ」
「八郎王に頼まれては断れませんね。分かりました。梓殿と共に聖地へ向かいます」
千里は梓の小さな手を握り、共に大地の扉を開いた。八郎は2人を静かに見送った。
(千里の行く場所には、あの者達が待っておるべさ)
扉を開けると、千里と梓は雪が舞う、辺り一面真っ白な空間に出た。日ノ本とは違う、未知の世界だと2人は感じていた。
「ここは・・・今までに行った豪雪地帯とは違いますね・・・」
「ここは、もしかしたら、蝦夷の大雪山(現北海道上川郡)だべさ。東北を上回る寒さだず」
「蝦夷ですか・・・義経様が目指そうと思っていた北の大地」
千里は義経の希望に満ちていた姿を切ない顔で思い出した。梓は話題を変えるように千里に声を掛けた。
「寒いか?千里・・・」
「寒くありませんよ。人造戦士は高温にも寒冷にも適応した体ですから。梓殿は寒くないですか?」
「私は、寒い地域に住んでいるのが長いべさ。だから寒さには強い!!」
梓は自信満々に答えたが、千里は笑いかけながら、彼女の小さな体を抱き抱えた。
「せ!?千里!!私は童ではないべさ!!」
「寒さに強くても吹雪で飛ばされては大変です。目的地までこのまま行きますよ」
「わ・・私はそんなに柔じゃないべさ!!」
「小熊を抱っこしているみたいで、可愛いですよ」
(うう・・・小熊とは。もっと可愛いのが良かったべ。だが、これは長年生きた中で、恥ずかしいのか・・嬉しいのか?・・・)
梓は複雑な想いで、赤く染まっている顔を頭巾で隠した。千里は大雪山を見ながら呟いた。
「もし、義経様と弁慶殿・・・若桜と逃げ続けていたら、この広い大地で暮らしていたか、もっと先の見知らぬ大陸へ行っていたかもしれません」
「・・・確かにそうだべ。流石に蝦夷や西の大陸まで源氏は攻めて来られないべさ」
(若桜は、母様が造ってくれた千里の同志で、想い人だず・・・千里はきっと今でも彼女を想い続けているのだろうなぁ・・・)
梓は自分でも分からないが、若桜について複雑な感情を抱いていた。
「待つべさ、千里。私も連れてって欲しいだず」
梓は千里の袴を引っ張ったが、彼は首を横に振り、彼女の小さな手を外した。
「梓殿・・・気持ちは嬉しいのですが、扉の向こうには何があるか分かりません。貴方を護れる保証は・・・」
しかし梓は諦めずに、強い眼差しを千里に向けて頼み続けた。
「私は、千里の覚醒を見届けたいべさ!!私だって自分の身は自分で守れるだーよ!!」
すると、黒茶色の頭巾で姿を隠した土竜族の王『八郎(はちろう)』が呆れながら千里に命じた。
「やれやれ・・・おめぇーも、一度決めたら曲げない頑固もんだべ。千里、梓は心配ねーだ。連れてやってけろ」
「八郎王に頼まれては断れませんね。分かりました。梓殿と共に聖地へ向かいます」
千里は梓の小さな手を握り、共に大地の扉を開いた。八郎は2人を静かに見送った。
(千里の行く場所には、あの者達が待っておるべさ)
扉を開けると、千里と梓は雪が舞う、辺り一面真っ白な空間に出た。日ノ本とは違う、未知の世界だと2人は感じていた。
「ここは・・・今までに行った豪雪地帯とは違いますね・・・」
「ここは、もしかしたら、蝦夷の大雪山(現北海道上川郡)だべさ。東北を上回る寒さだず」
「蝦夷ですか・・・義経様が目指そうと思っていた北の大地」
千里は義経の希望に満ちていた姿を切ない顔で思い出した。梓は話題を変えるように千里に声を掛けた。
「寒いか?千里・・・」
「寒くありませんよ。人造戦士は高温にも寒冷にも適応した体ですから。梓殿は寒くないですか?」
「私は、寒い地域に住んでいるのが長いべさ。だから寒さには強い!!」
梓は自信満々に答えたが、千里は笑いかけながら、彼女の小さな体を抱き抱えた。
「せ!?千里!!私は童ではないべさ!!」
「寒さに強くても吹雪で飛ばされては大変です。目的地までこのまま行きますよ」
「わ・・私はそんなに柔じゃないべさ!!」
「小熊を抱っこしているみたいで、可愛いですよ」
(うう・・・小熊とは。もっと可愛いのが良かったべ。だが、これは長年生きた中で、恥ずかしいのか・・嬉しいのか?・・・)
梓は複雑な想いで、赤く染まっている顔を頭巾で隠した。千里は大雪山を見ながら呟いた。
「もし、義経様と弁慶殿・・・若桜と逃げ続けていたら、この広い大地で暮らしていたか、もっと先の見知らぬ大陸へ行っていたかもしれません」
「・・・確かにそうだべ。流石に蝦夷や西の大陸まで源氏は攻めて来られないべさ」
(若桜は、母様が造ってくれた千里の同志で、想い人だず・・・千里はきっと今でも彼女を想い続けているのだろうなぁ・・・)
梓は自分でも分からないが、若桜について複雑な感情を抱いていた。