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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

モトスと小助は鳴沢の森に帰り、真っ先にお都留がモトスと小助を抱きしめた。
「お帰りなさい、モトスさん、小助。無事で良かったです」
白州も無事に帰ってきたと安心して、小助を褒めた。
「良く頑張ったな、小助。モトスも小助と一緒に試練を達成出来て良かったぜ」
「ありがとう、お都留、白州。小助と梅雪に助けられたよ」
「やはり、小助のモトスを助けたい想いが梅雪を呼んだか」
「エンザン棟梁、ご存知でしたのか?」
「小助は梅雪が転生した新しい命じゃ。深い繋がりがある。梅雪も小助の成長姿を見て喜んでいたじゃろう」
エンザンは満足な笑みを浮かべ小助の頭をなでた。モトスと白州は、エンザンが小助を魔の樹海へ連れて行きなさいと言った理由に納得していた。


そして、地底の風の祠から翡翠色の光が現れたので、八郎と江津は目の前に立って迎えようとしていた。
「モトスも試練を達成したようだべ」
扉が空いた瞬間、一斉に小精霊が沢山飛んできて、楽しげに声を上げていた。
『じゅらじゅらー!!』
『ここが地底世界じゅらー!!』
『鳴沢氷穴より大きいじゅら!!』
元気いっぱいに飛び出してきた小精霊達に、八郎は呆気にとられていた。一方、蕨はケラケラ笑いながら小精霊達に忠告した。
「じゅらちゃん達、八郎王はいすみ様と違って怖いから、怒らせたらダメだぜ♪」
「・・・ちっこい賑やかな種族とお調子者が来たべさ・・」
「驚かせてすみません、八郎王。ワシは森精霊の棟梁、エンザン。小精霊達に地底世界を見せたくて連れてきました」
「エンザン棟梁も行きたい素振りでしたよ」
モトスは微笑しながら言った。
「・・・まぁ良いべ。モトス、試練を達成出来たな。神精霊としての真の力を得たようだべ」
「俺の力ではありません、小助に助けられました。小助が居なければ試練は達成出来なかったです」
「え!?オラはモトスさんに迷惑ばかりかけたずら!!」
「協力し合って達成したで良いべさ。棟梁とちびっ子に来てもらったが大したもてなしは出来ねぇべ・・・」
八郎は遠回しに帰れと言おうとしたが、いつの間に数人の小人達が現れ、小精霊を興味津々に見ていた。小精霊は元気良く挨拶した。
「うわぁ!!本物の森精霊だべー」
「オラはじゅら吉じゅら♬」
「素直で可愛いべぇ。きりたんぽを小さく切って鍋を作るだず。子供達も喜ぶべさ」
「おんめーら・・・立入禁止の札を無視して、五行の間に入っていたべさ・・・」
「まぁ八郎王、良いではないですか。このご時世、他種族との交流も大切ですぞ」
「仕方ねぇ。ちびっ子達に東北の名物を味合わせてやるべさ」
『八郎王様太っ腹じゅらー♬』
「いやぁー、八郎じいも随分と丸くなったなぁー。俺もごちになろうかな」
「おんめぇーは、秩父に帰れ!!」
「はは、お前達良かったな。八郎王様、今度は森精霊の皆で、富士五湖の自然を案内しますぞ」
「ほうとうやぶどうや桃が美味しいずらです」
「ふむ・・・考えておくべさ」
八郎は顔を隠しながら小さく頷いた。その後、地底八幡平の広場で小人達と小精霊はきりたんぽ鍋を美味しく食べていた。江津はモトスにお酌しながら話しかけた。
「梅雪はどんな感じだったのだ、モトス」
「相変わらず素直ではなかったが、背中を押してくれたよ」
「やはり、憎悪の闇は完全に浄化され、本来の姿に戻ったのだな」
「ああ。梅雪は小助の成長を見て喜んでいたぞ」
「お主達の力で闇に囚われた者達はきっと救えるよ。私にはそう感じられる」
「励ましの言葉、ありがとう江津。俺はお前に敵意を持っていたが、今では大切な勇士だよ」
モトスと江津には武田の残党狩りからのわだかまりが完全に無くなり、笑い合いながら酒を酌み交わしていた。
(そういえば、ミドリ様が言っていた闇に囚われた森精霊は・・・)
モトスは思い当たる者について考えていた。
(まさか、闇に堕ちたあの者・・・なのか?)
モトスは卑弩羅に仕える四天王の闇精霊、朝霧だろうかと、複雑な思いでいたが、同時に戦うべき相手だと覚悟を決めていた。


第7話 新たなる力。勇士の修行 ③精霊の生まれた湖  完
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