第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
地底世界『八幡平』の五行の間。モトス達は風の祠の扉を開けた。すると甲斐国、鳴沢の森に出た。モトスとお都留、小精霊達は見慣れた光景に驚いていた。
「ここは、オラ達の森じゅら?じゅら子、オラのほっぺをつねってみるじゅら」
じゅら子はじゅら吉のプニプニした頬をつねった。
「やっぱり痛いじゅらー!!もっと優しくじゅら」
「これは夢でも幻でもないじゅら!!」
飛天族長の蕨もモトスと共に付いてきて、木々を揺らす風の音を聞き、何かを感じていた。
「意外と近くに風の精霊石がありそうだな。モトス達は今まで気づかなかったのかい?」
「富士五湖の森や樹海は把握しているが、特にそんな伝説は聞いたことが無いな。エンザン棟梁なら知っているかも」
モトス達は森の巨木に建つエンザンの屋敷へ向かった。すると、森の中から数人の小精霊が現れ、じゅら吉に飛びかかった。
「こらー!!じゅら吉!!倉庫の木の実を全部食べたじゅらー!!」
「ひえー!!やっぱり現実じゅらー!!」
「洞の中が空っぽだったのはじゅら吉の仕業だったじゅらね!!」
じゅら吉はじゅら子を始め、小精霊達に空中で追いかけ回された。モトス達は上を見ながらその光景に和みながら言った。
「こらこら、じゅら吉、ちゃんと皆に謝るのだぞ」
「お腹が空いていても独り占めはいけませんよ」
「ひぃー・・・皆んな、ごめんなさいじゅら」
蕨はほのぼのした光景に呆気にとられていた。
「やれやれ・・・これから試練を受けに行くのが嘘のような光景だぜ」
巨木にそびえ立つ屋敷に入ると、棟梁のエンザンと精霊戦士の白州とその弟子、小助が控えていた。
「モトスか。平泉では大変だったそうじゃな。ここに来た理由は分かっておる。風の守護者の力を得たいのじゃろ」
「はい。俺は、魔改造戦士の戦いに敗れました。こうして命あるのも、蕨殿達のおかげです。俺達は地底世界にある、風の祠からこの地に入りました」
「俺よりも、八郎じいと江津と紅史郎、まぁいすみちゃんが1番助けになったかな」
「そうかそうか、蕨殿、モトス達を助けてくれてありがとう。やはり精霊誕生の地へ行くことになるのじゃな」
「精霊誕生の地とは?」
エンザンは皆に説明した。
太古の昔、地殻変動や富士の噴火により、富士五湖や樹海、森などの大自然が形成された。そして聖風と自然を司る森精霊が神聖な湖で誕生した。
「我々の始祖は神精霊と呼ばれたのじゃ。しかし、始祖様の湖は樹海の奥にあり、そこは今でも闇に閉ざされておるのじゃ」
モトスは不安げな表情でエンザンに問うた。
「闇にとは・・・闇の者の襲撃があったのですか?」
「ああ。遥か昔に湖周辺は闇の霧に覆われ、森は黒く染まったようじゃ。精霊達が浄化しに行こうにもたどり着いた者は1人もおらん」
「つまり、湖と樹海を綺麗にしないと始祖様に会えないという訳ですな」
「じゃがモトスよ、始祖の湖は闇の樹海じゃ。いくら樹海を熟知しているお前でも、湖にたどり着くのは容易ではないじゃろう」
しかしモトスは揺らぐこと無く、強い意志でエンザンに宣言した。
「それでも、行くと決めております。まだ眠っている桜龍と魔改造戦士から人々を護る為に」
エンザンはモトスの強い覚悟に止めることは無かった。そして白州の隣でかしこまっている小助に目をやった。
「では、小助を連れて行きなされ。まだまだ未熟じゃが、きっとお前の助けになるぞ」
小助はエンザン直に指名され、嬉しさのあまり大声を上げた。一方、白州は慌てながら反対した。
「おら、モトスさんのお供をして良いのですか!!」
「棟梁!!いくらなんでも、まだ小助は修行中の身です。俺がお供しますよ!!」
「白州よ、これは小助を一人前にする修行でもある。それに、小助に奇跡が起きるかもしれぬ」
モトスは心配している白州を説得した。
「白州、気持だけ受け取っておくぞ。小助の事はしっかりと護りながら始祖様を救う。お都留も、皆も無事を祈っていてくれ」
「モトスさん、小助、気をつけて下さいね。ですが、無事に試練を達成出来ると信じていますわ」
お都留がモトスと小助の手を握りまじないを掛けていると、小精霊達も2人の周りに集まった。
「小助兄ちゃん!!湖の場所が分かったらオラ達にも案内して欲しいじゅら」
「近くに美味しいお花の蜜と果物があるか教えて欲しいじゅら」
「じゅら吉、独り占めはダメじゅら!!」
じゅら吉は皆に睨まれ、縮こまった。モトスと小助は笑顔で、じゅら吉と小精霊達を手のひらに乗せて言った。
「皆、仲良く待っているのだぞ」
「帰ったら皆んなでまた、木の実を取りに行こうずら」
2人は皆に見送られながら、鳴沢の森を出た。
「ここは、オラ達の森じゅら?じゅら子、オラのほっぺをつねってみるじゅら」
じゅら子はじゅら吉のプニプニした頬をつねった。
「やっぱり痛いじゅらー!!もっと優しくじゅら」
「これは夢でも幻でもないじゅら!!」
飛天族長の蕨もモトスと共に付いてきて、木々を揺らす風の音を聞き、何かを感じていた。
「意外と近くに風の精霊石がありそうだな。モトス達は今まで気づかなかったのかい?」
「富士五湖の森や樹海は把握しているが、特にそんな伝説は聞いたことが無いな。エンザン棟梁なら知っているかも」
モトス達は森の巨木に建つエンザンの屋敷へ向かった。すると、森の中から数人の小精霊が現れ、じゅら吉に飛びかかった。
「こらー!!じゅら吉!!倉庫の木の実を全部食べたじゅらー!!」
「ひえー!!やっぱり現実じゅらー!!」
「洞の中が空っぽだったのはじゅら吉の仕業だったじゅらね!!」
じゅら吉はじゅら子を始め、小精霊達に空中で追いかけ回された。モトス達は上を見ながらその光景に和みながら言った。
「こらこら、じゅら吉、ちゃんと皆に謝るのだぞ」
「お腹が空いていても独り占めはいけませんよ」
「ひぃー・・・皆んな、ごめんなさいじゅら」
蕨はほのぼのした光景に呆気にとられていた。
「やれやれ・・・これから試練を受けに行くのが嘘のような光景だぜ」
巨木にそびえ立つ屋敷に入ると、棟梁のエンザンと精霊戦士の白州とその弟子、小助が控えていた。
「モトスか。平泉では大変だったそうじゃな。ここに来た理由は分かっておる。風の守護者の力を得たいのじゃろ」
「はい。俺は、魔改造戦士の戦いに敗れました。こうして命あるのも、蕨殿達のおかげです。俺達は地底世界にある、風の祠からこの地に入りました」
「俺よりも、八郎じいと江津と紅史郎、まぁいすみちゃんが1番助けになったかな」
「そうかそうか、蕨殿、モトス達を助けてくれてありがとう。やはり精霊誕生の地へ行くことになるのじゃな」
「精霊誕生の地とは?」
エンザンは皆に説明した。
太古の昔、地殻変動や富士の噴火により、富士五湖や樹海、森などの大自然が形成された。そして聖風と自然を司る森精霊が神聖な湖で誕生した。
「我々の始祖は神精霊と呼ばれたのじゃ。しかし、始祖様の湖は樹海の奥にあり、そこは今でも闇に閉ざされておるのじゃ」
モトスは不安げな表情でエンザンに問うた。
「闇にとは・・・闇の者の襲撃があったのですか?」
「ああ。遥か昔に湖周辺は闇の霧に覆われ、森は黒く染まったようじゃ。精霊達が浄化しに行こうにもたどり着いた者は1人もおらん」
「つまり、湖と樹海を綺麗にしないと始祖様に会えないという訳ですな」
「じゃがモトスよ、始祖の湖は闇の樹海じゃ。いくら樹海を熟知しているお前でも、湖にたどり着くのは容易ではないじゃろう」
しかしモトスは揺らぐこと無く、強い意志でエンザンに宣言した。
「それでも、行くと決めております。まだ眠っている桜龍と魔改造戦士から人々を護る為に」
エンザンはモトスの強い覚悟に止めることは無かった。そして白州の隣でかしこまっている小助に目をやった。
「では、小助を連れて行きなされ。まだまだ未熟じゃが、きっとお前の助けになるぞ」
小助はエンザン直に指名され、嬉しさのあまり大声を上げた。一方、白州は慌てながら反対した。
「おら、モトスさんのお供をして良いのですか!!」
「棟梁!!いくらなんでも、まだ小助は修行中の身です。俺がお供しますよ!!」
「白州よ、これは小助を一人前にする修行でもある。それに、小助に奇跡が起きるかもしれぬ」
モトスは心配している白州を説得した。
「白州、気持だけ受け取っておくぞ。小助の事はしっかりと護りながら始祖様を救う。お都留も、皆も無事を祈っていてくれ」
「モトスさん、小助、気をつけて下さいね。ですが、無事に試練を達成出来ると信じていますわ」
お都留がモトスと小助の手を握りまじないを掛けていると、小精霊達も2人の周りに集まった。
「小助兄ちゃん!!湖の場所が分かったらオラ達にも案内して欲しいじゅら」
「近くに美味しいお花の蜜と果物があるか教えて欲しいじゅら」
「じゅら吉、独り占めはダメじゅら!!」
じゅら吉は皆に睨まれ、縮こまった。モトスと小助は笑顔で、じゅら吉と小精霊達を手のひらに乗せて言った。
「皆、仲良く待っているのだぞ」
「帰ったら皆んなでまた、木の実を取りに行こうずら」
2人は皆に見送られながら、鳴沢の森を出た。