第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
湘は人々にマナマールを案内してもらった。水の都は、白を基調として、階段に沿って小滝や小川が流れており、美しい大理石の石畳と、白い石垣で作られた塀に民家や商店が並び、水晶で出来た鳥居と祠が建っていた。街の中心にある広い泉にも海龍の彫刻が立っていた。
「幻想的な世界だな。父・・海龍様が守り続けた理想郷だな」
「マナマールは争い事も無い、他国からの侵略も無かった楽園だったよ」
「マナマールを地上に復活させる事は出来ないのだろうか?」
湘はこの美しい都を地上に呼び起こし、復活させたいと思っていた。しかし民達はそれを望んでいる素振りは無かった。
「それは良いのですよ、湘殿。私達は貴方にマナマールを見てもらえただけで大満足です」
「それに、この都はもう現実には存在しない。私達は都と共に眠りたいのです」
「そうか。父が護った都と君達に会えて私は嬉しいよ。きっと、黄泉に居る父も喜んでいるだろう」
湘とマナマールの民達は嬉しそうに都を歩いていた。しかし突然、上から黒い龍が現れ、民達は怯え始めた。
『ほう、海龍の息子がワレを蘇らせたか。今度は広い大地を海に沈め、海の世界を支配してやろうか!!』
「あ・・あれは・・・九頭竜!!!島を沈めた怪物も蘇ってしまったのか!!!!」
「こやつが、父の体を乗っ取った九頭竜・・・小田原で戦った物と似ているが、現物であれ幻でも退治しなければな」
九頭竜は漆黒の弾を出現させ、黒い半魚人の兵を召喚した。半魚人は槍を持ち民に襲いかかってきたが、五十鈴とオガサーラを筆頭に神官や兵士達が応戦した。
「湘!!ここはボク達が引き受ける!!今の君なら九頭竜を消滅させることが出来るよ」
「湘よ。己の秘めたる力を信じるのじゃ。海龍様が成し得なかった九頭竜征伐をお主なら出来る」
「皆、すまない。・・・だが、小田原で戦った九頭竜に比べれば・・・恐くないな」
湘は皆に礼を言い、巨大な九頭竜と対峙した。静かに銃剣を構え九頭竜に挑んだ。
「忌々しい海龍の息子よ!!今度は貴様の体に乗り移ってやる!!!!」
九頭竜は長い尾を激しく降り、湘を叩き潰そうとした。湘は跳躍し海中を泳ぐような華麗な身のこなしで、九頭竜の尾を絡ませた。そして、銃剣を向け魔力を込めた弾を連射させ、九頭竜の体に穴を空けた。
「ぐ・・・おのれ・・・調子に乗るなよ小僧!!!」
「せっかく美しい都を見ていたのに、君が復活したせいで台無しだ」
湘は静かな怒りを込めた水の波動を九頭竜にぶつけた。しかし九頭竜は牙をむき出しにして笑い、反撃に出た。
「だが、海龍でさえワレを封印できず、体をワレに支配された!!海龍を超えねばワレを倒せぬぞ!!」
九頭竜は口から黒い衝撃波を湘に目掛け放った。湘は避けきれず攻撃を喰らい服がビリビリに裂かれた。しかし湘は闇の力に拘束され苦しみながらも笑顔を絶やしていなかった。
「・・・この程度の攻撃、大芹や魔改造戦士共の攻撃に比べれば大したことないな。・・・それに貴様は今、答えを言ったな。海龍を超えれば九頭竜を倒せるとな」
湘は人魚の姿に変わり、体内から青い光を放った。すると彼を拘束していた闇の力は光に浄化され、海の中は清らかな青色に包まれ、五十鈴達と戦っていた半魚人兵も浄化された。
「うぐぅ・・・これが、海龍の力か・・・・」
「海龍だけではない。これは人間と海洋族の2つの想いを力にしたのさ!!私は人間も海洋族も大切な種族だと思っている。だから、海の世界も陸の世界も貴様の好きにはさせない!!」
海水は湘の味方となり、邪悪な力を持つ九頭竜を青色の光で包み込んだ。九頭竜は苦痛の叫びを上げ、巨大な首長竜の体は小さくなっていった。すると、湘の隣に父真鶴が現れ、彼の肩に優しく手を置いた。
「強くなったな、湘。お前の強い想いで、我が島国を蘇らせてくれてありがとう。そして、都の繁栄や人々の優しさに触れて、俺は嬉しいよ。俺が成し得なかった九頭竜征伐を頼む。水の守護者であり、海龍の意志を継ぐ、我が息子よ」
真鶴は湘を包み込むように体内に入っていった。すると、湘の姿は水のような美しい青色の海龍となった。
「父さん・・・これが、私の真の覚醒なのだな。私はこの力で、仲間を護り、闇に囚われた者を救ってあげたい」
「お前ならきっと出来る。海王神いすみ様の血と海龍の俺の血を引くのだからな。それと、お前自身の強さと賢さも合わせたら最強だぞ」
「ありがとう、父さん。父さんとマナマールの民の無念、果たすよ」
海龍となった湘は小さくなった九頭竜に巻き付き、浄化の光を出現させた。九頭竜は悲鳴を上げ、光の中に消えていった。
「湘殿が九頭竜を倒したぞ!!それに湘殿の父君、海龍様も力を貸してくださった!!」
「湘殿万歳!!海龍様万歳!!」
マナマールの民達は湘と海龍の像に、万歳と手を大きく広げ歓声を上げた。五十鈴とオガサーラも満足な笑みを浮かべ湘に拍手した。
その後湘は、広場で民達と語り合い、マナマール国の歴史や文化などを教えてもらった。
「本当は、湘殿の戦いっぷりを見て、マナマール国を復興させて治めて欲しいと思いました。ですが、湘殿にはやるべき事がある為に、ここへ来たのでしょう」
「はい。私は、水の守護者としての試練を受けるために、五十鈴がこちらに導いてくれたのです。ですが、時間は掛かるかもしれませんが、海洋族と協力して、この島国を地上に浮き上がらせ、復興させたいと思っております」
「それは嬉しい話ですな。しかし、湘殿は闇の手から日ノ本を護るという使命があるのですね・・・。我々も、黄泉の世界で武運を祈っておりますぞ」
民達は一斉に立ち上がり、湘に応援の言葉を掛けた。湘も皆に凜々しい顔を向けて言った。
「皆、ありがとう。私は父が大切に護ったこの島国を見られて嬉しい限りだ。これで強敵とも戦っても皆が見守ってくれていると思えば、心強く力となるよ」
「幻想的な世界だな。父・・海龍様が守り続けた理想郷だな」
「マナマールは争い事も無い、他国からの侵略も無かった楽園だったよ」
「マナマールを地上に復活させる事は出来ないのだろうか?」
湘はこの美しい都を地上に呼び起こし、復活させたいと思っていた。しかし民達はそれを望んでいる素振りは無かった。
「それは良いのですよ、湘殿。私達は貴方にマナマールを見てもらえただけで大満足です」
「それに、この都はもう現実には存在しない。私達は都と共に眠りたいのです」
「そうか。父が護った都と君達に会えて私は嬉しいよ。きっと、黄泉に居る父も喜んでいるだろう」
湘とマナマールの民達は嬉しそうに都を歩いていた。しかし突然、上から黒い龍が現れ、民達は怯え始めた。
『ほう、海龍の息子がワレを蘇らせたか。今度は広い大地を海に沈め、海の世界を支配してやろうか!!』
「あ・・あれは・・・九頭竜!!!島を沈めた怪物も蘇ってしまったのか!!!!」
「こやつが、父の体を乗っ取った九頭竜・・・小田原で戦った物と似ているが、現物であれ幻でも退治しなければな」
九頭竜は漆黒の弾を出現させ、黒い半魚人の兵を召喚した。半魚人は槍を持ち民に襲いかかってきたが、五十鈴とオガサーラを筆頭に神官や兵士達が応戦した。
「湘!!ここはボク達が引き受ける!!今の君なら九頭竜を消滅させることが出来るよ」
「湘よ。己の秘めたる力を信じるのじゃ。海龍様が成し得なかった九頭竜征伐をお主なら出来る」
「皆、すまない。・・・だが、小田原で戦った九頭竜に比べれば・・・恐くないな」
湘は皆に礼を言い、巨大な九頭竜と対峙した。静かに銃剣を構え九頭竜に挑んだ。
「忌々しい海龍の息子よ!!今度は貴様の体に乗り移ってやる!!!!」
九頭竜は長い尾を激しく降り、湘を叩き潰そうとした。湘は跳躍し海中を泳ぐような華麗な身のこなしで、九頭竜の尾を絡ませた。そして、銃剣を向け魔力を込めた弾を連射させ、九頭竜の体に穴を空けた。
「ぐ・・・おのれ・・・調子に乗るなよ小僧!!!」
「せっかく美しい都を見ていたのに、君が復活したせいで台無しだ」
湘は静かな怒りを込めた水の波動を九頭竜にぶつけた。しかし九頭竜は牙をむき出しにして笑い、反撃に出た。
「だが、海龍でさえワレを封印できず、体をワレに支配された!!海龍を超えねばワレを倒せぬぞ!!」
九頭竜は口から黒い衝撃波を湘に目掛け放った。湘は避けきれず攻撃を喰らい服がビリビリに裂かれた。しかし湘は闇の力に拘束され苦しみながらも笑顔を絶やしていなかった。
「・・・この程度の攻撃、大芹や魔改造戦士共の攻撃に比べれば大したことないな。・・・それに貴様は今、答えを言ったな。海龍を超えれば九頭竜を倒せるとな」
湘は人魚の姿に変わり、体内から青い光を放った。すると彼を拘束していた闇の力は光に浄化され、海の中は清らかな青色に包まれ、五十鈴達と戦っていた半魚人兵も浄化された。
「うぐぅ・・・これが、海龍の力か・・・・」
「海龍だけではない。これは人間と海洋族の2つの想いを力にしたのさ!!私は人間も海洋族も大切な種族だと思っている。だから、海の世界も陸の世界も貴様の好きにはさせない!!」
海水は湘の味方となり、邪悪な力を持つ九頭竜を青色の光で包み込んだ。九頭竜は苦痛の叫びを上げ、巨大な首長竜の体は小さくなっていった。すると、湘の隣に父真鶴が現れ、彼の肩に優しく手を置いた。
「強くなったな、湘。お前の強い想いで、我が島国を蘇らせてくれてありがとう。そして、都の繁栄や人々の優しさに触れて、俺は嬉しいよ。俺が成し得なかった九頭竜征伐を頼む。水の守護者であり、海龍の意志を継ぐ、我が息子よ」
真鶴は湘を包み込むように体内に入っていった。すると、湘の姿は水のような美しい青色の海龍となった。
「父さん・・・これが、私の真の覚醒なのだな。私はこの力で、仲間を護り、闇に囚われた者を救ってあげたい」
「お前ならきっと出来る。海王神いすみ様の血と海龍の俺の血を引くのだからな。それと、お前自身の強さと賢さも合わせたら最強だぞ」
「ありがとう、父さん。父さんとマナマールの民の無念、果たすよ」
海龍となった湘は小さくなった九頭竜に巻き付き、浄化の光を出現させた。九頭竜は悲鳴を上げ、光の中に消えていった。
「湘殿が九頭竜を倒したぞ!!それに湘殿の父君、海龍様も力を貸してくださった!!」
「湘殿万歳!!海龍様万歳!!」
マナマールの民達は湘と海龍の像に、万歳と手を大きく広げ歓声を上げた。五十鈴とオガサーラも満足な笑みを浮かべ湘に拍手した。
その後湘は、広場で民達と語り合い、マナマール国の歴史や文化などを教えてもらった。
「本当は、湘殿の戦いっぷりを見て、マナマール国を復興させて治めて欲しいと思いました。ですが、湘殿にはやるべき事がある為に、ここへ来たのでしょう」
「はい。私は、水の守護者としての試練を受けるために、五十鈴がこちらに導いてくれたのです。ですが、時間は掛かるかもしれませんが、海洋族と協力して、この島国を地上に浮き上がらせ、復興させたいと思っております」
「それは嬉しい話ですな。しかし、湘殿は闇の手から日ノ本を護るという使命があるのですね・・・。我々も、黄泉の世界で武運を祈っておりますぞ」
民達は一斉に立ち上がり、湘に応援の言葉を掛けた。湘も皆に凜々しい顔を向けて言った。
「皆、ありがとう。私は父が大切に護ったこの島国を見られて嬉しい限りだ。これで強敵とも戦っても皆が見守ってくれていると思えば、心強く力となるよ」