番外編 モトスの話 森の精霊忍者への道
小精霊のモトスは仲間達と一緒に小さい木刀で素振りの鍛錬に励んでいた。
「えい!!じゅら、やあ!!じゅら」
モトスは仲間よりも剣裁きは弱めだが、その分素早く剣を振り下ろし、無駄な動きが無い。エンザンはその姿を関心して見ていた。モトスは決して要領が良い方では無く、物覚えは早くないが、挫けること無く、仲間の数倍の努力し勉強も忍術も一生懸命励んだ。
「モトスは忍者には向いていないじゅら。農業の勉強をして畑を耕す方が向いているじゅら」
少し口の悪い小精霊に馬鹿にされても、モトスは諦めず修行を続けていた。
「最後まで頑張ってみないと分からないじゅら!!おらには強くなる使命があるじゅら!!」
モトスは皆の倍以上努力をし、修行に励んだが、張り切りすぎて体調を崩してしまった。
モトスは真夏の暑い日に、休まずに竹刀の素振りなど運動をし過ぎ、日射病になってしまった。
「うう・・・おらとしたことが、不覚じゅら・・・」
「お前はまだ小さい体で張り切りすぎなんだよ。こんな炎天下の中、水も飲まずに運動してたら、日射病になるぞ!!」
モトスは鳴沢の森の中にあるエンザンの小屋で、冷却布を体にかけられ、額に氷袋を乗せられ、ぐったりとしていた。
「・・・おらはやっぱり忍びには向いていないじゅら?」
モトスは涙を流しながらエンザンに聞いた。
「なぁ、モトス。お前は早く強くなりたいと思っているんじゃないのか?」
「そうじゅら!!おらは早く一人前になって、日ノ本を護る『ゆーし』になりたいじゅら!!」
「そうか。強い志だな。だが、俺だってお前くらいの小精霊だった頃は、全然強くなかった。今のお前の方が強いくらいだ」
「エンザン兄ちゃんもそんな時代があったじゅら?」
「俺の場合はじっくりと勉強し、技を磨いて鍛え、1歩ずつ強くなっていったんだよ。だから、モトスも急ぐこと無く、少しずつ強くなっていけば良い。大切なことは大自然を愛し、大切な者を護り通す強い意志。それを想い続ければきっと強くなれるさ」
エンザンはモトスの小さい頭を指でなでた。モトスは嬉しそうに言った。
「おらも一歩ずつ成長できるように頑張るじゅら!!」
モトスは勢いよく起き上がった途端、立ちくらみがしてエンザンの手の平で支えられた。
「いきなり起きると貧血起こすぞ。だから、もう少し寝ていろ」
エンザンは笑顔でモトスを再び寝かせた。
その後、モトスは勉学も忍びとしての修行も上達していった。小馬鹿にしていた小精霊はモトスの成長に驚き、見守っていたエンザンや大人の精霊達もまた、彼の成長を喜んでいた。やがて、小精霊から人間の少年位の姿へと変わり、11歳になると、小精霊や年下の精霊達の面倒を見るまでに成長した。モトスは忍びの棟梁となったエンザンに会うため、楓の大木と同化している小屋を上った。そして戸を開け、元気に挨拶した。
「おはようございます、エンザン棟梁!!青木ヶ原樹海で人間が迷っていないか見回りに行ってきますずら!!」
「朝から元気だな、モトスは。今日はお前に大事な話がある。今日の樹海の見回りは大人の精霊達に任せている」
エンザンはモトスに座りなさいと、座布団を用意し向かい合って話した。モトスは『重大な話かな』と、つばを飲み込みながら緊張していた。
「甲斐の武田家で修行してみないか?」
「甲斐の虎、信玄公に会えるのですね!!」
「まぁ、小姓ではなく、忍びとして仕えるかだ」
「武田家は、騎馬隊も強いけど、忍びに力を入れているとも勉強しましたずら。おらも武田家で、立派な忍びを目指したいずらー🎵」
「ただし、森精霊は例え主君から強い信頼を得ても、家臣や城主になる事は禁止している。あくまでも、陰で支える立場だ」
「分かっています。おらは、ただ、武田家で心身ともに強くなりたいのです。おらが精霊の花から出てくる前に、お花のお母さんが言っていましたずら」
この国を闇から護る、風と自然の勇士だと。
「使命を受け入れるのだな、モトス。立派に成長したものだ」
「おらは、陰ながらも信玄公や武田家を支えます!!ずら」
「安心しろ、何人かお前と一緒に武田家に修行しに行く。俺も何かあればいつでも甲府へ行くからな」
こうして、モトスはエンザンの勧めで、武田家に仕えると決めた。
「えい!!じゅら、やあ!!じゅら」
モトスは仲間よりも剣裁きは弱めだが、その分素早く剣を振り下ろし、無駄な動きが無い。エンザンはその姿を関心して見ていた。モトスは決して要領が良い方では無く、物覚えは早くないが、挫けること無く、仲間の数倍の努力し勉強も忍術も一生懸命励んだ。
「モトスは忍者には向いていないじゅら。農業の勉強をして畑を耕す方が向いているじゅら」
少し口の悪い小精霊に馬鹿にされても、モトスは諦めず修行を続けていた。
「最後まで頑張ってみないと分からないじゅら!!おらには強くなる使命があるじゅら!!」
モトスは皆の倍以上努力をし、修行に励んだが、張り切りすぎて体調を崩してしまった。
モトスは真夏の暑い日に、休まずに竹刀の素振りなど運動をし過ぎ、日射病になってしまった。
「うう・・・おらとしたことが、不覚じゅら・・・」
「お前はまだ小さい体で張り切りすぎなんだよ。こんな炎天下の中、水も飲まずに運動してたら、日射病になるぞ!!」
モトスは鳴沢の森の中にあるエンザンの小屋で、冷却布を体にかけられ、額に氷袋を乗せられ、ぐったりとしていた。
「・・・おらはやっぱり忍びには向いていないじゅら?」
モトスは涙を流しながらエンザンに聞いた。
「なぁ、モトス。お前は早く強くなりたいと思っているんじゃないのか?」
「そうじゅら!!おらは早く一人前になって、日ノ本を護る『ゆーし』になりたいじゅら!!」
「そうか。強い志だな。だが、俺だってお前くらいの小精霊だった頃は、全然強くなかった。今のお前の方が強いくらいだ」
「エンザン兄ちゃんもそんな時代があったじゅら?」
「俺の場合はじっくりと勉強し、技を磨いて鍛え、1歩ずつ強くなっていったんだよ。だから、モトスも急ぐこと無く、少しずつ強くなっていけば良い。大切なことは大自然を愛し、大切な者を護り通す強い意志。それを想い続ければきっと強くなれるさ」
エンザンはモトスの小さい頭を指でなでた。モトスは嬉しそうに言った。
「おらも一歩ずつ成長できるように頑張るじゅら!!」
モトスは勢いよく起き上がった途端、立ちくらみがしてエンザンの手の平で支えられた。
「いきなり起きると貧血起こすぞ。だから、もう少し寝ていろ」
エンザンは笑顔でモトスを再び寝かせた。
その後、モトスは勉学も忍びとしての修行も上達していった。小馬鹿にしていた小精霊はモトスの成長に驚き、見守っていたエンザンや大人の精霊達もまた、彼の成長を喜んでいた。やがて、小精霊から人間の少年位の姿へと変わり、11歳になると、小精霊や年下の精霊達の面倒を見るまでに成長した。モトスは忍びの棟梁となったエンザンに会うため、楓の大木と同化している小屋を上った。そして戸を開け、元気に挨拶した。
「おはようございます、エンザン棟梁!!青木ヶ原樹海で人間が迷っていないか見回りに行ってきますずら!!」
「朝から元気だな、モトスは。今日はお前に大事な話がある。今日の樹海の見回りは大人の精霊達に任せている」
エンザンはモトスに座りなさいと、座布団を用意し向かい合って話した。モトスは『重大な話かな』と、つばを飲み込みながら緊張していた。
「甲斐の武田家で修行してみないか?」
「甲斐の虎、信玄公に会えるのですね!!」
「まぁ、小姓ではなく、忍びとして仕えるかだ」
「武田家は、騎馬隊も強いけど、忍びに力を入れているとも勉強しましたずら。おらも武田家で、立派な忍びを目指したいずらー🎵」
「ただし、森精霊は例え主君から強い信頼を得ても、家臣や城主になる事は禁止している。あくまでも、陰で支える立場だ」
「分かっています。おらは、ただ、武田家で心身ともに強くなりたいのです。おらが精霊の花から出てくる前に、お花のお母さんが言っていましたずら」
この国を闇から護る、風と自然の勇士だと。
「使命を受け入れるのだな、モトス。立派に成長したものだ」
「おらは、陰ながらも信玄公や武田家を支えます!!ずら」
「安心しろ、何人かお前と一緒に武田家に修行しに行く。俺も何かあればいつでも甲府へ行くからな」
こうして、モトスはエンザンの勧めで、武田家に仕えると決めた。