番外編 モトスの話 森の精霊忍者への道
戦国大名『武田家』が滅亡する34年前、甲斐国の南西部『本栖湖』に、風と自然の加護を持つ小精霊が生まれた。暖かい春の本栖湖では、富士の山頂から日の出が現れたと同時に、湖畔一面に咲き誇る芝桜が一斉に開花した。無数の芝桜の中に、ボタンユリのような一輪の花が咲いていた。花の中心部に翡翠のように輝く蕾が花弁で護られるように入っていた。その中に幼虫のように小さい子供の姿が見えた。
(これから生まれてくるあなたの名はモトスです。森と花々に囲まれ、富士の山を美しく映す、本栖湖の加護を持つ森精霊です。そしてあなたは、風と大自然の加護を持つ守護者でもあり、この世界を闇から護る御伽の勇士でもあります)
花が母親のように蕾の子に語りかけた。中で呼ばれた者は、精霊の花から生まれる小精霊『モトス』。富士五湖周辺の森や花畑では精霊の花が咲くと、自然を愛し、自由に生きる森精霊が誕生する伝説がある。この物語は、精霊の花から生まれたモトスが武田家の忍びとして、立派に成長する物語である。
精霊の花の蕾がぱっと割れ、1枚の花弁に隠れてしまうほどの小さい姿の小精霊が誕生した。艶のあるウグイス色の髪は太陽に照らされており、かけ声を上げ、腕と足を広げ、元気良く跳びはね生まれた。
「じゅっらー!!」
蝶のような翡翠のハネを小さくパタパタと動かしながら、ゆっくりと空を飛んでみた。生まれたばかりでふらふらしそうになると、側に咲いている芝桜の花弁や茎が支えてくれた。
「ありがとうじゅら♪おらはモトスって名前じゅら♪お花のお母さんがおらに色々な事を教えてくれたじゅら」
モトスは、太陽のような明るい笑顔で花々に礼を言った。その後、モトスは湖畔に生息する小精霊達と直ぐに仲良くなり、皆で楽しく遊んだり、大人の精霊達から色々な事を学んだりと、一人前の森精霊になるために成長していった。
「おらは風と大自然の守護者と言われて、よく分からんけど、闇から日ノ本を護る『ゆうし』だと、お花のお母さんが教えてくれたじゅら。立派な森精霊の『ゆうし』になれるように頑張るじゅら!!」
3年が経ち、ほんの少しハネも体も大きくなったモトスは、本栖湖の芝桜に囲まれ、のんびりと体を伸ばしていた。
「今日も富士山と湖が綺麗じゅら♪」
モトスは眠くなったのか、まぶたを閉じそうになった時、優しい森のような香りを鼻に感じ、目を開けると、湖畔に白装束の忍びの青年が森精霊のハネを大きく広げていた。決して豪奢では無いハネだが、じっくり見ると、水晶のように透明感のあるハネで、太陽と富士を照らし、青緑色の湖と、赤紫色の芝桜などが映り、7色に光るハネのように見えた。
「うわぁー!!!とっても綺麗なハネじゅら!!!」
モトスは瞳をキラキラと輝かせていると、青年は後ろに何か居ると気がついた。
「君は、いつからそこに居たのかい?俺としたことが、全然気づかず、無防備にハネを広げていたな・・・」
「のぞき見してごめんなさいじゅら・・・兄ちゃんのハネが綺麗で、良い香りがしたから気になったじゅら」
青年は、『いいや気にするな』とモトスを手の平に乗せ、優しく頭をなでた。
「おらは、この本栖湖で生まれたモトスって名前じゅら♪」
「俺の名前は『エンザン』。富士五湖の森を護る忍びで、次期、忍びの棟梁候補だから今は修行中の身なんだ」
「忍びの『とうりょー』じゅら?エンザン兄ちゃん!!『にんじゃ』じゅら?強くて走るの速くて頭良い憧れのにんじゃじゅら!!」
「うーん・・・そこまで言われると期待にそうよう頑張らないといけないな・・・」
「おら、にんじゃになりたいじゅら!!エンザン兄ちゃん!!おらに忍びの修行をしてほしいじゅら!!」
モトスは翡翠色の瞳を輝かせながらエンザンに頼んだ。彼は唐突な頼みに戸惑いながら言った。
「え・・俺はまだ弟子を取るほど一人前ではないんだが・・・・」
「お花のお母さんが言ってたじゅら!!おらは大きな『しゅくめい』ってもんに選ばれたと。畑仕事やお掃除から修業するから、どうか弟子にして下さいじゅら!!」
モトスはエンザンの手の平で頭を下げた。
(この子は・・・日ノ本を災いから護る五人の勇士の一人なのか。生まれて間もないのに勇士としての覚悟が出来ているのか・・・)
エンザンは小さな体から伝わる強い意志に心を打たれ決意した。
「そこまで言われては引き受けない訳にはいかないな。よし!!俺も忍びの棟梁を目指す者だから、共に修業し、一人前になろう!!俺は青木ヶ原樹海で森の番人をしている。そこで鍛錬をするぞ、モトス!!」
エンザンは快くモトスに人差し指を出すと、モトスは小さい手で彼の指を握った。
「よろしくお願いしますじゅら!!エンザン師匠!!」
こうして、モトスの精霊忍者の修業が始まった。
(これから生まれてくるあなたの名はモトスです。森と花々に囲まれ、富士の山を美しく映す、本栖湖の加護を持つ森精霊です。そしてあなたは、風と大自然の加護を持つ守護者でもあり、この世界を闇から護る御伽の勇士でもあります)
花が母親のように蕾の子に語りかけた。中で呼ばれた者は、精霊の花から生まれる小精霊『モトス』。富士五湖周辺の森や花畑では精霊の花が咲くと、自然を愛し、自由に生きる森精霊が誕生する伝説がある。この物語は、精霊の花から生まれたモトスが武田家の忍びとして、立派に成長する物語である。
精霊の花の蕾がぱっと割れ、1枚の花弁に隠れてしまうほどの小さい姿の小精霊が誕生した。艶のあるウグイス色の髪は太陽に照らされており、かけ声を上げ、腕と足を広げ、元気良く跳びはね生まれた。
「じゅっらー!!」
蝶のような翡翠のハネを小さくパタパタと動かしながら、ゆっくりと空を飛んでみた。生まれたばかりでふらふらしそうになると、側に咲いている芝桜の花弁や茎が支えてくれた。
「ありがとうじゅら♪おらはモトスって名前じゅら♪お花のお母さんがおらに色々な事を教えてくれたじゅら」
モトスは、太陽のような明るい笑顔で花々に礼を言った。その後、モトスは湖畔に生息する小精霊達と直ぐに仲良くなり、皆で楽しく遊んだり、大人の精霊達から色々な事を学んだりと、一人前の森精霊になるために成長していった。
「おらは風と大自然の守護者と言われて、よく分からんけど、闇から日ノ本を護る『ゆうし』だと、お花のお母さんが教えてくれたじゅら。立派な森精霊の『ゆうし』になれるように頑張るじゅら!!」
3年が経ち、ほんの少しハネも体も大きくなったモトスは、本栖湖の芝桜に囲まれ、のんびりと体を伸ばしていた。
「今日も富士山と湖が綺麗じゅら♪」
モトスは眠くなったのか、まぶたを閉じそうになった時、優しい森のような香りを鼻に感じ、目を開けると、湖畔に白装束の忍びの青年が森精霊のハネを大きく広げていた。決して豪奢では無いハネだが、じっくり見ると、水晶のように透明感のあるハネで、太陽と富士を照らし、青緑色の湖と、赤紫色の芝桜などが映り、7色に光るハネのように見えた。
「うわぁー!!!とっても綺麗なハネじゅら!!!」
モトスは瞳をキラキラと輝かせていると、青年は後ろに何か居ると気がついた。
「君は、いつからそこに居たのかい?俺としたことが、全然気づかず、無防備にハネを広げていたな・・・」
「のぞき見してごめんなさいじゅら・・・兄ちゃんのハネが綺麗で、良い香りがしたから気になったじゅら」
青年は、『いいや気にするな』とモトスを手の平に乗せ、優しく頭をなでた。
「おらは、この本栖湖で生まれたモトスって名前じゅら♪」
「俺の名前は『エンザン』。富士五湖の森を護る忍びで、次期、忍びの棟梁候補だから今は修行中の身なんだ」
「忍びの『とうりょー』じゅら?エンザン兄ちゃん!!『にんじゃ』じゅら?強くて走るの速くて頭良い憧れのにんじゃじゅら!!」
「うーん・・・そこまで言われると期待にそうよう頑張らないといけないな・・・」
「おら、にんじゃになりたいじゅら!!エンザン兄ちゃん!!おらに忍びの修行をしてほしいじゅら!!」
モトスは翡翠色の瞳を輝かせながらエンザンに頼んだ。彼は唐突な頼みに戸惑いながら言った。
「え・・俺はまだ弟子を取るほど一人前ではないんだが・・・・」
「お花のお母さんが言ってたじゅら!!おらは大きな『しゅくめい』ってもんに選ばれたと。畑仕事やお掃除から修業するから、どうか弟子にして下さいじゅら!!」
モトスはエンザンの手の平で頭を下げた。
(この子は・・・日ノ本を災いから護る五人の勇士の一人なのか。生まれて間もないのに勇士としての覚悟が出来ているのか・・・)
エンザンは小さな体から伝わる強い意志に心を打たれ決意した。
「そこまで言われては引き受けない訳にはいかないな。よし!!俺も忍びの棟梁を目指す者だから、共に修業し、一人前になろう!!俺は青木ヶ原樹海で森の番人をしている。そこで鍛錬をするぞ、モトス!!」
エンザンは快くモトスに人差し指を出すと、モトスは小さい手で彼の指を握った。
「よろしくお願いしますじゅら!!エンザン師匠!!」
こうして、モトスの精霊忍者の修業が始まった。
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