第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
王座の間には、彼らを助けた紅史郎、蕨、八郎が並んでおり、そしていすみが王座に座り、目の前に立っている4人の勇士達を見ていた。
「魔改造戦士との戦い、大変だったが、無事で何よりだ。ここへ呼んだのは、そなた達に話さなければならぬ事がある」
湘と球磨は不安そうな顔でいすみに尋ねた。
「それは、桜龍の事ですか?彼はまだ目を覚ましません」
「あいつは、まだ心に生命の火が宿っている。簡単に死んだりはしませんよね?」
「桜龍の聖なる龍は強敵と戦う程、覚醒力は強くなるが、力を制御出来なくなる。特に憎しみが増すと、聖なる龍は憎悪の力で奴は喰われてしまう」
モトスは冷静にいすみに聞いた。
「それはつまり、桜龍は使い方次第で龍に飲み込まれ命を落とすのですか?」
「ああ。だが、聖なる龍の力は4つの属性の力で保つことが出来る」
続いて仁摩もいすみに聞いた。
「4つの属性の力とは、地水火風ですよね」
「その通りだ。さらに桜龍は天を守護し、天は四属性の中心に有る。いわば五行の力というやつだ」
千里は大方内容を理解出来たので、率直にいすみに目的を聞いてみた。
「もしかして、僕達がすべき事は?」
「お前達の力を覚醒させる。地底世界に五行の扉がある。扉は覚醒場所へと導いてくれる」
いすみは八郎に視線を向けた。八郎の隣に立っていた紅史郎は敵も狙っているのでは無いかと不安に思っていた。
「それは、敵に見つかる危険はありますか?」
八郎が小さい体とは裏腹に自信ありげに答えた。
「心配ねぇ。五行の聖地は邪悪な者を近づけさせないべさ。ただし、力を得るには己を信じる力と覚悟が必要だべ」
八郎の顔を隠している頭巾から一瞬鋭い眼差しが、勇士達の瞳を貫いた。湘は慎重に考える一方、球磨は気合いを入れいてた。
「覚悟か・・・簡単に力は手に入らなそうだな」
「聖地には強敵な守り神がいそうだな。受けてたつぜ!!」
モトスと千里も強い決心をした。
「そうだな。過酷な試練になるかもしれぬが、魔改造戦士や闇の者達よりも強くならねば、日ノ本は闇に支配されてしまう」
「これ以上、若桜を苦しめたくありません。桜龍だって、自身と葛藤しています。皆で進みましょう。これからの戦いを勝ち取る為に」
「ああ!!」
皆は一斉に千里に返答した。皆の決意は一緒だった。仁摩は彼らを見て、思うところがあった。
(私も強くならねば。桜龍と皆を助けられる為に・・・)
翌日、桜龍といすみを除く勇士達は、いすみの転送術で、海洋族の宮殿から地底世界まで運んでくれた。球磨と紅史郎と湘は初めて見る地底の神秘さと美しさに、驚きと感動で気持ちがたかぶっていた。
「こいつはたまげたぜ。見た事がない宝石が地底を照らしているのか」
「太陽のような力も感じさせるよ」
「宝石には魔力が施されていそうだな」
皆は八郎に案内され、地底を進んでいくと、古びた鳥居が見えた。鳥居をくぐると、祭壇に着き、5つの祠が現れた。真ん中に天の祠、左上に地、左下に火、右上に風、右下に水の祠が並ぶように置かれていた。祠はそれぞれ、質素で飾り気はないが、大きな扉とそれに垂れ下がるしめ縄には、強い気と魔力を感じさせた。祭壇には江津が立っていた。
「皆、よくぞ来てくれた。改めて言う。私は甲州征伐の後、東北へ辿り着き、八郎王の元で修行をしていた。この日の為に、祠を使えるようにしておいた」
千里は江津に聞いた。
「そうでしたか。江津殿もこの時が来るのを待っていたのですね」
「ああ。この祠は長年封印されていたが、埃も綺麗に拭いておいた。・・今は桜龍は居ないようだが、直に奴も来るだろう」
江津は桜龍が復活する事を信じていた。皆はそれぞれの想いを胸に、祠の扉の前に立った。どんな強敵、過酷な環境など予想が付かない試練でも、恐れてはいなかった。
第6話 完
「魔改造戦士との戦い、大変だったが、無事で何よりだ。ここへ呼んだのは、そなた達に話さなければならぬ事がある」
湘と球磨は不安そうな顔でいすみに尋ねた。
「それは、桜龍の事ですか?彼はまだ目を覚ましません」
「あいつは、まだ心に生命の火が宿っている。簡単に死んだりはしませんよね?」
「桜龍の聖なる龍は強敵と戦う程、覚醒力は強くなるが、力を制御出来なくなる。特に憎しみが増すと、聖なる龍は憎悪の力で奴は喰われてしまう」
モトスは冷静にいすみに聞いた。
「それはつまり、桜龍は使い方次第で龍に飲み込まれ命を落とすのですか?」
「ああ。だが、聖なる龍の力は4つの属性の力で保つことが出来る」
続いて仁摩もいすみに聞いた。
「4つの属性の力とは、地水火風ですよね」
「その通りだ。さらに桜龍は天を守護し、天は四属性の中心に有る。いわば五行の力というやつだ」
千里は大方内容を理解出来たので、率直にいすみに目的を聞いてみた。
「もしかして、僕達がすべき事は?」
「お前達の力を覚醒させる。地底世界に五行の扉がある。扉は覚醒場所へと導いてくれる」
いすみは八郎に視線を向けた。八郎の隣に立っていた紅史郎は敵も狙っているのでは無いかと不安に思っていた。
「それは、敵に見つかる危険はありますか?」
八郎が小さい体とは裏腹に自信ありげに答えた。
「心配ねぇ。五行の聖地は邪悪な者を近づけさせないべさ。ただし、力を得るには己を信じる力と覚悟が必要だべ」
八郎の顔を隠している頭巾から一瞬鋭い眼差しが、勇士達の瞳を貫いた。湘は慎重に考える一方、球磨は気合いを入れいてた。
「覚悟か・・・簡単に力は手に入らなそうだな」
「聖地には強敵な守り神がいそうだな。受けてたつぜ!!」
モトスと千里も強い決心をした。
「そうだな。過酷な試練になるかもしれぬが、魔改造戦士や闇の者達よりも強くならねば、日ノ本は闇に支配されてしまう」
「これ以上、若桜を苦しめたくありません。桜龍だって、自身と葛藤しています。皆で進みましょう。これからの戦いを勝ち取る為に」
「ああ!!」
皆は一斉に千里に返答した。皆の決意は一緒だった。仁摩は彼らを見て、思うところがあった。
(私も強くならねば。桜龍と皆を助けられる為に・・・)
翌日、桜龍といすみを除く勇士達は、いすみの転送術で、海洋族の宮殿から地底世界まで運んでくれた。球磨と紅史郎と湘は初めて見る地底の神秘さと美しさに、驚きと感動で気持ちがたかぶっていた。
「こいつはたまげたぜ。見た事がない宝石が地底を照らしているのか」
「太陽のような力も感じさせるよ」
「宝石には魔力が施されていそうだな」
皆は八郎に案内され、地底を進んでいくと、古びた鳥居が見えた。鳥居をくぐると、祭壇に着き、5つの祠が現れた。真ん中に天の祠、左上に地、左下に火、右上に風、右下に水の祠が並ぶように置かれていた。祠はそれぞれ、質素で飾り気はないが、大きな扉とそれに垂れ下がるしめ縄には、強い気と魔力を感じさせた。祭壇には江津が立っていた。
「皆、よくぞ来てくれた。改めて言う。私は甲州征伐の後、東北へ辿り着き、八郎王の元で修行をしていた。この日の為に、祠を使えるようにしておいた」
千里は江津に聞いた。
「そうでしたか。江津殿もこの時が来るのを待っていたのですね」
「ああ。この祠は長年封印されていたが、埃も綺麗に拭いておいた。・・今は桜龍は居ないようだが、直に奴も来るだろう」
江津は桜龍が復活する事を信じていた。皆はそれぞれの想いを胸に、祠の扉の前に立った。どんな強敵、過酷な環境など予想が付かない試練でも、恐れてはいなかった。
第6話 完