第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
その頃、湘は人魚の足を懸命に動かし、北上川の河口、登米(とめ)の海へ出た。桜龍は目を覚ましたが、虫の息で湘に謝った。
「う・・湘さん。すみません・・・いつも迷惑を掛けてしまって・・・」
「全くだ、もう無茶はするな。・・・だが、剣の師匠が闇王卑弩羅だと知り、辛さと怒りは分かる」
湘は桜龍の苦悩を理解していた。湘は三陸を抜け、深海へ潜ろうと泳いでいたその時、凄まじい勢いで海面が引いていき、周りは壁のような高い波が出来ていた。
「く・・凄い水圧で波の中には入れぬ。閉じ込められたか・・・」
湘は人間の姿になり、銃を構えた。すると、波の中から氷雨が現れ、湘を捕らえた。
「う・・くそ・・」
「残念でした🎵あたし、海水も操ることが出来るの。さぁ、降伏なさい。厄神四天王のミズチ様もあなたを気に入っているわ」
ミズチとは、前の小田原征伐で父の真鶴を悪の道に利用させた、海洋族の裏切り者である。
「く・・・私は人魚の男に仕える気はないね」
湘は体から冷気を放ち、拘束している水を凍らせ砕いた。そして銃を連射させ氷雨の体を蜂の巣にしたが、液体の魔改造戦士は直ぐに再生してしまう。
「やはり、魔改造戦士の核を撃たねばならぬか」
その時、後ろから豹剛の拳が背中に炸裂した。
「うぅ・・・」
湘は強い衝撃でその場に倒れた。
「魚人間て美味そうだなぁ。焼いて喰うか、生で食うか、迷っちまうぜ」
大芹も現れ、得意げに2人を追い詰めていた。
「豹剛、海洋族の方は喰って良いが、桜龍は喰うなよ。聖なる龍の瞳を奪った後、闇の魔改造戦士にするのだから」
「そうはさせるか!!桜龍には手を出させない!!」
「あんた、1人で桜龍を護れるかしら?」
湘は水の紐に拘束され、さらに大芹の黒い雷撃でなす術なく攻撃を喰らい、桜龍も豹剛の拳や蹴りを刀で受け止めるのに精一杯だった。ついに桜龍は刀を爪で弾かれ、強烈な力ではたかれた。
「く・・・」
豹剛は倒れている桜龍の頭を掴み、大芹の元へ持って行こうとした。
「こいつはもう終わりだな。目玉取って魔改造戦士にすんのか?」
「ああ。聖なる龍の瞳は我が研究に使えるしな」
「ふふ、そろそろ平泉でも若桜ちゃん達が勇士共を始末しているわね」
「ふざけるな!!湘さんに手を出させはしない!!」
意識が朦朧とする中、桜龍は渾身の力で大芹に殴りかかろうとした。しかし、闇龍の手に首を掴まれ、握り潰されようとした。
「喜べ。貴様は黒羽様の手で、魔改造戦士となる。これからは闇の配下となれるのだぞ」
桜龍は気を失い、もう絶望かと思ったその時、高波から眩い光が現れ、何者かが疾風の如く速さで、大芹の頭部に飛び蹴りを入れ、怯んだ隙に解放された桜龍を抱えた。
「大昔に、貴様にコテンパンにやられた借りを今ここで返させてもらうぜ!!」
そして、湘は豹剛に髪を掴まれ首に牙を入れられる寸前を、巨大な斧を振るった大男に助けられた。
「遅くなってすまぬ、湘。拙者達が加勢する!!」
「わ・・亘殿・・・助かった・・・」
そして、先ほどまでの絶望感が、軟派な男により嘘だったかのように思い始めた。
「お!?君可愛いねぇ〜。まるで水の女神様だ。僕は五十鈴🎵魔改造戦士でも液体人間でも、お嬢さんなら大歓迎だよ、セニョリータ」
氷雨は五十鈴に腕を掴まれた。否定しながら、液体で攻撃しようとしたが、掴んでいる彼の手から特殊な術が施されているのか、術が封じられ身動きが出来なかった。
「な・・何よアンタ!!離しなさいよ!!アタシは色ボケ海洋族なんて好みじゃないわよ!!」
五十鈴と氷雨の口論を見て、皆は何をやっているんだと呆気にとられていた。すると海王神いすみも湘と桜龍の前に現れ謝った。
「湘・・・よくぞ桜龍を守ってくれた。そして、怪我を負わせてしまい、すまぬ」
「いすみ様・・・私よりも桜龍を助けて下さい・・・」
湘は弱々しい声で頼み込んだが、いすみに心配無用だと瞳を向けられた。そして彼に抱えられ、傷を癒やされホッとした。湘は桜龍を助けたアナンにも礼を言った。
「・・・アナン、凄いではないか。蹴りで大芹を怯ませたおかげで、桜龍が助かった」
「・・・こいつを助けるだけじゃなくて、俺だって奴にやられた過去がある。一発仕返しをしたかっただけだ」
「もう、アナン君は素直じゃないんだからー」
五十鈴は氷雨を泡の中に閉じ込めていた。
「だ・・出しなさいよ!!」
「怒った顔も可愛いねぇ〜セニョリータ🎵液体人間じゃなかったら、彼女にしたかったのに残念」
五十鈴と氷雨のやりとりを、いすみは無視し大芹に三叉槍を向けていた。
「魔改造戦士の科学者大芹。貴様の相手はワレがしよう」
いすみは三叉槍を黄金色に輝かせ、大芹に攻撃した。大芹は闇龍の腕で受け止めたが、槍にまとわれた稲妻で痺れを感じ、その隙に槍で体を薙ぎ払われた。
「・・・海王神を侮っていたよ。だが、貴様でも魔改造戦士の私は倒せぬ」
「桜龍と湘を傷つけた罪は重いぞ。貴様の腐った根性を叩きのめしてやる」
大芹も負けじと黒い稲妻や闇の波動を黒龍の手から出し、いすみは槍で受け止めたりと攻防が続いた。いすみが優勢になり大芹を追い詰めようとした時、闇の結界が大芹を包んだ。
「大芹、氷雨、豹剛、そこまでになさい」
「貴様が土竜族を追放された黒羽か・・・」
「うーん・・・姿は小さくて可愛いけど、ドス黒くて苦手だなぁ・・・」
黒羽は五十鈴の文句に全く耳を向けていなかった。
「今日のところは見逃してあげますわ。今始末してもつまらないもの」
黒羽は妖艶で気高い声で言いながら、大芹達を闇の空間に転送させた。アナンは追おうとしたが、いすみ達に止められた。
「今は、この者達を宮殿へ連れて行くのが先決だ」
「平泉に残っているモトス達も助けなくてはね」
「その心配は無い。向こうには八郎と蕨と、もう1人、太陽神の化身が助けに行っている。直にワレの宮殿へ連れて来るだろう」
皆は、意識不明の桜龍に不安を感じながら海洋族の宮殿へ向かった。
「う・・湘さん。すみません・・・いつも迷惑を掛けてしまって・・・」
「全くだ、もう無茶はするな。・・・だが、剣の師匠が闇王卑弩羅だと知り、辛さと怒りは分かる」
湘は桜龍の苦悩を理解していた。湘は三陸を抜け、深海へ潜ろうと泳いでいたその時、凄まじい勢いで海面が引いていき、周りは壁のような高い波が出来ていた。
「く・・凄い水圧で波の中には入れぬ。閉じ込められたか・・・」
湘は人間の姿になり、銃を構えた。すると、波の中から氷雨が現れ、湘を捕らえた。
「う・・くそ・・」
「残念でした🎵あたし、海水も操ることが出来るの。さぁ、降伏なさい。厄神四天王のミズチ様もあなたを気に入っているわ」
ミズチとは、前の小田原征伐で父の真鶴を悪の道に利用させた、海洋族の裏切り者である。
「く・・・私は人魚の男に仕える気はないね」
湘は体から冷気を放ち、拘束している水を凍らせ砕いた。そして銃を連射させ氷雨の体を蜂の巣にしたが、液体の魔改造戦士は直ぐに再生してしまう。
「やはり、魔改造戦士の核を撃たねばならぬか」
その時、後ろから豹剛の拳が背中に炸裂した。
「うぅ・・・」
湘は強い衝撃でその場に倒れた。
「魚人間て美味そうだなぁ。焼いて喰うか、生で食うか、迷っちまうぜ」
大芹も現れ、得意げに2人を追い詰めていた。
「豹剛、海洋族の方は喰って良いが、桜龍は喰うなよ。聖なる龍の瞳を奪った後、闇の魔改造戦士にするのだから」
「そうはさせるか!!桜龍には手を出させない!!」
「あんた、1人で桜龍を護れるかしら?」
湘は水の紐に拘束され、さらに大芹の黒い雷撃でなす術なく攻撃を喰らい、桜龍も豹剛の拳や蹴りを刀で受け止めるのに精一杯だった。ついに桜龍は刀を爪で弾かれ、強烈な力ではたかれた。
「く・・・」
豹剛は倒れている桜龍の頭を掴み、大芹の元へ持って行こうとした。
「こいつはもう終わりだな。目玉取って魔改造戦士にすんのか?」
「ああ。聖なる龍の瞳は我が研究に使えるしな」
「ふふ、そろそろ平泉でも若桜ちゃん達が勇士共を始末しているわね」
「ふざけるな!!湘さんに手を出させはしない!!」
意識が朦朧とする中、桜龍は渾身の力で大芹に殴りかかろうとした。しかし、闇龍の手に首を掴まれ、握り潰されようとした。
「喜べ。貴様は黒羽様の手で、魔改造戦士となる。これからは闇の配下となれるのだぞ」
桜龍は気を失い、もう絶望かと思ったその時、高波から眩い光が現れ、何者かが疾風の如く速さで、大芹の頭部に飛び蹴りを入れ、怯んだ隙に解放された桜龍を抱えた。
「大昔に、貴様にコテンパンにやられた借りを今ここで返させてもらうぜ!!」
そして、湘は豹剛に髪を掴まれ首に牙を入れられる寸前を、巨大な斧を振るった大男に助けられた。
「遅くなってすまぬ、湘。拙者達が加勢する!!」
「わ・・亘殿・・・助かった・・・」
そして、先ほどまでの絶望感が、軟派な男により嘘だったかのように思い始めた。
「お!?君可愛いねぇ〜。まるで水の女神様だ。僕は五十鈴🎵魔改造戦士でも液体人間でも、お嬢さんなら大歓迎だよ、セニョリータ」
氷雨は五十鈴に腕を掴まれた。否定しながら、液体で攻撃しようとしたが、掴んでいる彼の手から特殊な術が施されているのか、術が封じられ身動きが出来なかった。
「な・・何よアンタ!!離しなさいよ!!アタシは色ボケ海洋族なんて好みじゃないわよ!!」
五十鈴と氷雨の口論を見て、皆は何をやっているんだと呆気にとられていた。すると海王神いすみも湘と桜龍の前に現れ謝った。
「湘・・・よくぞ桜龍を守ってくれた。そして、怪我を負わせてしまい、すまぬ」
「いすみ様・・・私よりも桜龍を助けて下さい・・・」
湘は弱々しい声で頼み込んだが、いすみに心配無用だと瞳を向けられた。そして彼に抱えられ、傷を癒やされホッとした。湘は桜龍を助けたアナンにも礼を言った。
「・・・アナン、凄いではないか。蹴りで大芹を怯ませたおかげで、桜龍が助かった」
「・・・こいつを助けるだけじゃなくて、俺だって奴にやられた過去がある。一発仕返しをしたかっただけだ」
「もう、アナン君は素直じゃないんだからー」
五十鈴は氷雨を泡の中に閉じ込めていた。
「だ・・出しなさいよ!!」
「怒った顔も可愛いねぇ〜セニョリータ🎵液体人間じゃなかったら、彼女にしたかったのに残念」
五十鈴と氷雨のやりとりを、いすみは無視し大芹に三叉槍を向けていた。
「魔改造戦士の科学者大芹。貴様の相手はワレがしよう」
いすみは三叉槍を黄金色に輝かせ、大芹に攻撃した。大芹は闇龍の腕で受け止めたが、槍にまとわれた稲妻で痺れを感じ、その隙に槍で体を薙ぎ払われた。
「・・・海王神を侮っていたよ。だが、貴様でも魔改造戦士の私は倒せぬ」
「桜龍と湘を傷つけた罪は重いぞ。貴様の腐った根性を叩きのめしてやる」
大芹も負けじと黒い稲妻や闇の波動を黒龍の手から出し、いすみは槍で受け止めたりと攻防が続いた。いすみが優勢になり大芹を追い詰めようとした時、闇の結界が大芹を包んだ。
「大芹、氷雨、豹剛、そこまでになさい」
「貴様が土竜族を追放された黒羽か・・・」
「うーん・・・姿は小さくて可愛いけど、ドス黒くて苦手だなぁ・・・」
黒羽は五十鈴の文句に全く耳を向けていなかった。
「今日のところは見逃してあげますわ。今始末してもつまらないもの」
黒羽は妖艶で気高い声で言いながら、大芹達を闇の空間に転送させた。アナンは追おうとしたが、いすみ達に止められた。
「今は、この者達を宮殿へ連れて行くのが先決だ」
「平泉に残っているモトス達も助けなくてはね」
「その心配は無い。向こうには八郎と蕨と、もう1人、太陽神の化身が助けに行っている。直にワレの宮殿へ連れて来るだろう」
皆は、意識不明の桜龍に不安を感じながら海洋族の宮殿へ向かった。