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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

その頃、モトスと球磨は互いに傷つけ合い、体力は限界に来ていた。黒羽は手の平からどす黒い妖気を出現させた。
「そろそろ終わりにしようかしら」
黒羽の手は深い闇色に染まり、モトスと球磨は黒羽の傀儡術で勝手に魔力を溜められてしまった。もはや成す術がなかった。
「く・・・互いに最大限の力をぶつけさせるのか・・・」
「ちくしょー!!改めて俺の無力さを実感したぜ・・・何が魔改造戦士を倒す・・・だ!!こんな術、破れねーで、モトスの旦那を傷つけるとは!!」
球磨とモトスは必死に術を解こうとしているが、悔しい想いが募るだけだった。
「・・・球磨。お前を傷つけてすまぬ。本当はこんな形で戦いたくなかったな。もし、俺が負けたら、皆を守ってくれ」
「・・・それは俺も同じだぜ。ダンナ」
ついに2人は最大級の炎と嵐を放った。
「死ぬなよ!!球磨」
「死んじゃあいけねぇ!!モトスの旦那」
炎と嵐がぶつかるその時、太陽の眩い光線が間に入り、炎と嵐はかき消された。すると同時に2人は傀儡術から解放された。
「兄さん!!モトスさん!!」
球磨はよろめきながら声の主を見ると、弟の紅史郎が駆けつけて来た。
「紅史郎・・・だが、何故ここに?」
「江津殿が連れてきてくれたんだ。だが、遅くなってすまない」
「いいや、助かったよ。わざわざ駆けつけてくれて、ありがとうな、紅史郎」
共に来た江津は、ハネがボロボロになり、倒れているモトスの傷を癒した。
「う・・・お主は江津か?何故、紅史郎と共に居る?」
「積もる話は後でする。とりあえず今は眠っていろ」
江津はモトスに術をかけ、眠らせた。黒羽は不機嫌そうな顔をして江津達を見た。
「せっかく良いところでしたのに、招かざる賊が入って来ましたわね」
「貴様こそ賊・・・いいや、反逆者だべ、黒羽」
八郎は頭巾で顔を隠し、大槌を持ち、黒羽の前に現れた。すると、厳美と若桜の前に突風が吹き、苦戦している千里と仁摩を救援した。
「俺もいる事を忘れられちゃあ困るぜー。トリを飾るのは、飛天族長、蕨の登場だぜ!!」
白い羽を羽ばたかせた蕨が錫杖から破魔の光を厳美目掛け放った。厳美は光弾の速さに避けられず、直撃した。
「く・・・不意を突かれましたね・・・」
「さぁ、いくら魔改造戦士でもこの人数では部が悪いんべ。ここは大人しく引き下がるべさ」
「・・・まぁ良いですわ。私達は引き下がりますが、桜龍君と湘君はどうなるかしらね?力尽きた桜龍君を優男が守れるかしら?」
若桜は厳美に肩を貸し、黒羽と闇の中に消えた。皆は桜龍と湘の身を案じていたが、八郎はまぶたを閉じ、静かにつぶやいた。
「ふん、心配ねーべ。海なら奴が必ず来るべさ」
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