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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

次の日、村の入り口には発掘人が脅し叫んでいた。村人は鍬や火縄銃を持ち対峙していた。
「ここは今から戦女神の発掘をする。怪我したくなかったら村から出てくか、俺らと発掘作業しな」
「断る!!オラ達の大切な村を荒らさせはしねぇ!!」
「そう言うが、肝心の村長サンがお見えになってないぞ」
村人は黙り込んでしまった。だがそこに、桜龍達が立ちはだかった。
「お前らには郷土愛ってのが無いのか?お前らの町や村だって襲撃されたら嫌だろ!!」
「あんな、領主が威張っている村なんぞ、郷土愛のカケラも無いな。むしろ俺達は戦女神と共に新しい村・・・いいや、新世界を作るんだ!!」
「・・・気持ちは分からなくもないが、完全に戦女神に陶酔しているな」
湘は呆れている一方、球磨は必死に発掘者達を説得していた。
「お前らは、魔改造戦士共に利用されてんだよ!!奴らは戦女神を見つけた後、お前らは奴らの改造人間にされるぞ!!」
「そんなの信じられるか!!邪魔する者は倒してやるー!!」
発掘者は農具や火縄銃を取り、桜龍達に襲いかかった。
「く・・・やはり戦う事になるのか!?」
桜龍は太刀を抜き、鍬での攻撃を受け止め押し退け、峰打ちで気絶させた。仁摩も棍棒で敵の急所を突き、なぎ払い戦闘不能にさせた。球磨と湘も続いて武器を構え、球磨は槍を振り熱風で敵を吹き飛ばし、湘は水の球を敵にぶつけ、火縄銃を濡らし使用不可能にした。
その時、道衡は館から姿を現し皆に叫んだ。
「もう!!止めるんだ!!こんな所に戦女神など居ない。そんな根拠すら無い!!だから、この村から出てけ!!」
「道衡・・・いいや、村長来てくれたんべさ!!」
道衡は武器を持たず、まだ戦っている発掘人に命令した。村人達は、道衡は現れないと思っていたが、彼の勇敢な言動に心打たれていた。
「村長のお出ましか。まだ若くて頼りなさそうだが、殺した方が都合が良いな」
発掘者は鍬や鎌を持って道衡に襲いかかった。しかし直ぐにモトスの風の刃で武器は壊され、千里の鎖鎌の分銅が奴らのみぞおちに炸裂した。
「俺達もいる事を忘れずにな」
モトスと千里が発掘者を一掃した、その時、道衡の背後に厳美が現れた。
「おやおや、駄目じゃないですかー、道衡さん。私があげた薬をまだ飲んで居ないのですかー?」
「貴様は・・・厳美!?」
「道衡殿、薬とは・・・?」
「やはり、千里君達には隠していたようですね。この間、道衡さんと会った時に渡したのですよ♪戦女神のような力を得られる劇薬をね♪」
「道衡!!敵と内通していたのか!!」
村人は怒り叫び、道衡は皆に申し訳ない顔をしていた。
「・・・すまぬ隠していて。ただ、これを飲めば僕も父のように強い村長になれる」
しかし、道衡にはまだ迷いがあった。桜龍達は『飲むなと!!』説得しているが、厳美がウンザリした顔をし、指をパチンと鳴らした。すると、土の中から巨大な凶悪モグラが現れた。
「貴方達には、大芹さんが開発した魔改造モグラの相手をしてもらいますよ♪」
「お前らは、動物まで魔改造するのか!!!」
「生態系を狂わせる・・・許せぬ行為だ・・・」
武士道精神の球磨と、自然を愛するモトスにとって厳美達の非道な行為は怒りを奮い立たせるものだった。
「動物虐待しやがって。直ぐに浄化させるぜモグラちゃん」
「村を壊されぬよう、草地に誘導しながら戦おう」
モグラは突進してきた。皆は素早く避け、仁摩は金の弓を引き、護符を結びつけた矢をモグラの足に放った。するとモグラは体勢を崩した。しかし、モグラは、足に矢が刺さりながらも動きが変わらずするどい爪で攻撃し続けた。湘は銃口から聖水を大放出させ、モグラを凍らせた。その隙に球磨と桜龍は連携技で炎と雷の一撃を放った。


その頃、千里とモトスも厳美と戦っていた。
「ふふ千里君、随分焦っていますねー。もしかしたら、道衡さんを泰衡と同じ道に進めないようにですかー?」
厳美は千里を挑発した。いつもは冷静かつ物事に動じない千里だが、悔しさと焦りで厳美に鎌や鎖を振りまわし、仕留めようと燃えていた。モトスは彼を支援しながら注意した。
「冷静になれ、千里!!一人で戦って勝つ相手ではない!!」
「モトスさん!!僕は同胞や若桜、弁慶殿、義経様を護れなかった・・・厳美や魔改造戦士は僕が仕留めなければなりません!!」
「おやおや、仲間への信頼が無くなりましたか?千里君。貴方はまた大切な者を護れず己の無力さを実感するでしょう」
「黙れ!!」
千里は左手の籠手から刃を出し鎖鎌と拳を繰り出した。モグラと戦っている桜龍達は千里の戦い方を心配していた。
「あれが、鬼神の怒りか・・・あのような姿の千里を見るのは初めてだな・・・」
「だが、千里らしくねぇ・・・今のあいつは、厳美への憎しみで周りが見えていない」
「・・・千里とモトスさんを信じよう。俺達は早くこのモグラを浄化させて、2人を助けに行こうぜ!!」
桜龍は仁摩に合図し、彼女は護符を5枚取り出し、モグラの足下に放つと、五芒星が地面に映し出された。
「これで、モグラの邪気を弱められるわよ!!」
球磨は西洋槍で十字架の炎を描き、湘は銃剣で聖水の渦を出現させ、同時に放った。そして、敵が熱さと冷気で怯んでいる隙に、桜龍は虹の光を剣にまとわせ、仁摩の破魔の矢と一緒にモグラの体を貫いた。闇の力は浄化され、可愛いモグラに戻った。桜龍は手のひらにモグラを乗せ、頭を撫でた。
「元に戻って良かった。もう、悪い奴に捕まるんじゃないぞ」
モグラは笑顔でお辞儀し、土の中に帰って行った。
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