第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
南東に山を構える米沢盆地は、米沢城を中心に城下町が栄え、米所なので田園地帯にも多くの村がある。城下町の入り口に球磨と湘が待っていた。
「皆んな、無事で良かったぜ。京での戦い大変だったそうだな」
「長旅お疲れ様。思っていたよりずっと早く着いたようだが、どうやって来たのだ?」
「ああ、ちょいと色々ありまして、だけど、なるべく内密にしたくて・・・」
湘は私達以外に話してはならない事と察し、提案した。
「話したい事も山程あるだろうから、政宗様に会わせる前に、米沢を案内しよう。温泉もあるしご飯と芋煮が美味いぞ」
「そうか、それは楽しみだな。丁度昼だし、店でゆっくり話をしよう」
皆は城下町の飯屋へ向かった。
昼時の飯屋は武士や町人、旅人などで賑わっていた。桜龍達は奥の座敷部屋を案内され、芋煮鍋を囲い、ほかほかの米沢産のご飯を口にしていた。
「芋煮、初めて口にするけど具沢山で美味いな」
「本当は最上川で政宗様が村人に芋煮大会を開いていたんだが、魔改造戦士共に邪魔されて食えなかったぜ・・・」
「でも、政宗様も無事で寒河江の民達に被害が無くて何よりだわ」
「だが、この事件で米沢の民も動揺しているな・・・ここに魔改造戦士が襲いに来ないと良いのだが・・・」
店内では数日前の最上川の寒河江付近での魔改造戦士襲撃の話題で持ちきりだった。また、戦女神の噂も流れていたが、意外な言葉が聞こえた。
『他の町や村では戦女神を起こしたら天下を取れると言っていたが、東北の王は『独眼竜伊達政宗様』だ!!』
『政宗様が米沢を住みやすい町にしてくれたべさ!!オレは政宗様に付く!!』
米沢の民は政宗を強く信頼しているそうだ。桜龍達にもその熱意を深く感じ取れた。
「政宗様や皆も安心できるように、魔改造戦士を討ち取ろうな。そして、千里の大切な者への弔い合戦と行くか」
「桜龍さん・・・ありがとうございます」
皆はそうだなと頷き、その後、湘と球磨は桜龍に尋ねた。
「そういえば、どうやって米沢に来たのかね?」
「ああ!!それ、俺も気になってた!!」
「そうだった!!実は戸隠から地底を通って来たんだぜ🎵」
「一瞬、五色沼で地上に出たぞ」
湘と球磨は地底に住む土竜族が連れてきてくれたまでは予想出来た。
「とすると、土竜族に会ったのかね?」
「ああ。梓という女術師で、『とろっこ』という水晶で出来た荷台で米沢まで乗せてくれたんだぜ。ちなみに、瞬きする間も無く着いたよ」
桜龍達は梓の事や、地底での出来事を説明した。
「長いようで、一瞬の旅だったな・・・さすがは、高度な文明と魔力を持つ土竜族」
「その『トロッコ』てのは、南蛮の鉱山とかで鉱物や荷物を運ぶのに使われていると聞いたことがあるぜ。それにしても、水晶を乗り物にしちまうとは恐れ入ったぜ」
湘と球磨も土竜族の技術に圧感されていた。
その後は城下町を歩き、町人の様子を見ながら米沢城に入った。政宗の家臣に本丸へ案内された。本丸一広い大広間に政宗と小十郎が待っていた。湘と球磨は先に入り、桜龍達と合流しましたと伝えた。そして、全員政宗と対面し座布団に腰を下ろした。
「よくぞ来てくれた。桜龍、仁摩、モトス、千里。長旅ご苦労であった。これで勇士達全員そろったな」
桜龍達はお辞儀し、京で起きた事を話した。
「何と!!大爆発を起こしたのか!!皆無事で良かったが、被害はあったのか?」
「近隣の村で家屋が倒壊したのと、怪我人は居ましたが、幸い死者は出なかったです。ただ、京や大阪、近畿地方の民は動揺しています」
「そうか・・・寒河江や米沢の民も魔改造戦士を恐れておる。仙台の方も村人が戦女神を探しにと関所を超えようとして大混乱だ」
「風の噂で多賀城の防衛が厳しく、奥州街道を封鎖しているのは本当ですか?」
モトスは土竜族から聞いたことを伏せながら小十郎に尋ねた。
「はい。村人の流動阻止だけでなく、魔改造戦士は武士に成りすまし、奥州へ侵入しようとしています。なので、伊達家の密偵でも入ることを拒まれました」
「誰も信用出来ない状況になってしまったか・・・しかし魔改造戦士は神出鬼没。完全封鎖は意味が無いのだが・・・」
「出羽を北上し、鳴子峡を超えて平泉へ行きましょう」
千里は出羽国から陸前国の鳴子峡を越え、一ノ関にまたがる栗駒(くりこま)山の麓を通り、平泉に入ろうと説明した。
「確かに、鳴子は封鎖されていません。道は険しいですが、幾多の困難を乗り越えたあなた方なら難なく通れますよ」
「鳴子は麓に村や温泉もあるから、休める場所もあるな」
「それじゃあ、明日、米沢を出よう。政宗様、小十郎殿、魔改造戦士の討伐へ参ります」
桜龍に続き、皆も立ち上がり、2人に強くお辞儀をした。
勇士達は明朝、米沢を出発し平泉へ向かう事にした。
第3話 完
「皆んな、無事で良かったぜ。京での戦い大変だったそうだな」
「長旅お疲れ様。思っていたよりずっと早く着いたようだが、どうやって来たのだ?」
「ああ、ちょいと色々ありまして、だけど、なるべく内密にしたくて・・・」
湘は私達以外に話してはならない事と察し、提案した。
「話したい事も山程あるだろうから、政宗様に会わせる前に、米沢を案内しよう。温泉もあるしご飯と芋煮が美味いぞ」
「そうか、それは楽しみだな。丁度昼だし、店でゆっくり話をしよう」
皆は城下町の飯屋へ向かった。
昼時の飯屋は武士や町人、旅人などで賑わっていた。桜龍達は奥の座敷部屋を案内され、芋煮鍋を囲い、ほかほかの米沢産のご飯を口にしていた。
「芋煮、初めて口にするけど具沢山で美味いな」
「本当は最上川で政宗様が村人に芋煮大会を開いていたんだが、魔改造戦士共に邪魔されて食えなかったぜ・・・」
「でも、政宗様も無事で寒河江の民達に被害が無くて何よりだわ」
「だが、この事件で米沢の民も動揺しているな・・・ここに魔改造戦士が襲いに来ないと良いのだが・・・」
店内では数日前の最上川の寒河江付近での魔改造戦士襲撃の話題で持ちきりだった。また、戦女神の噂も流れていたが、意外な言葉が聞こえた。
『他の町や村では戦女神を起こしたら天下を取れると言っていたが、東北の王は『独眼竜伊達政宗様』だ!!』
『政宗様が米沢を住みやすい町にしてくれたべさ!!オレは政宗様に付く!!』
米沢の民は政宗を強く信頼しているそうだ。桜龍達にもその熱意を深く感じ取れた。
「政宗様や皆も安心できるように、魔改造戦士を討ち取ろうな。そして、千里の大切な者への弔い合戦と行くか」
「桜龍さん・・・ありがとうございます」
皆はそうだなと頷き、その後、湘と球磨は桜龍に尋ねた。
「そういえば、どうやって米沢に来たのかね?」
「ああ!!それ、俺も気になってた!!」
「そうだった!!実は戸隠から地底を通って来たんだぜ🎵」
「一瞬、五色沼で地上に出たぞ」
湘と球磨は地底に住む土竜族が連れてきてくれたまでは予想出来た。
「とすると、土竜族に会ったのかね?」
「ああ。梓という女術師で、『とろっこ』という水晶で出来た荷台で米沢まで乗せてくれたんだぜ。ちなみに、瞬きする間も無く着いたよ」
桜龍達は梓の事や、地底での出来事を説明した。
「長いようで、一瞬の旅だったな・・・さすがは、高度な文明と魔力を持つ土竜族」
「その『トロッコ』てのは、南蛮の鉱山とかで鉱物や荷物を運ぶのに使われていると聞いたことがあるぜ。それにしても、水晶を乗り物にしちまうとは恐れ入ったぜ」
湘と球磨も土竜族の技術に圧感されていた。
その後は城下町を歩き、町人の様子を見ながら米沢城に入った。政宗の家臣に本丸へ案内された。本丸一広い大広間に政宗と小十郎が待っていた。湘と球磨は先に入り、桜龍達と合流しましたと伝えた。そして、全員政宗と対面し座布団に腰を下ろした。
「よくぞ来てくれた。桜龍、仁摩、モトス、千里。長旅ご苦労であった。これで勇士達全員そろったな」
桜龍達はお辞儀し、京で起きた事を話した。
「何と!!大爆発を起こしたのか!!皆無事で良かったが、被害はあったのか?」
「近隣の村で家屋が倒壊したのと、怪我人は居ましたが、幸い死者は出なかったです。ただ、京や大阪、近畿地方の民は動揺しています」
「そうか・・・寒河江や米沢の民も魔改造戦士を恐れておる。仙台の方も村人が戦女神を探しにと関所を超えようとして大混乱だ」
「風の噂で多賀城の防衛が厳しく、奥州街道を封鎖しているのは本当ですか?」
モトスは土竜族から聞いたことを伏せながら小十郎に尋ねた。
「はい。村人の流動阻止だけでなく、魔改造戦士は武士に成りすまし、奥州へ侵入しようとしています。なので、伊達家の密偵でも入ることを拒まれました」
「誰も信用出来ない状況になってしまったか・・・しかし魔改造戦士は神出鬼没。完全封鎖は意味が無いのだが・・・」
「出羽を北上し、鳴子峡を超えて平泉へ行きましょう」
千里は出羽国から陸前国の鳴子峡を越え、一ノ関にまたがる栗駒(くりこま)山の麓を通り、平泉に入ろうと説明した。
「確かに、鳴子は封鎖されていません。道は険しいですが、幾多の困難を乗り越えたあなた方なら難なく通れますよ」
「鳴子は麓に村や温泉もあるから、休める場所もあるな」
「それじゃあ、明日、米沢を出よう。政宗様、小十郎殿、魔改造戦士の討伐へ参ります」
桜龍に続き、皆も立ち上がり、2人に強くお辞儀をした。
勇士達は明朝、米沢を出発し平泉へ向かう事にした。
第3話 完