第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙
「てめぇは、政宗様の侍女ではねーな!!何者だ!!」
「村人がいる中で暗殺とは、随分と残酷な事をするねぇ。目的を教えて貰おうか」
「あら?アナタ達は厳美君と大芹さんが会った事ある勇士達ね。いいわ、邪魔するなら相手してあげる」
侍女の姿は液体に変化し、性別が分からぬ者の姿に変わっていった。透明感ある銀色の長髪に、浴衣姿で無防備だが、先程の政宗への襲い方を見ると、自由自在に液体を固体に出来たり、液体を分離させる事が出来ると分かった。
「アタシは魔改造戦士、氷雨。東北の邪魔者を消しに来たのよ」
「厳美と大芹の仲間か・・・君みたいな敵は初めてだな。美しいのに気味が悪い」
「政宗様を消されてたまるか!!小十郎殿は政宗様と村人を安全な所へ!!」
小十郎は球磨に促され、急ぎ政宗を連れ走り逃げようとした。しかし、2人の前に獣のような大男が飛び掛かって来た。
「うまそうな肉だなぁ。芋煮を我慢して腹減ってたんだ!!2人も喰い殺してやる!!」
大男は巨大な爪で、政宗の頭を落とそうとした。しかし、球磨が火弾を放ち阻止した。
「てめぇも魔改造戦士か!!俺が相手になってやる!!」
「なんだぁ?飯食う邪魔すんじゃねーよ!!だが、貴様も強くて美味そうだから、先に骨の髄まで喰ってやるー!!俺は魔改造戦士、豹剛だ!!」
豹剛は球磨に襲いかかった。球磨は西洋槍を構え、豹剛の爪や拳を受け止めた。両者の攻防が始まった。
しばらく激しい格闘が続いていると、球磨は立ちすくんでいる村人を見つけ、助けねばと彼の元へ駆け急いだ。しかし球磨は豹剛の俊足に追いつかれてしまった。球磨は必死に村人を庇ったが、背中を蹴られ、地面に倒れてしまった。
「やめろー!!」
村人が喰われる・・・と思っていたが、豹剛は怯えている村人に目もくれず、きびすを返し、球磨に襲いかかった。
(こいつ・・・村人は襲わないのか)
球磨は間一髪、豹剛の突進を避け、足に炎をまとい思いっきり巨体を蹴り上げた。豹剛は胴体から顎に蹴りを入れられ吹き飛ばされた。
湘は氷雨の液体鞭を避けたり、凍らせ破壊していった。しかし、氷雨の体が分裂したりくっついたりするのに、攻撃を当ててもキリがなく苦戦していた。
「く・・・なんて面倒な魔改造戦士だ・・おまけに男か女か分からない・・・」
「あら、男とか女とか関係ないじゃない?でも、アタシの口調と姿はどう見たって女でしょう?」
「確かに、黙っていれば美しい女性だが・・・君はもしかして、以前は男だったのかい?そして、女になりたくてもなれなかった」
湘は氷雨に尋問するような言い方だった。氷雨は図星だったのか、攻撃力が増した。
「お黙り!!アタシは、性別を自由に選べる身体になったのよ!!大芹さんはアタシと豹剛の苦悩に寄り添ってくれたのよ!!」
氷雨は狂気に満ちた表情で、湘を追い詰めた。湘は水の鞭を銃剣で斬り続けたが、これ以上の抵抗は無駄だと川に飛び込み逃げた。
「あら?観念して逃げるのね?だけど、水の中はアタシの支配下でもあるのよ!!」
氷雨は体を液体にし、川と同化させ湘を水圧で押しつぶそうとした。しかし、湘はそれを狙い、人魚の姿となり、蒼い光を出現させ、聖なる水の力を発動させた。氷雨は水中で苦しみ出した。
「おそらく君は、川と融合するだろうと思い、それを狙ったのだよ。だが、残念だな。水は私の味方でもあるからな」
湘は川から飛び出た氷雨を逃さず、イルカのように高く跳躍した。そして舞うように人間の姿に戻りながら銃を氷雨の透明の体から浮き出ている魔石を狙った。
(やはり、禍々しい色の魔石だな)
闇色に光る紅玉に狙いを定め、弾が撃たれた。しかし。
「氷雨に手を出すな!!」
球磨との戦いの最中だった豹剛が氷雨の前に現れ、銃弾を弾いた。
「あら?てっきりそこの暴れ牛君と戦っているかと思ったら、アタシを気にしていてくれたね?」
豹剛は先程までの球磨と戦っていた凶悪さとは違い、穏やかで仲間を心配する目をしていた。
「氷雨は、大切な仲間だよ。オラの境遇を受け入れてくれたし」
「・・・馬鹿ね。あんたに助けられる程、アタシは柔じゃないわ」
氷雨は豹剛に護られ、文句言いながらも内心は嬉しそうだった。その光景を見て、球磨と湘は攻撃を止め、2人に問い始めた。
「戦って分かったんだが、お前らは村人を襲う事なく政宗様だけを狙った。お前らは完全な悪人には見えない。なぜ、大芹や闇の者に力を貸すんだ?」
「操られている風には見えないし、いいように利用されている風にしか見えないな」
氷雨と豹剛は自分達と大芹を否定され、怒りを込め否定した。
「大芹さんを悪く言わないで!!アンタ達にはなりたい自分になれない者の気持ちなんて分からないでしょう!!」
「大芹さんは、オラ達の恩人だ!!魔改造戦士になって、自由に動けるようになったのもあの人のおかげだ!!」
2人は再び攻撃態勢に入ろうとした時、闇の渦が現れ、魔改造戦士『厳美(げんび)』が姿を現した。それと同時に、最上川で泳いでいた水鳥や野鳥は一斉に羽ばたき逃げ出した。
「おやおや、盛り上がっているところ申し訳ございませんが、予定変更ですよ。氷雨さん、豹剛君」
「あら、厳美。ごめんなさいね、政宗暗殺を阻止されて・・・」
「そんなの急いで殺る必要はないので、気にしないで下さい。それより、久しぶりに球磨君と湘君の顔が見られたのですから」
湘は銃口を厳美に向け、皮肉を言った。
「その憎たらしい顔と態度は出会った時から変わらずだな。むしろ、前よりも増したか?」
球磨も槍の矛先を厳美に向け、火炎の技を放とうとしていた。
「てめぇが政宗様を暗殺しようとした首謀者か!!」
「政宗は東北を侵略するのに邪魔だから消そうと思っていたのですが、まぁ良いでしょう」
厳美は、今は休戦しようと皆に言った。
「考えてみれば、政宗や東北の大名は消そうと思えばいつでも消せる。それより、戦姫『若桜(わかさ)』を目覚めさせるのが先でしょう」
「戦姫若桜とは、村人が噂していた者か。もう一人、お前達の仲間が居るのか!!」
「はい。私達同様、長い間封印されていました。ただ、私達と違い東北の何処かで眠っています。そうだ、貴方たちも探してみてはいかがですか?貴方たちが先に見つけられたら東北での反乱を阻止することも出来ますよ」
「若桜とか言う嬢ちゃんは何処で封印されているんだ!!」
「それは、簡単には教えませんよ。ここで教えては、民を利用したお遊びが直ぐに終わってしまいますので。直に桜龍君とモトス君と、そして千里君も東北に来るでしょう。全員揃ってから若桜ちゃんを探してみてはいかがですかな?」
厳美は人を食ったような口調で、2人を挑発した。
「ふざけるな!!東北の民を巻き込むのか!!」
球磨は厳美に炎の槍で攻撃しようとしたが、湘に悔し顔で止められた。
「今、攻撃しても厳美の思うつぼだ。ここは、桜龍達が来るのを待とう」
「賢い判断ですね、湘君。ご安心を、伊達政宗を標的にするのは止めましたので、米沢を襲撃しません。こちらも色々忙しいので」
厳美は要件だけを言い、闇の渦へ入って退散した。氷雨と豹剛も勝ち誇った顔をしながら、闇の渦に入りその場から消えた。球磨と湘は悔しさを胸に最上川を見ていた。すると、小十郎が2人の元に戻ってきて、政宗と村人は全員無事だったと伝えてくれた。
「とりあえず、政宗様の暗殺は阻止できたし、村人に被害どころか怪我人も居なくて良かったです・・・しかし、敵は今までに無い強敵だったな」
「・・・そうだな。俺は強敵ほど燃える性格だが、今回は舐めてかかったら命危ねーな。この事を桜龍達に伝えておくか」
「特に千里には真っ先に伝えるべきだな。もしかしたら千里も戦姫若桜を知っているかもしれない」
「村人がいる中で暗殺とは、随分と残酷な事をするねぇ。目的を教えて貰おうか」
「あら?アナタ達は厳美君と大芹さんが会った事ある勇士達ね。いいわ、邪魔するなら相手してあげる」
侍女の姿は液体に変化し、性別が分からぬ者の姿に変わっていった。透明感ある銀色の長髪に、浴衣姿で無防備だが、先程の政宗への襲い方を見ると、自由自在に液体を固体に出来たり、液体を分離させる事が出来ると分かった。
「アタシは魔改造戦士、氷雨。東北の邪魔者を消しに来たのよ」
「厳美と大芹の仲間か・・・君みたいな敵は初めてだな。美しいのに気味が悪い」
「政宗様を消されてたまるか!!小十郎殿は政宗様と村人を安全な所へ!!」
小十郎は球磨に促され、急ぎ政宗を連れ走り逃げようとした。しかし、2人の前に獣のような大男が飛び掛かって来た。
「うまそうな肉だなぁ。芋煮を我慢して腹減ってたんだ!!2人も喰い殺してやる!!」
大男は巨大な爪で、政宗の頭を落とそうとした。しかし、球磨が火弾を放ち阻止した。
「てめぇも魔改造戦士か!!俺が相手になってやる!!」
「なんだぁ?飯食う邪魔すんじゃねーよ!!だが、貴様も強くて美味そうだから、先に骨の髄まで喰ってやるー!!俺は魔改造戦士、豹剛だ!!」
豹剛は球磨に襲いかかった。球磨は西洋槍を構え、豹剛の爪や拳を受け止めた。両者の攻防が始まった。
しばらく激しい格闘が続いていると、球磨は立ちすくんでいる村人を見つけ、助けねばと彼の元へ駆け急いだ。しかし球磨は豹剛の俊足に追いつかれてしまった。球磨は必死に村人を庇ったが、背中を蹴られ、地面に倒れてしまった。
「やめろー!!」
村人が喰われる・・・と思っていたが、豹剛は怯えている村人に目もくれず、きびすを返し、球磨に襲いかかった。
(こいつ・・・村人は襲わないのか)
球磨は間一髪、豹剛の突進を避け、足に炎をまとい思いっきり巨体を蹴り上げた。豹剛は胴体から顎に蹴りを入れられ吹き飛ばされた。
湘は氷雨の液体鞭を避けたり、凍らせ破壊していった。しかし、氷雨の体が分裂したりくっついたりするのに、攻撃を当ててもキリがなく苦戦していた。
「く・・・なんて面倒な魔改造戦士だ・・おまけに男か女か分からない・・・」
「あら、男とか女とか関係ないじゃない?でも、アタシの口調と姿はどう見たって女でしょう?」
「確かに、黙っていれば美しい女性だが・・・君はもしかして、以前は男だったのかい?そして、女になりたくてもなれなかった」
湘は氷雨に尋問するような言い方だった。氷雨は図星だったのか、攻撃力が増した。
「お黙り!!アタシは、性別を自由に選べる身体になったのよ!!大芹さんはアタシと豹剛の苦悩に寄り添ってくれたのよ!!」
氷雨は狂気に満ちた表情で、湘を追い詰めた。湘は水の鞭を銃剣で斬り続けたが、これ以上の抵抗は無駄だと川に飛び込み逃げた。
「あら?観念して逃げるのね?だけど、水の中はアタシの支配下でもあるのよ!!」
氷雨は体を液体にし、川と同化させ湘を水圧で押しつぶそうとした。しかし、湘はそれを狙い、人魚の姿となり、蒼い光を出現させ、聖なる水の力を発動させた。氷雨は水中で苦しみ出した。
「おそらく君は、川と融合するだろうと思い、それを狙ったのだよ。だが、残念だな。水は私の味方でもあるからな」
湘は川から飛び出た氷雨を逃さず、イルカのように高く跳躍した。そして舞うように人間の姿に戻りながら銃を氷雨の透明の体から浮き出ている魔石を狙った。
(やはり、禍々しい色の魔石だな)
闇色に光る紅玉に狙いを定め、弾が撃たれた。しかし。
「氷雨に手を出すな!!」
球磨との戦いの最中だった豹剛が氷雨の前に現れ、銃弾を弾いた。
「あら?てっきりそこの暴れ牛君と戦っているかと思ったら、アタシを気にしていてくれたね?」
豹剛は先程までの球磨と戦っていた凶悪さとは違い、穏やかで仲間を心配する目をしていた。
「氷雨は、大切な仲間だよ。オラの境遇を受け入れてくれたし」
「・・・馬鹿ね。あんたに助けられる程、アタシは柔じゃないわ」
氷雨は豹剛に護られ、文句言いながらも内心は嬉しそうだった。その光景を見て、球磨と湘は攻撃を止め、2人に問い始めた。
「戦って分かったんだが、お前らは村人を襲う事なく政宗様だけを狙った。お前らは完全な悪人には見えない。なぜ、大芹や闇の者に力を貸すんだ?」
「操られている風には見えないし、いいように利用されている風にしか見えないな」
氷雨と豹剛は自分達と大芹を否定され、怒りを込め否定した。
「大芹さんを悪く言わないで!!アンタ達にはなりたい自分になれない者の気持ちなんて分からないでしょう!!」
「大芹さんは、オラ達の恩人だ!!魔改造戦士になって、自由に動けるようになったのもあの人のおかげだ!!」
2人は再び攻撃態勢に入ろうとした時、闇の渦が現れ、魔改造戦士『厳美(げんび)』が姿を現した。それと同時に、最上川で泳いでいた水鳥や野鳥は一斉に羽ばたき逃げ出した。
「おやおや、盛り上がっているところ申し訳ございませんが、予定変更ですよ。氷雨さん、豹剛君」
「あら、厳美。ごめんなさいね、政宗暗殺を阻止されて・・・」
「そんなの急いで殺る必要はないので、気にしないで下さい。それより、久しぶりに球磨君と湘君の顔が見られたのですから」
湘は銃口を厳美に向け、皮肉を言った。
「その憎たらしい顔と態度は出会った時から変わらずだな。むしろ、前よりも増したか?」
球磨も槍の矛先を厳美に向け、火炎の技を放とうとしていた。
「てめぇが政宗様を暗殺しようとした首謀者か!!」
「政宗は東北を侵略するのに邪魔だから消そうと思っていたのですが、まぁ良いでしょう」
厳美は、今は休戦しようと皆に言った。
「考えてみれば、政宗や東北の大名は消そうと思えばいつでも消せる。それより、戦姫『若桜(わかさ)』を目覚めさせるのが先でしょう」
「戦姫若桜とは、村人が噂していた者か。もう一人、お前達の仲間が居るのか!!」
「はい。私達同様、長い間封印されていました。ただ、私達と違い東北の何処かで眠っています。そうだ、貴方たちも探してみてはいかがですか?貴方たちが先に見つけられたら東北での反乱を阻止することも出来ますよ」
「若桜とか言う嬢ちゃんは何処で封印されているんだ!!」
「それは、簡単には教えませんよ。ここで教えては、民を利用したお遊びが直ぐに終わってしまいますので。直に桜龍君とモトス君と、そして千里君も東北に来るでしょう。全員揃ってから若桜ちゃんを探してみてはいかがですかな?」
厳美は人を食ったような口調で、2人を挑発した。
「ふざけるな!!東北の民を巻き込むのか!!」
球磨は厳美に炎の槍で攻撃しようとしたが、湘に悔し顔で止められた。
「今、攻撃しても厳美の思うつぼだ。ここは、桜龍達が来るのを待とう」
「賢い判断ですね、湘君。ご安心を、伊達政宗を標的にするのは止めましたので、米沢を襲撃しません。こちらも色々忙しいので」
厳美は要件だけを言い、闇の渦へ入って退散した。氷雨と豹剛も勝ち誇った顔をしながら、闇の渦に入りその場から消えた。球磨と湘は悔しさを胸に最上川を見ていた。すると、小十郎が2人の元に戻ってきて、政宗と村人は全員無事だったと伝えてくれた。
「とりあえず、政宗様の暗殺は阻止できたし、村人に被害どころか怪我人も居なくて良かったです・・・しかし、敵は今までに無い強敵だったな」
「・・・そうだな。俺は強敵ほど燃える性格だが、今回は舐めてかかったら命危ねーな。この事を桜龍達に伝えておくか」
「特に千里には真っ先に伝えるべきだな。もしかしたら千里も戦姫若桜を知っているかもしれない」