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第4章 鬼神の怒りと魔改造戦士の涙

京の都に大芹が現れる少し前、闇の空に包まれた陰のニホン。闇王『卑弩羅(ひどら)』の居城にある地下室は、魔改造戦士の実験室となっていた。卑弩羅は黒い石垣で作られた殺風景な通路を行くと、男の悲鳴が聞こえた。
『どうか、お許しください!!何でも言う事を聞きます!!だから・・・』
「はん!!うるせーよ!!大芹からテメェを食って良いって言われたんだよ!!」
地下中に、男の断末魔と骨までむさぼり食う音が響き渡っていた。卑弩羅はまたか・・・とため息を吐いていた。すると、白衣風の漢服を来た大芹が現れ、卑弩羅に声をかけた。
「これはこれは、卑弩羅様。ただ今、魔改造戦士不適合者の処刑を豹剛にしてもらっています。彼は綺麗に食べるので、部屋は汚れませんぞ」
「ここ数日で何人目だ。人間が食われるのは良いが、豹剛も同じ物ばかり食わされて、怒りが爆発しないか?」
「ご安心を。合間に和菓子や茶そばなども食べさせています。近々、京懐石もご馳走しようとも考えていますよ」
「なら良いが。奴がキレた時は、お前と厳美がやっと止めたのだろう。しっかりと制御しておけよ」
「まぁ、豹剛は大陸から売られて見せ物にされてた豹と、生まれつき身体に欠陥があり人間以下の扱いをされた弱者が融合したのだ。恨みや怒りの感情も倍になるだろう」
「・・・つくづく、魔改造戦士を敵に回すと恐ろしいな。まぁ、主戦力にはなるがな」
「では、卑弩羅様。私は研究途中なので、失礼します」
大芹は暗い研究室に入った。そこは人が100人入っても十分広い空間だった。さらに、地下にあるとは思えない程、美しい大理石の壁と床で出来た異色な空間だった。部屋中には白い棺桶が置かれて、根のような金の管が、棺桶とどこかに繋がっていた。
「・・・お前達の蘇りも近い。今度はもう、病にも誰にも負けぬ、最強の魔改造人類として、あの頃のように幸せに暮らそうな」
大芹は小さな棺桶に手を置くと、中性的な魔改造戦士が興味津々な顔で、部屋に入って来た。
「ここに居たのね、大芹さん。このお部屋は不思議なほど綺麗だわ」
「氷雨か。この部屋は、最初の魔改造人類を生み出す実験室だよ。いずれ、日の本に住む者を魔改造人類にする下準備だ」
「大芹さんの考える事は革新的で素敵だわ」
氷雨は大芹の計画を凄い!!と褒めた。
「他種族は、自分の保身や利益しか考えぬ者が多い。特に人間はそれが一番強い。正義だと言い張りながら、弱者を排除したり常識に反する者を無理矢理更生しようとする」
「・・・アタシも、その被害者だったわ」
「そう、君の体は姿を変え、男にも女にもなれる。魔改造人類は性の常識を超えることが出来る」
「大芹さんが魔改造してくれたから、今のアタシがあるのよ。この御恩は任務で返すわ」
「ああ、期待している。君は豹剛と米沢に行け。可能なら伊達政宗を始末しろ」
「承知しました。豹剛君に言っておくわね🎵」
(そう、男が十二単を着ても、女が甲冑を着ても自由な世界を作りたいわ)
氷雨は昔の自分を思い出していた。昔、織物職人だった家族を兵士に殺され、徴兵に無理やり連れて行かれて、兵士達に『お前は男だろ!!女々しい態度を取るな!!』と体罰を受けていた時代を・・。
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