第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
九頭竜が暴れ出したと同時に、皆も再び反撃し始めた。球磨の炎、モトスのカマイタチ、千里の金剛石と岩石の流星群が九頭竜に大打撃を与え、アナンと亘と五十鈴の拳と斧さばきと、魔力吸収術で九頭竜を弱らせていった。
「虫けら共が!!今すぐ日ノ本も世界も海に沈めてやるー!!」
『そうはさせるか!!』
いすみと湘は同時に九頭竜に近づいた。
「真鶴さん!!湘さんといすみ様を支援しましょう!!」
「ああ、大トリの前に聖龍と海龍の力を見せてやろう」
真鶴は一本の矢を撃ち、無数の矢へと分裂させた。そして、氷の龍に姿を変え、氷の牙で九頭竜の身体中を噛み砕いた。次に桜龍は聖龍を太刀から召喚させ、怯んでいる九頭竜にまとわりつかせた。
「海王神、これで決着を付けるが悔いはないですか?」
「・・・ああ。こやつは、ワレが生んでしまった罪。だから最後に奴に詫びて浄化させる」
湘は『・・・そうですか』と、いすみの決意を受け入れ、銃剣に力を込めた。そして九頭竜が最後の悪あがきに口から闇の波動を出したが、湘の水の守護神の力でかき消された。いすみは体中に黄金の光を放出させ、三叉槍で九頭竜の額を突き刺した。九頭竜王は青年姿に戻った。
「・・・我が息子よ。ワレが禁忌を犯したばかりに申し訳ない・・・」
『海王・・・いすみ・・お・おとお・・さん・・』
九頭竜の青年はいすみに抱かれ、体が小さくなっていき、闇色から白いクリオネに変化した。そして、クリクリは満足そうな笑みを浮かべながら消えていった。同時に水没しかけた小田原の町から海水が引いていった。
ミズチは悔しがる事なく、薄ら笑いを浮かべながら闇の渦の中に消えていった。湘は急ぎ銃弾を放ったが、間に合わなかった。
「く・・・ミズチを逃した。まだ日ノ本を滅ぼす時では無いという余裕か?」
桜龍は聖なる龍の瞳に手を当てながら、予測していた。
「でも、敵も本格的に動き出したという事は・・・もう、決戦の時が近いかもしれない」
桜龍達はミズチや闇の者達の脅威を改めて実感していた。
「いすみ様、ミズチとは海洋族仲間だったのですか?」
「・・ああ。かつては7つの海、北極海を守護する神だった。そして、素質はあったが、7つの海を統べる海王神になれなかった男でもあった・・・」
いすみは自分が生まれながらにして海王神だったことに罪悪感も抱いていた。湘は彼に優しく励ました。
「いすみ様には海王神に選ばれる理由があったのでしょう。だから私は、ミズチの恨みや妬みを撃ち壊します」
その後、氏政と氏直は、天守台から海水が引いていく小田原の町を見続けていた。氏政は決心した顔で息子に告げた。
「氏直・・・もう北条は負けた。私は降伏する」
「父上!!それはなりません。まだ勝機は・・」
「いいや、私が弱かったから、海洋族に頼るしかなかった。その結果、小田原の民を危険な目に遭わせてしまい、北条の武士魂に泥を塗ってしまった・・・」
氏政は最後に息子を抱きしめ、天守台から降伏ののろしを挙げた。そして数日後、氏政は豊臣軍に連行された。
第13話 完
「虫けら共が!!今すぐ日ノ本も世界も海に沈めてやるー!!」
『そうはさせるか!!』
いすみと湘は同時に九頭竜に近づいた。
「真鶴さん!!湘さんといすみ様を支援しましょう!!」
「ああ、大トリの前に聖龍と海龍の力を見せてやろう」
真鶴は一本の矢を撃ち、無数の矢へと分裂させた。そして、氷の龍に姿を変え、氷の牙で九頭竜の身体中を噛み砕いた。次に桜龍は聖龍を太刀から召喚させ、怯んでいる九頭竜にまとわりつかせた。
「海王神、これで決着を付けるが悔いはないですか?」
「・・・ああ。こやつは、ワレが生んでしまった罪。だから最後に奴に詫びて浄化させる」
湘は『・・・そうですか』と、いすみの決意を受け入れ、銃剣に力を込めた。そして九頭竜が最後の悪あがきに口から闇の波動を出したが、湘の水の守護神の力でかき消された。いすみは体中に黄金の光を放出させ、三叉槍で九頭竜の額を突き刺した。九頭竜王は青年姿に戻った。
「・・・我が息子よ。ワレが禁忌を犯したばかりに申し訳ない・・・」
『海王・・・いすみ・・お・おとお・・さん・・』
九頭竜の青年はいすみに抱かれ、体が小さくなっていき、闇色から白いクリオネに変化した。そして、クリクリは満足そうな笑みを浮かべながら消えていった。同時に水没しかけた小田原の町から海水が引いていった。
ミズチは悔しがる事なく、薄ら笑いを浮かべながら闇の渦の中に消えていった。湘は急ぎ銃弾を放ったが、間に合わなかった。
「く・・・ミズチを逃した。まだ日ノ本を滅ぼす時では無いという余裕か?」
桜龍は聖なる龍の瞳に手を当てながら、予測していた。
「でも、敵も本格的に動き出したという事は・・・もう、決戦の時が近いかもしれない」
桜龍達はミズチや闇の者達の脅威を改めて実感していた。
「いすみ様、ミズチとは海洋族仲間だったのですか?」
「・・ああ。かつては7つの海、北極海を守護する神だった。そして、素質はあったが、7つの海を統べる海王神になれなかった男でもあった・・・」
いすみは自分が生まれながらにして海王神だったことに罪悪感も抱いていた。湘は彼に優しく励ました。
「いすみ様には海王神に選ばれる理由があったのでしょう。だから私は、ミズチの恨みや妬みを撃ち壊します」
その後、氏政と氏直は、天守台から海水が引いていく小田原の町を見続けていた。氏政は決心した顔で息子に告げた。
「氏直・・・もう北条は負けた。私は降伏する」
「父上!!それはなりません。まだ勝機は・・」
「いいや、私が弱かったから、海洋族に頼るしかなかった。その結果、小田原の民を危険な目に遭わせてしまい、北条の武士魂に泥を塗ってしまった・・・」
氏政は最後に息子を抱きしめ、天守台から降伏ののろしを挙げた。そして数日後、氏政は豊臣軍に連行された。
第13話 完