第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
小田原城は巨大な黒いイカに包まれ、邪悪な黒い墨を空高くまき散らし、空全体を暗黒の世界に変えた。さらに、海水が城下や城内に迫って来ていた。豊臣軍も北条軍も大混乱であり、北条の家臣は櫓や天守台まで逃げていった。
「これで豊臣も近づけないな」
不敵な笑みを浮かべている真鶴に、氏政は切羽詰まった表情で反論した。
「真鶴!!これでは小田原が海に沈むではないか!!」
「心配は無用だ。いずれ日ノ本は海に沈み、我が主、『マガツイノカミ』様が暗い海の世界に君臨するのだからな!!」
「何だと・・・貴様は最初からそのつもりで北条を利用したのか!!」
氏政は堪忍袋の緒が切れ、懐に隠していた短刀で勢いよく真鶴の胸を刺したが全く効果がなかった。
「・・無駄な事を。俺は闇の力で蘇った海王神なのだから不死身なのだよ!!」
真鶴は短刀を抜き、刃を割り、さらに軽々と氏政を突き飛ばし、氷の弾を出して凍らせようとした。しかし、突然苦しみ出し、胸を押さえた。そこに息子の氏直が入って来て、銃を構えながら急いで氏政を連れて逃げ出そうとした。
「家臣や民と共にここを逃げましょう父上!!もうこいつは、闇に支配された亡霊です!!」
しかし氏政は首を横に振り、動こうとしなかった。
「氏直、お前は逃げろ・・・『私は真鶴を道連れに自害したと』秀吉に伝えろ」
「何を言っているのですか父上!!父上が居なければ、家臣も民も悲しみます・・・」
「それは、お前が引き継ぐのだ、氏直。お前は私以上にしっかりしている。だから、後は頼んだぞ。愛しい息子よ・・・」
「く・・・父上・・」
氏直は涙をこらえながら、広間を出た。息子を見送った氏政は抜刀し、苦しんでしゃがみ込んでいる真鶴に刀を向けた。真鶴は氏政の息子への思いに感化されたのか、正気に戻りつつあった。
「氏政・・・俺を斬ってくれ。本来北条は三浦一族の敵(かたき)だが、湘を家臣として扱ってくれた・・俺は氏直の言うとおり湘の父ではない闇の亡霊だ・・・」
「真鶴・・・だが、それでは湘が悲しむ。どんな形であれ親子であろう?それに真鶴だって本当は平和な世を築き上げたいと思っていたのではないか?」
氏政は苦しんでいる真鶴に手を差し伸べようとしたが、体内に入るクリクリが闇の力を放ち、氏政を吹き飛ばした。
(真鶴!!さっさと氏政を始末するくり!!)
「嫌・・・だ・・もう俺は、誰からも支配されたくない」
真鶴は必死に抗っていたが、怯んでいる氏政に刀を向け、襲いかかった。
その頃、森精霊と飛天族は小田原の町で水害に遭っている民や兵士達を救助し、ここから北西部の丹沢や足柄などの山岳地帯に避難させていた。白州も黄金色のハネを広げ、急ぎ救出活動を行っていた。
「前回は溶岩攻めで、今回は水攻めかよ!!」
「森や山が海に沈んじゃうじゅらー!!」
飛天族長、蕨も白州達と併走しながら、海水が押し寄せてくる城下町と、小田原城天守閣にくっついている黒いイカを見て驚愕していた。
「・・・あの闇の雲が海水を呼び寄せてんだな。早くしねーと、日ノ本は富士山も残らないぞ」
「富士山が無くなったら甲斐の国がなくなるじゃないか!!」
「富士山よりも高い、空に行かれる木を育てなくっちゃじゅら!!」
じゅら吉達が慌てふためきながら空想を言うと、蕨は苦笑いしながら答えた。
「ははは・・・天に届く木かぁ。おとぎ話みたいだな・・・」
「蕨殿!!急ぎ、洪水被害に遭っている兵士や民達を助けましょう!!」
「おうよ!!精霊戦士の皆、よろしく頼むぜ!!」
森精霊と飛天族は一致団結し救助活動にあたった。
「これで豊臣も近づけないな」
不敵な笑みを浮かべている真鶴に、氏政は切羽詰まった表情で反論した。
「真鶴!!これでは小田原が海に沈むではないか!!」
「心配は無用だ。いずれ日ノ本は海に沈み、我が主、『マガツイノカミ』様が暗い海の世界に君臨するのだからな!!」
「何だと・・・貴様は最初からそのつもりで北条を利用したのか!!」
氏政は堪忍袋の緒が切れ、懐に隠していた短刀で勢いよく真鶴の胸を刺したが全く効果がなかった。
「・・無駄な事を。俺は闇の力で蘇った海王神なのだから不死身なのだよ!!」
真鶴は短刀を抜き、刃を割り、さらに軽々と氏政を突き飛ばし、氷の弾を出して凍らせようとした。しかし、突然苦しみ出し、胸を押さえた。そこに息子の氏直が入って来て、銃を構えながら急いで氏政を連れて逃げ出そうとした。
「家臣や民と共にここを逃げましょう父上!!もうこいつは、闇に支配された亡霊です!!」
しかし氏政は首を横に振り、動こうとしなかった。
「氏直、お前は逃げろ・・・『私は真鶴を道連れに自害したと』秀吉に伝えろ」
「何を言っているのですか父上!!父上が居なければ、家臣も民も悲しみます・・・」
「それは、お前が引き継ぐのだ、氏直。お前は私以上にしっかりしている。だから、後は頼んだぞ。愛しい息子よ・・・」
「く・・・父上・・」
氏直は涙をこらえながら、広間を出た。息子を見送った氏政は抜刀し、苦しんでしゃがみ込んでいる真鶴に刀を向けた。真鶴は氏政の息子への思いに感化されたのか、正気に戻りつつあった。
「氏政・・・俺を斬ってくれ。本来北条は三浦一族の敵(かたき)だが、湘を家臣として扱ってくれた・・俺は氏直の言うとおり湘の父ではない闇の亡霊だ・・・」
「真鶴・・・だが、それでは湘が悲しむ。どんな形であれ親子であろう?それに真鶴だって本当は平和な世を築き上げたいと思っていたのではないか?」
氏政は苦しんでいる真鶴に手を差し伸べようとしたが、体内に入るクリクリが闇の力を放ち、氏政を吹き飛ばした。
(真鶴!!さっさと氏政を始末するくり!!)
「嫌・・・だ・・もう俺は、誰からも支配されたくない」
真鶴は必死に抗っていたが、怯んでいる氏政に刀を向け、襲いかかった。
その頃、森精霊と飛天族は小田原の町で水害に遭っている民や兵士達を救助し、ここから北西部の丹沢や足柄などの山岳地帯に避難させていた。白州も黄金色のハネを広げ、急ぎ救出活動を行っていた。
「前回は溶岩攻めで、今回は水攻めかよ!!」
「森や山が海に沈んじゃうじゅらー!!」
飛天族長、蕨も白州達と併走しながら、海水が押し寄せてくる城下町と、小田原城天守閣にくっついている黒いイカを見て驚愕していた。
「・・・あの闇の雲が海水を呼び寄せてんだな。早くしねーと、日ノ本は富士山も残らないぞ」
「富士山が無くなったら甲斐の国がなくなるじゃないか!!」
「富士山よりも高い、空に行かれる木を育てなくっちゃじゅら!!」
じゅら吉達が慌てふためきながら空想を言うと、蕨は苦笑いしながら答えた。
「ははは・・・天に届く木かぁ。おとぎ話みたいだな・・・」
「蕨殿!!急ぎ、洪水被害に遭っている兵士や民達を助けましょう!!」
「おうよ!!精霊戦士の皆、よろしく頼むぜ!!」
森精霊と飛天族は一致団結し救助活動にあたった。