第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
「では・・母さんは、いすみが連れて来るよう、土竜王に頼んでくれたのか?」
「はい!!和解まではいかなかったですが、ユリ様を会わせる説得は出来ました」
「・・・そんなことしても、今更無駄だ。オレはもう、真鶴について行くと決めた」
「いい加減にするべさ!!あんたは、父ちゃんと一緒で、日ノ本を護る、海洋戦士じゃなかったべさ?」
「母さん・・・」
「おめぇの過ちは、海洋族の寿命からみれば短いべさ。だから、やり直す時間は十分あるべさ」
「母さん・・オレは・・母さんに会いたい為に、いすみに背き、何度も地底世界に行こうとした。だけど、何度試しても駄目だった!!」
亘は再び母を抱きしめた。母は亘の赤い髪を静かに撫でた。
「私も、ずっと会いたかったよー。亘」
「真鶴に王になって欲しい理由は、他種族同士の悲恋から解放されてやりたかったからだ!!」
亘は母を離し、涙を流した。球磨は彼に手拭いを渡し、説得した。
「真鶴と凪沙さん、そして、湘の気持ちを深く理解していたんだな。それなら尚更、真鶴の野望を止め、裏で操ってる悪の根源を成敗しに行こうぜ!!」
球磨は笑顔で手を差し伸べると、亘は涙を止め、そうだなと返答し、球磨の手を握り返した。その時、後ろからモトスと千里の声が聞こえた。
「球磨、亘!!無事か!!」
モトスは周りにミズチが居ないか確認しながら、2人の元に駆けつけた。
「モトスの旦那に千里にお都留さん!!五十鈴とアナンに勝ったのか!!」
球磨が喜んでいると、千里の手のひらに乗っている小ウミガメとタツノオトシゴが怒った。
「おい!!暴れ牛、亘に勝ったからって調子に乗んな!!」
「僕達は、ミズチに海洋生物にされちゃったよぉー。亘は無事で良かった」
「お前達!?何があった・・・?常葉達もいるし、説明してくれないか?」
亘は千里から2人を受け取り、大きい手のひらに乗せた。五十鈴はこれまでの経緯を説明した。
「・・・真鶴を陰で操っていた者が居たか。拙者は、真鶴の意思に従っていたから、そこまで気にかけていなかったな」
「闇クリオネが魔改造戦士共の仲間だとは思わなかったぜ・・」
「それにしても、亘はミズチに何もされてなくて良かったよ」
「・・拙者は真鶴に深く忠誠を誓っていたから、まだ利用価値があると判断していたのかな?」
「亘の場合、忠誠よりも信頼だろ。もちろん、アナンと五十鈴も真鶴を信頼していただろ」
「拙者は、真鶴を闇から救ってやりたい。お前達の力を奪ったミズチも許せん。球磨、皆の者、俺達に協力してはくれぬか?」
亘は球磨にお辞儀をし頼んだ。
「俺達も、お前らの力を借りたい。アナンと五十鈴だって元の姿に戻れるさ!!」
球磨は亘に握手を求め、互いに手を握った。ユリは亘の大きな体にピョンと飛びついた。
「亘・・立派になったべ、お前さんは。球磨さん、皆さん、亘は融通が気がねぇかもしれねーが、昔から優しい子だべ」
「か!?母さん・・・」
亘は照れながら、小さい母を抱きしめた。
その後、ユリは亘と会い説得する事が目的だったので、お都留と駆けつけた精霊戦士が、東北の土竜族の国まで送る事となった。
「お都留、皆、ユリ殿をよろしく頼む」
「了解しました。モトスさんも、皆さんもお気をつけて。健闘を祈っています」
「亘、しっかりと役目を努めるべさ」
「母さん!!わ・・分かっとるべさ!!」
亘は照れながら母に言うと、皆はほっこりとした顔で笑っていた。お都留はユリを抱き抱え、精霊戦士と共に、東北まで連れ帰った。一行は、精霊戦士の姿が見えなくなったと同時に、亘は皆に海底に行かれる術を掛けた。
その頃、海洋族の宮殿の書庫で、仁摩は多くの本に目を通していた。
「早く凪沙さんの眠りを解く方法を探さないと」
仁摩が急ぎ読んでいると、部屋の中に彼女の世話をしている女人魚が入って来た。
「凪沙様を助ける宝具が、宝物館にあるわ。付いてきて」
仁摩は嘘か真が疑ったが、手の甲に青い光が現れたので、付いていく事にした。
宝物館と言われた部屋には何も置いておらず、大理石の壁に囲まれた個室だった。
「何も無いわね・・・」
仁摩はどういうつもり?と問いただそうとした時、彼女は世話係に抑えられ、術で眠らされてしまった。その時、部屋の下から数人の海洋戦士が姿を表した。世話係は彼らに命じ、直ぐに部屋を出た。
「もう直ぐ時間だから、後は頼んだよ」
海洋戦士は頷き、仁摩を何処かに連れて行った。
第10話 完
「はい!!和解まではいかなかったですが、ユリ様を会わせる説得は出来ました」
「・・・そんなことしても、今更無駄だ。オレはもう、真鶴について行くと決めた」
「いい加減にするべさ!!あんたは、父ちゃんと一緒で、日ノ本を護る、海洋戦士じゃなかったべさ?」
「母さん・・・」
「おめぇの過ちは、海洋族の寿命からみれば短いべさ。だから、やり直す時間は十分あるべさ」
「母さん・・オレは・・母さんに会いたい為に、いすみに背き、何度も地底世界に行こうとした。だけど、何度試しても駄目だった!!」
亘は再び母を抱きしめた。母は亘の赤い髪を静かに撫でた。
「私も、ずっと会いたかったよー。亘」
「真鶴に王になって欲しい理由は、他種族同士の悲恋から解放されてやりたかったからだ!!」
亘は母を離し、涙を流した。球磨は彼に手拭いを渡し、説得した。
「真鶴と凪沙さん、そして、湘の気持ちを深く理解していたんだな。それなら尚更、真鶴の野望を止め、裏で操ってる悪の根源を成敗しに行こうぜ!!」
球磨は笑顔で手を差し伸べると、亘は涙を止め、そうだなと返答し、球磨の手を握り返した。その時、後ろからモトスと千里の声が聞こえた。
「球磨、亘!!無事か!!」
モトスは周りにミズチが居ないか確認しながら、2人の元に駆けつけた。
「モトスの旦那に千里にお都留さん!!五十鈴とアナンに勝ったのか!!」
球磨が喜んでいると、千里の手のひらに乗っている小ウミガメとタツノオトシゴが怒った。
「おい!!暴れ牛、亘に勝ったからって調子に乗んな!!」
「僕達は、ミズチに海洋生物にされちゃったよぉー。亘は無事で良かった」
「お前達!?何があった・・・?常葉達もいるし、説明してくれないか?」
亘は千里から2人を受け取り、大きい手のひらに乗せた。五十鈴はこれまでの経緯を説明した。
「・・・真鶴を陰で操っていた者が居たか。拙者は、真鶴の意思に従っていたから、そこまで気にかけていなかったな」
「闇クリオネが魔改造戦士共の仲間だとは思わなかったぜ・・」
「それにしても、亘はミズチに何もされてなくて良かったよ」
「・・拙者は真鶴に深く忠誠を誓っていたから、まだ利用価値があると判断していたのかな?」
「亘の場合、忠誠よりも信頼だろ。もちろん、アナンと五十鈴も真鶴を信頼していただろ」
「拙者は、真鶴を闇から救ってやりたい。お前達の力を奪ったミズチも許せん。球磨、皆の者、俺達に協力してはくれぬか?」
亘は球磨にお辞儀をし頼んだ。
「俺達も、お前らの力を借りたい。アナンと五十鈴だって元の姿に戻れるさ!!」
球磨は亘に握手を求め、互いに手を握った。ユリは亘の大きな体にピョンと飛びついた。
「亘・・立派になったべ、お前さんは。球磨さん、皆さん、亘は融通が気がねぇかもしれねーが、昔から優しい子だべ」
「か!?母さん・・・」
亘は照れながら、小さい母を抱きしめた。
その後、ユリは亘と会い説得する事が目的だったので、お都留と駆けつけた精霊戦士が、東北の土竜族の国まで送る事となった。
「お都留、皆、ユリ殿をよろしく頼む」
「了解しました。モトスさんも、皆さんもお気をつけて。健闘を祈っています」
「亘、しっかりと役目を努めるべさ」
「母さん!!わ・・分かっとるべさ!!」
亘は照れながら母に言うと、皆はほっこりとした顔で笑っていた。お都留はユリを抱き抱え、精霊戦士と共に、東北まで連れ帰った。一行は、精霊戦士の姿が見えなくなったと同時に、亘は皆に海底に行かれる術を掛けた。
その頃、海洋族の宮殿の書庫で、仁摩は多くの本に目を通していた。
「早く凪沙さんの眠りを解く方法を探さないと」
仁摩が急ぎ読んでいると、部屋の中に彼女の世話をしている女人魚が入って来た。
「凪沙様を助ける宝具が、宝物館にあるわ。付いてきて」
仁摩は嘘か真が疑ったが、手の甲に青い光が現れたので、付いていく事にした。
宝物館と言われた部屋には何も置いておらず、大理石の壁に囲まれた個室だった。
「何も無いわね・・・」
仁摩はどういうつもり?と問いただそうとした時、彼女は世話係に抑えられ、術で眠らされてしまった。その時、部屋の下から数人の海洋戦士が姿を表した。世話係は彼らに命じ、直ぐに部屋を出た。
「もう直ぐ時間だから、後は頼んだよ」
海洋戦士は頷き、仁摩を何処かに連れて行った。
第10話 完