第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
桜龍達が小田原を出る前の話。いすみは常葉に重大な任務を命じた。
「正直、私では相手にされるか分からないですが、誠心誠意を尽くし、説得してみせます!!」
常葉は意気込み、いすみからの任務を受け入れた。
「本当はワレが直接行って、奴と話し合わなければならんが、今は真鶴の野望を阻止しなければな」
「いすみ様は、桜龍達と行ってきてください。私も早く説得できるよう努めます」
常葉は笑顔でいすみの命を受け、夜にこっそりと石垣山城を出て、丹沢から武蔵国を越え、北へ向かおうとした。すると、土塀を超えた所で、見回りをしていた千里に声をかけられた。
「常葉さん、彼らに会いに行くのですね」
「やはり、千里はお見通しでしたか。成功するか分からないですが、いすみ様に頼まれました」
千里はいすみと常葉の目的を察していたので、これ以上何も言わなかった。
「千里は、アナンと戦うのですね」
「はい。彼もそのつもりでしょう」
「アナンは貴方や人造戦士を超えようとしています。今回は本気で挑んでくるでしょう」
「僕も、本気のアナンと戦う覚悟です。それに、アナンに勝てなければ、あの者達に勝てない・・・」
常葉は、千里にも深い事情があると感じ取った。すると、蕨が白い羽根を閉じながら、月夜の空から舞い降りてきた。
「俺も行くよ~常葉。あの頑固者相手には、俺の説得も必要だからさ」
「蕨殿!!共に来てくださるのですか?」
「ああ。だから千里はアナン坊やと心置きなく決着をつけるんだぞ」
蕨は陽気な顔で千里に言った。
「それに、この戦が終わった後、北方で胸騒ぎがするんだ・・・。その前に、また力を合わせて戦わないかと頼まねーとな」
「・・・そうですね」
千里は分かっていた。自分が今まで勝てなかった強敵との決戦も近いと。このままでは日ノ本の終焉の日が近い事も。
「アナンが味方になってくれれば頼もしいんだけどねぇ〜。いすみちゃんだって、昔と比べて大分変わったんだから、その辺考え直して欲しいよな」
蕨は愚痴をこぼすと、千里は微かに笑い、常葉はため息をつき呆れていた。
「アナンも頑固者ですからね・・・では、そろそろ行きましょうか、蕨殿。千里もご武運を」
常葉と蕨は夜の石垣山城を後にした。
ところ変わり、アナンは日が昇った阿波の祖谷の里で、崖に置いてある墓にキキョウを添えた。
「お前の母、徳子が好きだった花だ。天国で家族と末永く仲良くな!!」
アナンはまぶたを閉じ、平家で過ごした過去と、源氏や魔改造戦士に負けた悔しさを胸に、墓標に手を合わせた。
「俺は種族と身分の違いで、高倉亡き後も、あんたらと家族にはなれなかったが、一緒にいられて嬉しかったぜ」
アナンは徳子の夫、高倉天皇が病死する前に、徳子と安徳を頼むと託された。しかし、アナンは『護ることは出来ても、父親はあんただよ』と断った。
「俺は元来、海洋族のはぐれ者だ。所帯を持つなんぞ柄でもねぇ。それに、これから決闘が控えているからな」
アナンは、大歩危渓谷を抜け、瀬戸内海から凄まじい速さで相模湾まで泳いだ。
「正直、私では相手にされるか分からないですが、誠心誠意を尽くし、説得してみせます!!」
常葉は意気込み、いすみからの任務を受け入れた。
「本当はワレが直接行って、奴と話し合わなければならんが、今は真鶴の野望を阻止しなければな」
「いすみ様は、桜龍達と行ってきてください。私も早く説得できるよう努めます」
常葉は笑顔でいすみの命を受け、夜にこっそりと石垣山城を出て、丹沢から武蔵国を越え、北へ向かおうとした。すると、土塀を超えた所で、見回りをしていた千里に声をかけられた。
「常葉さん、彼らに会いに行くのですね」
「やはり、千里はお見通しでしたか。成功するか分からないですが、いすみ様に頼まれました」
千里はいすみと常葉の目的を察していたので、これ以上何も言わなかった。
「千里は、アナンと戦うのですね」
「はい。彼もそのつもりでしょう」
「アナンは貴方や人造戦士を超えようとしています。今回は本気で挑んでくるでしょう」
「僕も、本気のアナンと戦う覚悟です。それに、アナンに勝てなければ、あの者達に勝てない・・・」
常葉は、千里にも深い事情があると感じ取った。すると、蕨が白い羽根を閉じながら、月夜の空から舞い降りてきた。
「俺も行くよ~常葉。あの頑固者相手には、俺の説得も必要だからさ」
「蕨殿!!共に来てくださるのですか?」
「ああ。だから千里はアナン坊やと心置きなく決着をつけるんだぞ」
蕨は陽気な顔で千里に言った。
「それに、この戦が終わった後、北方で胸騒ぎがするんだ・・・。その前に、また力を合わせて戦わないかと頼まねーとな」
「・・・そうですね」
千里は分かっていた。自分が今まで勝てなかった強敵との決戦も近いと。このままでは日ノ本の終焉の日が近い事も。
「アナンが味方になってくれれば頼もしいんだけどねぇ〜。いすみちゃんだって、昔と比べて大分変わったんだから、その辺考え直して欲しいよな」
蕨は愚痴をこぼすと、千里は微かに笑い、常葉はため息をつき呆れていた。
「アナンも頑固者ですからね・・・では、そろそろ行きましょうか、蕨殿。千里もご武運を」
常葉と蕨は夜の石垣山城を後にした。
ところ変わり、アナンは日が昇った阿波の祖谷の里で、崖に置いてある墓にキキョウを添えた。
「お前の母、徳子が好きだった花だ。天国で家族と末永く仲良くな!!」
アナンはまぶたを閉じ、平家で過ごした過去と、源氏や魔改造戦士に負けた悔しさを胸に、墓標に手を合わせた。
「俺は種族と身分の違いで、高倉亡き後も、あんたらと家族にはなれなかったが、一緒にいられて嬉しかったぜ」
アナンは徳子の夫、高倉天皇が病死する前に、徳子と安徳を頼むと託された。しかし、アナンは『護ることは出来ても、父親はあんただよ』と断った。
「俺は元来、海洋族のはぐれ者だ。所帯を持つなんぞ柄でもねぇ。それに、これから決闘が控えているからな」
アナンは、大歩危渓谷を抜け、瀬戸内海から凄まじい速さで相模湾まで泳いだ。