第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
その後も、モトスは早川から海に出て、海岸線を飛んで五十鈴を追いかけていた。
「く・・海に行かれては不利だな・・」
モトスは翡翠のハネを羽ばたかせ、お都留を取り戻そうと、必死に五十鈴を追いかけた。
「しつこいねぇー君。ボクは男に追いかけられるのは嫌いなんでね」
五十鈴は振り向き、杖を手に持ち術を唱えた。すると大量のナマコが現れ、モトスのハネや体にまとわりついた。
「く・・・この巨大なナメクジは何なのだ!!」
モトスはナマコに飛ぶのを妨げられ、降下してしまった。
「森精霊はナマコを知らないのかい?まぁいいや。セニョリータ、あんなの放っておいてバカンス楽しもう🎵」
「真面目で誠実なモトスさんをバカとは無礼な!!」
バカンスの意味を知らない、お都留は五十鈴を怒った。
「怒った顔も可愛いよ、セニョリータ。彼の事好きだろうけど、直ぐボクにときめいてしまうよ」
五十鈴はじたばたしているお都留に顔を近づけた時、モトスは体を旋回させ、ナマコを吹き飛ばした。すると、五十鈴の顔にナマコが当たった。
「お都留に手を出すな!!」
「しょうがないなぁ、セニョリータお都留をめぐって、決着といこうか。」
五十鈴は本気の顔になり、広い砂浜が続く大磯海岸へ下降した。
五十鈴はお都留を泡の中に閉じこめ、モトスと決着をつけようとした。
「さぁ、どちらがセニョリータの夫にふさわしいか勝負しようか」
五十鈴はキザったらしい口調で、モトスを挑発した。一方モトスは、相手が誰であれ真剣勝負に出ようとしていた。
「ああ、受けて立つ!!お都留は返してもらう」
モトスは双曲刀を構え、素早い動きで五十鈴を翻弄した。五十鈴は本気のモトスに慌てふためいていた。
「ちょ!!待ちたまえ!!セニョール・・・前よりも動きが速くなっているではないかい?」
しかし、五十鈴は表情とは裏腹に、軽快に避けている。
「貴様こそ、忍びの技を避け切るとは、忍びの心得でもあるのか?」
「少し伊賀忍に教えてもらっただけだよ🎵主に料亭の代金払えなかった時の逃げ足だけどね〜」
「食い逃げを習うために修行したのか貴様!!忍びの術を悪用するでない!!」
五十鈴は間合いを取り、素早く杖を向け、黒い小さな棘玉を繰り出した。モトスは、曲刀で切り倒したが、チクリと刺さってしまった。
「栗を・・食べ物を武器にするな!!」
「え!?これはウニなんだけど・・・」
モトスのズレた怒りの発言に、五十鈴は唖然とした。
「貴様は他種族を海洋生物にして何を企んでいるのだ。まさか、支配するのか?」
モトスはカマイタチを放ちながら、結界で防御している五十鈴に問うた。
「支配ではないね。共存だよ」
「共存?だと・・・」
「逆に、セニョールに聞くよ。君は日ノ本を戦の無い世界にしたいと思わない?」
五十鈴は急に深刻な顔になり、モトスに問うた。
「戦は犠牲者がたくさん出る。人やあらゆる生物、環境も傷つく。だから、皆が海洋族になって、海の世界に暮らせば平和な世界になる」
モトスは、五十鈴のヒトデ手裏剣の反撃を避けながら、彼の考えを分析していた。
「お前は過去に何かあったのか?」
「ボクの過去に興味があるのかい?それは、ボクに勝って、お都留ちゃんを取り戻せたら教えるよ!!」
五十鈴は砂浜に術を放つと、巨大な珊瑚がモトスを捕らえた。
「く・・・離せ!!」
「君だって、戦でお都留ちゃんと死別したくないだろう?なら、君も戦うのを放棄して、海の世界で楽しく暮らさないかい?」
五十鈴は珊瑚に捕えられているモトスに術を放った。淡い光を向けられたモトスの体は変化し、翡翠のハネが消え、代わりに側頭部にヒレと、人魚の足が現れ、種族を変えられそうになった。
「く・・・俺達、森精霊は大自然の守護者。水中で生きる訳にはいかぬぞ!!」
「強がりを言っていられるのも何時までかなー。ボクの術は強力だ。直ぐに生態系が変わるよ~」
お都留は必死にモトスに声を掛けた。
「モトスさん!!森精霊の力を信じてください!!誇り高き大自然を守護する一族の力を!!」
お都留の瑠璃色の瞳が光ると同時に、モトスの翡翠の瞳も光った。そして、モトスの体から巨大な翡翠のハネが現れ、巻き付いている珊瑚を打ち消した。ヒレも人魚の尾も消え、元の姿に戻った。五十鈴は目を丸くしながらモトスの金色に輝く鱗粉とハネを見て思っていた。
「ボクの強大な術を打ち消したとは・・・君はまさか・・・」
(森精霊の力を超えた・・・森羅万象の精霊王・・・?)
五十鈴は我に返り、お都留の方を見ると、いつの間にか彼女の姿も元に戻っており、瑠璃色のハネを広げ、五十鈴に剣を向けていた。
「私達、森精霊は海洋生物などにはなりません」
「ああ。どんな強力な生態系を変える術でも、我々の強い志で直ぐ元に戻るぞ!!」
モトスとお都留は悔しがっている五十鈴を見据えていると、心の中から白州達の声が聞こえた。
『モトス!!お都留!!森精霊の皆も、種族の力を念に込めて、元の姿に戻ったぜ!!見事に、イソギンチャクの怪物とやらも倒したし、海洋生物にされた者も自然の力で元に戻せたぜ。これで、豊臣の皆が早川を渡って北条を攻めることが出来るようになったぞ!!』
『ちょっぴりだけ、人魚になったら海の世界を探検してみたかったけど、やっぱり森精霊が1番じゅら!!』
『イソギンチャクは食べられるじゅら?』
じゅら吉達、小精霊の元気な声も聞こえて、2人はホッとした。
「ということだ。森精霊と自然の力を甘く見るな。もうお前に勝ち目は無い。これ以上、真鶴に加担し悪事を働くのは止めるのだ」
「・・・悪事では無いよ!!ボクは、ありとあらゆる種族や動物を海洋生物にして、日ノ本・・いいやこの世界が、海の中に沈んでも、平和に暮らせるようにしたいだけだ!!・・・かつて、ボクが助けられなかった、島の人間達に償うために!!」
五十鈴は再び海洋生物にする術をモトスに繰り出した。しかし、モトスに当たっても、術は全く効いてない。
「島の人間達はまさか、海の中に飲み込まれて命を落としたのか!?」
モトスは緊迫した顔で、五十鈴に問うた。
「く・・海に行かれては不利だな・・」
モトスは翡翠のハネを羽ばたかせ、お都留を取り戻そうと、必死に五十鈴を追いかけた。
「しつこいねぇー君。ボクは男に追いかけられるのは嫌いなんでね」
五十鈴は振り向き、杖を手に持ち術を唱えた。すると大量のナマコが現れ、モトスのハネや体にまとわりついた。
「く・・・この巨大なナメクジは何なのだ!!」
モトスはナマコに飛ぶのを妨げられ、降下してしまった。
「森精霊はナマコを知らないのかい?まぁいいや。セニョリータ、あんなの放っておいてバカンス楽しもう🎵」
「真面目で誠実なモトスさんをバカとは無礼な!!」
バカンスの意味を知らない、お都留は五十鈴を怒った。
「怒った顔も可愛いよ、セニョリータ。彼の事好きだろうけど、直ぐボクにときめいてしまうよ」
五十鈴はじたばたしているお都留に顔を近づけた時、モトスは体を旋回させ、ナマコを吹き飛ばした。すると、五十鈴の顔にナマコが当たった。
「お都留に手を出すな!!」
「しょうがないなぁ、セニョリータお都留をめぐって、決着といこうか。」
五十鈴は本気の顔になり、広い砂浜が続く大磯海岸へ下降した。
五十鈴はお都留を泡の中に閉じこめ、モトスと決着をつけようとした。
「さぁ、どちらがセニョリータの夫にふさわしいか勝負しようか」
五十鈴はキザったらしい口調で、モトスを挑発した。一方モトスは、相手が誰であれ真剣勝負に出ようとしていた。
「ああ、受けて立つ!!お都留は返してもらう」
モトスは双曲刀を構え、素早い動きで五十鈴を翻弄した。五十鈴は本気のモトスに慌てふためいていた。
「ちょ!!待ちたまえ!!セニョール・・・前よりも動きが速くなっているではないかい?」
しかし、五十鈴は表情とは裏腹に、軽快に避けている。
「貴様こそ、忍びの技を避け切るとは、忍びの心得でもあるのか?」
「少し伊賀忍に教えてもらっただけだよ🎵主に料亭の代金払えなかった時の逃げ足だけどね〜」
「食い逃げを習うために修行したのか貴様!!忍びの術を悪用するでない!!」
五十鈴は間合いを取り、素早く杖を向け、黒い小さな棘玉を繰り出した。モトスは、曲刀で切り倒したが、チクリと刺さってしまった。
「栗を・・食べ物を武器にするな!!」
「え!?これはウニなんだけど・・・」
モトスのズレた怒りの発言に、五十鈴は唖然とした。
「貴様は他種族を海洋生物にして何を企んでいるのだ。まさか、支配するのか?」
モトスはカマイタチを放ちながら、結界で防御している五十鈴に問うた。
「支配ではないね。共存だよ」
「共存?だと・・・」
「逆に、セニョールに聞くよ。君は日ノ本を戦の無い世界にしたいと思わない?」
五十鈴は急に深刻な顔になり、モトスに問うた。
「戦は犠牲者がたくさん出る。人やあらゆる生物、環境も傷つく。だから、皆が海洋族になって、海の世界に暮らせば平和な世界になる」
モトスは、五十鈴のヒトデ手裏剣の反撃を避けながら、彼の考えを分析していた。
「お前は過去に何かあったのか?」
「ボクの過去に興味があるのかい?それは、ボクに勝って、お都留ちゃんを取り戻せたら教えるよ!!」
五十鈴は砂浜に術を放つと、巨大な珊瑚がモトスを捕らえた。
「く・・・離せ!!」
「君だって、戦でお都留ちゃんと死別したくないだろう?なら、君も戦うのを放棄して、海の世界で楽しく暮らさないかい?」
五十鈴は珊瑚に捕えられているモトスに術を放った。淡い光を向けられたモトスの体は変化し、翡翠のハネが消え、代わりに側頭部にヒレと、人魚の足が現れ、種族を変えられそうになった。
「く・・・俺達、森精霊は大自然の守護者。水中で生きる訳にはいかぬぞ!!」
「強がりを言っていられるのも何時までかなー。ボクの術は強力だ。直ぐに生態系が変わるよ~」
お都留は必死にモトスに声を掛けた。
「モトスさん!!森精霊の力を信じてください!!誇り高き大自然を守護する一族の力を!!」
お都留の瑠璃色の瞳が光ると同時に、モトスの翡翠の瞳も光った。そして、モトスの体から巨大な翡翠のハネが現れ、巻き付いている珊瑚を打ち消した。ヒレも人魚の尾も消え、元の姿に戻った。五十鈴は目を丸くしながらモトスの金色に輝く鱗粉とハネを見て思っていた。
「ボクの強大な術を打ち消したとは・・・君はまさか・・・」
(森精霊の力を超えた・・・森羅万象の精霊王・・・?)
五十鈴は我に返り、お都留の方を見ると、いつの間にか彼女の姿も元に戻っており、瑠璃色のハネを広げ、五十鈴に剣を向けていた。
「私達、森精霊は海洋生物などにはなりません」
「ああ。どんな強力な生態系を変える術でも、我々の強い志で直ぐ元に戻るぞ!!」
モトスとお都留は悔しがっている五十鈴を見据えていると、心の中から白州達の声が聞こえた。
『モトス!!お都留!!森精霊の皆も、種族の力を念に込めて、元の姿に戻ったぜ!!見事に、イソギンチャクの怪物とやらも倒したし、海洋生物にされた者も自然の力で元に戻せたぜ。これで、豊臣の皆が早川を渡って北条を攻めることが出来るようになったぞ!!』
『ちょっぴりだけ、人魚になったら海の世界を探検してみたかったけど、やっぱり森精霊が1番じゅら!!』
『イソギンチャクは食べられるじゅら?』
じゅら吉達、小精霊の元気な声も聞こえて、2人はホッとした。
「ということだ。森精霊と自然の力を甘く見るな。もうお前に勝ち目は無い。これ以上、真鶴に加担し悪事を働くのは止めるのだ」
「・・・悪事では無いよ!!ボクは、ありとあらゆる種族や動物を海洋生物にして、日ノ本・・いいやこの世界が、海の中に沈んでも、平和に暮らせるようにしたいだけだ!!・・・かつて、ボクが助けられなかった、島の人間達に償うために!!」
五十鈴は再び海洋生物にする術をモトスに繰り出した。しかし、モトスに当たっても、術は全く効いてない。
「島の人間達はまさか、海の中に飲み込まれて命を落としたのか!?」
モトスは緊迫した顔で、五十鈴に問うた。