番外編 桜龍の話 小さき聖龍は出雲へ旅立つ
数日後、桜龍は輝政及び、便乗してサボった子の分も掃除していた。
「ったくよ・・・あいつらは雑巾がけも池の掃除もしたことがねーのかよ」
桜龍は大社内の池の周りを掃除をしていた。池は透明感がある美しさと、夏に咲く蓮の花で、緑と桃色に染まっていた。
「桜も好きだけど、蓮も初めて見ると綺麗だなぁー」
桜龍が蓮をまじまじと見ていると、後ろから3歳位の幼女がトコトコと駆けてきた。
「すごい!!蓮のお花が沢山咲いている!!」
「仁摩様!!そんなに急ぐと池に落ちてしまいますよ!!」
巫女達が幼女を追いかけているのを見ると、桜龍は大神官の幼子だと分かった。桜龍は仁摩を軽く抱っこし、丁度良い高さに蓮畑を見せた。
「ほーら、この高さだと遠くの蓮まで見えるでしょう♪」
「ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんの名前なんて言うの?」
「俺は桜に龍って書いて、桜龍って言うんだ。遠い隠岐の島から出雲大社に来たんだぜ」
「桜龍は遠くから来たんだね。あたしの名前は仁摩(にま)。父上は大神官なんだよー♪ところで、お兄ちゃん、何で片っぽの目を隠しているの?」
仁摩は桜龍の左目の眼帯に手を伸ばそうとした時、桜龍は少し戸惑った。その時、侍女の巫女達が仁摩の元にたどり着き桜龍に礼を言った。
「桜龍が面倒を見ていてくれたのね。仁摩様のお転婆には毎回ハラハラさせられますわ」
「元気なのは良いことですよ。仁摩殿も蓮畑を見られてご満悦みたいです」
「それは良かったですね、仁摩様。ですが、舞と尺八の稽古を抜け出してはいけませんよ」
「うう・・・ごめんなさい。それじゃあ、桜龍、またあたしと遊ぼうね♪」
「おうよ!!お稽古が終わったら、また遊ぼうぜ🎵」
桜龍は軽い口調で返答したので、神官から『無礼であるぞ』と注意を受け、下を向いた。
桜龍は夕方に雑務を終え、出雲大社近くにある、日御碕(ひのみさき)で木刀を構え、剣の稽古をしていた。
「掃除だけじゃなく、剣の修行もしないとな!!」
桜龍が夕日に向かって剣さばきを繰り出していると、黒い影が近づいてくるのを感じ取った。
「何奴!!」
桜龍は即座に振り向き、木刀を向けると、紺の着物と灰色の袴を着た黒髪の男が目の前に立っていた。桜龍は男の姿をじっくり見つめると、漆黒の瞳の中に一点の光を感じ取った。
(このおっちゃん、姿は違っても、聖龍王の雰囲気を漂わせるような・・・)
桜龍は首を傾げ、思いを巡らせていると、男は優しく笑いかけ、少年の頭に手を置いた。
「いつもここで修行をしているのか?太刀筋は力みすぎているが、成長すれば立派な剣豪になれる」
「よく見てくれてありがとうございます。私は出雲で神官修行をしている桜龍です」
桜龍が元気に自己紹介すると、男も朗らかな表情で紹介した。
「俺は『ミコト』。放浪の旅をしているが、今しばらくここで剣の修行をしている。」
「この戦国乱世の中、旅をするのは凄いですねー。そうだ!!もし、時間があれば、俺に剣術を教えて欲しいのですが、駄目でしょうか?」
桜龍は頭を下げ、懇願した。ミコトは頭を上げろと、彼のおでこを優しく上げた時、眼帯に隠された左目の瞳が輝いたのを見て、フッと笑いながら頷いた。
「君の瞳を見て、強くなりたいという意志が伝わったよ。俺もこの地に長居はしないが、できる限り君に剣術を教えるよ。・・・・君には強くなって貰いたいから」
桜龍は彼が最後に囁いた言葉の意味を尋ねたが、上手くはぐらかされた。
「この乱世、出雲大社も戦場になるか分からんからな、君には神官侍として強くなって欲しいと思っただけだ!!さぁ、早速稽古に励むぞ」
桜龍はお辞儀をし、夕日を背に木刀を構えた。ミコトは夕映えに照らされた少年を見て、凜々しいなと感心していた。
「いつでも掛かってこい。修行する気があるなら、夕方、この岬で待ってるぞ」
「よろしくお願いします!!ミコトさん!!!」
小さい桜龍は勇ましく、ミコトの木刀に太刀筋を当てた。
「ったくよ・・・あいつらは雑巾がけも池の掃除もしたことがねーのかよ」
桜龍は大社内の池の周りを掃除をしていた。池は透明感がある美しさと、夏に咲く蓮の花で、緑と桃色に染まっていた。
「桜も好きだけど、蓮も初めて見ると綺麗だなぁー」
桜龍が蓮をまじまじと見ていると、後ろから3歳位の幼女がトコトコと駆けてきた。
「すごい!!蓮のお花が沢山咲いている!!」
「仁摩様!!そんなに急ぐと池に落ちてしまいますよ!!」
巫女達が幼女を追いかけているのを見ると、桜龍は大神官の幼子だと分かった。桜龍は仁摩を軽く抱っこし、丁度良い高さに蓮畑を見せた。
「ほーら、この高さだと遠くの蓮まで見えるでしょう♪」
「ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんの名前なんて言うの?」
「俺は桜に龍って書いて、桜龍って言うんだ。遠い隠岐の島から出雲大社に来たんだぜ」
「桜龍は遠くから来たんだね。あたしの名前は仁摩(にま)。父上は大神官なんだよー♪ところで、お兄ちゃん、何で片っぽの目を隠しているの?」
仁摩は桜龍の左目の眼帯に手を伸ばそうとした時、桜龍は少し戸惑った。その時、侍女の巫女達が仁摩の元にたどり着き桜龍に礼を言った。
「桜龍が面倒を見ていてくれたのね。仁摩様のお転婆には毎回ハラハラさせられますわ」
「元気なのは良いことですよ。仁摩殿も蓮畑を見られてご満悦みたいです」
「それは良かったですね、仁摩様。ですが、舞と尺八の稽古を抜け出してはいけませんよ」
「うう・・・ごめんなさい。それじゃあ、桜龍、またあたしと遊ぼうね♪」
「おうよ!!お稽古が終わったら、また遊ぼうぜ🎵」
桜龍は軽い口調で返答したので、神官から『無礼であるぞ』と注意を受け、下を向いた。
桜龍は夕方に雑務を終え、出雲大社近くにある、日御碕(ひのみさき)で木刀を構え、剣の稽古をしていた。
「掃除だけじゃなく、剣の修行もしないとな!!」
桜龍が夕日に向かって剣さばきを繰り出していると、黒い影が近づいてくるのを感じ取った。
「何奴!!」
桜龍は即座に振り向き、木刀を向けると、紺の着物と灰色の袴を着た黒髪の男が目の前に立っていた。桜龍は男の姿をじっくり見つめると、漆黒の瞳の中に一点の光を感じ取った。
(このおっちゃん、姿は違っても、聖龍王の雰囲気を漂わせるような・・・)
桜龍は首を傾げ、思いを巡らせていると、男は優しく笑いかけ、少年の頭に手を置いた。
「いつもここで修行をしているのか?太刀筋は力みすぎているが、成長すれば立派な剣豪になれる」
「よく見てくれてありがとうございます。私は出雲で神官修行をしている桜龍です」
桜龍が元気に自己紹介すると、男も朗らかな表情で紹介した。
「俺は『ミコト』。放浪の旅をしているが、今しばらくここで剣の修行をしている。」
「この戦国乱世の中、旅をするのは凄いですねー。そうだ!!もし、時間があれば、俺に剣術を教えて欲しいのですが、駄目でしょうか?」
桜龍は頭を下げ、懇願した。ミコトは頭を上げろと、彼のおでこを優しく上げた時、眼帯に隠された左目の瞳が輝いたのを見て、フッと笑いながら頷いた。
「君の瞳を見て、強くなりたいという意志が伝わったよ。俺もこの地に長居はしないが、できる限り君に剣術を教えるよ。・・・・君には強くなって貰いたいから」
桜龍は彼が最後に囁いた言葉の意味を尋ねたが、上手くはぐらかされた。
「この乱世、出雲大社も戦場になるか分からんからな、君には神官侍として強くなって欲しいと思っただけだ!!さぁ、早速稽古に励むぞ」
桜龍はお辞儀をし、夕日を背に木刀を構えた。ミコトは夕映えに照らされた少年を見て、凜々しいなと感心していた。
「いつでも掛かってこい。修行する気があるなら、夕方、この岬で待ってるぞ」
「よろしくお願いします!!ミコトさん!!!」
小さい桜龍は勇ましく、ミコトの木刀に太刀筋を当てた。