このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第3章 異説小田原征伐  蘇りし海の亡霊と海神伝説

「悪事はそこまでだぜ!!海産物を戦いの武器にするんじゃねーよ!!」
声の主は、球磨であり、仁摩達を護るように立ちはだかった。五十鈴は『そんなバカな!!』と仰天した顔をし、その隙に球磨は火炎弾を連射し、怪物を聖なる炎で包み、元のワカメに戻した。モトスを捕らえていたワカメも、炎で焼かれ、自由に動けるようになった。モトスはハネを出現させ、西洋鎧の大男の隣に立った。
「久しぶりだな、球磨。亘という海洋族と戦ったそうだが、無事で良かったぞ」
「奴に負けちまったけど、次会った時には勝ってやるぜ!!それにしても、このキザったらしい奴も追放者とやらなのか?」
「ああ。それともう一人アナンとかいう輩が、上州で千里と戦ったみたいだ。千里でも決着が付かなかった位だ。そうとう手強いぞ・・・」
「突然炎を出して危ないじゃないか!!君はセニョール達のアミーゴーかい?」
五十鈴が呆気にとられながら尋ねたが、桜龍の再開の言葉に遮られ無視された。
「会いたかったぜ、球磨ちゃん!!箱根に来ていたんだな」
「桜龍も相変わらず元気そうで何よりだ。ところで、この者達はもしかして」
球磨はいすみの威厳さと神々しさを見たとき、海王神ではないかと思った。常葉は球磨に紹介した。
「お察しの通り、このお方は、海王神いすみ様です。わたくしは側近の常葉です」
「貴殿が球磨か。桜龍から聞いている。何でも血気盛んな暴れ牛と聞いたぞ」
「おい!!アホ龍!!海王神様に誤解を招く言い方するんじゃねー!!」
「いやぁ、その方が心構えが出来るかと♪」
一同は楽しそうに再会を喜んでいると、怪物の上に乗っている五十鈴は、怒りが頂点に立った。
「セニョール達・・・盛り上がっているところ悪いけど、ボクのこと忘れてないかい・・・」
「そうだ。こやつは意味の分からぬ言葉を使い、ワカメを怪物にする不届き者だ。せにょーる?やら、あみーごー?やら怪しい呪文も使う」
南蛮語に疎いモトスを球磨は笑いをこらえながら教えた。
「ああ、セニョールはスペイン語で彼。アミーゴーは友達という意味だぜ。南蛮人の護衛とかで、少し教えて貰ったことがある」
「そういう意味だったのか。てっきり、西洋魔術の呪文かと思ったぞ」
「ははは、それは旦那らしい発想だな!!」
モトスと球磨の久しぶりの雑談に、蚊帳の外の五十鈴は、文句を言った。
「こらこら!!セニョール達、ボクを無視して男同士で盛り上がるとは、良い度胸じゃないか」
五十鈴は再び、紫水晶の杖から妖しい光を怪物に目掛け放ち、単体の怪物達は1つになり、五十鈴が乗っている怪物よりも、巨大化していった。さらに、ヌルヌルした海藻に変化した。
「さぁ、ヌルヌルワカメちゃんよ、セニョール達をまとめてヌルヌルにして、押しつぶしてしまえ!!」
ワカメの触手は球磨達目掛けて、襲いかかった。球磨とモトスは避けたときに、ヌルヌルした液が全体にかかってしまい、嫌な顔をした。
「くっそ・・・髪と鎧がヌルヌルで気持ち悪ぃぜ・・・」
「不快な攻撃だが、毒は無くてよかったな・・・」
「実に面白い光景だ♪ボク達に刃向かう君達にお似合いの光景だねぇ」
2人は愉快に笑っている五十鈴の隙を狙い、球磨は西洋槍の先端から十字の炎を描き、超巨大怪物に放った。ワカメの触手は焦げ、それを好機に、モトスは湖と辺りの森が荒れる程の強い暴風を怪物に放った。モトスは相当怒っていたようだ。怪物は吹き飛ばされ、五十鈴の真上に落下しそうになった。
「ひえー!!!!落下しないでぇ!!」
五十鈴は急ぎ、怪物の落下を止めようとしたが、球磨とモトスが天高く跳躍し、怪物目掛け、炎と風の合体技を放った。
「覚悟しやがれ!!南蛮かぶれ色ボケ野郎!!」
「森精霊のハネを汚した仕返しだ!!貴様こそ、湖の中で反省しろ!!」
ワカメの怪物2体は、五十鈴を巻き込み、湖に沈んだ。
2人の合体技で超巨大なワカメ怪物を炎の竜巻の中に閉じ込めた。球磨の浄化の炎と、モトスの聖なる風の力で、呆気なく怪物はワカメの束に戻った。五十鈴は人魚の姿になり、余裕の笑みを浮かべていた。
「セニョール達、なかなか強いな。・・だが、これから大将真鶴達と愉快なカルナバルが始まるよ🎵では、アディオス♪(スペイン語でまたねー♪)」
「何だと!!」
いすみは五十鈴に向け、3本矢を放ったが、泳ぎ逃げ足の速さで逃げられてしまった。
「く・・逃げるのは忍び並みに速いな」
「五十鈴は、殺生は嫌いな性格ですが、海洋生物を召喚したりと危険な技を持っています」
「その中でも最も危険だとみなしたのは・・・」
いすみは五十鈴を追放した理由を説明した。
25/66ページ
スキ