第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
いすみ達は、午後に芦ノ湖にたどり着いた。晴天の湖畔は太陽の光で美しく輝いていた。小舟に乗り、水上に建つ鳥居を目指した。
「その鳥居が箱根神社だ。仁摩殿はそこに居る」
桜龍が指で目的地を指した時、舟が激しく揺れ、湖面から激しい水しぶきと共に巨大な生物が姿を現した。
「まさか!?九頭竜か?」
桜龍とモトスが武器を構え、迎撃に備えようとしたが、正体は、巨大なワカメが無数に覆い被さった奇妙な怪物だった。ほんわかした顔をしているので、間抜けな姿だった。
「何なのだあれは?見たところ海藻類だが、ここは湖だぞ?」
「これはきっと、ワカメの怪物です!!こんな事をするのは・・まさか?」
常葉は怪物の天辺に居る男を見た。すると、得意げな顔で五十鈴が挨拶した。
「怪物とは随分と失礼だねぇ。この子はボクが召喚した可愛いワカメの妖精だよ🎵」
「出たな、色ボケ野郎!!変な怪物召喚しやがって!!」
「だーかーらー、可愛い妖精と言っているだろう!!」
五十鈴は怪物に舟目掛けて、攻撃命令を出した。皆はワカメの触手を避け、桜龍は抜刀し、ワカメを切り刻んだ。怪物と五十鈴は体勢を崩した。その隙に常葉といすみは畔まで泳いだ。
「へぇー、いすみにもまだ信頼出来る仲間がいたんだねー。だけど、海王神としての力が無い状態だと足手まといだね、君」
「く・・・」
いすみは悔しくても、反論することが出来なかった。すると、モトスが翡翠のハネで怪物の天辺まで上がり、五十鈴に双曲刀を向けた。
「俺が貴様の相手をしよう」
「うーん・・・相手は美女が良かったなぁ。それにしてもセニョール、何故だか君とは初めて会った気がしないんだよねー」
五十鈴は思い出そうにも、モトスと会った記憶が無かった。乙女峠で、さい子という巫女が五十鈴を誘惑した。その正体が女装した俺だという事も知らずにお気楽なものだとモトスは呆れていた。
「貴様は純粋で根からの悪者ではなさそうだな。だが、悪事を働くのであれば容赦はせぬぞ!!」
モトスは花びらを帯びた風を放ち、五十鈴を錯乱させた。五十鈴は風に包まれ、慌てふためいていた。
「話し合おうではないか、セニョール!!君とはアミーゴーになれる気がするよ!!」
(変な言葉を使うが、西洋魔術の呪文か?)
モトスはスペイン語の意味を知らないので、警戒しながら、怪物ワカメの触手を切っていった。
「ボクの本気を見せちゃうよー、色男君」
五十鈴はニヤリと笑いながら、紫水晶の杖から妖しい光を出した。すると、怪物の動きが速くなり、モトスをワカメで捕らえた。
「セニョールを捕まえるのは趣味ではないけど、ボク達に歯向かうなら、本気でいくよ!!」
「く・・・やはり、強力な術者か・・・貴様は」
モトスはワカメに強く縛られ、身動きが取れなかった。
「これから、愉快なカルナバル(宴)が始まるから、じっと見ているといいよ♪」
五十鈴は杖を湖に向け、円を描くように、紫の光を出現させた。すると、沢山のワカメの怪物が湖面から姿を現した。
「可愛いワカメの妖精達よ、箱根神社にいる、いすみ共に襲いかかるのだ!!」
五十鈴が乗っているワカメよりは小さいが、それでも人の背丈を超える怪物達は、鳥居の前に立っているいすみ達に襲いかかった。仁摩と箱根神社の巫女達は、何事!!と長刀や弓を装備し、畔まで来たが、ワカメの怪物達を見て、驚いていた。仁摩は桜龍に会えて安堵したが、今は再会を喜んでいる場合では無かった。
「桜龍!!あれは一体何なの?」
「仁摩殿!!こいつは、海洋族の追放者『五十鈴』って色ボケ野郎が操っているぜ。モトスさんがワカメに巻き付かれた。俺も戦うから、仁摩殿達は安全な所へ!!」
「そこの巫女、長刀を借りるぞ!!」
いすみは長刀を振り回し、構えた。そして、怪物に鋭い眼光で威嚇した。
「いすみ様!!」
「海洋族の力を失い、腕力が弱くなっても、長刀は扱える。常葉、桜龍、行くぞ!!」
いすみと常葉は箱根神社へ侵攻しようとする怪物をなぎ倒し、桜龍はモトスを助けようとした。しかし、怪物は刀や薙刀で斬っては分裂し、ワカメの繁殖力で増えていった。
「くっそ!!キリがねーぜ・・・・」
「五十鈴の魔力は強力です!!怪物を完全に消さなければ増えるばかりです」
常葉はワカメを掴み、空高く投げ飛ばした。いすみは巫女から弓を借り、破魔矢を放ち、1体動きを封じた。しかし、怪物共は、護符を投げたり、弓矢で援護している仁摩や巫女達に襲い掛かった。
「しまった!!まだ湖の中に隠れていたのかよ!!」
桜龍は急ぎ、仁摩達の元へ駆けつけようとしたが、怪物に遮られた。五十鈴は勝ち誇った顔をし、怪物に命令した。
「さぁ、ワカメの妖精達、セニョリータ巫女達は、丁重に捕らえなさい!!これから危険な戦が始まるから、海の世界に保護してあげるよ♪」
仁摩は棒術で応戦するも、ワカメに絡め取られてしまった。捕まりそうになる寸前、懐かしい男気のある叫び声が聞こえ、火炎弾が怪物目掛け飛んできた。
「その鳥居が箱根神社だ。仁摩殿はそこに居る」
桜龍が指で目的地を指した時、舟が激しく揺れ、湖面から激しい水しぶきと共に巨大な生物が姿を現した。
「まさか!?九頭竜か?」
桜龍とモトスが武器を構え、迎撃に備えようとしたが、正体は、巨大なワカメが無数に覆い被さった奇妙な怪物だった。ほんわかした顔をしているので、間抜けな姿だった。
「何なのだあれは?見たところ海藻類だが、ここは湖だぞ?」
「これはきっと、ワカメの怪物です!!こんな事をするのは・・まさか?」
常葉は怪物の天辺に居る男を見た。すると、得意げな顔で五十鈴が挨拶した。
「怪物とは随分と失礼だねぇ。この子はボクが召喚した可愛いワカメの妖精だよ🎵」
「出たな、色ボケ野郎!!変な怪物召喚しやがって!!」
「だーかーらー、可愛い妖精と言っているだろう!!」
五十鈴は怪物に舟目掛けて、攻撃命令を出した。皆はワカメの触手を避け、桜龍は抜刀し、ワカメを切り刻んだ。怪物と五十鈴は体勢を崩した。その隙に常葉といすみは畔まで泳いだ。
「へぇー、いすみにもまだ信頼出来る仲間がいたんだねー。だけど、海王神としての力が無い状態だと足手まといだね、君」
「く・・・」
いすみは悔しくても、反論することが出来なかった。すると、モトスが翡翠のハネで怪物の天辺まで上がり、五十鈴に双曲刀を向けた。
「俺が貴様の相手をしよう」
「うーん・・・相手は美女が良かったなぁ。それにしてもセニョール、何故だか君とは初めて会った気がしないんだよねー」
五十鈴は思い出そうにも、モトスと会った記憶が無かった。乙女峠で、さい子という巫女が五十鈴を誘惑した。その正体が女装した俺だという事も知らずにお気楽なものだとモトスは呆れていた。
「貴様は純粋で根からの悪者ではなさそうだな。だが、悪事を働くのであれば容赦はせぬぞ!!」
モトスは花びらを帯びた風を放ち、五十鈴を錯乱させた。五十鈴は風に包まれ、慌てふためいていた。
「話し合おうではないか、セニョール!!君とはアミーゴーになれる気がするよ!!」
(変な言葉を使うが、西洋魔術の呪文か?)
モトスはスペイン語の意味を知らないので、警戒しながら、怪物ワカメの触手を切っていった。
「ボクの本気を見せちゃうよー、色男君」
五十鈴はニヤリと笑いながら、紫水晶の杖から妖しい光を出した。すると、怪物の動きが速くなり、モトスをワカメで捕らえた。
「セニョールを捕まえるのは趣味ではないけど、ボク達に歯向かうなら、本気でいくよ!!」
「く・・・やはり、強力な術者か・・・貴様は」
モトスはワカメに強く縛られ、身動きが取れなかった。
「これから、愉快なカルナバル(宴)が始まるから、じっと見ているといいよ♪」
五十鈴は杖を湖に向け、円を描くように、紫の光を出現させた。すると、沢山のワカメの怪物が湖面から姿を現した。
「可愛いワカメの妖精達よ、箱根神社にいる、いすみ共に襲いかかるのだ!!」
五十鈴が乗っているワカメよりは小さいが、それでも人の背丈を超える怪物達は、鳥居の前に立っているいすみ達に襲いかかった。仁摩と箱根神社の巫女達は、何事!!と長刀や弓を装備し、畔まで来たが、ワカメの怪物達を見て、驚いていた。仁摩は桜龍に会えて安堵したが、今は再会を喜んでいる場合では無かった。
「桜龍!!あれは一体何なの?」
「仁摩殿!!こいつは、海洋族の追放者『五十鈴』って色ボケ野郎が操っているぜ。モトスさんがワカメに巻き付かれた。俺も戦うから、仁摩殿達は安全な所へ!!」
「そこの巫女、長刀を借りるぞ!!」
いすみは長刀を振り回し、構えた。そして、怪物に鋭い眼光で威嚇した。
「いすみ様!!」
「海洋族の力を失い、腕力が弱くなっても、長刀は扱える。常葉、桜龍、行くぞ!!」
いすみと常葉は箱根神社へ侵攻しようとする怪物をなぎ倒し、桜龍はモトスを助けようとした。しかし、怪物は刀や薙刀で斬っては分裂し、ワカメの繁殖力で増えていった。
「くっそ!!キリがねーぜ・・・・」
「五十鈴の魔力は強力です!!怪物を完全に消さなければ増えるばかりです」
常葉はワカメを掴み、空高く投げ飛ばした。いすみは巫女から弓を借り、破魔矢を放ち、1体動きを封じた。しかし、怪物共は、護符を投げたり、弓矢で援護している仁摩や巫女達に襲い掛かった。
「しまった!!まだ湖の中に隠れていたのかよ!!」
桜龍は急ぎ、仁摩達の元へ駆けつけようとしたが、怪物に遮られた。五十鈴は勝ち誇った顔をし、怪物に命令した。
「さぁ、ワカメの妖精達、セニョリータ巫女達は、丁重に捕らえなさい!!これから危険な戦が始まるから、海の世界に保護してあげるよ♪」
仁摩は棒術で応戦するも、ワカメに絡め取られてしまった。捕まりそうになる寸前、懐かしい男気のある叫び声が聞こえ、火炎弾が怪物目掛け飛んできた。