第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
その頃、桜龍、いすみ、モトス、常葉は、乙女峠を越え、相模国に入った。
「この峠を越えたら、芦ノ湖に出られるぜ。そこに仁摩殿が待っています、いすみ様」
桜龍はいすみ達に、仁摩が芦ノ湖での祈祷で見た、九頭竜について話した。いすみは少し苦い顔をしながら、九頭竜について説明した。
「九頭竜は大昔、まだ常葉が生まれる前の話だが、かつて日ノ本の南にあった島を守護していた海神だった。だが、マガツイノカミの闇の力で、九頭竜となり、島は海に沈み、日ノ本までも海に沈めようとした。ワレの力で九頭竜は海の底に封印はしたが・・・・」
いすみはこの先は何も言わなかった。まるで、自分が何か罪を犯したように、自身を責めている風に思えた。桜龍は理由を聞かず、いすみを強く励ました。
「今は、地水火風と聖龍の力を持った俺達がいます!!だから、また皆で力を合わせ、九頭竜を封印させましょう!!」
「桜龍・・・」
いすみが桜龍に「ありがとう・・」と言おうとした時、腹の虫が成る音がした。音の主はモトスだった。
「ふむ・・・そろそろお腹が空いてきたな」
モトスは袋から小壺を取り出した。すると、中には沢山のイナゴの甘露煮が入っていた。
「おお!!これ美味しいんだよな♪栄養が取れるし、俺の島でも、魚や作物が中々取れなかった時に食っていたぜ!!よくかーちゃんが佃煮にしていたなぁ」
桜龍とは対照的に、いすみと常葉は虫を食べることに抵抗があった。
「これが・・モトスの所の郷土料理か・・・?」
「ああ。山間部でよく食べられている。忍びは携帯食として、イナゴの甘露煮を持っているぞ。小精霊達も好んで食べている」
モトスはいかがですか?といすみと常葉に壺を渡した。2人は恐る恐る口にすると、思いのほか口に合い、何個か続けて食べた。
「ほう、小エビを食べているような食感だな」
「日ノ本全国、色々な食文化があって面白いですね、いすみ様」
「そうか、海の世界にイナゴは居ないから、虫食は無縁なのか。全国で食べられている物かと思ったのだが。流石に花の蜜を飲むのは森精霊だけなのは分かるがな」
モトスの少しズレた考え方に、いすみは唖然とし常葉と桜龍は笑っていた。
「種族の食文化も面白いよなー。そういえば、海洋族は普段何を食べているんですか?」
「そうだな・・・。ワカメや昆布、貝類とか海産物も食うし、無人島でヤシの実や野菜と果物も育てておる。特に落花生と梨がワレの好物だな」
「常総地域も野菜や果物が沢山採れて、特に大豆を発酵させた納豆という食べ物もあります」
「納豆って、あのネバネバした豆か!!」
4人は郷土料理や名産品の話をしているうちに、箱根の仙石原にたどり着いた。辺り一面に広がるススキ畑は、緑色に染まっていた。
「この辺りは、滅多に人が通らぬから、珍しい花や生物がみられるな」
モトスは湿原にいるオオムラサキを指に乗せ、いすみの手の甲に乗せた。
「今まで、ワレの世界は海の世界だけだと思っていたが、こう地上を歩くのも悪くないな」
いすみの口元は少し緩んでいた。
「この峠を越えたら、芦ノ湖に出られるぜ。そこに仁摩殿が待っています、いすみ様」
桜龍はいすみ達に、仁摩が芦ノ湖での祈祷で見た、九頭竜について話した。いすみは少し苦い顔をしながら、九頭竜について説明した。
「九頭竜は大昔、まだ常葉が生まれる前の話だが、かつて日ノ本の南にあった島を守護していた海神だった。だが、マガツイノカミの闇の力で、九頭竜となり、島は海に沈み、日ノ本までも海に沈めようとした。ワレの力で九頭竜は海の底に封印はしたが・・・・」
いすみはこの先は何も言わなかった。まるで、自分が何か罪を犯したように、自身を責めている風に思えた。桜龍は理由を聞かず、いすみを強く励ました。
「今は、地水火風と聖龍の力を持った俺達がいます!!だから、また皆で力を合わせ、九頭竜を封印させましょう!!」
「桜龍・・・」
いすみが桜龍に「ありがとう・・」と言おうとした時、腹の虫が成る音がした。音の主はモトスだった。
「ふむ・・・そろそろお腹が空いてきたな」
モトスは袋から小壺を取り出した。すると、中には沢山のイナゴの甘露煮が入っていた。
「おお!!これ美味しいんだよな♪栄養が取れるし、俺の島でも、魚や作物が中々取れなかった時に食っていたぜ!!よくかーちゃんが佃煮にしていたなぁ」
桜龍とは対照的に、いすみと常葉は虫を食べることに抵抗があった。
「これが・・モトスの所の郷土料理か・・・?」
「ああ。山間部でよく食べられている。忍びは携帯食として、イナゴの甘露煮を持っているぞ。小精霊達も好んで食べている」
モトスはいかがですか?といすみと常葉に壺を渡した。2人は恐る恐る口にすると、思いのほか口に合い、何個か続けて食べた。
「ほう、小エビを食べているような食感だな」
「日ノ本全国、色々な食文化があって面白いですね、いすみ様」
「そうか、海の世界にイナゴは居ないから、虫食は無縁なのか。全国で食べられている物かと思ったのだが。流石に花の蜜を飲むのは森精霊だけなのは分かるがな」
モトスの少しズレた考え方に、いすみは唖然とし常葉と桜龍は笑っていた。
「種族の食文化も面白いよなー。そういえば、海洋族は普段何を食べているんですか?」
「そうだな・・・。ワカメや昆布、貝類とか海産物も食うし、無人島でヤシの実や野菜と果物も育てておる。特に落花生と梨がワレの好物だな」
「常総地域も野菜や果物が沢山採れて、特に大豆を発酵させた納豆という食べ物もあります」
「納豆って、あのネバネバした豆か!!」
4人は郷土料理や名産品の話をしているうちに、箱根の仙石原にたどり着いた。辺り一面に広がるススキ畑は、緑色に染まっていた。
「この辺りは、滅多に人が通らぬから、珍しい花や生物がみられるな」
モトスは湿原にいるオオムラサキを指に乗せ、いすみの手の甲に乗せた。
「今まで、ワレの世界は海の世界だけだと思っていたが、こう地上を歩くのも悪くないな」
いすみの口元は少し緩んでいた。