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第3章 異説小田原征伐  蘇りし海の亡霊と海神伝説

湘はモトスと別れ、小田原城の本丸で、軍議に参加していた。精鋭部隊と風魔忍軍を使い、秀吉及び重臣を狙うか、関東の大名家の協力を得て、篭城戦にするかを若き当主、氏直とその父、氏政と家臣団で話し合っていた。湘も共に聞き、家臣それぞれの意見を書きとめ、整理していた。
長い軍議の末、篭城戦に迎え打つと話が進みつつあった。
「小田原城は軍神上杉謙信が攻め落とせなかった難攻不落の城だから心配ないですよー父上」
「だが、今回は豊臣と地方大名が攻めてくる。頼みの綱であった東北の伊達も豊臣に付いてしまったし・・・」
「それなら尚更、関東の家臣団の絆を全国の大名に見せつけてやりましょう!!」
親子の討論は長引くばかりで、結論がなかなか出なかった。その時、広間に兵士が慌てて入って来た。
「殿ー!!三浦真鶴と名乗る輩が殿に謁見したいと城内に侵入して来ました!!」
(真鶴・・・まさか父さんか・・・)
湘は動揺を隠し、冷静さを保っていた。
「三浦だと?そんな馬鹿な!!大祖父早雲が滅ぼしたはずなのに・・・」
「死の淵から蘇ったのだよ。氏政公」
真鶴は、亘と五十鈴とアナンを率いて、広間に入ってきた。湘は父の武士の格好と気高さを見て、言葉が出なかった。真鶴は一瞬、息子の顔を見て優しく微笑みかけたが、直ぐに氏政親子の方を向いた。
「ご機嫌よう、氏政公と御子息、氏直公。我が名は三浦真鶴。少しの謁見時間を許せるかな?」
突然の訪問者に、家臣達は見張りの兵は何をしている?と戸惑っていたので、アナンはニヤリとしながら答えた。
「北条の兵士サン達は、向かってくる奴だけ打ち倒したぜ。ほんの拳1発入れた位で気絶するんじゃあ、弱っちくて、サル共に勝てないんじゃねーの?」
「アナン君が挑発するから無駄な戦いをする羽目になったよー。城内にはセニョリータがいなくて残念だ」
アナンは笑いながら武勇伝を語り出し、五十鈴は不満を垂らしていたので、亘は彼らの口を塞ぎ、引っ込めた。氏政は真鶴を疑わしい目で見ながら聞いた。
「何が目的だ、亡霊め!!」
「いくら難攻不落の城といえど、豊臣軍10万の兵を相手に耐えられるかだ。私達と同盟を組む気はないかな?」
「そんな・・得体の知れない種族と組むなんて・・・」
氏直が後ろに控えている亘達を疑わしく見ながら、考え込んでいた。父の氏政や家臣達もどうするか口論していると、湘が口を割った。
「氏政様、氏直様。知っての通り、私は海洋族の血が混ざっています。海洋族とも顔見知りの者も居るので、真意を確かめる為、彼らと話してみます」
「しかし、湘・・・」
「氏政様と氏直様は続けて軍議を行なって下さい」
「では、私は先に城の庭を歩いている。小田原城内を知っておきたいからな」
真鶴は亘達を連れ、大広間を出た。湘は父に色々と聞きたいことがあるので、庭へ向かった。
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