第3章 異説小田原征伐 蘇りし海の亡霊と海神伝説
所変わり、甲斐国富士山麓、鳴沢の深い森で、白州と弟子の小助は、じゅら吉達小精霊を連れ、山菜や薬草摘みをしていた。
「桜龍と常葉(ときわ)も体調が良くなってきたから、体に良い山菜料理を食べさせてやろうぜ」
「お野菜とキノコをたくさん食べれば元気になるずら🎵」
この間まで小精霊だった小助も、人間の童程の背丈になり、精霊戦士見習いとなった。
「奥の林にキノコが沢山あるか、見てくるじゅら!!」
「じゅら吉!?あんまり遠くへ行ったら迷子になるずらー!!」
小助は、やんちゃなじゅら吉を追いかけた。すると、小助とじゅら吉は林の入り口に、褐色金髪の大柄な男性がうつ伏せに倒れていた。
「誰かが倒れているずら!!白州兄ちゃん!!」
「あんた!!大丈夫か!?何があった?それにしても、見ない顔だな・・それにこの側頭部のヒレ・・もしや、海洋族か?」
白州は男を仰向けにし、脈や呼吸を測った。命には別状は無く、気を失っているだけだとホッとした。
「とりあえず、怪我は無くて良かったぜ。そういえば、桜龍と常葉が、海洋族間で騒動があったと言ってたな。2人に会わせてみるか」
白州はいすみを抱きかかえ、黄金色のハネを羽ばたかせ、森精霊の里まで連れて行った。
翌日、深い眠りについていたいすみは、楓の大木の上に作られた小屋で目が覚めた。すると、枕や布団には見張りをしていた小精霊達が、屋根の隙間から入る木漏れ日の気持ち良さに、スヤスヤと眠っていた。いすみは起こさぬようにとゆっくり起き上がり、辺りを見回した。
「木の中に建てた小屋か・・・この地に住む者と、この小さき者達は甲斐国の森精霊か?」
いすみは、枕の隣で腹を出して寝ているじゅら吉を手の平に乗せ、着物を直してあげた。すると、外を巡回していたじゅら子が小屋に入ってきて、じゅら吉達を見るなり注意した。
「こら!!じゅら吉、みんな!!だらしないじゅら!!海王神様を見守るとか言って、皆で寝ちゃったら意味ないじゅら!!」
「構わん。良い目覚めだったし、小さき森精霊にも迷惑をかけた」
いすみは微笑し、じゅら子の頭を指で撫でた。すると、小屋に白州とエンザンも入ってきた。
「目が覚めましたか?俺は精霊戦士の白州です。林で海王神様が倒れていて驚きましたぜ」
「お初にお目に掛かる。わしが森精霊のエンザンだ。いすみ殿の側近の常葉もこの里で休んどるよ」
「常葉もここに!?今はどうしている?」
いすみは焦った顔をし、エンザンに問うたが、心配無いと言われホッとした。
「常葉と出雲から来た桜龍は、海洋族の術で、氷漬けにされていたが、わしの術で解いた。風邪をこじらしたが、もう回復したぞ」
エンザンの言葉にいすみはそうかと安堵していた時に、大急ぎで階段を駆け上がってくる音がした。常葉と桜龍がいすみに会いにきたのである。
「いすみ様!!よくぞ無事で!!」
「お久しぶりです、いすみ様。俺達も真鶴と追放者共に負けて、ここにたどり着きました」
桜龍が友人感覚でいすみに挨拶すると、白州は目を丸くし、桜龍の耳元で尋ねた。
「お前、いすみ殿と親しげだが、知り合いなのか?」
「ああ。小さい頃にお世話になったんだぜ」
白州は桜龍の種族を超えた交流力に驚いた。常葉とエンザンは白州の顔を見て笑っていた。
「常葉と桜龍、貴殿らこそ無事でなによりだ。我は闇クリオネの妖術で、海王神の力を失った。今ではこの有様だな・・・」
「いすみ様らしくありませんぜ。生きているだけでも、まだ望みはあります!!」
「桜龍・・・」
「体調が回復したら、直ぐ海へ向かいましょう。小田原征伐が始まる前に、カタを着けたいところです」
桜龍は気合いを入れ、いすみの手を強く握った。続いて常葉も二人の手を握り、真鶴達の野望を阻止しようと心に誓った。
「桜龍と常葉(ときわ)も体調が良くなってきたから、体に良い山菜料理を食べさせてやろうぜ」
「お野菜とキノコをたくさん食べれば元気になるずら🎵」
この間まで小精霊だった小助も、人間の童程の背丈になり、精霊戦士見習いとなった。
「奥の林にキノコが沢山あるか、見てくるじゅら!!」
「じゅら吉!?あんまり遠くへ行ったら迷子になるずらー!!」
小助は、やんちゃなじゅら吉を追いかけた。すると、小助とじゅら吉は林の入り口に、褐色金髪の大柄な男性がうつ伏せに倒れていた。
「誰かが倒れているずら!!白州兄ちゃん!!」
「あんた!!大丈夫か!?何があった?それにしても、見ない顔だな・・それにこの側頭部のヒレ・・もしや、海洋族か?」
白州は男を仰向けにし、脈や呼吸を測った。命には別状は無く、気を失っているだけだとホッとした。
「とりあえず、怪我は無くて良かったぜ。そういえば、桜龍と常葉が、海洋族間で騒動があったと言ってたな。2人に会わせてみるか」
白州はいすみを抱きかかえ、黄金色のハネを羽ばたかせ、森精霊の里まで連れて行った。
翌日、深い眠りについていたいすみは、楓の大木の上に作られた小屋で目が覚めた。すると、枕や布団には見張りをしていた小精霊達が、屋根の隙間から入る木漏れ日の気持ち良さに、スヤスヤと眠っていた。いすみは起こさぬようにとゆっくり起き上がり、辺りを見回した。
「木の中に建てた小屋か・・・この地に住む者と、この小さき者達は甲斐国の森精霊か?」
いすみは、枕の隣で腹を出して寝ているじゅら吉を手の平に乗せ、着物を直してあげた。すると、外を巡回していたじゅら子が小屋に入ってきて、じゅら吉達を見るなり注意した。
「こら!!じゅら吉、みんな!!だらしないじゅら!!海王神様を見守るとか言って、皆で寝ちゃったら意味ないじゅら!!」
「構わん。良い目覚めだったし、小さき森精霊にも迷惑をかけた」
いすみは微笑し、じゅら子の頭を指で撫でた。すると、小屋に白州とエンザンも入ってきた。
「目が覚めましたか?俺は精霊戦士の白州です。林で海王神様が倒れていて驚きましたぜ」
「お初にお目に掛かる。わしが森精霊のエンザンだ。いすみ殿の側近の常葉もこの里で休んどるよ」
「常葉もここに!?今はどうしている?」
いすみは焦った顔をし、エンザンに問うたが、心配無いと言われホッとした。
「常葉と出雲から来た桜龍は、海洋族の術で、氷漬けにされていたが、わしの術で解いた。風邪をこじらしたが、もう回復したぞ」
エンザンの言葉にいすみはそうかと安堵していた時に、大急ぎで階段を駆け上がってくる音がした。常葉と桜龍がいすみに会いにきたのである。
「いすみ様!!よくぞ無事で!!」
「お久しぶりです、いすみ様。俺達も真鶴と追放者共に負けて、ここにたどり着きました」
桜龍が友人感覚でいすみに挨拶すると、白州は目を丸くし、桜龍の耳元で尋ねた。
「お前、いすみ殿と親しげだが、知り合いなのか?」
「ああ。小さい頃にお世話になったんだぜ」
白州は桜龍の種族を超えた交流力に驚いた。常葉とエンザンは白州の顔を見て笑っていた。
「常葉と桜龍、貴殿らこそ無事でなによりだ。我は闇クリオネの妖術で、海王神の力を失った。今ではこの有様だな・・・」
「いすみ様らしくありませんぜ。生きているだけでも、まだ望みはあります!!」
「桜龍・・・」
「体調が回復したら、直ぐ海へ向かいましょう。小田原征伐が始まる前に、カタを着けたいところです」
桜龍は気合いを入れ、いすみの手を強く握った。続いて常葉も二人の手を握り、真鶴達の野望を阻止しようと心に誓った。