第1章 異説 武田の残党狩り編 桃源郷に集う勇士
「やるじゃねーか!!今までに多勢の兵士や武将と戦った事があるが、お前らは一筋縄じゃ行かないな!!」
黒髪褐色の大柄な男性、球磨は後ろで怯えながら立っている中年の僧侶を護りながら、精霊戦士と戦っていた。
「貴様もそこの寅時という者の仲間か?我々の里を脅かす僧兵に手を貸す者であれば始末してやる!!」
精霊たちは蝶のような美しいハネを背中から出現させ、風を起こした。ハネは満月の光でより一層輝きと強さを増していた。
「・・・ちぃ・・この前よりも強くなっているぜ・・・。だが、寅時を無事に久遠寺まで連れて行かないとな!!」
球磨は強い気迫を放ち、巨大な円柱型の西洋槍で精霊たちを吹き飛ばした。
「さ・・さぁ・・球磨殿!!!早く精霊にとどめを!!こいつらは久遠寺を攻めようとしている・・・我々にとって脅威となる者たちだ!!」
寅時は球磨の大きい背に隠れながら精霊たちを睨んだ。
球磨は少し戸惑っていたが、精霊たちは寅時に怒りをぶつけて言った。
「よくいうわ!!!貴様とて、穴山に下らなければ我々の地を侵攻すると脅しているではないか!!」
「・・・それ・・本当なのか寅時?法主が言っていたぞ!!お前は僧侶たちから慕われていて、妻や子に深い愛情を持っているお前がそんな事をするはずないと・・・」
球磨が疑念を持ち、寅時に尋ねた瞬間、寅時は指をパチンと鳴らした。何と、数名の僧兵が暗い木々の中から現れ、弓矢で球磨もろとも精霊を射殺しようとしていた。
「!?あ・・危ねえ!!!!」
球磨は両手に紅蓮の炎を即座に纏い、飛んで来る矢を1つも残さずに焼き焦がし、精霊たちを護った。寅時は舌打ちをし、武器を構えている球磨を睨んだ。
「・・・っち!!精霊もろとも貴様を始末できたのに・・・・」
寅時は少し焦った表情をしていた。一方、球磨は不敵な笑みを浮かべ、男に問うた。
「お前・・・何者だ?寅時じゃねーって分かってんだよ!!」
球磨は強烈な鉄拳で男の腹を殴った。しかし、男の体には痛みを感じていなかったことに驚き、警戒した。
「ふふふふふ。戦いだけを求めている単純な男かと思いきや、意外と洞察力に優れているのだな・・・」
「あいにく、俺は少しキリシタンの教えを受けているんでな。お前が段々と邪悪さを増してきたから、見破ったぜ!!いい加減正体を現しな!!!」
すると、男は不気味に笑い、体からは邪悪な瘴気に包まれた。
「ハハハハハハハ!!俺の名は、小山田信茂(おやまだのぶしげ)。かつては武田家に仕えていたが、今は身延と精霊の地を支配している!!」
「その割には生気を感じねーな・・・それより、本物の寅時はどこへやった!!!」
どうやら、信茂が僧兵の寅時に化けていたようだ。
「殺してはないさ。まぁ、野犬とかに食われていなければ良いがねー。そう。俺は一度死んだが処刑後、江津様が蘇らせてくださり、今度は梅雪様の為に尽くしているのだ!!」
信茂は高笑いをしていた。球磨は相手を睨んでいたが、静かな怒りが心の中から燃え始めていた。
「・・・そうかよ。精霊と僧兵を争わすために、てめえが双方を煽っていたんだな!!寅時や僧兵を利用して卑劣な手を使いやがって!!」
球磨は亡霊化した信茂に攻撃を仕掛けた。しかし、後ろから精霊たちが月の光の衝撃波に遮られ、素早く跳躍し避けた。
「何しやがる!!!信茂はお前らの敵だろう?」
しかし、精霊たちは信茂の顔を見て笑っていた。
「残念であったなー。俺は、精霊も操ることが出来るのだよ。この闇の力で心に憎悪を植え付け、心を思いのままに支配できる。正直、甲州征伐をするのに、久遠寺の僧兵も森の精霊も邪魔だったんだよ!!主らの手を汚さずに、共倒れをして欲しかったのに・・・まぁ良い。このまま両方支配して、その力で梅雪に謀反をし、俺が天下を取っても良い!!」
信茂が、僧兵と精霊の双方相手に苦戦をしている球磨を嘲笑いながら、自身の力に陶酔していた。しかし・・・
「その話、全部聞かせてもらったよ。そ・れ・と、水の力で湖や川、海まで全国の水のある場所に君の美しくない顔と声を映して発信したよ」
薄紫色の髪の優男、湘が水の力を操り、始終水辺に映し流していた。水の加護を持つものが使える、流映水鏡(りゅうえいみずかがみ)という技である。
「これは、小精霊にも久遠寺の僧兵にも民たちにも・・・そして、梅雪や全国の大名たちにも聞かれていると思うよ。皆を敵に回してしまったねー」
湘は余裕の表情で信茂を見下した。
その頃、韮崎の新府城の広い庭園の池で、梅雪と信康は信茂の言葉を聞いて
「・・・この者はこんなことを考えていたのか!!これだから信長に内通者と疑われて処刑されたのだぞ!!」
立腹の信康に比べ、梅雪は冷たい瞳で池を見ていた。
「ふん・・・最初からこんな雑魚に期待などしていなかったぞ。結果は分かっている。俺は部屋に戻るぞ!!」
梅雪は本丸の自室へ戻っていった。
(・・・モトスの元にも仲間が集まっている。ふふふふ。面白い。こちらも全力で歓迎してやる)
梅雪には何か考えがあった。
黒髪褐色の大柄な男性、球磨は後ろで怯えながら立っている中年の僧侶を護りながら、精霊戦士と戦っていた。
「貴様もそこの寅時という者の仲間か?我々の里を脅かす僧兵に手を貸す者であれば始末してやる!!」
精霊たちは蝶のような美しいハネを背中から出現させ、風を起こした。ハネは満月の光でより一層輝きと強さを増していた。
「・・・ちぃ・・この前よりも強くなっているぜ・・・。だが、寅時を無事に久遠寺まで連れて行かないとな!!」
球磨は強い気迫を放ち、巨大な円柱型の西洋槍で精霊たちを吹き飛ばした。
「さ・・さぁ・・球磨殿!!!早く精霊にとどめを!!こいつらは久遠寺を攻めようとしている・・・我々にとって脅威となる者たちだ!!」
寅時は球磨の大きい背に隠れながら精霊たちを睨んだ。
球磨は少し戸惑っていたが、精霊たちは寅時に怒りをぶつけて言った。
「よくいうわ!!!貴様とて、穴山に下らなければ我々の地を侵攻すると脅しているではないか!!」
「・・・それ・・本当なのか寅時?法主が言っていたぞ!!お前は僧侶たちから慕われていて、妻や子に深い愛情を持っているお前がそんな事をするはずないと・・・」
球磨が疑念を持ち、寅時に尋ねた瞬間、寅時は指をパチンと鳴らした。何と、数名の僧兵が暗い木々の中から現れ、弓矢で球磨もろとも精霊を射殺しようとしていた。
「!?あ・・危ねえ!!!!」
球磨は両手に紅蓮の炎を即座に纏い、飛んで来る矢を1つも残さずに焼き焦がし、精霊たちを護った。寅時は舌打ちをし、武器を構えている球磨を睨んだ。
「・・・っち!!精霊もろとも貴様を始末できたのに・・・・」
寅時は少し焦った表情をしていた。一方、球磨は不敵な笑みを浮かべ、男に問うた。
「お前・・・何者だ?寅時じゃねーって分かってんだよ!!」
球磨は強烈な鉄拳で男の腹を殴った。しかし、男の体には痛みを感じていなかったことに驚き、警戒した。
「ふふふふふ。戦いだけを求めている単純な男かと思いきや、意外と洞察力に優れているのだな・・・」
「あいにく、俺は少しキリシタンの教えを受けているんでな。お前が段々と邪悪さを増してきたから、見破ったぜ!!いい加減正体を現しな!!!」
すると、男は不気味に笑い、体からは邪悪な瘴気に包まれた。
「ハハハハハハハ!!俺の名は、小山田信茂(おやまだのぶしげ)。かつては武田家に仕えていたが、今は身延と精霊の地を支配している!!」
「その割には生気を感じねーな・・・それより、本物の寅時はどこへやった!!!」
どうやら、信茂が僧兵の寅時に化けていたようだ。
「殺してはないさ。まぁ、野犬とかに食われていなければ良いがねー。そう。俺は一度死んだが処刑後、江津様が蘇らせてくださり、今度は梅雪様の為に尽くしているのだ!!」
信茂は高笑いをしていた。球磨は相手を睨んでいたが、静かな怒りが心の中から燃え始めていた。
「・・・そうかよ。精霊と僧兵を争わすために、てめえが双方を煽っていたんだな!!寅時や僧兵を利用して卑劣な手を使いやがって!!」
球磨は亡霊化した信茂に攻撃を仕掛けた。しかし、後ろから精霊たちが月の光の衝撃波に遮られ、素早く跳躍し避けた。
「何しやがる!!!信茂はお前らの敵だろう?」
しかし、精霊たちは信茂の顔を見て笑っていた。
「残念であったなー。俺は、精霊も操ることが出来るのだよ。この闇の力で心に憎悪を植え付け、心を思いのままに支配できる。正直、甲州征伐をするのに、久遠寺の僧兵も森の精霊も邪魔だったんだよ!!主らの手を汚さずに、共倒れをして欲しかったのに・・・まぁ良い。このまま両方支配して、その力で梅雪に謀反をし、俺が天下を取っても良い!!」
信茂が、僧兵と精霊の双方相手に苦戦をしている球磨を嘲笑いながら、自身の力に陶酔していた。しかし・・・
「その話、全部聞かせてもらったよ。そ・れ・と、水の力で湖や川、海まで全国の水のある場所に君の美しくない顔と声を映して発信したよ」
薄紫色の髪の優男、湘が水の力を操り、始終水辺に映し流していた。水の加護を持つものが使える、流映水鏡(りゅうえいみずかがみ)という技である。
「これは、小精霊にも久遠寺の僧兵にも民たちにも・・・そして、梅雪や全国の大名たちにも聞かれていると思うよ。皆を敵に回してしまったねー」
湘は余裕の表情で信茂を見下した。
その頃、韮崎の新府城の広い庭園の池で、梅雪と信康は信茂の言葉を聞いて
「・・・この者はこんなことを考えていたのか!!これだから信長に内通者と疑われて処刑されたのだぞ!!」
立腹の信康に比べ、梅雪は冷たい瞳で池を見ていた。
「ふん・・・最初からこんな雑魚に期待などしていなかったぞ。結果は分かっている。俺は部屋に戻るぞ!!」
梅雪は本丸の自室へ戻っていった。
(・・・モトスの元にも仲間が集まっている。ふふふふ。面白い。こちらも全力で歓迎してやる)
梅雪には何か考えがあった。