第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
その頃、桜龍は鬼の里の森に囲まれた湯治場がある館で、珠姫と話していた。
「手足を動かせる程に回復出来て良かったな、珠姫さん」
珠姫はその後、益城に保護され、鬼の里で療養することとなった。珠姫は益城にこの地に連れてこられたことを思い出していた。
大芹に飲まされた猛毒により、神経を麻痺してしまった珠姫は、里にある治癒の温泉や、鬼の一族秘伝の治癒術で、動けるまで回復できた。珠姫は何故、自分を助けてくれたのか益城に尋ねた。
「何故・・・私は悪事を働いたのに、見殺しにせず助けてくださったのですか?」
「敵でも、救える命は救います。それに、貴方には妹達の行く末を見て欲しいと思いまして」
「・・・そうでしたか。妹達はそれぞれの道を歩む。わたくしはここで生涯を終わらせるのかしらね?」
珠姫は苦笑いしながら、動かない手足に希望は無いと思っていた。すると益城は彼女の手に優しく触れ、言った。
「鬼の里の温泉は昔から傷や病を癒やす湯治場として利用されています。あなたの体の毒も、直ぐに取り除くことが出来るので、どうか希望を捨てないで下さい」
珠姫は益城の手に触れた時、無意識に指が動き始めた。まだ彼の手を握ることは出来ないが、手に強く暖かい感覚が触れた。それと同時に、心臓の鼓動が高まり複雑な思いが込み上げてきた。
(わたくしたら・・・ツクモ様しか愛さないと決めていたのに・・・・)
益城は彼女の照れた顔を見て、優しく言葉をかけた。
「もう貴方は、過去に縛られることも、先の未来を不安だと思うこともありません。どのように生きても貴方の自由です」
珠姫は益城の神のお告げのような言葉に、安らぎを得て涙がこぼれた。
珠姫はその出来事を桜龍に話すと、桜龍が何を思ったのか、携帯用のおみくじ箱を彼女に渡し、引いてみてと促した。珠姫は突然の出来事に首を傾けたが、言われた通り棒を出した。桜龍は棒に書いてある漢数字と同じおみくじを荷物から取り出し、読んでみた。
「ふむふむ・・・吉か。この先災いは平穏に過ごしていれば起きない。恋愛は、直ぐ落とすのは難攻不落。時間をかけて相手を知ることが大事・・・か」
桜龍は珠姫の耳元でおみくじの結果を読んだ。珠姫は照れながら反論した。
「な!?わたくしはツクモ様一筋ですわ!!益城様に心を入れ替えるなんてそんなこと・・・」
「あれー?俺は益城さんとの関係を占うとは一言も言ってないけどな♪」
桜龍は1本取ったとニヤニヤしながら少し悔しがっている彼女におみくじを渡した。珠姫はツンとした態度を取りながら、話題を変えた。
「・・・貴方こそ絶対に護ってあげなさい。仁摩という強い巫女を」
「もちろん、そのつもりだ!!俺は今回の戦いで、珠姫姉さんと仁摩殿を危険にさらしてしまった事を反省している」
珠姫は、桜龍の決意の言葉を聞いて、安心して耳を傾けた。
「なかなかの心がけね。それはさておき、ツクモ様、いいえ・・紅史郎が変わらず、つるぎと一緒になって良かったわ」
珠姫は数分前に桜龍と太陽神となった紅史郎を見に行った。すると、海の池地獄で、仲睦まじく散歩をしていた。姿は変わったが、紅史郎とツクモの面影はしっかりと残っていた。珠姫は笑顔で、そっと見守っていた。桜龍は小声で声をかけないのか?と尋ねたが、珠姫は首を横に振り答えた。
「わたくしは、ツクモ様、いいえ紅史郎とつるぎが結ばれて嬉しいわ。美羅は1人でも大丈夫だけど、素敵な人と出会えると良いわね」
珠姫は妹達の幸せに深く願いを込めた。桜龍は、そんな彼女に寄り添い、本殿に戻ろうかと連れて行った。
そして館で、桜龍に忠告した。
「貴方の聖なる龍の瞳は、無限の力を秘めているけど、使い方と使用者によっては、救世か破滅を呼ぶわ。でも、貴方のような聖者なら、神々にも匹敵する救世主となれるわ」
「珠姫さん・・・俺はそんな大きい存在じゃあ」
「ふふ、意外と謙虚なのね。大丈夫よ、貴方を支えてくれる仲間も多く居る。何があっても、仲間を信じて。そして、闇に侵された悲しき者の心を浄化させてあげて」
珠姫は桜龍の左目の眼帯を外し、聖なる龍の瞳に口付けをした。桜龍は彼女から強い力を託されたような感覚に浸り、甘い声で頼んだ。
「珠姫さん・・・しばらくこうして欲しい」
うっとりした顔の桜龍は、後ろから頬をいきなりつねられた。珠姫はその人物に気づいていたが、彼には教えなかった。
「何をやっているの・・・桜龍!!療養中の珠姫さんにいかがわしい事をじゃないでしょうね・・・・」
「に!?仁摩殿!!!!いつから部屋に入ってきたんだ?珠姫さん知っていた?」
桜龍は冷や汗をかきながら珠姫に尋ねた。
「桜龍は聖なる龍の瞳と一緒に、わたくしを誘惑していたのよ。仁摩ちゃんの存在に気がつかない程にね♪」
珠姫が意地悪な表情を桜龍に向けると、仁摩は鬼のような形相で怒り、桜龍を追いかけ始めた。
「出雲大社の本殿の縄に縛り着けるわよ!!!!」
「いやいや・・・珠姫さんと少しオトナの話をしていただけだからー!!」
本殿を出て、桜龍と仁摩は地獄巡りの道で追いかけっこをしていた。鬼の一族達は呆れたり、笑いながら、2人を見ていた。
「手足を動かせる程に回復出来て良かったな、珠姫さん」
珠姫はその後、益城に保護され、鬼の里で療養することとなった。珠姫は益城にこの地に連れてこられたことを思い出していた。
大芹に飲まされた猛毒により、神経を麻痺してしまった珠姫は、里にある治癒の温泉や、鬼の一族秘伝の治癒術で、動けるまで回復できた。珠姫は何故、自分を助けてくれたのか益城に尋ねた。
「何故・・・私は悪事を働いたのに、見殺しにせず助けてくださったのですか?」
「敵でも、救える命は救います。それに、貴方には妹達の行く末を見て欲しいと思いまして」
「・・・そうでしたか。妹達はそれぞれの道を歩む。わたくしはここで生涯を終わらせるのかしらね?」
珠姫は苦笑いしながら、動かない手足に希望は無いと思っていた。すると益城は彼女の手に優しく触れ、言った。
「鬼の里の温泉は昔から傷や病を癒やす湯治場として利用されています。あなたの体の毒も、直ぐに取り除くことが出来るので、どうか希望を捨てないで下さい」
珠姫は益城の手に触れた時、無意識に指が動き始めた。まだ彼の手を握ることは出来ないが、手に強く暖かい感覚が触れた。それと同時に、心臓の鼓動が高まり複雑な思いが込み上げてきた。
(わたくしたら・・・ツクモ様しか愛さないと決めていたのに・・・・)
益城は彼女の照れた顔を見て、優しく言葉をかけた。
「もう貴方は、過去に縛られることも、先の未来を不安だと思うこともありません。どのように生きても貴方の自由です」
珠姫は益城の神のお告げのような言葉に、安らぎを得て涙がこぼれた。
珠姫はその出来事を桜龍に話すと、桜龍が何を思ったのか、携帯用のおみくじ箱を彼女に渡し、引いてみてと促した。珠姫は突然の出来事に首を傾けたが、言われた通り棒を出した。桜龍は棒に書いてある漢数字と同じおみくじを荷物から取り出し、読んでみた。
「ふむふむ・・・吉か。この先災いは平穏に過ごしていれば起きない。恋愛は、直ぐ落とすのは難攻不落。時間をかけて相手を知ることが大事・・・か」
桜龍は珠姫の耳元でおみくじの結果を読んだ。珠姫は照れながら反論した。
「な!?わたくしはツクモ様一筋ですわ!!益城様に心を入れ替えるなんてそんなこと・・・」
「あれー?俺は益城さんとの関係を占うとは一言も言ってないけどな♪」
桜龍は1本取ったとニヤニヤしながら少し悔しがっている彼女におみくじを渡した。珠姫はツンとした態度を取りながら、話題を変えた。
「・・・貴方こそ絶対に護ってあげなさい。仁摩という強い巫女を」
「もちろん、そのつもりだ!!俺は今回の戦いで、珠姫姉さんと仁摩殿を危険にさらしてしまった事を反省している」
珠姫は、桜龍の決意の言葉を聞いて、安心して耳を傾けた。
「なかなかの心がけね。それはさておき、ツクモ様、いいえ・・紅史郎が変わらず、つるぎと一緒になって良かったわ」
珠姫は数分前に桜龍と太陽神となった紅史郎を見に行った。すると、海の池地獄で、仲睦まじく散歩をしていた。姿は変わったが、紅史郎とツクモの面影はしっかりと残っていた。珠姫は笑顔で、そっと見守っていた。桜龍は小声で声をかけないのか?と尋ねたが、珠姫は首を横に振り答えた。
「わたくしは、ツクモ様、いいえ紅史郎とつるぎが結ばれて嬉しいわ。美羅は1人でも大丈夫だけど、素敵な人と出会えると良いわね」
珠姫は妹達の幸せに深く願いを込めた。桜龍は、そんな彼女に寄り添い、本殿に戻ろうかと連れて行った。
そして館で、桜龍に忠告した。
「貴方の聖なる龍の瞳は、無限の力を秘めているけど、使い方と使用者によっては、救世か破滅を呼ぶわ。でも、貴方のような聖者なら、神々にも匹敵する救世主となれるわ」
「珠姫さん・・・俺はそんな大きい存在じゃあ」
「ふふ、意外と謙虚なのね。大丈夫よ、貴方を支えてくれる仲間も多く居る。何があっても、仲間を信じて。そして、闇に侵された悲しき者の心を浄化させてあげて」
珠姫は桜龍の左目の眼帯を外し、聖なる龍の瞳に口付けをした。桜龍は彼女から強い力を託されたような感覚に浸り、甘い声で頼んだ。
「珠姫さん・・・しばらくこうして欲しい」
うっとりした顔の桜龍は、後ろから頬をいきなりつねられた。珠姫はその人物に気づいていたが、彼には教えなかった。
「何をやっているの・・・桜龍!!療養中の珠姫さんにいかがわしい事をじゃないでしょうね・・・・」
「に!?仁摩殿!!!!いつから部屋に入ってきたんだ?珠姫さん知っていた?」
桜龍は冷や汗をかきながら珠姫に尋ねた。
「桜龍は聖なる龍の瞳と一緒に、わたくしを誘惑していたのよ。仁摩ちゃんの存在に気がつかない程にね♪」
珠姫が意地悪な表情を桜龍に向けると、仁摩は鬼のような形相で怒り、桜龍を追いかけ始めた。
「出雲大社の本殿の縄に縛り着けるわよ!!!!」
「いやいや・・・珠姫さんと少しオトナの話をしていただけだからー!!」
本殿を出て、桜龍と仁摩は地獄巡りの道で追いかけっこをしていた。鬼の一族達は呆れたり、笑いながら、2人を見ていた。