第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
豊臣軍と御伽勇士達の活躍で、魔人イフリートは葬り去られ、『トワ・パライソ』も消滅した。そして、九州に再び平和が訪れた。九州の大一揆から数ヶ月が経ち、その後の佐々成政は、豊臣の元、幽閉され切腹を命じられた。成政の死後、秀吉は忌々しい宗教『トワ・パライソ』と、魔人イフリートの存在を後世に残さないようにと、成政は、肥後国の一揆を止められなかったと語り継がれた。
桜が咲き始めた春の豊後国別府の港町で、美羅は小さい店を開き、豊後国の名物の野菜や魚、麦焼酎などを取り扱う商いをしていた。彼女は、風の知らせで成政が亡くなった事を聞いたが、悲しむことは無く、大好きだった彼と、父の意志を受け継ぎ、一生懸命生き抜く事を決意していた。
「あたしだって、立派な商人になって見せるわよ!!お父さん、成政様!!」
美羅は取れたての野菜と魚を籠の中に並べていると、白州が黄金色のハネを羽ばたかせながら、地上に舞い降りた。
「よう!!久しぶりだな♪甲斐の国じゃあ取れねぇ珍しい食材が揃っているな」
「あら?貴方は確か、精霊戦士の白州さんね。密偵か何かで九州に来たの?」
「いいや、少しお暇を貰えたから、九州に来てみたんだ。球磨達も来ているみたいだし」
白州は陽気な笑顔で答え、徳利に入った葡萄酒を彼女に渡した。
「美羅は酒が強いと聞いたから、甲斐の国の葡萄酒はどうかなと。知り合いのぶどう園が大繁盛で、この葡萄酒上手いんだぜ!!」
「ありがとうねー♪ただ、珍しい物を持ってきて、あたしを落とそうとしても、そう簡単にはいかないわよ。今は仕事一筋で頑張っているんだから」
「おいおい・・落とすって、俺はお前の事よく知らねーから・・・。でもまぁ、時々暇を貰ったら、珍しい野菜や魚を買いにくるからな」
「その時は、葡萄酒も相場を決めて、何本か持ってきてねー♪大名家に高く売りつけたいわ」
「はん!!商売目的なら持って来ないぜ!!」
美羅と白州はお互いに顔を合わせ笑った。
(本当に、好きな人を見つけて、幸せになれ・・・か、成政様)
(俺は今まで女は、ばっちゃんとしか接したことが無かったが、これが恋ってやつなのか・・・?)
2人の心の中には何かが芽生えようとしていた。すると、籠の中に入っていた白州の弟子、『小助』とおませな小精霊達が、2人を見守っていた。
「2人の恋は始まったばかりじゅら♪」
「どうなることやらーじゅら♪」
「うるせーぞ!!お前ら!!」
白州は面白がっている小精霊を追いかけた。美羅は彼を『見かけによらず子供っぽいのねー』と呆れながら笑っていた。
所変わって、モトスとお都留は別府の鬼の地獄めぐりを楽しんでいた。美しい庭園の中にある、青白い池、『白池地獄』をじっくりと見ていた。
「周りの景色に溶け込んだ池だな。忍野八海も負けてはいないが、ここも風情があるな」
「今度、甲斐で温泉が湧いている場所にお花を植えましょう」
鬼の頭領『由布』は、遠目でモトスとお都留の仲睦まじい姿を見て、少し残念そうな顔をした。
「若くて気立ての良い、同族の恋人が居たか・・。残念だ」
「モトスさんに想いを寄せていたのですか?由布様」
仁摩が尋ねると、由布は少し拗ねながら言った。
「ほんの少しだ!!だがわらわとモトスでは歳が離れてしまうな」
「由布様も、見た目よりも長く生きていますからねぇ」
「む・・・お主も桜龍並に言う娘だな」
2人は互いに顔を合わせ思わず笑ってしまった。
「お主達はまだまだ若い。桜龍を支えてやるのだぞ」
「今回の戦いで、厄神に仕える者達の恐ろしさを実感しました・・・私も強くならないと、桜龍達を支えるどころか、足手まといになってしまう」
由布は仁摩の不安な心境に強く励ました。
「わらわ達、鬼の一族もお主達の味方だ。それに、海洋族や他にも日ノ本を護る種族もおる。お主が思うほど人間も弱くはないぞ」
由布は御伽勇士達だけの活躍だけでなく、豊臣軍の奮闘を見て、戦国の世も捨てた物ではないとしみじみ思っていた。
桜が咲き始めた春の豊後国別府の港町で、美羅は小さい店を開き、豊後国の名物の野菜や魚、麦焼酎などを取り扱う商いをしていた。彼女は、風の知らせで成政が亡くなった事を聞いたが、悲しむことは無く、大好きだった彼と、父の意志を受け継ぎ、一生懸命生き抜く事を決意していた。
「あたしだって、立派な商人になって見せるわよ!!お父さん、成政様!!」
美羅は取れたての野菜と魚を籠の中に並べていると、白州が黄金色のハネを羽ばたかせながら、地上に舞い降りた。
「よう!!久しぶりだな♪甲斐の国じゃあ取れねぇ珍しい食材が揃っているな」
「あら?貴方は確か、精霊戦士の白州さんね。密偵か何かで九州に来たの?」
「いいや、少しお暇を貰えたから、九州に来てみたんだ。球磨達も来ているみたいだし」
白州は陽気な笑顔で答え、徳利に入った葡萄酒を彼女に渡した。
「美羅は酒が強いと聞いたから、甲斐の国の葡萄酒はどうかなと。知り合いのぶどう園が大繁盛で、この葡萄酒上手いんだぜ!!」
「ありがとうねー♪ただ、珍しい物を持ってきて、あたしを落とそうとしても、そう簡単にはいかないわよ。今は仕事一筋で頑張っているんだから」
「おいおい・・落とすって、俺はお前の事よく知らねーから・・・。でもまぁ、時々暇を貰ったら、珍しい野菜や魚を買いにくるからな」
「その時は、葡萄酒も相場を決めて、何本か持ってきてねー♪大名家に高く売りつけたいわ」
「はん!!商売目的なら持って来ないぜ!!」
美羅と白州はお互いに顔を合わせ笑った。
(本当に、好きな人を見つけて、幸せになれ・・・か、成政様)
(俺は今まで女は、ばっちゃんとしか接したことが無かったが、これが恋ってやつなのか・・・?)
2人の心の中には何かが芽生えようとしていた。すると、籠の中に入っていた白州の弟子、『小助』とおませな小精霊達が、2人を見守っていた。
「2人の恋は始まったばかりじゅら♪」
「どうなることやらーじゅら♪」
「うるせーぞ!!お前ら!!」
白州は面白がっている小精霊を追いかけた。美羅は彼を『見かけによらず子供っぽいのねー』と呆れながら笑っていた。
所変わって、モトスとお都留は別府の鬼の地獄めぐりを楽しんでいた。美しい庭園の中にある、青白い池、『白池地獄』をじっくりと見ていた。
「周りの景色に溶け込んだ池だな。忍野八海も負けてはいないが、ここも風情があるな」
「今度、甲斐で温泉が湧いている場所にお花を植えましょう」
鬼の頭領『由布』は、遠目でモトスとお都留の仲睦まじい姿を見て、少し残念そうな顔をした。
「若くて気立ての良い、同族の恋人が居たか・・。残念だ」
「モトスさんに想いを寄せていたのですか?由布様」
仁摩が尋ねると、由布は少し拗ねながら言った。
「ほんの少しだ!!だがわらわとモトスでは歳が離れてしまうな」
「由布様も、見た目よりも長く生きていますからねぇ」
「む・・・お主も桜龍並に言う娘だな」
2人は互いに顔を合わせ思わず笑ってしまった。
「お主達はまだまだ若い。桜龍を支えてやるのだぞ」
「今回の戦いで、厄神に仕える者達の恐ろしさを実感しました・・・私も強くならないと、桜龍達を支えるどころか、足手まといになってしまう」
由布は仁摩の不安な心境に強く励ました。
「わらわ達、鬼の一族もお主達の味方だ。それに、海洋族や他にも日ノ本を護る種族もおる。お主が思うほど人間も弱くはないぞ」
由布は御伽勇士達だけの活躍だけでなく、豊臣軍の奮闘を見て、戦国の世も捨てた物ではないとしみじみ思っていた。