第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
球磨達が島原で、魔人イフリートと激闘を繰り広げている頃に、白州達森精霊は、肥後国宇土の港で、反豊臣の一揆勢を鎮圧させていた。その時、遠くに見える島原半島から溶岩の巨人が見え、小精霊達は目を丸くしていた。
「あ・・あれはなんじゅらー!?お山より大きいじゅら!!」
「こいつは、『でいだらぼっち』って奴か?」
白州とお都留が驚いていると、降伏した一揆衆が気が狂ったかのような素振りで、巨人の方を向き、崇拝した。
「あれこそが、我々が望んでいた楽園の神。今こそ、サルが支配する日ノ本を焼き消して下さいませ!!」
「何言ってやがる!!秀吉様以前に、お前らだって焼き殺されるってのが分かんねーのか!!」
「大地が枯れたらみんな死滅するじゅらー!!」
白州と小精霊は、一揆衆の耳元で激怒した。お都留は島原で戦うモトス達の身を案じていた。
「あの巨人・・・大きさだけではなく、凄まじい邪気と破壊力を持っていますわ・・・私達も島原へ向かいましょう」
お都留が白州と精霊戦士に促すと、白州は『そうだな』と気合いを入れていた。
「今度は俺が球磨達を助ける番だ。皆、島原へ行くぞ!!」
白州が黄金色のハネを出現させようとした時、紅い甲冑を身につけた男性に止められた。
「待ちなさい。まだ若い君達には、やるべき事がある」
「あんたは・・一体?」
白州は長身で逞しい男性を、一目見ただけで、凄まじい強さの持ち主と頷けた。しかし男は、興奮している小精霊を優しく撫で、落ち着かせる父親のような優しさも合わせ持っていた。
「球磨達は、私が助太刀します。森精霊の皆さんは、島原に取り残された民の救出をお願いします」
「了解しました!!ですが、貴方はどのようにして行かれ・・・」
お都留が彼に島原を渡る術を聞こうとした時、男は斧を海に向け一振りすると、海面が広く割れ、道が出来た。精霊戦士と小精霊は目を見張った。
「こりゃあたまげたじゅら・・・」
白州は男が切り開いた道を駆けていく姿を見て、推測していた。
「もしかしたら・・あの旦那、球磨が言っていた紅蓮の増鬼かもしれねぇな・・・。それも人間離れしている。俺たちとはまた違った種族かもしれねーぜ」
白州達、精霊戦士は『俺たちも負けてはいられない!!』と意気込みながら島原や周辺の離島に取り残された民達の救出へ向かった。
その頃、雲仙普賢岳で勇士達は、宮殿を破壊した魔人イフリートと戦っていた。しかし、溶岩の塊のような魔人には勇士達の魔法が通用しなかった。
「く・・いとも簡単に水を吸収されてしまう・・・」
湘が召喚した水龍も、モトスの放つ花びらの嵐も、巨大な溶岩の手で打ち消されてしまう。
「目眩しも通用せぬか・・・」
「あーはははは!!俺様の体は完全無欠だ!!貴様らなんぞ、骨も残さず焼き消してやる!!」
イフリートは勇士達目掛け、溶岩の手で攻撃した。皆は跳躍して避けるのが精一杯だった。
「冗談じゃねーぜ・・・闇の一族はこんな危険な奴を飼っていたのかよ・・・」
桜龍は火炎の攻撃が当たりそうだった美羅とつるぎに、五芒星の光を帯びた結界で防いだ。
「ありがとう!!」
2人は桜龍に礼を言い、飛んでくる溶岩石を槍と疾風の剣で防いだ。しかしこのまま戦い続けても、勝ち目は無いと球磨は判断し、苦渋の決断を皆に告げた。
「奴を倒すには・・・俺が奴の体内に入り、ツクモ達を救うしかない」
球磨には一切の恐怖も無く覚悟を決めていたが、胡桃は涙を流しながら止めた。
「そんな!?それでは命を落としてしまうわ!!」」
「俺を信じてくれ!!胡桃、皆。俺は炎の加護を持っている。溶岩の中などなんて事ないさ!!」
球磨は引き留めている胡桃に『ありがとうな』と笑顔を向け、ゆっくり手を離した。桜龍は静かに胡桃を諭した。
「球磨の決意は固いぜ、胡桃さん。それに球磨は、炎の神の化身だからじゃなく、1人の男として救いたい者を救う。だから、俺は球磨を信じるぜ!!」
続いて仁摩も胡桃に言った。
「私にも分かります。球磨さんの心に宿る炎は何があっても消えない。希望と勝利を灯す炎だと」
「桜龍さん・・仁摩さん・・・」
胡桃は、皆が球磨の無事を信じていると聞いて少し安心した。
「お前が体内で戦っている間、俺達も魔人の動きを止めておくぞ!!」
モトスは無事を祈りながら、球磨に拳を掲げ、彼も拳をモトスの拳にパチンと当てた。
「これは、大地の御守りです。危なくなったらこれに念を込めれば外に出られます」
千里は星のような砂と石が入った緋色の御守りを球磨に渡した。球磨は喜んで受け取った。
「とことん体内で暴れてこい、絶対に黒焦げになって帰ってくるなよ、暴れ牛」
湘のいつも通りの皮肉口調に、球磨は笑いながら返答した。
「うるせぇ・・・若作りおじ。湘おじも、知略で皆を護ってくれ」
最後に桜龍が球磨に白銀に光る、魔除けの術を施した。
「勝利祈願だぜ!!球磨ちゃん。日ノ本を破壊されないように、俺達も全力で戦うぜ!!」
桜龍の揺るがぬ決意に、球磨は『よろしく頼む!!』と彼の手を握った。
「では、行ってくる!!」
球磨は橙色の強い光を体全体にまとわせ、魔人が接近した時を見計らい、体内に侵入しようとした。美羅は太陽の光を鏡に反射させ、魔人の目に当て、仁摩は破魔の護符を数十枚取り出し、つるぎの竜巻に放ち、連携攻撃で魔人の動きを止めた。
「さぁ、球磨さん!!今のうちに!!!」
仁摩と桜龍は太い、しめ縄で魔人の両足を縛り動きを封じた。
「皆、ありがとうな!!無事に帰って来るぜ!」
球磨は灼熱の溶岩で出来た魔人の体内に侵入した。
「あ・・あれはなんじゅらー!?お山より大きいじゅら!!」
「こいつは、『でいだらぼっち』って奴か?」
白州とお都留が驚いていると、降伏した一揆衆が気が狂ったかのような素振りで、巨人の方を向き、崇拝した。
「あれこそが、我々が望んでいた楽園の神。今こそ、サルが支配する日ノ本を焼き消して下さいませ!!」
「何言ってやがる!!秀吉様以前に、お前らだって焼き殺されるってのが分かんねーのか!!」
「大地が枯れたらみんな死滅するじゅらー!!」
白州と小精霊は、一揆衆の耳元で激怒した。お都留は島原で戦うモトス達の身を案じていた。
「あの巨人・・・大きさだけではなく、凄まじい邪気と破壊力を持っていますわ・・・私達も島原へ向かいましょう」
お都留が白州と精霊戦士に促すと、白州は『そうだな』と気合いを入れていた。
「今度は俺が球磨達を助ける番だ。皆、島原へ行くぞ!!」
白州が黄金色のハネを出現させようとした時、紅い甲冑を身につけた男性に止められた。
「待ちなさい。まだ若い君達には、やるべき事がある」
「あんたは・・一体?」
白州は長身で逞しい男性を、一目見ただけで、凄まじい強さの持ち主と頷けた。しかし男は、興奮している小精霊を優しく撫で、落ち着かせる父親のような優しさも合わせ持っていた。
「球磨達は、私が助太刀します。森精霊の皆さんは、島原に取り残された民の救出をお願いします」
「了解しました!!ですが、貴方はどのようにして行かれ・・・」
お都留が彼に島原を渡る術を聞こうとした時、男は斧を海に向け一振りすると、海面が広く割れ、道が出来た。精霊戦士と小精霊は目を見張った。
「こりゃあたまげたじゅら・・・」
白州は男が切り開いた道を駆けていく姿を見て、推測していた。
「もしかしたら・・あの旦那、球磨が言っていた紅蓮の増鬼かもしれねぇな・・・。それも人間離れしている。俺たちとはまた違った種族かもしれねーぜ」
白州達、精霊戦士は『俺たちも負けてはいられない!!』と意気込みながら島原や周辺の離島に取り残された民達の救出へ向かった。
その頃、雲仙普賢岳で勇士達は、宮殿を破壊した魔人イフリートと戦っていた。しかし、溶岩の塊のような魔人には勇士達の魔法が通用しなかった。
「く・・いとも簡単に水を吸収されてしまう・・・」
湘が召喚した水龍も、モトスの放つ花びらの嵐も、巨大な溶岩の手で打ち消されてしまう。
「目眩しも通用せぬか・・・」
「あーはははは!!俺様の体は完全無欠だ!!貴様らなんぞ、骨も残さず焼き消してやる!!」
イフリートは勇士達目掛け、溶岩の手で攻撃した。皆は跳躍して避けるのが精一杯だった。
「冗談じゃねーぜ・・・闇の一族はこんな危険な奴を飼っていたのかよ・・・」
桜龍は火炎の攻撃が当たりそうだった美羅とつるぎに、五芒星の光を帯びた結界で防いだ。
「ありがとう!!」
2人は桜龍に礼を言い、飛んでくる溶岩石を槍と疾風の剣で防いだ。しかしこのまま戦い続けても、勝ち目は無いと球磨は判断し、苦渋の決断を皆に告げた。
「奴を倒すには・・・俺が奴の体内に入り、ツクモ達を救うしかない」
球磨には一切の恐怖も無く覚悟を決めていたが、胡桃は涙を流しながら止めた。
「そんな!?それでは命を落としてしまうわ!!」」
「俺を信じてくれ!!胡桃、皆。俺は炎の加護を持っている。溶岩の中などなんて事ないさ!!」
球磨は引き留めている胡桃に『ありがとうな』と笑顔を向け、ゆっくり手を離した。桜龍は静かに胡桃を諭した。
「球磨の決意は固いぜ、胡桃さん。それに球磨は、炎の神の化身だからじゃなく、1人の男として救いたい者を救う。だから、俺は球磨を信じるぜ!!」
続いて仁摩も胡桃に言った。
「私にも分かります。球磨さんの心に宿る炎は何があっても消えない。希望と勝利を灯す炎だと」
「桜龍さん・・仁摩さん・・・」
胡桃は、皆が球磨の無事を信じていると聞いて少し安心した。
「お前が体内で戦っている間、俺達も魔人の動きを止めておくぞ!!」
モトスは無事を祈りながら、球磨に拳を掲げ、彼も拳をモトスの拳にパチンと当てた。
「これは、大地の御守りです。危なくなったらこれに念を込めれば外に出られます」
千里は星のような砂と石が入った緋色の御守りを球磨に渡した。球磨は喜んで受け取った。
「とことん体内で暴れてこい、絶対に黒焦げになって帰ってくるなよ、暴れ牛」
湘のいつも通りの皮肉口調に、球磨は笑いながら返答した。
「うるせぇ・・・若作りおじ。湘おじも、知略で皆を護ってくれ」
最後に桜龍が球磨に白銀に光る、魔除けの術を施した。
「勝利祈願だぜ!!球磨ちゃん。日ノ本を破壊されないように、俺達も全力で戦うぜ!!」
桜龍の揺るがぬ決意に、球磨は『よろしく頼む!!』と彼の手を握った。
「では、行ってくる!!」
球磨は橙色の強い光を体全体にまとわせ、魔人が接近した時を見計らい、体内に侵入しようとした。美羅は太陽の光を鏡に反射させ、魔人の目に当て、仁摩は破魔の護符を数十枚取り出し、つるぎの竜巻に放ち、連携攻撃で魔人の動きを止めた。
「さぁ、球磨さん!!今のうちに!!!」
仁摩と桜龍は太い、しめ縄で魔人の両足を縛り動きを封じた。
「皆、ありがとうな!!無事に帰って来るぜ!」
球磨は灼熱の溶岩で出来た魔人の体内に侵入した。