第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
「そういえば、『よかとーね』や『するけん』とか変な言葉遣いになったのは失敗作だったな。まぁ試作品だから完璧には造れなかったのは残念だ」
球磨は、まるで仲間とも思っていない大芹に憎しみを抱いた。今すぐにでも攻撃したいと歯を食いしばっていたが、彼の実力を知る千里に制止されていた。
「・・・気持ちは十分分かりますが、奴は自らの体も実験台にする・・恐ろしい男です」
「ツクモ様!!貴方の正体なんて関係ありません!!わたくしは貴方を心から愛しています、」
珠姫は苦しみながらもツクモへ懸命に呼びかけていた。すると大芹はあざ笑いながら珠姫を捕らえている腕を引き寄せ、顔を近づけ言った。
「この期に及んで、まだツクモを愛しているのか、珠姫?私は正直、君に気があったのだよ。こんな惨めな男よりも私に乗り換えても良いのだぞ」
珠姫は嫌よ!!と渾身の力で大芹の頬を平手打ちしたが、彼は動ずる事無く、ニヤッと笑い、無理矢理、珠姫に口付けをした。
「やめろー!!珠姫に手を出すな!!!!!」
「姉上―!!!!!」
ツクモと妹達の言葉は届くこと無く、珠姫は苦しみ始め、気を失った。大芹は唇に付いた黒い液を笑いながら舐めていた。その猛毒で珠姫は深い眠りについた。
「ははは!!私を選ばなかった末路だ。どうかね、ツクモ?この女は直に猛毒が体を回り、死ぬぞ」
珠姫は無残にゴミのようにツクモの目の前に投げ捨てられた。湘は今起きている状況に目を疑い、桜龍は怒りを込め、大芹を睨んでいた。
「なんて奴だ・・・女でも一切の容赦無しか・・・」
「厳美の仲間か知らねーが、最低の野郎だな・・・」
大芹はそんな2人を目であしらい、何度も珠姫の名を呼んでいるツクモを見下していた。
「そうそう親方様が、いいや『卑弩羅(ひどら)様』が申していたぞ。ツクモはもう用済みと」
ツクモは大芹の言葉に何も言い返さなかった。
「もう、トワ・パライソが日ノ本を支配するのも、邪魔な勇士たちを始末するのも、どうでも良くなったとね・・・余は大芹、貴様の憎々しい顔を燃やし消してやるとね!!」
ツクモは手に炎をまとわせ、大芹に殴りかかろうとしたが、「動くな」と動きを封じられてしまった。さらに、黒い龍の手でツクモの胸を強く打ち、刺激させた。
「君を最期に利用させてもらうよ。仮の美しい顔から、醜い魔人の姿へと変わる。魔改造戦士の心臓部分に封印された、イフリートの魂を解放させて貰おう」
ツクモの体は面影を残さぬ程に変化し、溶岩とマグマに包まれ、頭上に鋼鉄の鋭い角が生え、巨大化していった。紅史郎はマグマの手に捕われ、巨人の体内に吸収された。
「紅史郎!!」
球磨は紅史郎を助けようとしたが、モトスと湘に止められた。
「このままでは宮殿ごと巨人に飲み込まれてしまうぞ!!」
「・・助けたい気持ちは分かるが、策も無しに助けに行くのは、犬死と一緒だ・・・」
桜龍も珠姫を抱えながら、聖龍の瞳を通し、巨人の気を察知した。
「紅史郎は溶けていない状態で体内に居る。助けられる好機はあるぜ!!」
皆は桜龍の言葉に促され、宮殿を脱出した。モトスは持っている解毒剤で珠姫の体に回っている猛毒を中和させた。何とか一命は取り留めたが、強い毒だったので、まだ彼女は意識が戻らず、体が動かなかった。
「・・・死は免れたが、神経をやられてしまったか・・・大芹は絶対に許せぬな」
モトスは怒りを込めながら、珠姫の体に癒やしの力を発する植物を絡ませ、抱えて宮殿を脱出した。
皆は石畳の中庭に出た時、最上階にある神話の間から巨大化した魔人が姿を現し、円形の屋根は破壊された。
「これが・・ツクモの正体。もはや破壊神じゃないの・・・」
仁摩は言葉が出ない程呆然と見ていた。近くに居た大芹が得意げな顔で説明した。
「そう。魔人イフリートに目覚めたツクモは日ノ本はおろか、この世界を溶岩で埋め尽くしてしまうぞ」
モトスは姉妹に珠姫を託し、千里と一緒に大芹を仕留めようと疾風の速さで攻撃しようとしたが、黒い龍の手から放たれる雷撃に吹き飛ばされてしまった。その隙に大芹は暗闇の中に消えてしまった。
「く・・・逃してしまったか・・このまま奴を生かしておいたら危ないと思ったのだが・・・」
「大芹はそう簡単に仕留めることは出来ません・・・。厳美同様、これから脅威となる敵です」
湘と桜龍は、倒れているモトスと千里に肩を貸した。湘は渋い顔をしながら策を考えているが。
「どうする・・・。敵の体は溶岩で出来ている。このままでは日ノ本は焼け野原になってしまう・・・」
「それでも、俺たちが戦わなければ、戦国の世はおろか、この世界が滅びてしまう。それに、そこにもう戦う覚悟を決めた漢がいるぜ」
桜龍は危機に面しても、楽観的な態度で球磨の勇ましい姿を見ていた。球磨は神々しい姿で西洋槍を強く構え、宮殿を壊す魔人を睨んでいた。
「紅史郎・・そしてツクモ、必ず助けるぞ!!日ノ本も、この大地も滅ぼさせはしない!!」
球磨は皆に懇願した。
「俺は全てを助け、護りたい。だが、俺1人の力では難しい。皆、力を貸して欲しい!!」
球磨の頼みに、皆は強い眼差しで頷いた。
「君1人には、背負わせないよ。私の水の魔術と知略で勝利に導いてやるぞ」
「日ノ本と世界中の美しき緑の大地を焼け野原にはさせぬぞ!!」
「大芹やマガツイノカミの思い通りにはさせません。この戦いの根源を絶ちきりましょう!!」
「あたしも、珠姫姉さんを傷つけた奴が許せない!!豊臣に投降した成政様も危険に遭わせたくない」
「ツクモ様と紅史郎を救いたい。・・・それに私は紅史郎に告げていないことがある」
それぞれの決意に、桜龍は深く耳に刻んだ。
「俺達はここで立ち止まるわけにはいかないぜ。厳美や大芹って奴みたいに、これから日ノ本の脅威となる敵もたくさん居る。だから、魔人には絶対に負けられねぇ!!」
桜龍は破邪の太刀を抜刀し、皆に宣言した。胡桃は私には戦う力が無いと、落ち込んでいたが、仁摩は彼女に寄り添い告げた。
「皆の無事を祈る事も戦いよ、胡桃さん。それに、私も皆の帰りを信じて待っているから」
「胡桃・・・気遣ってくれてありがとうな。だけど心配すんな!!俺達は絶対に死なねぇ!!戦いが終わったら、また史跡探検や、お前が書いた本を読みたいぜ!!」
球磨は胡桃の額に口付けをした。皆は「おいおい・・これから戦いだというのに・・」と呆気にとられていた。
「魔人イフリート・・・俺がプロメテウスの生まれ変わりかは知らねーが、何故か深い因縁を感じる。とにかく今はこいつを討伐し、大切な者を救い守り抜くぜ!!」
皆は桜龍と球磨の言葉を胸に、それぞれ武器を構え、魔人に挑み始めた。
第12話 完
球磨は、まるで仲間とも思っていない大芹に憎しみを抱いた。今すぐにでも攻撃したいと歯を食いしばっていたが、彼の実力を知る千里に制止されていた。
「・・・気持ちは十分分かりますが、奴は自らの体も実験台にする・・恐ろしい男です」
「ツクモ様!!貴方の正体なんて関係ありません!!わたくしは貴方を心から愛しています、」
珠姫は苦しみながらもツクモへ懸命に呼びかけていた。すると大芹はあざ笑いながら珠姫を捕らえている腕を引き寄せ、顔を近づけ言った。
「この期に及んで、まだツクモを愛しているのか、珠姫?私は正直、君に気があったのだよ。こんな惨めな男よりも私に乗り換えても良いのだぞ」
珠姫は嫌よ!!と渾身の力で大芹の頬を平手打ちしたが、彼は動ずる事無く、ニヤッと笑い、無理矢理、珠姫に口付けをした。
「やめろー!!珠姫に手を出すな!!!!!」
「姉上―!!!!!」
ツクモと妹達の言葉は届くこと無く、珠姫は苦しみ始め、気を失った。大芹は唇に付いた黒い液を笑いながら舐めていた。その猛毒で珠姫は深い眠りについた。
「ははは!!私を選ばなかった末路だ。どうかね、ツクモ?この女は直に猛毒が体を回り、死ぬぞ」
珠姫は無残にゴミのようにツクモの目の前に投げ捨てられた。湘は今起きている状況に目を疑い、桜龍は怒りを込め、大芹を睨んでいた。
「なんて奴だ・・・女でも一切の容赦無しか・・・」
「厳美の仲間か知らねーが、最低の野郎だな・・・」
大芹はそんな2人を目であしらい、何度も珠姫の名を呼んでいるツクモを見下していた。
「そうそう親方様が、いいや『卑弩羅(ひどら)様』が申していたぞ。ツクモはもう用済みと」
ツクモは大芹の言葉に何も言い返さなかった。
「もう、トワ・パライソが日ノ本を支配するのも、邪魔な勇士たちを始末するのも、どうでも良くなったとね・・・余は大芹、貴様の憎々しい顔を燃やし消してやるとね!!」
ツクモは手に炎をまとわせ、大芹に殴りかかろうとしたが、「動くな」と動きを封じられてしまった。さらに、黒い龍の手でツクモの胸を強く打ち、刺激させた。
「君を最期に利用させてもらうよ。仮の美しい顔から、醜い魔人の姿へと変わる。魔改造戦士の心臓部分に封印された、イフリートの魂を解放させて貰おう」
ツクモの体は面影を残さぬ程に変化し、溶岩とマグマに包まれ、頭上に鋼鉄の鋭い角が生え、巨大化していった。紅史郎はマグマの手に捕われ、巨人の体内に吸収された。
「紅史郎!!」
球磨は紅史郎を助けようとしたが、モトスと湘に止められた。
「このままでは宮殿ごと巨人に飲み込まれてしまうぞ!!」
「・・助けたい気持ちは分かるが、策も無しに助けに行くのは、犬死と一緒だ・・・」
桜龍も珠姫を抱えながら、聖龍の瞳を通し、巨人の気を察知した。
「紅史郎は溶けていない状態で体内に居る。助けられる好機はあるぜ!!」
皆は桜龍の言葉に促され、宮殿を脱出した。モトスは持っている解毒剤で珠姫の体に回っている猛毒を中和させた。何とか一命は取り留めたが、強い毒だったので、まだ彼女は意識が戻らず、体が動かなかった。
「・・・死は免れたが、神経をやられてしまったか・・・大芹は絶対に許せぬな」
モトスは怒りを込めながら、珠姫の体に癒やしの力を発する植物を絡ませ、抱えて宮殿を脱出した。
皆は石畳の中庭に出た時、最上階にある神話の間から巨大化した魔人が姿を現し、円形の屋根は破壊された。
「これが・・ツクモの正体。もはや破壊神じゃないの・・・」
仁摩は言葉が出ない程呆然と見ていた。近くに居た大芹が得意げな顔で説明した。
「そう。魔人イフリートに目覚めたツクモは日ノ本はおろか、この世界を溶岩で埋め尽くしてしまうぞ」
モトスは姉妹に珠姫を託し、千里と一緒に大芹を仕留めようと疾風の速さで攻撃しようとしたが、黒い龍の手から放たれる雷撃に吹き飛ばされてしまった。その隙に大芹は暗闇の中に消えてしまった。
「く・・・逃してしまったか・・このまま奴を生かしておいたら危ないと思ったのだが・・・」
「大芹はそう簡単に仕留めることは出来ません・・・。厳美同様、これから脅威となる敵です」
湘と桜龍は、倒れているモトスと千里に肩を貸した。湘は渋い顔をしながら策を考えているが。
「どうする・・・。敵の体は溶岩で出来ている。このままでは日ノ本は焼け野原になってしまう・・・」
「それでも、俺たちが戦わなければ、戦国の世はおろか、この世界が滅びてしまう。それに、そこにもう戦う覚悟を決めた漢がいるぜ」
桜龍は危機に面しても、楽観的な態度で球磨の勇ましい姿を見ていた。球磨は神々しい姿で西洋槍を強く構え、宮殿を壊す魔人を睨んでいた。
「紅史郎・・そしてツクモ、必ず助けるぞ!!日ノ本も、この大地も滅ぼさせはしない!!」
球磨は皆に懇願した。
「俺は全てを助け、護りたい。だが、俺1人の力では難しい。皆、力を貸して欲しい!!」
球磨の頼みに、皆は強い眼差しで頷いた。
「君1人には、背負わせないよ。私の水の魔術と知略で勝利に導いてやるぞ」
「日ノ本と世界中の美しき緑の大地を焼け野原にはさせぬぞ!!」
「大芹やマガツイノカミの思い通りにはさせません。この戦いの根源を絶ちきりましょう!!」
「あたしも、珠姫姉さんを傷つけた奴が許せない!!豊臣に投降した成政様も危険に遭わせたくない」
「ツクモ様と紅史郎を救いたい。・・・それに私は紅史郎に告げていないことがある」
それぞれの決意に、桜龍は深く耳に刻んだ。
「俺達はここで立ち止まるわけにはいかないぜ。厳美や大芹って奴みたいに、これから日ノ本の脅威となる敵もたくさん居る。だから、魔人には絶対に負けられねぇ!!」
桜龍は破邪の太刀を抜刀し、皆に宣言した。胡桃は私には戦う力が無いと、落ち込んでいたが、仁摩は彼女に寄り添い告げた。
「皆の無事を祈る事も戦いよ、胡桃さん。それに、私も皆の帰りを信じて待っているから」
「胡桃・・・気遣ってくれてありがとうな。だけど心配すんな!!俺達は絶対に死なねぇ!!戦いが終わったら、また史跡探検や、お前が書いた本を読みたいぜ!!」
球磨は胡桃の額に口付けをした。皆は「おいおい・・これから戦いだというのに・・」と呆気にとられていた。
「魔人イフリート・・・俺がプロメテウスの生まれ変わりかは知らねーが、何故か深い因縁を感じる。とにかく今はこいつを討伐し、大切な者を救い守り抜くぜ!!」
皆は桜龍と球磨の言葉を胸に、それぞれ武器を構え、魔人に挑み始めた。
第12話 完