第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
遡ること、日ノ本から遥かに遠い神話の世界、古代ギリシャ。太陽神アポロは、上空で、炎の邪神『イフリート』と戦っていた。邪神は鋭い角と溶岩のような体でできた巨人だった。この時、プロメテウスは他の邪神と戦っていた為、アポロ1人で挑んでいるが、神聖な太陽の力を持つ彼の敵ではなかった。
「これ以上、ギリシャの民を襲わせぬ!!これで終わりだ!!」
アポロの剣さばきが、イフリートの体と角を破壊し、倒した。しかし・・・
『これで倒したと思うなよ!!太陽神アポロ!!貴様の体を乗っ取ってやる!!』
イフリートは自らの魂を闇の炎と合体させ、アポロの体にまとわりついた。アポロは身動きが取れず、術も放てなかった。
「く・・私は・・闇に支配されてしまうのか・・・せめて、私の善の心だけでも逃れてくれ!!」
アポロは体と心が闇に浸食される寸前に、善の心を転移させた。心は、遥かなる時空と空間を超え、戦国時代の日ノ本へ飛び、武士の子に転生した。
肥後国の下級武士『暁家』で、新しい赤子が産まれた。2歳の長男、煉太郎は父と共に、母と赤子の元に駆けつけた。赤子は、太陽のように眩しい笑顔だった。
「僕に弟が出来たー!!お兄ちゃんとして頑張るぞ!!」
赤子の名前は、紅史郎。太陽のような紅い炎は歴史を紡ぐという由来で名付けられた。
「僕は・・・太陽神の転生した姿だったのか・・・」
「余は・・魔神イフリートだったのか?太陽神アポロだったのか・・・余は一体?」
ツクモにも記憶が蘇り、戦意を失い呆然としゃがみ込んでいた。その時、桜龍達が駆けつけ、珠姫が真っ先にツクモの元へ行った。
「もうやめましょう、ツクモ様!!近衛も女官も皆、宮殿を離れましたわ」
「珠姫・・・恥ずかしいところを見られたとね。余は球磨と紅史郎に負けた・・やはり早くに紅史郎と同化しておくべきだったのか・・・」
ツクモは後悔していたその時、彼の前に黒い煙が現れ、珠姫は黒い龍の手に囚われた。千里は真っ先に正体を見破った。
「貴様は・・大芹!!」
「おやおや、久しぶりだな千里。甲斐国では厳美が世話になったな」
大芹のわざとらしい挨拶は陰険さを漂わせていた。モトスは珠姫を捕らえている龍の腕を見て、怒りを込めていた。
「その腕は・・魔改造した腕か?」
「お初にお目に掛かるのに、詳しいな。千里から聞いたのか?それとも、厳美が君の知り合いに変異の劇薬を付けたのかな?」
モトスは龍の腕に憎しみを抱くほど記憶に残っていた。過去の甲州征伐の時、モトスと敵対していたが、分かり合った友、『信康』。彼は、穴山梅雪の影をしていたが、厳美の陰謀で、真の当主と知った時、森精霊の成り損ないとして覚醒してしまった梅雪との死闘の末、負傷した腕に付けられた薬、それが腕も心も邪悪に変異させてしまう恐ろしい物だと、モトスや皆は怒りを隠せないでいた。
「汚い手から珠姫を離すとね!!」
ツクモは炎の鉄拳を大芹に食らわせようとしたが、彼は『止まれ』と囁き、動きが止まった。
「君に私は倒せないよ。理由は、長い年月を経て、炎の邪神イフリートの魂を蘇らせ、器・・いいや空の人形だった君と融合させた、私の実験道具だからだ」
「何だと・・・?」
ツクモは、自分が炎の魔人でも太陽神アポロでも無かったと、絶望感でいっぱいになった。球磨達は今までに見たことの無いツクモの青ざめた表情と、大芹の残忍な手でツクモを配下にしていたと、怒りをつのらしていた。
「ツクモがてめぇの実験道具って、どういう意味だ!!こいつは邪神に仕える仲間じゃねーのかよ!!」
「随分と口の悪い男だな・・・。ツクモはこんな下等な者に執着していたのか?まぁ良い、君達に私の実験道具の話をしてやろう」
太陽神アポロは、その後、炎の邪神『イフリート』に体を乗っ取られてしまった。そして、闇に墜ち、ギリシャを闇の炎で包もうとした時、炎の神『プロメテウス』が彼に挑んだ。大切な戦友同士の戦いが始まり、プロメテウスは懸命にアポロに呼びかけたが、完全に邪神に心を支配され、攻撃を受け続けた。
「イフリート!!貴様!!その汚らわしき魂、アポロの体から出て行きやがれ!!」
「無駄だ!!俺様は悪の根源。アポロの清らかな魂は残念なことに何処かへ飛んでいったぞ!!」
プロメテウスは槍でイフリートの闇の炎を受け止めながら、悔しさで胸がいっぱいだった。
(く・・・このままアポロを倒すしか無いのか・・・)
しかし、心の中でアポロの声が聞こえた。
『私の魂は、時空を越え、新しい命に転生しようとしている。もはやお前が戦っているのは、完全悪に支配された邪神。だから、プロメテウスの聖なる炎で、邪神イフリートを倒してくれ・・・』
プロメテウスは戸惑ったが、アポロは彼を勇気づけた。
(私達神々は、滅びた後も、時を超え転生する。生まれ変わった時代や国が闇に脅かされる時、私達はまた巡り会うだろう)
プロメテウスはこの言葉に確信を持ち、渾身の力で聖なる炎を体にまとい、イフリートの胸を槍で貫いた。これで、ギリシャ世界には平和が訪れたが、その時、イフリートの亡骸と魂は、邪神『マガツイノカミ』に回収された。そして、長い時間封印され、大芹が魔改造戦士の研究と実験で試作品として造られたのが、ツクモだった・・・。
「これ以上、ギリシャの民を襲わせぬ!!これで終わりだ!!」
アポロの剣さばきが、イフリートの体と角を破壊し、倒した。しかし・・・
『これで倒したと思うなよ!!太陽神アポロ!!貴様の体を乗っ取ってやる!!』
イフリートは自らの魂を闇の炎と合体させ、アポロの体にまとわりついた。アポロは身動きが取れず、術も放てなかった。
「く・・私は・・闇に支配されてしまうのか・・・せめて、私の善の心だけでも逃れてくれ!!」
アポロは体と心が闇に浸食される寸前に、善の心を転移させた。心は、遥かなる時空と空間を超え、戦国時代の日ノ本へ飛び、武士の子に転生した。
肥後国の下級武士『暁家』で、新しい赤子が産まれた。2歳の長男、煉太郎は父と共に、母と赤子の元に駆けつけた。赤子は、太陽のように眩しい笑顔だった。
「僕に弟が出来たー!!お兄ちゃんとして頑張るぞ!!」
赤子の名前は、紅史郎。太陽のような紅い炎は歴史を紡ぐという由来で名付けられた。
「僕は・・・太陽神の転生した姿だったのか・・・」
「余は・・魔神イフリートだったのか?太陽神アポロだったのか・・・余は一体?」
ツクモにも記憶が蘇り、戦意を失い呆然としゃがみ込んでいた。その時、桜龍達が駆けつけ、珠姫が真っ先にツクモの元へ行った。
「もうやめましょう、ツクモ様!!近衛も女官も皆、宮殿を離れましたわ」
「珠姫・・・恥ずかしいところを見られたとね。余は球磨と紅史郎に負けた・・やはり早くに紅史郎と同化しておくべきだったのか・・・」
ツクモは後悔していたその時、彼の前に黒い煙が現れ、珠姫は黒い龍の手に囚われた。千里は真っ先に正体を見破った。
「貴様は・・大芹!!」
「おやおや、久しぶりだな千里。甲斐国では厳美が世話になったな」
大芹のわざとらしい挨拶は陰険さを漂わせていた。モトスは珠姫を捕らえている龍の腕を見て、怒りを込めていた。
「その腕は・・魔改造した腕か?」
「お初にお目に掛かるのに、詳しいな。千里から聞いたのか?それとも、厳美が君の知り合いに変異の劇薬を付けたのかな?」
モトスは龍の腕に憎しみを抱くほど記憶に残っていた。過去の甲州征伐の時、モトスと敵対していたが、分かり合った友、『信康』。彼は、穴山梅雪の影をしていたが、厳美の陰謀で、真の当主と知った時、森精霊の成り損ないとして覚醒してしまった梅雪との死闘の末、負傷した腕に付けられた薬、それが腕も心も邪悪に変異させてしまう恐ろしい物だと、モトスや皆は怒りを隠せないでいた。
「汚い手から珠姫を離すとね!!」
ツクモは炎の鉄拳を大芹に食らわせようとしたが、彼は『止まれ』と囁き、動きが止まった。
「君に私は倒せないよ。理由は、長い年月を経て、炎の邪神イフリートの魂を蘇らせ、器・・いいや空の人形だった君と融合させた、私の実験道具だからだ」
「何だと・・・?」
ツクモは、自分が炎の魔人でも太陽神アポロでも無かったと、絶望感でいっぱいになった。球磨達は今までに見たことの無いツクモの青ざめた表情と、大芹の残忍な手でツクモを配下にしていたと、怒りをつのらしていた。
「ツクモがてめぇの実験道具って、どういう意味だ!!こいつは邪神に仕える仲間じゃねーのかよ!!」
「随分と口の悪い男だな・・・。ツクモはこんな下等な者に執着していたのか?まぁ良い、君達に私の実験道具の話をしてやろう」
太陽神アポロは、その後、炎の邪神『イフリート』に体を乗っ取られてしまった。そして、闇に墜ち、ギリシャを闇の炎で包もうとした時、炎の神『プロメテウス』が彼に挑んだ。大切な戦友同士の戦いが始まり、プロメテウスは懸命にアポロに呼びかけたが、完全に邪神に心を支配され、攻撃を受け続けた。
「イフリート!!貴様!!その汚らわしき魂、アポロの体から出て行きやがれ!!」
「無駄だ!!俺様は悪の根源。アポロの清らかな魂は残念なことに何処かへ飛んでいったぞ!!」
プロメテウスは槍でイフリートの闇の炎を受け止めながら、悔しさで胸がいっぱいだった。
(く・・・このままアポロを倒すしか無いのか・・・)
しかし、心の中でアポロの声が聞こえた。
『私の魂は、時空を越え、新しい命に転生しようとしている。もはやお前が戦っているのは、完全悪に支配された邪神。だから、プロメテウスの聖なる炎で、邪神イフリートを倒してくれ・・・』
プロメテウスは戸惑ったが、アポロは彼を勇気づけた。
(私達神々は、滅びた後も、時を超え転生する。生まれ変わった時代や国が闇に脅かされる時、私達はまた巡り会うだろう)
プロメテウスはこの言葉に確信を持ち、渾身の力で聖なる炎を体にまとい、イフリートの胸を槍で貫いた。これで、ギリシャ世界には平和が訪れたが、その時、イフリートの亡骸と魂は、邪神『マガツイノカミ』に回収された。そして、長い時間封印され、大芹が魔改造戦士の研究と実験で試作品として造られたのが、ツクモだった・・・。