第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
つるぎが宇土の港へ向かう前の出来事。彼女は出陣前に、紅史郎に声を掛けた。
「これから宇土へ行き、勇士共を討ちに行く。それと、島原近海にも海兵を配置しておく。紅史郎も宮殿の護りに勤しんでくれ」
つるぎは、一礼し去ろうとした時、紅史郎は彼女を後ろから抱きしめた。つるぎは突然の大胆な行動に驚き彼に振り向いた。
「突然何をする!!反応に困るではないか!!」
「・・・すまない。これが最後になるかもしれないと思って・・・」
「最後とは?私が簡単に死ぬと思っているのか・・・?」
「いいや・・・それは僕の方だよ」
紅史郎は薄笑いを浮かべ、彼女の耳に囁いた。つるぎは何の冗談かと笑おうとしたが、妙な胸騒ぎがした。
「戦う前に縁起でもない事を言うな・・もう良い。球磨達がお主に挑む前に、私がカタをつけてやる」
つるぎは不機嫌な顔をしながら、紅史郎のもとを去った。
(紅史郎は球磨に敗れるのではなく、何かもっと不吉な予感がする・・・)
つるぎは紅史郎の言葉に気がかりでならなかったが、任を果たすために彼への想いを捨てた。
現在に戻り、球磨、桜龍、湘、仁摩は、早朝の青空の下、肥後国宇土の港に来ていた。しかし港は信者兵士に占拠され、清正達、豊臣兵も悩まされていた。
「どうしたもんか・・信者は兵士だけではなく、民間人も居る。武人以外と戦うのは気が引けるな・・」
「ここが島原に行きやすい海路だから、一番守りを固めていますね」
湘は気配を消しながら辺りを見回した。
「本当に島原へ行くのか?正直、特別な力を持つお前達でも、かなりの危険を要するぜ」
清正は、彼らが豊臣に仕えているわけでもないのに、何故、助力してくれるのか不思議に思っていた。すると、球磨と桜龍は、真剣な眼差しを彼に向け言った。
「清正さん、心配してくれて有り難いです。だけど、これは俺達の使命なんだ」
「秀吉殿や清正さんは表舞台で活躍する武人で、俺達は影から闇を追い払う守護者。私達の定めなのです」
清正は彼らの強い意志に、これ以上は口を挟むこと無く受け入れた。
「それがお前達の使命か。では、港に居る信者共は俺らが引き受ける」
「清正様と豊臣軍に勝利の御加護を」
仁摩が清正と兵士達に魔除の術を唱えた。清正達は礼を言い、港を占拠している信者に、『これから港に火を放つ』と偽の情報を流し、思考と判断力に欠ける信者を動揺させた。湘は、清正を『流石は豊臣恩顧の武将』と感心していた。球磨も彼に憧れを抱いていた。
「清正殿の策は大胆かつ効率的だな」
「清正さんは剛毅で思慮深く情に厚い。おまけに城造りの名手だ。天下を取れる器だぜ」
3人は、清正の行動が始まるまで、港の物陰で待機していた。
「これから宇土へ行き、勇士共を討ちに行く。それと、島原近海にも海兵を配置しておく。紅史郎も宮殿の護りに勤しんでくれ」
つるぎは、一礼し去ろうとした時、紅史郎は彼女を後ろから抱きしめた。つるぎは突然の大胆な行動に驚き彼に振り向いた。
「突然何をする!!反応に困るではないか!!」
「・・・すまない。これが最後になるかもしれないと思って・・・」
「最後とは?私が簡単に死ぬと思っているのか・・・?」
「いいや・・・それは僕の方だよ」
紅史郎は薄笑いを浮かべ、彼女の耳に囁いた。つるぎは何の冗談かと笑おうとしたが、妙な胸騒ぎがした。
「戦う前に縁起でもない事を言うな・・もう良い。球磨達がお主に挑む前に、私がカタをつけてやる」
つるぎは不機嫌な顔をしながら、紅史郎のもとを去った。
(紅史郎は球磨に敗れるのではなく、何かもっと不吉な予感がする・・・)
つるぎは紅史郎の言葉に気がかりでならなかったが、任を果たすために彼への想いを捨てた。
現在に戻り、球磨、桜龍、湘、仁摩は、早朝の青空の下、肥後国宇土の港に来ていた。しかし港は信者兵士に占拠され、清正達、豊臣兵も悩まされていた。
「どうしたもんか・・信者は兵士だけではなく、民間人も居る。武人以外と戦うのは気が引けるな・・」
「ここが島原に行きやすい海路だから、一番守りを固めていますね」
湘は気配を消しながら辺りを見回した。
「本当に島原へ行くのか?正直、特別な力を持つお前達でも、かなりの危険を要するぜ」
清正は、彼らが豊臣に仕えているわけでもないのに、何故、助力してくれるのか不思議に思っていた。すると、球磨と桜龍は、真剣な眼差しを彼に向け言った。
「清正さん、心配してくれて有り難いです。だけど、これは俺達の使命なんだ」
「秀吉殿や清正さんは表舞台で活躍する武人で、俺達は影から闇を追い払う守護者。私達の定めなのです」
清正は彼らの強い意志に、これ以上は口を挟むこと無く受け入れた。
「それがお前達の使命か。では、港に居る信者共は俺らが引き受ける」
「清正様と豊臣軍に勝利の御加護を」
仁摩が清正と兵士達に魔除の術を唱えた。清正達は礼を言い、港を占拠している信者に、『これから港に火を放つ』と偽の情報を流し、思考と判断力に欠ける信者を動揺させた。湘は、清正を『流石は豊臣恩顧の武将』と感心していた。球磨も彼に憧れを抱いていた。
「清正殿の策は大胆かつ効率的だな」
「清正さんは剛毅で思慮深く情に厚い。おまけに城造りの名手だ。天下を取れる器だぜ」
3人は、清正の行動が始まるまで、港の物陰で待機していた。