第2章 九州の大一揆編 炎の魔人と聖火の神
時は源平合戦が集結した平安の終わり。千里は戦の名手、『源義経』に仕えていた。しかし彼の兄、頼朝に追われる身となり、陸中平泉の奥州藤原氏の元に匿われていた。ところが、その地はすでに、千里と同胞の人造戦士の魔の手に侵されていた。
「泰衡(やすひら)殿!!貴方は義経様を裏切るつもりですか!!」
奥州藤原氏の4代目当主、藤原泰衡は平泉の藤原屋敷で、義経に刃を向けていた。千里は義経を護ろうと鎖鎌を構え、攻撃態勢に入っていた。泰衡が正常で無い事を千里にも分かっていた。彼は、頼朝に義経を討てと命を受けていた。父の秀衡の死後も義経を匿い続けるか、頼朝に従うか悩んでいた。しかし、藤原家に仕えていた人造戦士達がそれに付け込み、謀反を起こし、泰衡を劇薬で薬漬けにした。千里は、同胞の裏切りに心を痛めていたが、それ以上に、義経を護りたい意志の方が強かった。義経に斬りかかってきた泰衡の太刀を、千里は鎖で受け止め、腹部に強烈な蹴りを入れた。襖ごと吹き飛ばされた泰衡が動けぬうちに、千里は義経と弁慶に促した。
「この者の相手は僕がします。義経様と弁慶殿は北へお逃げください!!」
千里は陸奥の地図を弁慶に渡した。
「分かった!!我が殿を連れ、北上川に沿って北へ逃げる。千里も直ぐに追い付いてくれ!!」
「くれぐれも無茶はしないでくれ!!千里!!」
千里は強く頷き、義経達を追う兵士の背中に小刀を投げ、倒した。動けるようになった泰衡は再び千里に刃を向けたが、もはや正気の顔では無かった。
「頼朝様は!!俺に約束してくれたー!!!義経の首を取れば、奥州の皇(おう)にしてくれると!!義経なんぞ、東北の脅威になるから消してやるー!!人では無い、造られた戦闘人形の貴様もここで始末してやる!!!」
泰衡には、もはや理性は無かった。長い間、人造戦士の薬師に劇薬を飲まされ、心も体も壊れてしまった。千里は正気に戻す術が無いと諦め、とどめを刺そうと術を唱え、砂嵐で彼の動きを止めた。そして、鎌で斬ろうとした時、陰の中から黒髪の男が姿を現した。
「困りますよー、千里君。泰衡さんにはまだ死なせるわけにはいかないんですよー」
「貴様は・・厳美!?」
厳美は大鎌を横に振り、千里は素早く避けたが間に合わず腕にかすり出血した。その直後に、鋭く巨大な鉤爪が、千里を襲ったが間一髪交わし体勢を整えた。鉤爪の正体を見ると、白い漢服を着た男が、千里をあざ笑いながら言った。
「味方はほとんど居ないのに、まだ義経に反吐が出るほど忠誠を尽くしている千里は、本当愚か者だな」
「大芹(おおぜり)・・・貴様が、泰衡の心身の病に漬け込み、劇薬で薬漬けにしていたんだな!!」
大芹と呼ばれた男は、人造戦士を造り、改造する学者だった。また、厳美同様、薬や医学にも精通しており、泰衡のお目付役兼かかりつけ医となったが、劇薬で心身を壊していった。
「頼朝様が、義経を始末したら奥州を人造戦士の支配地にして良いと約束してくれたのでな」
「く・・やはり貴様は外道だ・・。己の野望が強く、頼朝自身には忠誠心などないのでしょう・・・」
千里は、大芹を睨みながら分銅を振り回した。しかし、彼は鼻で笑いながら千里を見下し、隠れている右袖から出てきた獣の巨大な手で泰衡を捕らえ、連れて帰ろうとした。千里はそうはさせない!!と阻止しようとしたが、割って入ってきた厳美の拳が頬に炸裂し怯んだ。
「泰衡を義経の元に連れて行くぞ。義経と弁慶は北上川に沿って北へ逃げているみたいだが、この近くに人造戦士を待機させている。2人は平泉の地で終焉を迎えるな」
千里は歯を食いしばりながら大芹を睨んだ。
「流石は、大芹さん。準備が良いですねー」
「当然だ。私は完璧主義だから、失敗や欠陥など存在せんわ!!」
大芹が得意げに笑みを浮かべていると、千里は『外道が!!』と2人を砂煙で攻撃した。煙が消えると千里の姿は無かった。
「あーあー、大芹さんが油断したから千里君行っちゃいましたよー」
「計算通りそのつもりだ。いくら鬼神のような強さを持つ千里でも、魔改造した戦士には手も出まい」
呆れる厳美に対し、大芹は動ずる事なく不敵な笑みを浮かべていた。
「泰衡(やすひら)殿!!貴方は義経様を裏切るつもりですか!!」
奥州藤原氏の4代目当主、藤原泰衡は平泉の藤原屋敷で、義経に刃を向けていた。千里は義経を護ろうと鎖鎌を構え、攻撃態勢に入っていた。泰衡が正常で無い事を千里にも分かっていた。彼は、頼朝に義経を討てと命を受けていた。父の秀衡の死後も義経を匿い続けるか、頼朝に従うか悩んでいた。しかし、藤原家に仕えていた人造戦士達がそれに付け込み、謀反を起こし、泰衡を劇薬で薬漬けにした。千里は、同胞の裏切りに心を痛めていたが、それ以上に、義経を護りたい意志の方が強かった。義経に斬りかかってきた泰衡の太刀を、千里は鎖で受け止め、腹部に強烈な蹴りを入れた。襖ごと吹き飛ばされた泰衡が動けぬうちに、千里は義経と弁慶に促した。
「この者の相手は僕がします。義経様と弁慶殿は北へお逃げください!!」
千里は陸奥の地図を弁慶に渡した。
「分かった!!我が殿を連れ、北上川に沿って北へ逃げる。千里も直ぐに追い付いてくれ!!」
「くれぐれも無茶はしないでくれ!!千里!!」
千里は強く頷き、義経達を追う兵士の背中に小刀を投げ、倒した。動けるようになった泰衡は再び千里に刃を向けたが、もはや正気の顔では無かった。
「頼朝様は!!俺に約束してくれたー!!!義経の首を取れば、奥州の皇(おう)にしてくれると!!義経なんぞ、東北の脅威になるから消してやるー!!人では無い、造られた戦闘人形の貴様もここで始末してやる!!!」
泰衡には、もはや理性は無かった。長い間、人造戦士の薬師に劇薬を飲まされ、心も体も壊れてしまった。千里は正気に戻す術が無いと諦め、とどめを刺そうと術を唱え、砂嵐で彼の動きを止めた。そして、鎌で斬ろうとした時、陰の中から黒髪の男が姿を現した。
「困りますよー、千里君。泰衡さんにはまだ死なせるわけにはいかないんですよー」
「貴様は・・厳美!?」
厳美は大鎌を横に振り、千里は素早く避けたが間に合わず腕にかすり出血した。その直後に、鋭く巨大な鉤爪が、千里を襲ったが間一髪交わし体勢を整えた。鉤爪の正体を見ると、白い漢服を着た男が、千里をあざ笑いながら言った。
「味方はほとんど居ないのに、まだ義経に反吐が出るほど忠誠を尽くしている千里は、本当愚か者だな」
「大芹(おおぜり)・・・貴様が、泰衡の心身の病に漬け込み、劇薬で薬漬けにしていたんだな!!」
大芹と呼ばれた男は、人造戦士を造り、改造する学者だった。また、厳美同様、薬や医学にも精通しており、泰衡のお目付役兼かかりつけ医となったが、劇薬で心身を壊していった。
「頼朝様が、義経を始末したら奥州を人造戦士の支配地にして良いと約束してくれたのでな」
「く・・やはり貴様は外道だ・・。己の野望が強く、頼朝自身には忠誠心などないのでしょう・・・」
千里は、大芹を睨みながら分銅を振り回した。しかし、彼は鼻で笑いながら千里を見下し、隠れている右袖から出てきた獣の巨大な手で泰衡を捕らえ、連れて帰ろうとした。千里はそうはさせない!!と阻止しようとしたが、割って入ってきた厳美の拳が頬に炸裂し怯んだ。
「泰衡を義経の元に連れて行くぞ。義経と弁慶は北上川に沿って北へ逃げているみたいだが、この近くに人造戦士を待機させている。2人は平泉の地で終焉を迎えるな」
千里は歯を食いしばりながら大芹を睨んだ。
「流石は、大芹さん。準備が良いですねー」
「当然だ。私は完璧主義だから、失敗や欠陥など存在せんわ!!」
大芹が得意げに笑みを浮かべていると、千里は『外道が!!』と2人を砂煙で攻撃した。煙が消えると千里の姿は無かった。
「あーあー、大芹さんが油断したから千里君行っちゃいましたよー」
「計算通りそのつもりだ。いくら鬼神のような強さを持つ千里でも、魔改造した戦士には手も出まい」
呆れる厳美に対し、大芹は動ずる事なく不敵な笑みを浮かべていた。