店長のぼやきいろいろ

新年1発目の小ネタは、ちょっと詩っぽく

2025/01/19 22:38


「なぁなぁ、昨日の大学祭で黒崎と一緒に歩いてたの、黒崎の彼女だろ?」
「そうそう!俺も見た見た!めっちゃ可愛かった!どこかのアイドルかと思うレベル!」
「うわぁぁ、マジで羨ましいぜ!」

だろうな、だろうな
俺は内心、大きく頷く

本人は全く無自覚だけど
アイドルみたいに可愛くて、スタイルも抜群で
しかも性格は素直で、優しくて、明るくて、努力家で
あのはにかんだ笑顔を見るたび、ふわっと心があったかくなる

俺の自慢の、最高のカノジョ

しかも、俺のせいで危ない目にも沢山あって
怖い思いも辛い思いも沢山して
俺のヒトとは違う「顔」も沢山見て
それでも、俺を「いちばん」に選んでくれる

俺の大切な、最愛のカノジョ

どうだ、羨ましいだろう
…絶対に誰にも譲らないけど





「織姫ちゃん、昨日は楽しかったかい?」
「昨日?そう言えば、日曜日に織姫ちゃんが休みを取るなんて珍しいね。何かあったの?」
「それがほら、あのオレンジの彼氏に大学祭に誘われて、連れてってもらったんだって!」
「ああ!あのイケメンの!ちょっと見た目は怖そうだけど、優しいのね〜!」

うふふ、そうなんです、そうなんです

あたしは口元がニヤけそうになるのを必死でこらえる

本人は「フツーだろ」って、当たり前な顔をするけれど
どこから見てもカッコよくて、オレンジ色の髪は、お日様みたいにキラキラしてて
誰に対しても優しくて、強くて、誠実で、真面目で
あたしのことをいつも心配してくれる

あたしの大好きな、最強のカレシさん

彼が背負っているものはとても重くて、大きくて
でも、それから逃げず、傷つきながらも真っ直ぐに向き合って、乗り越えて
そうして、沢山の世界を、命を護ってきた

あたしがずっと護りたい、大切なカレシさん

彼に相応しい女の子になれるように…
あたし、もっともっと自分を磨きます






「あらあら、可愛い子だねえ。目がくりくりっとしてて。」

そうだろう、そうだろう
ですよね、ですよね

俺は内心、大きく頷く
あたしは心の中で、首を大きく縦に振る

たまたま信号待ちで隣になったおばあさんが、ウチのベビーカーを覗き込んで

ウチの子があどけない笑顔を見せれば、そのおばあさんもとろけそうな笑顔になった

ウチの嫁さん似の、大くて丸い目
きょとんとした顔もにっこりと笑った顔も、本当に嫁さんそっくりで
そりゃ可愛いに決まってるんだ

「綺麗な髪ね。お父さんと同じ髪色だし、地毛かしら?」

あたしの旦那様似の、大好きなオレンジ色の髪
弾けるような笑顔は、どこまでも眩しくて
まるでベビーカーの中に、小さな太陽があるみたいでしょう?

けれど、そんなこと言ったら「またのろけて」って言われちまうし
でも、そんなこと声に出したら「親バカ」って言われちゃうから

だから、笑顔でそのおばあさんに二人で「ありがとうございます」って小声で答えて、会釈を返した





「ねえねえ、あの人、かずくんのお父さんとお母さん?」
「すぐわかったよ!かずくんとこ、お父さんはめっちゃカッコいいし、お母さんはめっちゃ美人なんだね!」

そうでしょう、そうでしょう
僕はえへんと胸を張る

だって、僕のお父さんは強くてカッコよくて、「ほんやくか」っていう難しいお仕事をしていて

僕のお母さんは、優しくて可愛くておもしろくて、お菓子作りもとっても上手

それで、二人とも僕のことを、いっぱい「ぎゅ〜」してくれる

僕の大好きな、自慢のお父さんとお母さん

それに、お父さんとお母さん、いつでもすごくすごく仲良しなんだよ

でも、そのことを言うと、お父さんもお母さんも何でか分からないけどすごく恥ずかしいんだって

だから、僕は黙ったまま、後ろを向いてこっそり手を振った

もちろん、お父さんはニッて笑ってくれて、お母さんは小さく手を振り返してくれたよ




今日は僕の、授業参観日

授業は、「家族の話」だって。


(2025.01.18)

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