4.侵略!G怪人
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このところ、ナマエはときおり妙な視線を感じていた。
それも外ではなく家にいる時に限ってである。
食べ終わって食器を洗っている時、風呂上がりに水分補給をしている時、歯を磨いている時、日常の中でどこかから観察されているような気配を感じ、辺りを見回すが当然一人暮らしなので誰もいない。気のせいかと思い首を傾げるが、しばらくするとまた同じ視線を感じる。実害はないものの気味が悪く、最近家にいても神経が休まらない。
心霊的なものはあまり信じていないが、やっぱりお祓いを受けた方がいいのか…と洗濯物を干しながら考えていると、隣の部屋の掃き出し窓が開く音がした。見ると、ゾンビマンが眩しそうに顔をしかめながらベランダへ出てくるところだった。
「あ、おはようございます」
「おう、早くから精が出るな」
今日は休日でいつもより起床時間も遅く、今は早いという時間帯ではなかったのだが、彼は今起きたところのようだった。太陽は昇り切っていなかったが既に日差しは強く、気温はぐんぐん上昇している。ゾンビマンは暑さが苦手らしく、ぐったりした様子で、これじゃ寝てられねぇ、とぼやいている。
「最近昼間じゃなくても暑いですもんね。電気代が心配なんで、朝のうちはエアコンつけないようにしてますけど」
「そうか…うちエアコン無いんだよな」
「へえ、そうなんですか………無いの?!」
さりげなくとんでもないことを言われ、思わずタメ口になりながら二度見する。
歴史の授業で習った、地球の『第二変革期』があったのはナマエが生まれる前のことだが、その影響は未だに続いており、異常な暑さに襲われる年もある。エアコン無しの生活は考えられなかった。
「エアコン無いって…熱中症にならないんですか?」
心配になってきくと、実際去年の夏の盛りに何度か意識を失ったことがある、と淡々と言われ目を剥いた。体質的に死ぬことはないのだろうが、無頓着過ぎないだろうか。まさか他の冷暖房器具もないのでは、と嫌な想像をしてしまう。
「絶対、買った方がいいですよ」
「ああ、俺もそう思ったんだが、よく考えたら大して家に居ないからな。結局買いにいくのも面倒くさくなって」
言いながら首の関節を鳴らしている。
隣人の意外にずぼらな一面を垣間見た気がして曖昧に笑っていると、ゾンビマンは何かに気づいたようにナマエの顔を見た。
「な、何ですか?」
急にじっと見られて緊張しながら聞くと、ゾンビマンはしばらく言いよどんだ後口を開いた。
「…いや、違ったらいいんだが…少し疲れてないか?」
言い当てられ驚く。確かに件の視線のせいで、最近十分な休息がとれているとは言えなかったが、仕事には普通に行っているし誰かに気付かれたことはなかった。
自身への無頓着さとは対象的に、他人のことには驚くほど繊細さを発揮する。
ヒーローってそういうものなんだろうか、と思いながら、ナマエは何と答えればいいか迷った。
「実は最近夢見が悪いというか、よく眠れないことがあって…」
妙な視線のことも話してしまおうかと一瞬考えたが、自分でもよくわかっていないものを相談しても迷惑だろうと思い留まる。
「でも体調は悪くないし、全然平気なんですけどね。
心配して下さってありがとうございます」
「そうか。力になれるかわからないが、困ったことがあれば言えよ」
「はい」
(本当に優しいなぁ、この人)
隣人の思いやりに密かに感動する一方で、ナマエはまた妙な視線のことを思い出す。
(あれは一体なんなんだろう…)
考えてもきりがないのでナマエは残りの洗濯物を干すことに専念した。しかし、その答えは後ほど身をもって体感することになった。
それも外ではなく家にいる時に限ってである。
食べ終わって食器を洗っている時、風呂上がりに水分補給をしている時、歯を磨いている時、日常の中でどこかから観察されているような気配を感じ、辺りを見回すが当然一人暮らしなので誰もいない。気のせいかと思い首を傾げるが、しばらくするとまた同じ視線を感じる。実害はないものの気味が悪く、最近家にいても神経が休まらない。
心霊的なものはあまり信じていないが、やっぱりお祓いを受けた方がいいのか…と洗濯物を干しながら考えていると、隣の部屋の掃き出し窓が開く音がした。見ると、ゾンビマンが眩しそうに顔をしかめながらベランダへ出てくるところだった。
「あ、おはようございます」
「おう、早くから精が出るな」
今日は休日でいつもより起床時間も遅く、今は早いという時間帯ではなかったのだが、彼は今起きたところのようだった。太陽は昇り切っていなかったが既に日差しは強く、気温はぐんぐん上昇している。ゾンビマンは暑さが苦手らしく、ぐったりした様子で、これじゃ寝てられねぇ、とぼやいている。
「最近昼間じゃなくても暑いですもんね。電気代が心配なんで、朝のうちはエアコンつけないようにしてますけど」
「そうか…うちエアコン無いんだよな」
「へえ、そうなんですか………無いの?!」
さりげなくとんでもないことを言われ、思わずタメ口になりながら二度見する。
歴史の授業で習った、地球の『第二変革期』があったのはナマエが生まれる前のことだが、その影響は未だに続いており、異常な暑さに襲われる年もある。エアコン無しの生活は考えられなかった。
「エアコン無いって…熱中症にならないんですか?」
心配になってきくと、実際去年の夏の盛りに何度か意識を失ったことがある、と淡々と言われ目を剥いた。体質的に死ぬことはないのだろうが、無頓着過ぎないだろうか。まさか他の冷暖房器具もないのでは、と嫌な想像をしてしまう。
「絶対、買った方がいいですよ」
「ああ、俺もそう思ったんだが、よく考えたら大して家に居ないからな。結局買いにいくのも面倒くさくなって」
言いながら首の関節を鳴らしている。
隣人の意外にずぼらな一面を垣間見た気がして曖昧に笑っていると、ゾンビマンは何かに気づいたようにナマエの顔を見た。
「な、何ですか?」
急にじっと見られて緊張しながら聞くと、ゾンビマンはしばらく言いよどんだ後口を開いた。
「…いや、違ったらいいんだが…少し疲れてないか?」
言い当てられ驚く。確かに件の視線のせいで、最近十分な休息がとれているとは言えなかったが、仕事には普通に行っているし誰かに気付かれたことはなかった。
自身への無頓着さとは対象的に、他人のことには驚くほど繊細さを発揮する。
ヒーローってそういうものなんだろうか、と思いながら、ナマエは何と答えればいいか迷った。
「実は最近夢見が悪いというか、よく眠れないことがあって…」
妙な視線のことも話してしまおうかと一瞬考えたが、自分でもよくわかっていないものを相談しても迷惑だろうと思い留まる。
「でも体調は悪くないし、全然平気なんですけどね。
心配して下さってありがとうございます」
「そうか。力になれるかわからないが、困ったことがあれば言えよ」
「はい」
(本当に優しいなぁ、この人)
隣人の思いやりに密かに感動する一方で、ナマエはまた妙な視線のことを思い出す。
(あれは一体なんなんだろう…)
考えてもきりがないのでナマエは残りの洗濯物を干すことに専念した。しかし、その答えは後ほど身をもって体感することになった。