4 めまぐるしい変化

 イザドラの葬式はその二日後にとりおこなわれました。そこには、アーノルドの姿がありました。彼はレイに言いました。
「すまなかった。電話が通じなかったのは偶然だ。本当に仕事中だったんだ。ステイシーに話を聞いて、いつかこっそり訪問するつもりだったんだが……後の祭りというやつだな」
 ほかに出席していたのは、チェルシー、トレイシー、ステイシーの三人だけでした。ステイシーは悲しげな表情でしたが、ほかの二人は、まるで他人事のように、牧師に言われるまま祈るだけでした。

 その数日後、チェルシーがレイを訪ねてきました。
「あなた一人に、この家は広いでしょう。ほかに住む人もいないし、いっそ売ってしまおうかと思っているの。で、あなたのことだけれど、このままじゃ、困るわよね? 実は、あたしの知り合いの店が、人手不足で困ってるのよ。行ってみない? セミラのコードルクってところ……住み込みで。ちょっと遠いけれど、店ちょ……社長はとてもいい人なのよ」
 行くあてもないレイは、二つ返事で承知しました。いずれ行くであろう場所だったし、この家にいたいと反論しても、無駄であろうことはわかりきっていました。

 こうして、一か月後、レイは船に乗り海を渡りました。
 紹介されたのは、服飾の店でした。経営者はジェームズ・ローレンスという、まだ若い男性でした。彼には小さな娘がいて、常に彼の話題は娘のことばかりでした。
 別れの悲しみを癒そうと、レイは教えられる針仕事に我を忘れて打ち込みました。
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