22.最愛の恋人
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「赤コーナー、川原所属・・・・宮田一郎!」
あれこれ考えて心が落ち着く暇もない間に、扉の向こうから花道へ姿を現した宮田が見えた。
突き出す拳と鋭い眼差し。見慣れたはずの体だが、スポットライトに照らされた上半身はいつもよりさらに鍛え上げられ、鋭い陰影を浮かび上がらせていた。
「きゃああああ、宮田くぅん!」
「かっこいいぃいい!」
静かな後楽園ホールに、数人の黄色い叫びが響く。
常人なら思わず戦意を削がれてもおかしくない場違いな声援も、今の宮田には耳に入らないのか、特に心乱される様子はない。
「今日は宮田一郎選手のデビュー戦であります・・・」
司会がそう一言付け加えると、会場から拍手が起き、
「よっ!天才少年!待ってたぞ〜」
「派手なKOで決めろよぉ!」
「きゃぁあ宮田くん!!負けないでねぇえ!」
と賑やかな声援が飛び交った。
当の宮田は、コーナーで父親と何やら話をしながら軽くステップをしている。その表情は心なしか、口角が上がっているように見える。
「宮田が・・・・笑ってる?」
カン!と乾いたゴングの音が鳴り、宮田は軽快なステップで相手を翻弄し、数発パンチを繰り出すとまた口元を緩めた。相手が肩や頭を押し付けるように突進してくると、ガツンと鈍い音がホールに響いた。
相手はゴツゴツした岩のような顔と体の屈強そうな男で、街ですれ違ったら絶対に目も合わせないような強面のビジュアルだ。
うぉおと唸り声を上げながら宮田に3度目の突進をした矢先、急に男が膝をついて倒れた。そしてレフェリーが駆け寄り「ダウン!」と声を上げる。
程なく、相手は震える膝を押さえながら立とうとしたがよろけて尻餅をつき、コーナーを見ながら首を振ると、レフェリーは両手を交差して試合終了を告げた。
「きゃあああ!宮田くぅん!」
「うぉおお!すごいぞ宮田!やっぱりお前は天才だ!」
「デビュー戦の動きじゃねえぞ、ナイスカウンター!」
試合に勝った宮田はグローブを脱ぎ、客席に向かってお辞儀をしたあと、父親と何やら話をしながらリングを降りていった。
その顔にはやはり・・・笑みが溢れていた。
その刹那、奈々は心がズキっと痛むのを感じた。
宮田のあんな笑顔・・・見たことない。
あれこれ考えて心が落ち着く暇もない間に、扉の向こうから花道へ姿を現した宮田が見えた。
突き出す拳と鋭い眼差し。見慣れたはずの体だが、スポットライトに照らされた上半身はいつもよりさらに鍛え上げられ、鋭い陰影を浮かび上がらせていた。
「きゃああああ、宮田くぅん!」
「かっこいいぃいい!」
静かな後楽園ホールに、数人の黄色い叫びが響く。
常人なら思わず戦意を削がれてもおかしくない場違いな声援も、今の宮田には耳に入らないのか、特に心乱される様子はない。
「今日は宮田一郎選手のデビュー戦であります・・・」
司会がそう一言付け加えると、会場から拍手が起き、
「よっ!天才少年!待ってたぞ〜」
「派手なKOで決めろよぉ!」
「きゃぁあ宮田くん!!負けないでねぇえ!」
と賑やかな声援が飛び交った。
当の宮田は、コーナーで父親と何やら話をしながら軽くステップをしている。その表情は心なしか、口角が上がっているように見える。
「宮田が・・・・笑ってる?」
カン!と乾いたゴングの音が鳴り、宮田は軽快なステップで相手を翻弄し、数発パンチを繰り出すとまた口元を緩めた。相手が肩や頭を押し付けるように突進してくると、ガツンと鈍い音がホールに響いた。
相手はゴツゴツした岩のような顔と体の屈強そうな男で、街ですれ違ったら絶対に目も合わせないような強面のビジュアルだ。
うぉおと唸り声を上げながら宮田に3度目の突進をした矢先、急に男が膝をついて倒れた。そしてレフェリーが駆け寄り「ダウン!」と声を上げる。
程なく、相手は震える膝を押さえながら立とうとしたがよろけて尻餅をつき、コーナーを見ながら首を振ると、レフェリーは両手を交差して試合終了を告げた。
「きゃあああ!宮田くぅん!」
「うぉおお!すごいぞ宮田!やっぱりお前は天才だ!」
「デビュー戦の動きじゃねえぞ、ナイスカウンター!」
試合に勝った宮田はグローブを脱ぎ、客席に向かってお辞儀をしたあと、父親と何やら話をしながらリングを降りていった。
その顔にはやはり・・・笑みが溢れていた。
その刹那、奈々は心がズキっと痛むのを感じた。
宮田のあんな笑顔・・・見たことない。